電気設備技術基準の解釈63【電験3種 法規】地絡遮断装置は漏電遮断器・負荷側がカギ=(a)(3)(b)(2) 平成28年度 B問題11 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 平成28年度 B問題11 地絡を遮断するのは漏電遮断器!負荷側に置く

今回は平成28年度 法規科目 B問題11地絡遮断装置の施設(電気設備技術基準の解釈第36条)に関する問題です。(a)は低圧機械器具で地絡遮断装置を省略できる条件、(b)は高圧・特別高圧電路の施設箇所の誤りを問います。

カギは2つ。(a)省略条件の一つは漏電遮断器(過電流遮断器ではない)。(b)配電用変圧器の地絡は負荷側で検出(電源側ではない)。地絡は「電源側を遮断」が原則ですが、故障箇所の表現に注意します。

目次

平成28年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成28年度 B問題11 問題文
平成28年度 法規科目 B問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成28年度 B問題11

 「電気設備技術基準の解釈」に基づく地絡遮断装置の施設に関する記述について、(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 金属製外箱を有する使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路には、電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を原則として施設しなければならないが、この装置を施設しなくてもよい場合として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)機械器具に施されたC種接地工事又はD種接地工事の接地抵抗値が3Ω以下の場合
(2)電路の系統電源側に絶縁変圧器(機械器具側の線間電圧が300V以下のものに限る。)を施設するとともに、当該絶縁変圧器の機械器具側の電路を非接地とする場合
(3)機械器具内に電気用品安全法の適用を受ける過電流遮断器を取り付け、かつ、電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設する場合
(4)機械器具に簡易接触防護措置(金属製のものであって、防護措置を施す機械器具と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合
(5)機械器具を乾燥した場所に施設する場合

(b) 高圧又は特別高圧の電路には、下表の左欄に掲げる箇所又はこれに近接する箇所に、同表中欄に掲げる電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし、同表右欄に掲げる場合はこの限りでない。表内の下線部(ア)から(ウ)のうち、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

【表・右欄の下線部】(ア)…(発変電所相互間の電線路が母線の延長とみなされる場合)当該電線路に地絡を生じた場合に電源側(ア)の電路を遮断する装置を施設するとき/(イ)(ウ)…配電用変圧器の電源側(イ)に地絡を生じた場合に、当該配電用変圧器の施設箇所の電源側(ウ)の発電所又は変電所で当該電路を遮断する装置を施設するとき

(1)(ア)のみ
(2)(イ)のみ
(3)(ウ)のみ
(4)(ア)と(イ)の両方
(5)(イ)と(ウ)の両方

答え(a)誤りは(3)——過電流遮断器ではなく漏電遮断器/(b)誤りは(イ)のみ=(2)

答えは(a)(3)・(b)(2)

電気設備技術基準の解釈 第36条(地絡遮断装置の施設)

金属製外箱を有する使用電圧が60Vを超える低圧の機械器具に接続する電路には、地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし、次のいずれかに該当する場合はこの限りでない。/・機械器具に施されたC種接地工事又はD種接地工事の接地抵抗値が以下の場合/・電路の系統電源側に絶縁変圧器(機械器具側の線間電圧が300V以下)を施設し、その機械器具側の電路を非接地とする場合/・機械器具内に電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器を取り付け、電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設する場合/・機械器具に簡易接触防護措置を施す場合/・機械器具を乾燥した場所に施設する場合

★(a)の誤りは「過電流遮断器」——正しくは漏電遮断器です。

B問題ですが、計算ではなく条文の正誤判定が2問です——法規科目のB問題にはこの型もあります

★(a)なぜ漏電遮断器でなければならないのか

条文の言葉ダミー語違い
漏電遮断器★★漏電遮断器★過電流遮断器★★地絡を検出する/過電流を検出する
行きと帰りの電流の差★★行きと帰りの電流の差★電流の大きさ★★検出する量が違う

36条は地絡(漏電)から守る条文です——過電流遮断器では地絡を検出できません

地絡電流は数十mAでも危険——過電流遮断器が動く電流とは桁が違うのです。

「機械器具内に漏電遮断器を内蔵」なら、外部に別途設けなくてよい——これが省略条件です。

★(a)5つの省略条件を発想で分ける

条件発想
★C種・D種の接地抵抗値が3Ω以下★★極めて低い接地なら電位が上がらない
★絶縁変圧器+非接地★★地絡しても回路が閉じない
★機械器具内に漏電遮断器★★機器自身が守る
★簡易接触防護措置★★人が触れない
★乾燥した場所★★人体抵抗が高く、危険が小さい

「電位が上がらない」「電流が流れない」「機器が守る」「触れない」「危険が小さい」——5つの発想です。

接地の省略(29条)と似た構造——並べて覚えると効率的です。

★3Ωという厳しい値

V = I_g R
地絡時に外箱に生じる電位
接地抵抗Rが小さいほど電位上昇は小さい
$$R = 3\,\Omega \Rightarrow V \text{が十分小さい}$$
3Ω以下なら
触れても危険な電圧にならない

D種の原則100Ωに対して3Ω——30分の1以下という厳しさです。

そこまで低ければ、地絡遮断装置がなくても安全——だから省略が認められるのです。

18条の2Ω(接地極として使える金属体)と近い水準です。

★(b)配電用変圧器の地絡は「負荷側」で検出

下線部正誤正しくは
★(ア)電源側の電路を遮断★★正しい★★地絡は電源側で切るのが原則
★(イ)配電用変圧器の電源側に地絡★★誤り★★負荷側に地絡
★(ウ)施設箇所の電源側の発電所又は変電所★★正しい★★遮断装置は電源側の発電所・変電所に置く

配電用変圧器を守るのは、その負荷側で起きる地絡です——電源側の地絡は上位で処理されます

どこで起きた地絡を、どこで切るか——この対応関係を正確に読むのが本問です。

地絡遮断装置を施設すべき箇所(高圧・特別高圧)

箇所内容
★発電所・変電所等の引出口★★引き出す電路に地絡が生じたときに遮断
★他の者から供給を受ける受電点★★受電点の負荷側の電路の地絡を検出
★機械器具に接続する電路★★配電用変圧器の負荷側の電路

いずれも「地絡が起きた区間を切り離す」ための施設です——波及事故を防ぐのです。

受電点の地絡遮断装置がPAS・UGSに内蔵されたDGRです。

60Vを超える低圧という限定

条文の言葉ダミー語違い
使用電圧60V超の低圧の機械器具★★使用電圧60V超の低圧の機械器具★60V以下★★60V以下は危険が小さい
金属製外箱を有する★★金属製外箱を有する★外箱がない・絶縁性の外箱★★外箱が充電されるおそれ

60V以下なら、感電しても致命的になりにくい——だから対象外です。

金属製外箱がなければ、外箱が充電されることもありません——2つの条件で対象を絞っています

漏電遮断器の定格感度電流

用途定格感度電流動作時間
★人体保護(高感度形)★★15mA・30mA★★0.1秒以内
★機器・火災保護(中感度形)★★100mA〜1A★★0.1〜2秒

人体保護には30mA以下が使われます——心室細動に至る前に切るためです。

29条(接地の省略)では15mA・0.1秒以下が条件——さらに厳しいのです。

法規のB問題の型

内容
★計算型★★接地抵抗・電圧降下・力率改善・需要率等
★条文型★★本問のように(a)(b)で条文の正誤を問う

法規のB問題は計算だけではありません——条文の正誤を2問続けて問う型もあります

配点が大きいので、条文の理解がそのまま得点になる——取りこぼせないところです。

接地の省略(29条)との比較

接地の省略(29条)地絡遮断装置の省略(36条)
★2重絶縁★★該当する★★該当しない
★絶縁変圧器+非接地★★2次側300V以下・3kV·A以下★★機械器具側300V以下
★漏電遮断器★★15mA以下・0.1秒以下★★機械器具内に内蔵

似た条件が並びますが、細部の数値と条件が違います——どちらの省略の話かを見極めます

29条は「接地を省略」、36条は「地絡遮断装置を省略」——省略する対象が違うのです。

⏱️ 本番での進め方
① (a)の誤りは「過電流遮断器」——正しくは漏電遮断器。
② 接地抵抗値が3Ω以下なら地絡遮断装置を省略できる。
③ (b)配電用変圧器は負荷側の地絡を検出する。
④ 対象は60Vを超える低圧・金属製外箱の機械器具。

💡 覚え方
解釈36条=金属製外箱を有する使用電圧60V超の低圧の機械器具に接続する電路には地絡遮断装置を施設する。省略できるのは①C種・D種の接地抵抗値が3Ω以下 ②絶縁変圧器(機械器具側300V以下)+非接地 ③機械器具内に電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器 ④簡易接触防護措置 ⑤乾燥した場所——など。

⚠️ よくある間違い
「過電流遮断器」ではなく漏電遮断器——36条は地絡から守る条文。配電用変圧器の地絡は負荷側で検出する。

まとめ

(a)(1)C/D種接地3Ω以下→正しい
(a)(2)絶縁変圧器で非接地→正しい
(a)(3)過電流遮断器→漏電遮断器で誤り
(b)(ア)(ウ)電源側→正しい
(b)(イ)電源側→負荷側で誤り
答え(a)(3)・(b)(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・地中電線と他の地中電線等との接近交差(電気設備技術基準の解釈62):【法規】平成28年度 A問題8
・高圧特別高圧電路と低圧電路を結合する変圧器の接地工事(電気設備技術基準の解釈64):【法規】平成27年度 A問題5

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次