今回は平成24年度 法規科目 A問題5、電路の絶縁の例外に該当するものを選ぶ問題です。「大地から絶縁しなくてよいのはどこか」を具体例で問う、実力が試される一問です。
例外は大きく2つ。①解釈の規定により接地工事を施す場合の接地点と、②絶縁できないことがやむを得ない部分(単線式電気鉄道の帰線、電気浴器・電気炉・電解槽など大地から絶縁することが技術上困難なもの)です。
平成24年度 法規科目 A問題5:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題5
電験3種 法規科目 【電技省令】 平成24年度 A問題5
「電気設備技術基準」における電路の絶縁に関する記述の一部として、「電路は、大地から絶縁しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。」との規定がある。
次のaからdのうち、下線部(ただし書き)の場合に該当するものの組み合わせを、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
「電気設備技術基準」における電路の絶縁に関する記述の一部として、次の記述がある。
次のaからdのうち、下線部の場合に該当するものの組み合わせを、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、下記の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
a.架空単線式電気鉄道の帰線
b.電気炉の炉体及び電源から電気炉用電極に至る導線
c.電路の中性点に施す接地工事の接地点以外の接地側電路
d.計器用変成器の2次側電路に施す接地工事の接地点
(1) a,b (2) b,c (3) c,d (4) a,d (5) b,d

答えは(4):aの帰線とdの接地点
この設問は、その列挙にあてはまる具体例を選ばせます——条文を暗記するだけでなく、当てはめる力が要るのです。
令和6年度下期 A問題3などが電技5条の条文そのものを扱っています。本記事は解釈13条の例外カタログに絞ります。
★例外は2種類しかない
| 区分 | 理由 | 例 |
| ★① 接地工事の接地点 | ★★大地とつなぐことが目的 | ★★B種・D種接地の接地点、中性点接地 |
| ★② 絶縁がやむを得ない部分 | ★★技術上・使用上絶縁できない | ★★電気鉄道の帰線、電気炉、電解槽、電気さく |
①は「絶縁したくない」、②は「絶縁できない」——この2つに整理して覚えます。
それ以外は原則どおり絶縁が必要——例外は狭く読むのが法令の作法です。
★なぜ電気鉄道の帰線は絶縁できないのか
電車はトロリ線(架線)から電気を取り、レールを通して変電所へ戻します——レールが帰線です。
レールは枕木を介して地面に敷かれています——車輪が乗り、荷重を支える以上、大地から浮かせることは物理的に不可能です。
まさに「大地から絶縁することが技術上困難なもの」——解釈が明文で例外に挙げている典型例です。
★接地点と接地側電路はどう違うのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 接地点 | ★★接地点 | ★接地側電路 | ★★点だけが例外、電路は絶縁が必要 |
| 接地線が大地に至る一点 | ★★接地線が大地に至る一点 | ★中性線・接地側の電線全体 | ★★選択肢cはこれを混ぜた引っかけ |
選択肢cは「接地工事の接地点以外の接地側電路」でした——「以外」の2文字で例外から外れます。
接地側電路は、接地されているとはいえ電流が流れる電路——被覆を剥いで触れば危険なので、絶縁が必要です。
家庭の白線(接地側)も、当然ながら絶縁されています——身近な例で考えれば納得できます。
★電気炉の「炉体」と「導線」の違い
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 電気炉の炉体 | ★★電気炉の炉体 | ★電源から電極に至る導線 | ★★炉体は絶縁困難、導線は普通に絶縁できる |
| 電解槽の槽本体 | ★★電解槽の槽本体 | ★電解槽へ至る配線 | ★★同じ考え方 |
選択肢bは「電気炉の炉体及び電源から電気炉用電極に至る導線」——前半は例外だが、後半が余計です。
導線は絶縁電線を使えばよいだけ——「やむを得ない」に当たりません。
2つを「及び」でつないだ選択肢は、片方が誤りなら全体が誤り——法規科目の定番の作り方です。
計器用変成器の2次側を接地する理由
| 内容 | |
| ★危険 | ★★高圧側と2次側が混触すると高電圧が侵入する |
| ★対策 | ★★2次側にD種接地工事(高圧用の場合) |
| ★特別高圧用 | ★★A種接地工事 |
計器用変成器(VT・CT)は、高圧を測定できる大きさに落とす変圧器です。
2次側には計器や継電器がつながり、人が触れます——混触したら高電圧が人に届くのです。
だから2次側を接地し、混触時に電位が上がらないようにします——電技5条ただし書き後半にぴたりと合致します。
接地工事の種類と対象
| 種類 | 主な対象 | 接地抵抗 |
| ★A種 | ★★高圧・特別高圧機器の外箱 | ★★10Ω以下 |
| ★B種 | ★★高圧/低圧を結合する変圧器の低圧側中性点 | ★★150/300/600÷I₁ |
| ★C種 | ★★300V超の低圧機器の外箱 | ★★10Ω以下 |
| ★D種 | ★★300V以下の低圧機器の外箱 | ★★100Ω以下 |
これらの接地点は、すべて解釈13条第一号の例外です——接地工事を命じておいて絶縁も求めては矛盾するからです。
電気さくが例外に入っている理由
電気さくは、田畑を野獣から守るために裸電線に電気を流す設備です。
動物が触れたときに刺激を与えることが目的——絶縁してしまったら機能しません。
だから「電気の使用上やむを得ないもの」——そのかわり解釈192条が厳しい安全条件を課します。
直流き電と交流き電
| 方式 | 電圧 | 採用例 |
| ★直流き電 | ★★600V・750V・1500V | ★★都市部の在来線・地下鉄 |
| ★交流き電 | ★★20kV・25kV | ★★新幹線・地方の電化区間 |
どちらもレールを帰線に使う点は共通です——だから帰線の例外は方式を問いません。
直流き電では、漏れ電流による電食(埋設管の腐食)が問題——絶縁できないことの代償です。
「構造上やむを得ない」と「保安上必要な措置」
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 構造上やむを得ない場合 | ★★構造上やむを得ない場合 | ★保安上必要な措置を講ずる場合 | ★★前者が②、後者が①に対応 |
| 帰線・電気炉・電解槽 | ★★帰線・電気炉・電解槽 | ★接地点 | ★★絶縁できない/絶縁したくない |
電技5条のただし書きは2つの場合を並べています——解釈13条の第二号と第一号に、それぞれ対応します。
省令と解釈の対応関係が見えると、条文が立体的になります。
絶縁できているかを確かめる方法
| 区分 | 絶縁抵抗値 |
| ★対地電圧150V以下 | ★★0.1MΩ以上 |
| ★300V以下(150V超) | ★★0.2MΩ以上 |
| ★300Vを超えるもの | ★★0.4MΩ以上 |
低圧電路の絶縁性能は、この絶縁抵抗値で判定します(解釈第14条)——電圧が高いほど厳しくなるのが自然な並びです。
絶縁は「してあること」だけでなく「保たれていること」も要ります——だから定期的に測るのです。
停電できない場合は、漏えい電流1mA以下でも代替できます——実務での逃げ道が用意されています。
接触電線が例外に入る理由
接触電線は、クレーンや移動起重機に電気を送る裸電線です——集電子が滑りながら接触します。
絶縁してしまえば集電できません——「電気の使用上やむを得ないもの」の典型です。
そのかわり、人が触れないよう高い位置に施設するなど別の方法で安全を確保します。
⏱️ 本番での進め方
① 例外は「絶縁したくない接地点」と「絶縁できない部分」の2つだけ。
② 接地点は例外、接地側電路は例外でない——「以外」に注意。
③ 炉体は例外、導線は例外でない——「及び」で混ぜてくる。
④ 電気鉄道の帰線=レール——地面に敷く以上絶縁できない。
💡 覚え方
解釈13条=電路は次を除き大地から絶縁する。①この解釈の規定により接地工事を施す場合の接地点 ②絶縁できないことがやむを得ない部分——接触電線・電気さくの電線その他電気の使用上やむを得ないもの/電気浴器・電気炉・電気ボイラー・電解槽等大地から絶縁することが技術上困難なもの。
⚠️ よくある間違い
接地点「以外」の接地側電路は例外ではない。電気炉の「導線」は例外ではない(炉体だけ)。選択肢が「及び」で2つを結んでいたら、両方が正しいか確かめる。
まとめ
| a | 該当(電気鉄道の帰線=レール) |
| b | 該当しない(電極に至る導線は絶縁可) |
| c | 該当しない(接地点以外の接地側電路) |
| d | 該当(接地工事の接地点) |
| 答え | (4) |
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