今回は平成23年度 法規科目 A問題3、電気設備の保安原則のうち接地を扱う空欄補充問題です。14年後の令和7年度下期 A問題3でそのまま再出題されました。
覚える形は2文。異常時の電位上昇や高電圧の侵入等による感電・火災を防ぐため接地その他の措置を講じる(第10条)。接地を施すときは電流が安全かつ確実に大地に通ずるようにする(第11条)。
答えは(4):電位上昇・接地・大地に通ずる
(ア)は「電位上昇」・(イ)は「接地」・(ウ)は「大地に通ずる」——接地は電位を上げないための措置です。
この記事では、接地を「どう作り、どう確かめるか」に踏み込みます——条文の先にある実務です。
条文の趣旨そのものは、令和7年度下期の記事で詳しく扱っています。
平成23年度 法規科目 A問題3:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題3
電験3種 法規科目 【電技省令】 平成23年度 A問題3
次の文章は、「電気設備技術基準」における、電気設備の保安原則に関する記述の一部である。
a. 電気設備の必要な箇所には、異常時の(ア)、高電圧の侵入等による感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件への損傷を与えるおそれがないよう、(イ)その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電路に係る部分にあっては、この基準の別の規定に定めるところによりこれを行わなければならない。
b. 電気設備に(イ)を施す場合は、電流が安全かつ確実に(ウ)ことができるようにしなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 電位上昇 絶縁 遮断される (2) 過熱 接地 大地に通ずる (3) 過電流 絶縁 遮断される (4) 電位上昇 接地 大地に通ずる (5) 過電流 接地 大地に通ずる

★接地線の太さと材料
| 接地工事 | 接地線の太さ |
| ★A種 | ★★直径2.6mm以上の軟銅線 |
| ★B種 | ★★直径4mm以上(高圧・特別高圧と低圧の混触) |
| ★C種・D種 | ★★直径1.6mm以上の軟銅線 |
流れる電流が大きいほど、太い接地線が要ります——細ければ溶断してしまうからです。
A種の2.6mm、C種・D種の1.6mmはよく問われます——解釈第17条の数値です。
接地線が切れていては、いくら接地極が良くても意味がありません——だから太さまで決められているのです。
★接地抵抗はどう測るのか
| 方法 | 内容 |
| ★電位降下法 | ★★E・P・Cの3電極を直線に配置して測る |
| ★配置 | ★★E(測定対象)—P(電位)—C(電流)を約10mずつ離す |
| ★原理 | ★★E-C間に電流を流し、E-P間の電位差から抵抗を求める |
3本の電極を一直線に並べるのが基本です——令和7年度下期の施設管理でも出題されました。
補助極が近すぎると、抵抗領域が重なって正しく測れません——だから十分に離すのです。
★接地抵抗は季節で変わる
| 条件 | 接地抵抗 | 理由 |
| ★梅雨・雨天後 | ★★小さくなる | ★★土壌の含水率が上がる |
| ★冬季・乾燥期 | ★★大きくなる | ★★水分が減り、凍結もする |
土壌の抵抗率は、水分と温度で大きく変わります——同じ接地極でも季節で値が違うのです。
だから最も条件の悪い時期でも基準を満たすよう設計します——測定した季節も記録しておくのが実務です。
接地工事を省略できる場合
| 条件 | 省略できるか |
| ★乾燥した場所に施設する | ★★条件付きで可 |
| ★二重絶縁の構造の機械器具 | ★★可 |
| ★絶縁変圧器(300V以下)を使う | ★★可 |
| ★漏電遮断器(15mA・0.1秒以内)を施設 | ★★可(水気のある場所を除く) |
接地の代わりに、別の方法で感電を防げるなら省略できます——解釈第29条の規定です。
ただし水気のある場所では、漏電遮断器があっても省略できません——人体の抵抗が下がり、危険が大きいからです。
接地極の共用
複数の接地を1つの接地極にまとめることを共用接地といいます——抵抗値を下げやすいという利点があります。
いっぽうで、他の系統の異常電位が回り込む心配もあります——だから使い分けが必要です。
近年は等電位ボンディングの考え方から、共用が推奨される場面もふえています。
接地抵抗値の基準をもう一度
| 種類 | 抵抗値 | 緩和 |
| ★A種 | ★★10Ω以下 | ★★なし |
| ★B種 | ★★150/300/600÷I₁ | ★★遮断時間で変わる |
| ★C種 | ★★10Ω以下 | ★★漏電遮断器0.5秒以内なら500Ω |
| ★D種 | ★★100Ω以下 | ★★同上 |
C種・D種の500Ω緩和は、法規の計算問題でよく出ます——0.5秒という時間条件もセットで覚えます。
B種だけが計算で求める形です——目的が違うから決め方も違うのです。
14年ぶりの完全再出題
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 電位上昇 | ★★電位上昇 | ★過電流・過熱 | ★★接地が防ぐのは電位の上昇 |
| 接地 | ★★接地 | ★絶縁 | ★★電路の絶縁は第5条の別規定 |
| 大地に通ずる | ★★大地に通ずる | ★遮断される | ★★遮断は別の保護手段 |
平成23年度と令和7年度下期で、選択肢の並びまで同じでした——正解も両方とも(4)です。
ここまで完全に同じというのは珍しい——古い年度を解く価値がはっきり示された例です。
接地極を打つ場所の選び方
湿り気のある土壌ほど、接地抵抗は小さくなります——水分が電流の通り道になるからです。
逆に砂利や岩盤では、抵抗が下がりません——接地棒を何本も打つか、深く打ち込むことになります。
建物の基礎の鉄筋を接地極として使う方法もあります——接触面積が大きく、低い抵抗が得られるのです。
接地抵抗が高いとどうなるか
| 接地抵抗 | 地絡時の外箱電位 | 危険度 |
| ★10Ω | ★★低い | ★★安全 |
| ★100Ω | ★★やや上がる | ★★漏電遮断器と併用 |
| ★1000Ω | ★★大きく上がる | ★危険 |
接地抵抗が高いと、電位上昇を抑えられません——接地しているつもりで、守られていない状態です。
だから定期的に測定して確かめます——保安規程の点検項目のひとつです。
接地と保護協調
接地抵抗が小さいほど、地絡電流は大きくなります——継電器が動作しやすくなるという効果もあります。
つまり接地は、電位を抑えるだけでなく保護動作も助けています。
感電防止と保護協調の両方に関わる——接地の役割は一つではありません。
接地は、電気設備の安全を支えるいちばん基本の仕組みです——だから電技にも、解釈にも、繰り返し出てきます。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「電位上昇」——接地が防ぐのは電位の上昇。
② (イ)は「接地」。電路の絶縁は第5条。
③ (ウ)は「大地に通ずる」——遮断は別の保護手段。
④ 接地の数値(10Ω・100Ω・2.6mm・1.6mm)もまとめて押さえる。
出題履歴——14年をおいて同じ問題
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★平成23年度 問3 | ★★本問 | ★★(4) |
| ★令和7年度下期 問3 | ★★同一問題 | ★★(4) |
令和7年度下期 A問題3では、条文の趣旨と接地工事の種類を中心に解説しています。本記事は接地の作り方・測り方に寄せました。
令和6年度下期 A問題3の電路の絶縁と合わせると、保安原則の全体像がそろいます。
💡 覚え方
電技10条=異常時の電位上昇・高電圧の侵入等による感電・火災等を防ぐため接地その他の措置(電路に係る部分は別規定)。電技11条=接地は電流が安全かつ確実に大地に通ずるようにする。接地線はA種2.6mm/C種・D種1.6mm以上、測定は電位降下法(E・P・Cの3電極)。
⚠️ よくある間違い
「過電流」「過熱」ではなく電位上昇。接地の目的は「遮断」ではなく大地に通ずること。令和7年度下期A問題3で再出題(同じ(4))。
まとめ
| (ア) | 電位上昇 |
| (イ) | 接地 |
| (ウ) | 大地に通ずる |
| 再出題 | 令和7年度下期 A問題3と同一 |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(電技省令1):【法規】令和7年度下期 A問題3
・電路の絶縁(電技省令5):【法規】令和6年度下期 A問題3

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