今回は平成27年度 法規科目 A問題6、常時監視をしない発電所(電気設備技術基準の解釈第47条の2)に関する空欄補充問題です。3つの監視方式(随時巡回・随時監視制御・遠隔常時監視制御)の定義が問われます。
骨格は「随時巡回=技術員が適当な間隔をおいて巡回」「随時監視制御=必要に応じて出向く」「遠隔常時監視制御=制御所に常時駐在」。監視対象はいずれも運転状態です。
平成27年度 法規科目 A問題6:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題6
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成27年度 A問題6
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、常時監視をしない発電所に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
a.随時巡回方式は、(ア)が、(イ)発電所を巡回し、(ウ)の監視を行うものであること。
b.随時監視制御方式は、(ア)が、(エ)発電所に出向き、(ウ)の監視又は制御その他必要な措置を行うものであること。
c.遠隔常時監視制御方式は、(ア)が、(オ)に常時駐在し、発電所の(ウ)の監視及び制御を遠隔で行うものであること。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 技術員 適当な間隔をおいて 運転状態 必要に応じて 制御所 (2) 技術員 必要に応じて 運転状態 適当な間隔をおいて 制御所 (3) 技術員 必要に応じて 計測装置 適当な間隔をおいて 駐在所 (4) 運転員 適当な間隔をおいて 計測装置 必要に応じて 駐在所 (5) 運転員 必要に応じて 計測装置 適当な間隔をおいて 制御所

答えは(1):技術員・適当な間隔をおいて・運転状態・必要に応じて・制御所
共通部分を先に固めれば、選択肢は一気に絞れます——(ア)技術員・(ウ)運転状態で3つ消えるのです。
★3方式を1枚の表で
| 方式 | 技術員はどこに | 頻度 | 行うこと |
| ★随時巡回 | ★★発電所へ巡回 | ★★適当な間隔をおいて | ★★運転状態の監視 |
| ★随時監視制御 | ★★必要なとき発電所へ出向く | ★★必要に応じて | ★★監視・制御その他必要な措置 |
| ★遠隔常時監視制御 | ★★制御所に常時駐在 | ★★常時 | ★★遠隔で監視及び制御 |
下へ行くほど、監視の密度が高くなります——そのぶん適用できる発電所の規模も大きくなるのです。
「適当な間隔をおいて」と「必要に応じて」の入れ替えが定番——巡回は定期、出向きは随時と押さえます。
★「技術員」と「主任技術者」は別物
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 技術員 | ★★技術員 | ★主任技術者 | ★★資格要件のある職/現場の担当者 |
| 運転状態 | ★★運転状態 | ★計測装置 | ★★監視するのは状態であって装置ではない |
主任技術者は電気事業法に基づく選任された者です——免状が必要です。
技術員は解釈上の用語で、発電所の監視・操作を行う者——「運転員」という言い方は条文にありません。
選択肢の「運転員」はここを狙ったダミーです。
★どの方式がどの発電所に使えるか
| 発電所 | 使える方式 |
| ★水力発電所 | ★★出力等に応じて3方式のいずれか |
| ★風力発電所 | ★★随時巡回・随時監視制御・遠隔常時監視制御 |
| ★太陽電池発電所 | ★★随時巡回等(無人が前提) |
| ★燃料電池発電所 | ★★条件を満たせば随時巡回等 |
再生可能エネルギーの発電所は、そもそも無人が前提です——だからこの条文が重要になっています。
山間部の小水力や、広大な太陽光発電所に人を常駐させるのは非現実的——制度がそれを認めているのです。
★無人化を許す代わりに要求されること
| 要求 | 内容 |
| ★異常時の自動停止 | ★★所定の異常が生じたら自動的に電路から遮断する |
| ★警報の伝送 | ★★技術員に自動的に知らせる |
| ★到着時間 | ★★随時監視制御では所定時間内に到着できること |
人がいない代わりに、設備が自分で止まる——これが無人化の前提条件です。
だから解釈42条〜48条の保護装置の規定とセットで効いてきます。
なぜ「常時監視をしない」という書き方なのか
原則は、発電所には技術員が常時監視することです——電技46条がそう定めています。
47条の2は、その例外を認めるための条文——だから「常時監視をしない発電所」と題されています。
原則と例外の関係を押さえると、条文の位置づけが見えます。
制御所とは何か
制御所は、複数の発電所や変電所を遠隔で監視・制御する拠点です——給電指令所と呼ばれることもあります。
ここに技術員が常時駐在するのが遠隔常時監視制御方式——「駐在所」という語は条文にありません。
1つの制御所が何十もの発電所を見る——これが現代の電力系統の運用です。
変電所にも同じ枠組みがある
| 対象 | 条文 |
| ★常時監視をしない発電所 | ★★解釈47条の2 |
| ★常時監視をしない変電所 | ★★解釈48条 |
変電所も、同じ3方式(+簡易監視制御方式)で無人化が認められます。
いまや無人変電所のほうが多い——この条文が実務を支えています。
巡回の「適当な間隔」はどれくらいか
条文は具体的な日数を書いていません——設備の種類と規模で変わるからです。
実務では保安規程で頻度を定めます——週1回、月1回など。
法令が枠を示し、事業者が中身を決める——保安規程の役割そのものです。
監視の対象は「運転状態」
電圧・電流・出力・温度・振動など、発電所が正常に動いているかを示すもの全般です。
「計測装置」は監視の道具であって、対象ではありません——目的語を取り違えないことです。
条文の主語・目的語を正確に読むのが法規科目の基本です。
常時監視をしない変電所の4方式
| 方式 | 内容 |
| ★簡易監視制御方式 | ★★技術員が必要に応じて変電所へ出向いて監視・制御 |
| ★断続監視制御方式 | ★★技術員が当該変電所又は制御所に断続的に駐在 |
| ★遠隔断続監視制御方式 | ★★技術員が制御所に断続的に駐在して遠隔で監視・制御 |
| ★遠隔常時監視制御方式 | ★★技術員が制御所に常時駐在して遠隔で監視・制御 |
変電所は4方式、発電所は3方式——数が違うので混同しないことです。
「遠隔常時監視制御方式」だけは両方に共通——いちばん手厚い方式だからです。
無人化を支える技術
| 技術 | 役割 |
| ★テレメータ | ★★電圧・電流・電力を遠隔に伝送する |
| ★テレコントロール | ★★遠隔から遮断器等を操作する |
| ★自動再閉路装置 | ★★一時的な事故なら自動で送電を復旧する |
| ★監視カメラ | ★★構内の状況を映像で確認する |
遠隔で見られて、遠隔で操作できるから無人化できます——技術の進歩が制度を可能にしたのです。
再閉路装置は、雷による一時的な地絡で自動的に復旧する仕組み——停電時間を短縮します。
保安規程との関係
巡回の頻度や、異常時に何分以内に到着するかは保安規程で定めます。
解釈は「随時巡回方式とはこういうものだ」と定義するだけ——具体的な運用は事業者が決めるのです。
法令が枠を示し、保安規程が中身を埋める——電気事業法42条の仕組みです。
⏱️ 本番での進め方
① 主語は技術員——「運転員」ではない。
② 対象は運転状態——「計測装置」ではない。
③ 随時巡回は適当な間隔をおいて、随時監視制御は必要に応じて。
④ 遠隔常時監視制御は制御所に常時駐在——「駐在所」ではない。
💡 覚え方
解釈47条の2=①随時巡回方式=技術員が適当な間隔をおいて発電所を巡回し運転状態を監視 ②随時監視制御方式=技術員が必要に応じて発電所に出向き監視・制御その他必要な措置 ③遠隔常時監視制御方式=技術員が制御所に常時駐在し運転状態を遠隔で監視及び制御。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「運転員」ではなく技術員。(ウ)は「計測装置」ではなく運転状態。(オ)は「駐在所」ではなく制御所。(イ)と(エ)の入れ替えに注意。
まとめ
| (ア) | 技術員 |
| 随時巡回方式(イ) | 適当な間隔をおいて巡回 |
| 随時監視制御方式(エ) | 必要に応じて出向く |
| 遠隔常時監視制御(オ) | 制御所に常時駐在し遠隔 |
| (ウ)監視対象 | 運転状態 |
| 答え | (1) |
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