今回は平成27年度 法規科目 A問題7、低高圧架空電線の高さ及び建造物等との離隔距離(電気設備技術基準の解釈第68・71条)に関する問題です。道路上の高さや建造物との離隔から、不適切なものを選びます。
覚える数値は「道路の路面上は6m以上(ケーブルでも同じ)」。建造物の上部造営材上方はケーブルで1m以上、水面上は船舶に危険がない高さ、植物には接触させない、という要点も押さえます。
平成27年度 法規科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成27年度 A問題7
次の文章は、低高圧架空電線の高さ及び建造物等との離隔距離に関する記述である。その記述内容として、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、不適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)高圧架空電線を車両の往来が多い道路の路面上7mの高さに施設した。
(2)低圧架空電線にケーブルを使用し、車両の往来が多い道路の路面上5mの高さに施設した。
(3)建造物の屋根(上部造営材)から1.2m上方に低圧架空電線を施設するために、電線にケーブルを使用した。
(4)高圧架空電線の水面上の高さは、船舶の航行等に危険を及ぼさないようにした。
(5)高圧架空電線を、平時吹いている風等により、植物に接触しないように施設した。

答えは(2):道路上はケーブルでも6m以上
令和元年度 A問題8は同じ68条・74条の数値を6つの記述で問う問題です。
この記事は「どこが緩和され、どこが緩和されないか」を軸にします。
★ケーブルで緩和される/されないの一覧
| 規定 | ケーブルによる緩和 |
| ★道路横断の高さ(6m) | ★★緩和なし |
| ★鉄道横断の高さ(5.5m) | ★★緩和なし |
| ★建造物の上部造営材上方(2m) | ★★1mに緩和 |
| ★建造物のその他の部分(1.2m) | ★★0.4mに緩和 |
| ★他の電線との接近・交差(0.8m) | ★★0.4mに緩和 |
高さは緩和されず、離隔距離は緩和される——これが見分けの決め手です。
理由がはっきりしています——次の見出しで説明します。
★なぜ高さは緩和されないのか
道路上の高さは、車両が当たらないために決まっています——絶縁の問題ではありません。
ケーブルでも、トラックが引っかければ切れます——絶縁が強くても物理的に当たるのです。
一方、離隔距離は絶縁破壊や混触を防ぐためのもの——ケーブルなら遮へい層があるので短くできるのです。
★設問を1つずつ判定する
| 選択肢 | 基準 | 判定 |
| ★(1)高圧を道路上7m | ★★6m以上 | ★★適切 |
| ★(2)低圧ケーブルを道路上5m | ★★6m以上(緩和なし) | ★★不適切 |
| ★(3)上部造営材から1.2m(ケーブル) | ★★1m以上でよい | ★★適切 |
| ★(4)水面上は船舶に危険なし | ★★条文どおり | ★★適切 |
| ★(5)植物に接触しない | ★★条文どおり | ★★適切 |
(3)は「1.2m」という数値が(4)の建造物の値と同じで紛らわしい——しかしケーブルなら1m以上でよいので余裕があります。
基準を上回っていれば適切——「ちょうど」である必要はありません。
★数値でない規定もある
| 相手 | 規定の書き方 |
| ★水面上 | ★★船舶の航行等に危険を及ぼさないような高さ |
| ★氷雪の多い地方 | ★★氷雪の上方で人・車両の通行等に危険を及ぼさない高さ |
| ★植物 | ★★平時吹いている風等により接触しないように施設 |
相手が動くもの・伸びるものは、数値で決められません——だから性能規定の形になります。
「数値がないから適切かどうか判定できない」と迷わないこと——条文どおりなら適切です。
上部造営材とは
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 上部造営材 | ★★上部造営材 | ★その他の造営材 | ★★人が上部に乗るおそれのあるもの/それ以外 |
| 屋根・ひさし・物干し台 | ★★屋根・ひさし・物干し台 | ★壁面・窓 | ★★上に乗れるかどうか |
解釈1条は「屋根、ひさし、物干し台その他の人が上部に乗るおそれがある造営材」と定義します。
人が乗れば電線に近づくので、より大きな離隔が要ります——2m(ケーブル1m)と、その他の1.2m(ケーブル0.4m)。
道路の定義
68条の「道路」には、車両の往来がまれであるもの等は含まれません。
農道や私道で車がほとんど通らないなら、地表上5mの一般規定でよいことがあります。
括弧書きの除外を読むと、条文の適用範囲がわかります。
高さを確保する方法
| 方法 | 内容 |
| ★支持物を高くする | ★★柱の長さを増す |
| ★径間を短くする | ★★弛度が小さくなり、最低点が上がる |
| ★張力を上げる | ★★弛度が小さくなるが、断線リスクが増す |
径間を短くするか張力を上げれば弛度は小さくなる
規定の6mは、最も垂れ下がった点で測ります——夏場の高温時が最悪条件です。
正誤判定型で見るべき順番
まず数値のある記述を探します——数値は照合しやすいからです。
本問なら(1)(2)(3)が数値付き——ここから当たります。
(4)(5)のような性能規定は、条文どおりなら適切——後回しでよいのです。
架空電線と他の工作物との離隔(まとめ)
| 相手 | 低圧 | 高圧 |
| ★アンテナ | ★★0.6m以上 | ★★0.8m以上 |
| ★索道 | ★★0.6m以上 | ★★0.8m以上 |
| ★他の低高圧架空電線 | ★★0.6m以上 | ★★0.8m以上 |
| ★ケーブルの場合 | ★★0.3m以上 | ★★0.4m以上 |
低圧0.6m/高圧0.8m、ケーブルなら低圧0.3m/高圧0.4m——おおむね半分に緩和されます。
相手が変わっても数値は同じ——1組覚えれば広く使えます。
弱電流電線との離隔
| 組合せ | 離隔距離 |
| ★低圧架空電線と架空弱電流電線 | ★★0.6m以上(ケーブル0.3m以上) |
| ★高圧架空電線と架空弱電流電線 | ★★0.8m以上(ケーブル0.4m以上) |
| ★共架する場合(同一支持物) | ★★低圧0.75m以上・高圧1.5m以上 |
接近・交差と共架で値が違います——共架のほうが大きいのです。
同じ柱に載せると、作業時に近づく機会が増えるから——数値の差には理由があります。
氷雪の多い地方の特則
雪が積もれば、地表面が実質的に高くなります——電線との距離が縮まるのです。
だから「氷雪の上方で人・車両の通行等に危険を及ぼさない高さ」という規定があります。
数値ではなく性能で書かれている——積雪量が地域で違うからです。
⏱️ 本番での進め方
① 道路上はケーブルでも6m以上——高さは緩和されない。
② 建造物との離隔はケーブルなら緩和される(2m→1m、1.2m→0.4m)。
③ 水面上・植物は数値でなく性能で規定されている。
④ 基準を上回っていれば適切——ちょうどである必要はない。
💡 覚え方
解釈68条=道路横断は路面上6m以上(ケーブルでも緩和なし)、鉄道・軌道横断はレール面上5.5m以上、横断歩道橋の上は低圧3m・高圧3.5m以上、その他は地表上5m以上。解釈71条=建造物の上部造営材の上方は2m以上(ケーブル等は1m以上)、その他の部分は1.2m以上(ケーブル等は0.4m以上)。
⚠️ よくある間違い
道路上の高さはケーブルでも緩和されない——6m以上が必要。緩和されるのは離隔距離のほう。水面上・植物は数値規定ではない。
まとめ
| (1)高圧道路上7m | 6m以上を満たす→適切 |
| (2)低圧ケーブル道路上5m | 6m以上必要→不適切 |
| (3)上部造営材1.2mケーブル | 1m以上でOK→適切 |
| (4)水面上 | 船舶に危険なし→適切 |
| (5)植物 | 接触させない→適切/答え(2) |
▼あわせて解きたい関連問題
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