今回は令和元年度 法規科目 A問題8、低高圧架空電線の施設(電気設備技術基準の解釈第68・74条)に関する問題です。a〜fの6つの記述について、適切・不適切の組合せを選びます。
覚える数値は「道路横断6m・横断歩道橋は低圧3m/高圧3.5m・ケーブル接近交差は0.4m」。特に横断歩道橋の高圧3.5mと、ケーブルの離隔0.4mが引っかけポイントです。
令和元年度 法規科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和元年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題8
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和元年度 A問題8
次のa〜fの文章は低高圧架空電線の施設に関する記述である。「電気設備技術基準の解釈」に基づき、適切なものと不適切なものの組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次のa〜fの文章は低高圧架空電線の施設に関する記述である。これらの内容について、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、適切なものと不適切なものの組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
a 車両の往来が頻繁な道路を横断する低圧架空電線の高さは、路面上6m以上の高さを保持するよう施設しなければならない。
b 車両の往来が頻繁な道路を横断する高圧架空電線の高さは、路面上6m以上の高さを保持するよう施設しなければならない。
c 横断歩道橋の上に低圧架空電線を施設する場合、電線の高さは当該歩道橋の路面上3m以上の高さを保持するよう施設しなければならない。
d 横断歩道橋の上に高圧架空電線を施設する場合、電線の高さは当該歩道橋の路面上3m以上の高さを保持するよう施設しなければならない。
e 高圧架空電線をケーブルで施設するとき、他の低圧架空電線と接近又は交差する場合、相互の離隔距離は0.3m以上を保持するよう施設しなければならない。
f 高圧架空電線をケーブルで施設するとき、他の高圧架空電線と接近又は交差する場合、相互の離隔距離は0.3m以上を保持するよう施設しなければならない。
a b c d e f (1) 不適切 不適切 適切 不適切 適切 適切 (2) 不適切 不適切 適切 適切 適切 不適切 (3) 適切 適切 不適切 不適切 適切 不適切 (4) 適切 不適切 適切 適切 不適切 不適切 (5) 適切 適切 適切 不適切 不適切 不適切

答えは(5):a〜c適切・d〜f不適切
6つの記述を1つずつ数値で判定する型——表を1枚覚えていれば全問即答できます。
★架空電線の高さの一覧
| 場所 | 低圧 | 高圧 |
| ★道路を横断 | ★★路面上6m以上 | ★★路面上6m以上 |
| ★鉄道・軌道を横断 | ★★レール面上5.5m以上 | ★★レール面上5.5m以上 |
| ★横断歩道橋の上 | ★★路面上3m以上 | ★★路面上3.5m以上 |
| ★上記以外 | ★★地表上5m以上 | ★★地表上5m以上 |
低圧と高圧で値が違うのは、横断歩道橋の上だけです——3mと3.5m。
ここが設問cとdの分かれ目——表の1か所だけを狙ってきたのです。
★なぜ横断歩道橋だけ値が違うのか
横断歩道橋は、人が電線のすぐ下を歩く場所です——手を伸ばせば届く距離感になります。
高圧は触れなくても危険度が高い——だから0.5m上乗せされます。
道路や鉄道は車両の高さで決まるので、電圧に関係なく同じ——理由が違えば値の決まり方も違うのです。
★0.4mという離隔距離
| 高圧架空電線の種類 | 他の低高圧架空電線との離隔 |
| ★高圧絶縁電線・裸電線 | ★★0.8m以上 |
| ★ケーブル | ★★0.4m以上 |
ケーブルなら半分に縮められます——遮へい層があるからです。
設問e・fの「0.3m」は、この0.4mを狙ったダミー——0.3mは併架(80条)の値です。
令和4年度下期 A問題5の併架は0.5m/ケーブル0.3m。接近・交差(74条)と併架(80条)で値が違う点に注意します。
★併架と接近・交差はどう違うか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 併架(80条)=同一支持物 | ★★併架(80条)=同一支持物 | ★接近・交差(74条)=別の電線路 | ★★同じ柱か、別々の電線路か |
| 低圧を下・0.5m/ケーブル0.3m | ★★低圧を下・0.5m/ケーブル0.3m | ★ケーブル0.4m/その他0.8m | ★★値も条文も違う |
併架は自分の柱の話、接近・交差は他人の電線との関係です——問題文の状況設定で見分けます。
0.3/0.4/0.5/0.8という似た数字が並ぶ——条文とセットで覚えるしかありません。
道路を横断する電線が6mである理由
| 高さ | |
| ★大型トラックの高さ制限 | ★★3.8m(道路法) |
| ★特殊車両の許可限度 | ★★4.1m程度 |
| ★架空電線の高さ | ★★路面上6m以上 |
車両の高さに、たわみと安全余裕を加えた値です——夏場は熱で電線が伸びて垂れ下がるからです。
だから最悪の条件でも当たらない高さを確保します。
鉄道の5.5mはどこから来るか
鉄道は架線(トロリ線)が上にあります——パンタグラフが伸びる高さを避ける必要があるのです。
レール面上5.5mは、電車の屋根とパンタグラフの上限を考えた値です。
「路面上」と「レール面上」という基準面の違いにも注意——どこから測るかで意味が変わります。
「上記以外は地表上5m」の例外
| 条件 | 高さ |
| ★屋外照明用で対地電圧150V以下・絶縁電線等 | ★★地表上4m以上 |
| ★低圧架空電線を道路以外に施設(絶縁電線等) | ★★地表上4m以上 |
危険度が低ければ、5mから4mに緩和されます——条文はこうした細かい例外を持っています。
本問では問われていませんが、正誤判定型では出てくる可能性があります。
「適切・不適切の組合せ」型の解き方
6つすべてを判定しなくても答えは出ます——1つ確実に判定できれば選択肢が半分に減るからです。
本問ならdの3.5mが最も判定しやすい——ここから絞るのが速い。
自信のある項目から潰す——時間配分の技術です。
たわみが高さを決める
径間Sの2乗に比例し、張力Tに反比例する
支持点の高さから弛度を引いたものが規制対象になる
規定の6mは、いちばん垂れ下がった点で測ります——支持点の高さではありません。
だから設計では弛度を見込んで柱の高さを決めます——B問題の計算とつながるところです。
架空電線と建造物との離隔
| 部位 | 低圧・高圧の離隔 |
| ★上部造営材の上方 | ★★2m以上(高圧絶縁電線等なら1m、ケーブルなら1m) |
| ★その他の部分 | ★★1.2m以上(絶縁電線等0.4m、ケーブル0.4m) |
建物の屋根の上を通す場合は、より大きな距離が要ります——人が上がる可能性があるからです。
ここでも「ケーブルなら緩和」が効いています——離隔の問題は電線の種類を必ず確認します。
架空電線と植物・他の工作物
| 相手 | 求められること |
| ★植物 | ★★常時吹いている風等により接触しないように施設する |
| ★アンテナ | ★★低圧0.6m・高圧0.8m以上(ケーブル等で緩和) |
| ★索道 | ★★低圧0.6m・高圧0.8m以上 |
植物だけは数値ではなく「接触しないように」と書かれています——木は伸びるので、距離で決められないからです。
数値がない条文もある——そこも出題ポイントになります。
正誤判定型で狙われる数値
| よくあるダミー | 正しい値 |
| ★横断歩道橋の高圧3m | ★★3.5m |
| ★ケーブルの接近・交差0.3m | ★★0.4m |
| ★道路横断5m | ★★6m |
| ★鉄道横断5m | ★★5.5m |
いずれも「近い値に置き換える」という作り方です——0.5mや1mの差を見抜けるかが勝負。
表を1枚まるごと覚えるのが、結局いちばん確実です。
⏱️ 本番での進め方
① 道路横断は低圧も高圧も6m。
② 横断歩道橋は低圧3m・高圧3.5m——ここだけ差がある。
③ 接近・交差(74条)でケーブルは0.4m——0.3mではない。
④ 併架(80条)の0.3mと混同しない。
💡 覚え方
解釈68条=低高圧架空電線の高さ。道路横断は路面上6m以上、鉄道・軌道横断はレール面上5.5m以上、横断歩道橋の上は低圧3m以上・高圧3.5m以上、その他は地表上5m以上。解釈74条=高圧架空電線がケーブルの場合、他の低高圧架空電線との接近・交差時の離隔は0.4m以上(その他は0.8m以上)。
⚠️ よくある間違い
横断歩道橋の高圧は「3m」ではなく3.5m。ケーブルの接近・交差は「0.3m」ではなく0.4m——0.3mは併架(80条)の値。
まとめ
| a 低圧道路横断 | 6m以上→適切 |
| b 高圧道路横断 | 6m以上→適切 |
| c 低圧横断歩道橋 | 3m以上→適切 |
| d 高圧横断歩道橋 | 3.5m以上が正→3mは不適切 |
| e/f 高圧ケーブル接近 | 0.4m以上が正→0.3mは不適切 |
| 答え | (5) |
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