今回は令和元年度 法規科目 A問題9、分散型電源の系統連系設備(電気設備技術基準の解釈第220・226条)に関する問題です。用語の定義や連系時の施設要件から、誤っているものを選びます。
ポイントは「単独運転」と「自立運転」の違い。単独運転は解列後も線路負荷(系統側)に有効電力を供給し続ける状態、自立運転は解列後に構内負荷にのみ供給する状態です。この2つの取り違えが引っかけです。
答えは(2):単独運転と自立運転の取り違え
平成27年度 A問題9と平成23年度 A問題6も220条の用語を扱っています。
この記事は、2語の取り違えと電話設備(225条)を主軸にします。
令和元年度 法規科目 A問題9:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和元年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題9
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和元年度 A問題9
次の記述は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の系統連系設備に関するものである。誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)逆潮流とは、分散型電源設置者の構内から、一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れをいう。
(2)単独運転とは、分散型電源が、連系している電力系統から解列された状態において、当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態のことをいう。
(3)単相3線式の低圧の電力系統に分散型電源を連系する際、負荷の不平衡により中性線に最大電流が生じるおそれがあるため、分散型電源を施設した構内の電路において、負荷及び分散型電源の並列点よりも系統側の3極に過電流引き外し素子を有する遮断器を施設した。
(4)低圧の電力系統に分散型電源を連系する際、異常時に分散型電源を自動的に解列するための装置を施設した。
(5)高圧の電力系統に分散型電源を連系する際、分散型電源設置者の技術員駐在箇所と電力系統を運用する一般送配電事業者の事業所との間に、停電時においても通話可能なものであること等の一定の要件を満たした電話設備を施設した。

★単独運転と自立運転を1枚の表で
| 単独運転 | 自立運転 | |
| ★系統との接続 | ★★つながったまま(解列していない) | ★★解列されている |
| ★電力の行き先 | ★★線路負荷(系統側) | ★★構内負荷にのみ |
| ★危険 | ★★復旧作業者が感電する | ★★系統に影響しない |
| ★可否 | ★★認められない | ★★認められる |
「構内」か「線路(系統側)」か——この1語で意味が正反対になります。
設問(2)は「解列された状態において構内負荷にのみ」——これは自立運転そのものです。
定義条文の誤りは、2語を入れ替える作り方が定番です。
★なぜ自立運転は認められるのか
解列されているので、系統側に電気が流れ出しません——復旧作業者が感電することはないのです。
停電時に自宅で電気を使えるのは、この自立運転——パワーコンディショナに専用コンセントがあります。
安全を確保したうえで使う——それが「解列された状態において」の意味です。
★電話設備の施設(225条)
| 項目 | 内容 |
| ★対象 | ★★高圧又は特別高圧の電力系統に連系する場合 |
| ★設置箇所 | ★★分散型電源設置者の技術員駐在箇所と一般送配電事業者の事業所との間 |
| ★要件 | ★★停電時においても通話可能であること等 |
事故時に連絡が取れなければ、復旧の指示が出せません——だから停電時も通話できることが条件です。
低圧連系には要求されません——規模が小さく、技術員が常駐しないからです。
設問(5)はこの225条の内容で、正しい記述です。
★中性線保護(226条)も正しい
設問(3)は、単相3線式で並列点の系統側に3極過電流遮断器を施設したという記述です。
解釈226条そのままなので正しい——負荷の不平衡で中性線に大電流が流れるのを防ぎます。
令和3年度 A問題9がこの規定を正面から扱っています。
逆潮流の定義も正しい
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 構内から電力系統側へ向かう有効電力の流れ | ★★構内から電力系統側へ向かう有効電力の流れ | ★無効電力の流れ | ★★売買の対象は有効電力 |
| 構内→系統 | ★★構内→系統 | ★系統→構内 | ★★向きが逆なら順潮流 |
設問(1)は「構内から系統側へ向かう有効電力の流れ」——条文どおりで正しいです。
平成23年度 A問題6では、ここが「無効電力」に書き換えられて誤りになっていました。同じ語が別の年度で狙われています。
220条の用語一覧(再掲)
| 用語 | 定義の核心 |
| ★解列 | ★★電力系統から切り離すこと |
| ★逆潮流 | ★★構内から系統側へ向かう有効電力の流れ |
| ★単独運転 | ★★系統切離後、線路負荷に有効電力を供給している状態 |
| ★逆充電 | ★★系統を加圧し、有効電力を供給していない状態 |
| ★自立運転 | ★★解列後、構内負荷にのみ供給している状態 |
| ★転送遮断装置 | ★★遮断信号を通信回線で伝送し別の構内の遮断器を動作 |
3年度分の出題を通じて、ほぼすべての用語が問われています——この表を覚えれば220条は完成です。
225条〜229条の並び
| 条 | 内容 |
| ★第225条 | ★★電話設備の施設 |
| ★第226条 | ★★低圧連系時の施設要件 |
| ★第227条 | ★★低圧連系時の系統連系用保護装置 |
| ★第228条 | ★★高圧連系時の施設要件 |
| ★第229条 | ★★高圧連系時の系統連系用保護装置 |
この設問は220条・225条・226条にまたがっています——横断的な理解が必要です。
条文の並びを知っていれば、どこの話かがすぐわかります。
「誤っているものを選べ」の解き方
定義の設問は、キーワードを1つずつ照合します——「構内」「線路」「有効」「無効」「解列」。
本問は「構内負荷にのみ」で即断できます——これは自立運転の言葉だからです。
2つの用語をペアで覚えておくのが最強の対策です。
低圧連系と高圧連系で要求が違うもの
| 要求 | 低圧連系 | 高圧連系 |
| ★電話設備(225条) | ★★不要 | ★★必要 |
| ★中性線保護(226条) | ★★必要(単相3線式の場合) | ★★— |
| ★バンク逆潮流の制限(228条) | ★★— | ★★必要 |
| ★自動解列装置 | ★★必要(227条) | ★★必要(229条) |
規模が大きいほど、系統への影響も大きくなります——だから高圧では要求が増えるのです。
設問はこの違いを横断的に問うています——条文の対応を整理しておく価値があります。
単独運転の検出方式
| 方式 | 原理 | 弱点 |
| ★受動的方式 | ★★電圧位相・周波数の急変を検出 | ★★発電と負荷が均衡すると検出できない |
| ★能動的方式 | ★★平時から変動を与え、応答の変化を見る | ★★複数台設置時に干渉することがある |
| ★転送遮断装置 | ★★系統側の遮断信号を通信回線で受け取る | ★★通信設備が必要で費用がかかる |
受動的方式には原理的な不感帯があります——だから能動的方式を組み合わせるのです。
大容量では転送遮断が求められることもあります——確実性を優先するのです。
⏱️ 本番での進め方
① 単独運転=線路負荷(系統側)に供給——認められない。
② 自立運転=構内負荷にのみ供給——認められる。
③ 高圧・特別高圧の連系には電話設備が必要(225条)。
④ 逆潮流は有効電力の流れ。
💡 覚え方
解釈220条=単独運転は系統が切り離された状態で分散型電源が発電を継続し線路負荷に有効電力を供給している状態。自立運転は解列された状態で構内負荷にのみ供給している状態。解釈225条=高圧・特別高圧の連系では、技術員駐在箇所と一般送配電事業者の事業所との間に、停電時も通話可能な電話設備を施設する。
⚠️ よくある間違い
「解列された状態で構内負荷にのみ供給」は自立運転——単独運転ではない。単独運転は系統につながったまま線路負荷に供給する状態。
まとめ
| (1)逆潮流 | 構内→系統側の有効電力→正しい |
| (2)単独運転 | 構内負荷のみ=自立運転の定義→誤り |
| 単独運転の正定義 | 線路負荷に有効電力を供給 |
| (3)中性線保護 | 系統側3極過電流遮断器→正しい |
| (4)(5) | 自動解列・電話設備→正しい/答え(2) |
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