今回は平成23年度 法規科目 A問題6、分散型電源(発電設備等)の系統連系設備に係る用語の定義(電気設備技術基準の解釈第220条)に関する問題です。逆潮流・転送遮断装置・自立運転・単独運転・逆充電の定義から、誤っているものを選びます。
ポイントは「逆潮流は構内から系統側へ向かう『有効電力』の流れ」。無効電力ではありません。単独運転(線路負荷に有効電力供給)と自立運転(構内負荷にのみ供給)の違いもあわせて押さえます。
平成23年度 法規科目 A問題6:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題6
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成23年度 A問題6
次の文章は、発電設備等を一般電気事業者が運用する電力系統に連系する場合等に用いられる、電気設備技術基準の解釈に定められた用語の定義の一部である。誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、一般電気事業者及び卸電気事業者以外の者が、構内に発電設備等を設置し、発電設備等を一般電気事業者が運用する電力系統に連系する場合等に用いられる、電気設備技術基準の解釈に定められた用語の定義の一部である。誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)「逆潮流」とは、一般電気事業者及び卸電気事業者以外の発電設備等設置者の構内から、一般電気事業者が運用する電力系統側へ向かう無効電力の流れをいう。
(2)「転送遮断装置」とは、遮断器の遮断信号を通信回線で伝送し、別の構内に設置された遮断器を動作させる装置をいう。
(3)「自立運転」とは、発電設備等が電力系統から解列された状態において、当該発電設備等設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態をいう。
(4)「単独運転」とは、発電設備等が連系している電力系統が、事故等によって系統電源と切り離された状態において、連系している発電設備等の運転だけで発電を継続し、線路負荷に有効電力を供給している状態をいう。
(5)「逆充電」とは、一般電気事業者及び卸電気事業者以外の者が設置する発電設備等のみが、一般電気事業者が運用する電力系統を加圧し、かつ当該電力系統へ有効電力を供給していない状態をいう。

答えは(1):逆潮流は有効電力の流れ
平成27年度 A問題9は同じ220条の空欄補充版で、能動的方式・受動的方式を扱っています。
この記事は、転送遮断装置・自立運転・逆充電を掘り下げます。
★転送遮断装置とは
| 段階 | 起きること |
| ★① 系統側で事故 | ★★配電用変電所の遮断器が開く |
| ★② 信号の伝送 | ★★遮断信号を通信回線で送る |
| ★③ 別の構内で動作 | ★★分散型電源側の遮断器が開き、解列する |
単独運転検出装置より確実な方法です——系統の状態を直接受け取るから。
検出に頼らず、事実を伝える——不感帯の問題が起きません。
そのかわり通信回線が必要で、費用がかかります——大容量の連系で使われます。
★自立運転と単独運転の決定的な違い
| 自立運転 | 単独運転 | |
| ★系統との接続 | ★★解列されている | ★★つながったまま |
| ★電力の行き先 | ★★構内負荷にのみ | ★★線路負荷(系統側) |
| ★可否 | ★★認められる | ★★認められない |
切り離してから使えば安全——それが自立運転です。
つながったまま発電を続けるのが単独運転——復旧作業者が感電します。
停電時にパワーコンディショナの自立運転コンセントが使えるのは、この仕組みです。
★逆充電とは何か
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 逆充電 | ★★逆充電 | ★単独運転 | ★★電圧をかけているだけ/有効電力を供給している |
| 線路負荷がない | ★★線路負荷がない | ★線路負荷がある | ★★系統側に負荷があるかどうか |
系統側に負荷がなくても、電圧はかかります——これが逆充電です。
有効電力は供給していないが、触れば感電する——危険度は単独運転と変わりません。
だから227条は「単独運転又は逆充電」と両方を検出対象にします。
★なぜ「有効電力」なのか
売買の対象になるのはこちら
電圧の維持には関わるが、消費されない
逆潮流は「電気を売る」ことです——売買の対象は有効電力。
無効電力は行ったり来たりするだけで、消費されません——「流れ」として問題にする対象ではないのです。
(1)はここを書き換えた誤りです。
誤りの作り方を見抜く
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
| ★(1)逆潮流=無効電力 | ★★誤り | ★★有効電力が正しい |
| ★(2)転送遮断装置 | ★★正しい | ★★通信回線で別の構内の遮断器を動作 |
| ★(3)自立運転 | ★★正しい | ★★解列後に構内負荷にのみ供給 |
| ★(4)単独運転 | ★★正しい | ★★線路負荷に有効電力を供給 |
| ★(5)逆充電 | ★★正しい | ★★系統を加圧し有効電力を供給していない |
1語だけ差し替える——定義条文の誤りはこの作り方が定番です。
「有効」を「無効」に、「構内」を「線路」に——置き換えられやすい語を意識します。
条文の主語に注目する
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 構内から電力系統側へ向かう | ★★構内から電力系統側へ向かう | ★電力系統側から構内へ向かう | ★★向きが逆なら順潮流 |
| 分散型電源設置者の構内 | ★★分散型電源設置者の構内 | ★一般送配電事業者の設備 | ★★どちらの側の話か |
「構内から系統側へ」が逆潮流——向きを逆にした選択肢も作れます。
定義条文は、主語・向き・対象の3点を確かめる——これで多くの誤りを見抜けます。
220条の用語一覧
| 用語 | 定義の核心 |
| ★解列 | ★★電力系統から切り離すこと |
| ★逆潮流 | ★★構内から系統側へ向かう有効電力の流れ |
| ★単独運転 | ★★系統切離後、線路負荷に有効電力を供給している状態 |
| ★逆充電 | ★★系統を加圧し、有効電力を供給していない状態 |
| ★自立運転 | ★★解列後、構内負荷にのみ供給している状態 |
| ★転送遮断装置 | ★★遮断信号を通信回線で伝送し別の構内の遮断器を動作 |
| ★単独運転検出装置 | ★★能動的方式・受動的方式 |
7つの用語をこの表で押さえれば、220条は完成です。
空欄補充でも正誤判定でも、ここから出ます。
条文の呼称が変わっている
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 一般送配電事業者(現行) | ★★一般送配電事業者(現行) | ★一般電気事業者(旧) | ★★2016年の電力自由化で呼称が変わった |
| 分散型電源(現行) | ★★分散型電源(現行) | ★発電設備等(旧) | ★★同時期に整理された |
本問(平成23年度)は「一般電気事業者」「発電設備等」——当時の呼称です。
現行は「一般送配電事業者」「分散型電源」——意味は同じですが、語が変わっています。
古い過去問を解くときは、呼称の違いに注意——内容の理解には影響しません。
線路無電圧確認装置
系統の線路が無電圧であることを確認する装置です——220条に定義があります。
逆充電や単独運転が起きていないことを確かめてから再閉路するために使われます。
高圧・特別高圧の連系では、この装置の設置が求められる場合があります。
⏱️ 本番での進め方
① 逆潮流は有効電力の流れ——「無効電力」は誤り。
② 自立運転=解列後に構内負荷のみ——認められる。
③ 単独運転=つながったまま線路負荷へ——認められない。
④ 逆充電=加圧しているが有効電力は供給していない。
💡 覚え方
解釈220条=逆潮流は構内から電力系統側へ向かう有効電力の流れ。転送遮断装置は遮断信号を通信回線で伝送し別の構内の遮断器を動作させる装置。自立運転は解列された状態で構内負荷にのみ供給。単独運転は系統切離後も線路負荷に有効電力を供給。逆充電は系統を加圧し有効電力を供給していない状態。
⚠️ よくある間違い
逆潮流は「無効電力」ではなく有効電力の流れ。自立運転(構内負荷のみ・可)と単独運転(線路負荷・不可)を取り違えない。
まとめ
| (1)逆潮流 | 構内→系統側の有効電力(無効電力は誤り) |
| (2)転送遮断装置 | 通信で別構内の遮断器を動作→正しい |
| (3)自立運転 | 構内負荷にのみ供給→正しい |
| (4)単独運転 | 線路負荷に有効電力供給→正しい |
| (5)逆充電 | 系統加圧・有効電力供給なし→正しい |
| 答え | (1) |
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