今回は平成23年度 法規科目 A問題7、低圧架空引込線の施設(電気設備技術基準の解釈第116条)に関する空欄補充問題です。使用する電線の太さと、道路・鉄道横断時の高さが問われます。
覚える数値は「電線は2.30kN以上又は直径2.6mm以上(径間15m以下なら1.38kN以上又は直径2mm以上)」「道路横断5m(交通支障なければ3m)・鉄道軌道横断5.5m」。高圧引込線(117条)との数値差にも注意します。
平成23年度 法規科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成23年度 A問題7
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、低圧架空引込線の施設に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
a.電線は、ケーブルである場合を除き、引張強さ(ア)kN以上のもの又は直径2.6mm以上の硬銅線とする。ただし、径間が(イ)m以下の場合に限り、引張強さ1.38kN以上のもの又は直径2mm以上の硬銅線を使用することができる。
b.電線の高さは、次によること。①道路(車道と歩道の区別がある道路にあっては、車道)を横断する場合は、路面上(ウ)m(技術上やむを得ない場合において交通に支障のないときは(エ)m)以上 ②鉄道又は軌道を横断する場合は、レール面上(オ)m以上
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 2.30 20 5 4 5.5 (2) 2.00 15 4 3 5 (3) 2.30 15 5 3 5.5 (4) 2.35 15 5 4 6 (5) 2.00 20 4 3 5

答えは(3):2.30kN・15m・5m・3m・5.5m
令和7年度上期 A問題6は同じ116条で電線の太さを扱っています。
この記事は、高さの規定を主軸にします。
★引込線の高さは一般の架空電線より低い
| 場所 | 一般の架空電線(68条) | 低圧引込線(116条) |
| ★道路を横断 | ★★路面上6m以上 | ★★路面上5m以上(やむを得ない場合3m) |
| ★鉄道・軌道を横断 | ★★レール面上5.5m以上 | ★★レール面上5.5m以上(同じ) |
| ★横断歩道橋の上 | ★★低圧3m以上 | ★★3m以上 |
| ★その他 | ★★地表上5m以上 | ★★地表上4m以上(やむを得ない場合2.5m) |
道路6m→5m、その他5m→4m と1mずつ低い——建物に引き込む都合で高さを稼げないからです。
鉄道横断の5.5mだけは同じ——列車の高さは変えられないからです。
★「技術上やむを得ない場合」の緩和
| 場所 | 原則 | 緩和後 |
| ★道路を横断 | ★★5m以上 | ★★3m以上 |
| ★その他 | ★★4m以上 | ★★2.5m以上 |
2つの条件が付きます——「技術上やむを得ない」かつ「交通に支障のない」。
片方だけでは緩和できません——「かつ」で結ばれているのです。
3mは大人が手を伸ばせば届く高さ——だから低圧に限られるのです。
★鉄道横断の5.5mはどこから来るか
電車の屋根の上には、パンタグラフと架線があります——その上を通す必要があります。
直流1 500V区間の架線高さは、おおむね5m前後——それを超える5.5mという値です。
「路面上」ではなく「レール面上」——基準面が違うことにも注意です。
★車道と歩道の区別
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 車道と歩道の区別がある道路 | ★★車道と歩道の区別がある道路 | ★区別がない道路 | ★★前者は車道部分だけが5mの対象 |
| 車道の上 | ★★車道の上 | ★歩道の上 | ★★車両が通るかどうか |
歩道の上なら、車両の高さを考える必要がありません——だから「その他」の4mでよいのです。
条文の括弧書きが、この切り分けを明示しています——読み飛ばすと誤ります。
高圧架空引込線との比較
| 低圧(116条) | 高圧(117条) | |
| ★電線 | ★★2.30kN/2.6mm(径間15m以下は1.38kN/2mm) | ★★8.01kN/5mm、引下げ用、ケーブル |
| ★緩和後の高さ | ★★道路5m→3m、その他4m→2.5m | ★★地表上3.5m |
| ★危険表示 | ★★不要 | ★★ケーブル以外は電線の下方に必要 |
平成28年度 A問題7が高圧架空引込線です。数値がまったく違います。
低圧と高圧、どちらの引込線かを最初に確かめる——これが解答の型です。
径間15m以下の緩和をもう一度
径間の2乗に比例するので、短ければ張力は急減する
だから細い電線でも耐えられる
15mという短さなら、1.38kN・直径2mmでも足ります——2乗で効くからです。
「20m」というダミーが置かれますが、条文は15mです。
引込線の径間が短い理由
引込線は、電柱から建物までの短い区間です——多くは10〜20m程度。
だから15m以下という緩和が実務で有効に働きます——細い電線で済む場面が多いのです。
条文の緩和は、現実の施工を踏まえて設けられています。
引込線の高さが不足する原因
| 原因 | 内容 |
| ★弛度の増加 | ★★夏の高温で電線が伸びて垂れ下がる |
| ★盛土・舗装のかさ上げ | ★★地面が上がって相対的に低くなる |
| ★工作物の設置 | ★★カーポート等が後から建つ |
| ★取付点の緩み | ★★引留部が動いてたるむ |
設置時に適合していても、後で不適合になることがあります——だから定期的な点検が要るのです。
低い引込線に車両が接触する事故は実際に起きています。
引込線に使う電線の記号
| 記号 | 名称 | 用途 |
| ★DV | ★★引込用ビニル絶縁電線 | ★★低圧架空引込線 |
| ★OW | ★★屋外用ビニル絶縁電線 | ★★低圧架空電線 |
| ★IV | ★★600Vビニル絶縁電線 | ★★屋内配線 |
| ★VVF | ★★600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形 | ★★屋内配線 |
DVのDはDrop(引込)——電柱から家へ伸びる、あの黒い線です。
OWとDVは屋外専用で、屋内配線には使えません——絶縁被覆が屋内用より薄いからです。
引込線取付点と責任分界点
引込線取付点は、建物側で電線を引き留める点です——ここから先が需要家の設備になります。
低圧では、この取付点が責任分界点になることが多い——電力会社と需要家の境目です。
高圧受電では、区分開閉器(PAS等)が責任分界点——電圧階級で変わります。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)(イ)は2.30kN・径間15m——2.00kNや20mではない。
② (ウ)(エ)は道路5m・やむを得ない場合3m。
③ (オ)はレール面上5.5m——ここは一般の架空電線と同じ。
④ その他の場所は地表上4m(やむを得ない場合2.5m)。
💡 覚え方
解釈116条 低圧架空引込線=電線はケーブルを除き引張強さ2.30kN以上又は直径2.6mm以上の硬銅線(径間15m以下なら1.38kN以上又は直径2mm以上)。高さは道路横断で路面上5m以上(技術上やむを得ず交通に支障がなければ3m以上)、鉄道・軌道横断でレール面上5.5m以上、横断歩道橋の上で3m以上、その他は地表上4m以上(同2.5m以上)。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「2.00kN」ではなく2.30kN。(イ)は「20m」ではなく15m。道路横断は一般の架空電線の6mではなく5m——引込線は緩和されている。
まとめ
| (ア)電線 | 2.30kN以上又は直径2.6mm以上 |
| (イ)径間15m以下 | 1.38kN以上又は直径2mm以上 |
| (ウ)道路横断 | 路面上5m以上 |
| (エ)交通支障なし | 3m以上に緩和 |
| (オ)鉄道軌道横断 | レール面上5.5m以上 |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・高圧架空引込線の施設(電気設備技術基準の解釈61):【法規】平成28年度 A問題7
・分散型電源の用語の定義(電気設備技術基準の解釈82):【法規】平成23年度 A問題6

コメント