電気設備技術基準の解釈83【電験3種 法規】低圧架空引込線は2.30kN・径間15m・道路5m・鉄道5.5m=(3) 平成23年度 A問題7 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 平成23年度 A問題7 低圧引込線は道路上5m!鉄道なら5.5m

今回は平成23年度 法規科目 A問題7低圧架空引込線の施設(電気設備技術基準の解釈第116条)に関する空欄補充問題です。使用する電線の太さと、道路・鉄道横断時の高さが問われます。

覚える数値は「電線は2.30kN以上又は直径2.6mm以上(径間15m以下なら1.38kN以上又は直径2mm以上)」「道路横断5m(交通支障なければ3m)・鉄道軌道横断5.5m」。高圧引込線(117条)との数値差にも注意します。

目次

平成23年度 法規科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成23年度 A問題7 問題文
平成23年度 法規科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成23年度 A問題7

 次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、低圧架空引込線の施設に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

a.電線は、ケーブルである場合を除き、引張強さ(ア)kN以上のもの又は直径2.6mm以上の硬銅線とする。ただし、径間が(イ)m以下の場合に限り、引張強さ1.38kN以上のもの又は直径2mm以上の硬銅線を使用することができる。

b.電線の高さは、次によること。①道路(車道と歩道の区別がある道路にあっては、車道)を横断する場合は、路面上(ウ)m(技術上やむを得ない場合において交通に支障のないときは(エ)m)以上 ②鉄道又は軌道を横断する場合は、レール面上(オ)m以上

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)2.3020545.5
(2)2.0015435
(3)2.3015535.5
(4)2.3515546
(5)2.0020435
答え(ア)2.30・(イ)15・(ウ)5・(エ)3・(オ)5.5 = (3)

答えは(3):2.30kN・15m・5m・3m・5.5m

電気設備技術基準の解釈 第116条(低圧架空引込線等の施設)

a 電線は、ケーブルである場合を除き、引張強さ2.30kN以上のもの又は直径2.6mm以上の硬銅線とする。ただし、径間が15m以下の場合に限り、引張強さ1.38kN以上のもの又は直径2mm以上の硬銅線を使用できる。/b 電線の高さは、①道路(車道と歩道の区別がある道路にあっては車道)を横断する場合は路面上5m(技術上やむを得ない場合において交通に支障のないときは3m)以上 ②鉄道又は軌道を横断する場合はレール面上5.5m以上 ③横断歩道橋の上に施設する場合は路面上3m以上 ④上記以外の場合は地表上4m(技術上やむを得ない場合において交通に支障のないときは2.5m)以上

★一般の架空電線(道路6m)より低い値が認められます。

令和7年度上期 A問題6は同じ116条で電線の太さを扱っています。

この記事は、高さの規定を主軸にします

★引込線の高さは一般の架空電線より低い

場所一般の架空電線(68条)低圧引込線(116条)
★道路を横断★★路面上6m以上★★路面上5m以上(やむを得ない場合3m)
★鉄道・軌道を横断★★レール面上5.5m以上★★レール面上5.5m以上(同じ)
★横断歩道橋の上★★低圧3m以上★★3m以上
★その他★★地表上5m以上★★地表上4m以上(やむを得ない場合2.5m)

道路6m→5m、その他5m→4m と1mずつ低い——建物に引き込む都合で高さを稼げないからです。

鉄道横断の5.5mだけは同じ——列車の高さは変えられないからです。

★「技術上やむを得ない場合」の緩和

場所原則緩和後
★道路を横断★★5m以上★★3m以上
★その他★★4m以上★★2.5m以上

2つの条件が付きます——「技術上やむを得ない」かつ「交通に支障のない」

片方だけでは緩和できません——「かつ」で結ばれているのです。

3mは大人が手を伸ばせば届く高さ——だから低圧に限られるのです。

★鉄道横断の5.5mはどこから来るか

電車の屋根の上には、パンタグラフと架線があります——その上を通す必要があります

直流1 500V区間の架線高さは、おおむね5m前後——それを超える5.5mという値です。

「路面上」ではなく「レール面上」——基準面が違うことにも注意です。

★車道と歩道の区別

条文の言葉ダミー語違い
車道と歩道の区別がある道路★★車道と歩道の区別がある道路★区別がない道路★★前者は車道部分だけが5mの対象
車道の上★★車道の上★歩道の上★★車両が通るかどうか

歩道の上なら、車両の高さを考える必要がありません——だから「その他」の4mでよいのです。

条文の括弧書きが、この切り分けを明示しています——読み飛ばすと誤ります

高圧架空引込線との比較

低圧(116条)高圧(117条)
★電線★★2.30kN/2.6mm(径間15m以下は1.38kN/2mm)★★8.01kN/5mm、引下げ用、ケーブル
★緩和後の高さ★★道路5m→3m、その他4m→2.5m★★地表上3.5m
★危険表示★★不要★★ケーブル以外は電線の下方に必要

平成28年度 A問題7が高圧架空引込線です。数値がまったく違います

低圧と高圧、どちらの引込線かを最初に確かめる——これが解答の型です。

径間15m以下の緩和をもう一度

$$T = \dfrac{WS^2}{8D}$$
電線に生じる張力(Sは径間)
径間の2乗に比例するので、短ければ張力は急減する
$$S: 30 \to 15 \Rightarrow T \times \tfrac{1}{4}$$
径間が半分になると張力は4分の1
だから細い電線でも耐えられる

15mという短さなら、1.38kN・直径2mmでも足ります——2乗で効くからです。

「20m」というダミーが置かれますが、条文は15mです。

引込線の径間が短い理由

引込線は、電柱から建物までの短い区間です——多くは10〜20m程度

だから15m以下という緩和が実務で有効に働きます——細い電線で済む場面が多いのです。

条文の緩和は、現実の施工を踏まえて設けられています

引込線の高さが不足する原因

原因内容
★弛度の増加★★夏の高温で電線が伸びて垂れ下がる
★盛土・舗装のかさ上げ★★地面が上がって相対的に低くなる
★工作物の設置★★カーポート等が後から建つ
★取付点の緩み★★引留部が動いてたるむ

設置時に適合していても、後で不適合になることがあります——だから定期的な点検が要るのです。

低い引込線に車両が接触する事故は実際に起きています

引込線に使う電線の記号

記号名称用途
★DV★★引込用ビニル絶縁電線★★低圧架空引込線
★OW★★屋外用ビニル絶縁電線★★低圧架空電線
★IV★★600Vビニル絶縁電線★★屋内配線
★VVF★★600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形★★屋内配線

DVのDはDrop(引込)——電柱から家へ伸びる、あの黒い線です。

OWとDVは屋外専用で、屋内配線には使えません——絶縁被覆が屋内用より薄いからです。

引込線取付点と責任分界点

引込線取付点は、建物側で電線を引き留める点です——ここから先が需要家の設備になります。

低圧では、この取付点が責任分界点になることが多い——電力会社と需要家の境目です。

高圧受電では、区分開閉器(PAS等)が責任分界点——電圧階級で変わります

⏱️ 本番での進め方
① (ア)(イ)は2.30kN・径間15m——2.00kNや20mではない。
② (ウ)(エ)は道路5m・やむを得ない場合3m
③ (オ)はレール面上5.5m——ここは一般の架空電線と同じ。
④ その他の場所は地表上4m(やむを得ない場合2.5m)

💡 覚え方
解釈116条 低圧架空引込線=電線はケーブルを除き引張強さ2.30kN以上又は直径2.6mm以上の硬銅線(径間15m以下なら1.38kN以上又は直径2mm以上)。高さは道路横断で路面上5m以上(技術上やむを得ず交通に支障がなければ3m以上)、鉄道・軌道横断でレール面上5.5m以上、横断歩道橋の上で3m以上、その他は地表上4m以上(同2.5m以上)。

⚠️ よくある間違い
(ア)は「2.00kN」ではなく2.30kN(イ)は「20m」ではなく15m道路横断は一般の架空電線の6mではなく5m——引込線は緩和されている。

まとめ

(ア)電線2.30kN以上又は直径2.6mm以上
(イ)径間15m以下1.38kN以上又は直径2mm以上
(ウ)道路横断路面上5m以上
(エ)交通支障なし3m以上に緩和
(オ)鉄道軌道横断レール面上5.5m以上
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・高圧架空引込線の施設(電気設備技術基準の解釈61):【法規】平成28年度 A問題7
・分散型電源の用語の定義(電気設備技術基準の解釈82):【法規】平成23年度 A問題6

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