電気設備技術基準の解釈68【電験3種 法規】分散型電源の用語は電力系統・有効電力・能動・受動=(3) 平成27年度 A問題9 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 平成27年度 A問題9 能動は変動を与え受動は変化を見る!用語の整理

今回は平成27年度 法規科目 A問題9分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義(電気設備技術基準の解釈第220条)に関する空欄補充問題です。解列・逆潮流・単独運転・単独運転検出装置の定義を正確に区別します。

押さえるのは「解列・逆潮流・単独運転はいずれも電力系統・有効電力が主語」「能動的方式=平時から変動を与える」「受動的方式=移行時の変化を検出」。能動と受動の区別がポイントです。

目次

平成27年度 法規科目 A問題9:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成27年度 A問題9 問題文
平成27年度 法規科目 A問題9 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題9

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成27年度 A問題9

 次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

a.「解列」とは、(ア)から切り離すことをいう。

b.「逆潮流」とは、分散型電源設置者の構内から、一般電気事業者が運用する(ア)側へ向かう(イ)の流れをいう。

c.「単独運転」とは、分散型電源を連系している(ア)が事故等によって系統電源と切り離された状態において、当該分散型電源が発電を継続し、線路負荷に(イ)を供給している状態をいう。

d.「(ウ)的方式の単独運転検出装置」とは、分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき、単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置をいう。

e.「(エ)的方式の単独運転検出装置」とは、単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置をいう。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)母線皮相電力能動受動
(2)電力系統無効電力能動受動
(3)電力系統有効電力能動受動
(4)電力系統有効電力受動能動
(5)母線無効電力受動能動
答え(ア)電力系統・(イ)有効電力・(ウ)能動・(エ)受動 = (3)

答えは(3):電力系統・有効電力・能動・受動

電気設備技術基準の解釈 第220条(分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義)

「解列」とは、電力系統から切り離すことをいう。/「逆潮流」とは、分散型電源設置者の構内から、一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れをいう。/「単独運転」とは、分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、当該分散型電源が発電を継続し、線路負荷に有効電力を供給している状態をいう。/「能動的方式の単独運転検出装置」とは、分散型電源の出力等に平時から変動を与えておき、単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により検出する装置。/「受動的方式の単独運転検出装置」とは、単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により検出する装置。

解列・逆潮流・単独運転はすべて「電力系統」と「有効電力」で書かれます。

(ア)(イ)が共通なので、そこを固めれば選択肢は一気に絞れます

★能動と受動の見分け方

能動的方式受動的方式
★動作★★平時から自分で変動を与える★★系統の変化を待って捉える
★検出するもの★★与えた変動に起因する周波数等の変化★★電圧位相・周波数の急変
★弱点★★複数台設置時に干渉することがある★★発電と負荷が均衡すると検出できない
★英語★★アクティブ★★パッシブ

「平時から変動を与えておき」とあれば能動——自ら働きかけるからです。

「移行時に生じる変化により」とあれば受動——受け身で待つからです。

キーワードで即断できます

★なぜ受動的方式だけでは足りないのか

$$P_{\text{発電}} = P_{\text{負荷}}$$
発電と負荷が均衡した状態
系統が切り離されても電圧・周波数がほとんど変化しない
$$\Delta f \approx 0, \ \Delta \phi \approx 0$$
受動的方式が検出できない条件
変化がないので、単独運転を見逃す

偶然、発電量と負荷が釣り合っていると、切り離されても何も変わりません

これが「不感帯」——受動的方式の原理的な限界です。

だから能動的方式を組み合わせる——自ら揺さぶれば、必ず変化が現れるのです。

★能動的方式の実際

方式与える変動
★周波数シフト方式★★周波数を上下にずらす信号を出す
★無効電力変動方式★★無効電力を周期的に変動させる
★有効電力変動方式★★有効電力を周期的に変動させる
★負荷変動方式★★瞬間的に負荷を投入する

系統につながっているときは、変動は系統に吸収されます——大きな系統は少々揺さぶられても動じません

切り離されると、変動がそのまま現れる——これが検出の原理です。

★「有効電力」であって「無効電力」ではない

条文の言葉ダミー語違い
有効電力(W)★★有効電力(W)★無効電力(var)★★実際に消費される/往復するだけ
逆潮流=有効電力の流れ★★逆潮流=有効電力の流れ★無効電力の流れ★★売電で問題になるのは有効電力

逆潮流は「電気を売る」ことです——売買の対象は有効電力

単独運転も「線路負荷に有効電力を供給している状態」——実際に電力を消費させているのです。

「皮相電力」「無効電力」はダミーです。

「電力系統」と「母線」

条文の言葉ダミー語違い
電力系統★★電力系統★母線★★系統全体/構内の1つの導体
解列=電力系統から切り離す★★解列=電力系統から切り離す★母線から切り離す★★切り離す相手が違う

母線は変電所や受電設備の中の導体です——系統の一部にすぎません

解列は、系統との関係を断つこと——スケールが違うのです。

220条の他の用語

用語定義
★分散型電源★★電気事業者以外の者が設置する発電設備等
★逆充電★★系統が停電しているときに分散型電源が線路を充電する状態
★自立運転★★分散型電源が構内負荷にのみ電力を供給している状態
★線路無電圧確認装置★★線路が無電圧であることを確認する装置

単独運転と自立運転は、似ていますが別物です——系統に流し出すか、構内だけか

自立運転は認められる、単独運転は認められない——この対比が重要です。

単独運転・逆充電・自立運転の整理

状態系統電力の行き先可否
★単独運転★★停電★★線路負荷(系統側)★★不可
★逆充電★★停電★★線路を充電するだけ★★不可
★自立運転★★停電(系統から解列済み)★★構内負荷のみ★★可

系統から切り離したうえで構内だけに供給するなら安全——これが自立運転です。

停電時にパワーコンディショナの自立運転コンセントが使えるのは、この仕組みです。

定義条文が出題される理由

分散型電源の分野は、用語の意味を取り違えると条文がまったく読めなくなります

だから220条で定義を固めてから、221条以降の要件に進む構成——試験もその順で問うてきます

平成30年度 A問題9が高圧連系時の保護装置(229条)、令和3年度 A問題9が連系要件(226・228条)を扱っています。

パワーコンディショナが担う機能

機能内容
★直流→交流変換★★系統の電圧・周波数に同期した交流をつくる
★MPPT制御★★太陽電池の最大電力点を追従する
★単独運転検出★★能動的方式と受動的方式を併用する
★電圧上昇抑制★★系統電圧が上がりすぎたら出力を絞る
★自立運転★★停電時に構内負荷へ供給する

1台の機器が、変換と保護と制御をまとめて担っています——だから低圧連系では保護盤を別に設けないことが多いのです。

220条の用語は、この機器の機能を説明する言葉でもあります

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は電力系統——「母線」ではない。
② (イ)は有効電力——「無効電力」「皮相電力」ではない。
③ 「平時から変動を与えておき」は能動的方式。
④ 「移行時に生じる変化により」は受動的方式。

💡 覚え方
解釈220条=解列は電力系統から切り離すこと。逆潮流は構内から電力系統側へ向かう有効電力の流れ。単独運転は系統が切り離された状態で分散型電源が線路負荷に有効電力を供給している状態。能動的方式=平時から変動を与えておき移行時の変化で検出。受動的方式=移行時に生じる電圧位相・周波数等の変化で検出。

⚠️ よくある間違い
(ア)は「母線」ではなく電力系統(イ)は「無効電力」「皮相電力」ではなく有効電力能動と受動を逆にしない——平時から働きかけるのが能動。

まとめ

解列電力系統から切り離す
逆潮流構内→電力系統への有効電力の流れ
単独運転系統切離後も線路負荷に有効電力供給
(ウ)能動的方式平時から変動を与える
(エ)受動的方式移行時の電圧位相・周波数変化を検出
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・分散型電源の系統連系設備(電気設備技術基準の解釈47):【法規】令和元年度 A問題9
・可燃性ガス等の存在する場所の施設(電気設備技術基準の解釈67):【法規】平成27年度 A問題8

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