今回は令和2年度 法規科目 A問題10、分散型電源の高圧連系時の系統連系用保護装置(電気設備技術基準の解釈第229条)に関する空欄補充問題です。異常時に分散型電源を自動的に解列するための保護リレー等が問われます。
押さえるのは「検出する異常⇔保護リレーの対応」。系統側地絡事故には地絡過電圧リレー(OVGR)、再閉路との協調は一般送配電事業者の系統で行う、という3点です。
令和2年度 法規科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和2年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題10
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和2年度 A問題10
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の高圧連系時の系統連系用保護装置に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の高圧連系時の系統連系用保護装置に関する記述である。高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は、次により、異常時に分散型電源を自動的に解列するための装置を施設すること。
a)次に掲げる異常を保護リレー等により検出し、分散型電源を自動的に解列すること。①分散型電源の異常又は故障 ②連系している電力系統の(ア) ③分散型電源の単独運転
b)(イ)が運用する電力系統において再閉路が行われる場合は、当該再閉路時に、分散型電源が当該電力系統から解列されていること。
c)「逆変換装置を用いて連系する場合」で「逆潮流有りの場合」の保護リレー等:発電電圧異常上昇→過電圧リレー/発電電圧異常低下→不足電圧リレー/系統側短絡事故→不足電圧リレー/系統側地絡事故→(ウ)リレー/単独運転→周波数上昇リレー・周波数低下リレー・転送遮断装置又は単独運転検出装置。
(ア) (イ) (ウ) (1) 短絡事故又は地絡事故 一般送配電事業者 欠相 (2) 短絡事故又は地絡事故 発電事業者 地絡過電圧 (3) 高低圧混触事故 一般送配電事業者 地絡過電圧 (4) 高低圧混触事故 発電事業者 欠相 (5) 短絡事故又は地絡事故 一般送配電事業者 地絡過電圧

答えは(5):短絡事故又は地絡事故・一般送配電事業者・地絡過電圧
平成30年度 A問題9は同じ229条で、再閉路の仕組みと解列に使える遮断器を扱っています。
この記事は、保護リレーの対応表を主軸にします。
★高圧連系の保護リレー対応表
| 検出する異常 | 保護リレー等 |
| ★発電電圧異常上昇 | ★★過電圧リレー(OVR) |
| ★発電電圧異常低下 | ★★不足電圧リレー(UVR) |
| ★系統側短絡事故 | ★★不足電圧リレー(UVR) |
| ★系統側地絡事故 | ★★地絡過電圧リレー(OVGR) |
| ★単独運転 | ★★周波数上昇・低下リレー、転送遮断装置又は単独運転検出装置 |
低圧連系(227条)との違いは、地絡の検出方法です——高圧はOVGRで直接検出します。
平成29年度 A問題9が低圧連系のリレー対応表です。2つを並べると違いが見えます。
★なぜ地絡は「過電圧」リレーなのか
健全時は三相が平衡しているのでV₀=0
残り2相の対地電圧が上がり、零相電圧が現れる
非接地式の高圧配電線では、地絡しても電流はわずかしか流れません——だから電流では検出しにくいのです。
そのかわり、中性点の電位が大きく動きます——この零相電圧を捉えるのがOVGRです。
「地絡なのに過電圧」という名前の理由がここにあります。
★なぜ「一般送配電事業者」なのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 一般送配電事業者 | ★★一般送配電事業者 | ★発電事業者 | ★★系統を運用し再閉路を行うのはどちらか |
| 送配電網の運用者 | ★★送配電網の運用者 | ★電気をつくる者 | ★★役割が違う |
再閉路は、配電線の遮断器を自動で再投入する動作です——それを行うのは系統を運用する者。
2016年の電力自由化で、送配電部門は一般送配電事業者に分離されました——発電事業者は系統を運用しません。
制度の理解が語の選択につながります。
★高圧連系に「高低圧混触事故」がない理由
| 低圧連系(227条) | 高圧連系(229条) | |
| ★系統の短絡事故 | ★★あり | ★★あり |
| ★系統の地絡事故 | ★★あり | ★★あり |
| ★高低圧混触事故 | ★★あり | ★★なし |
高低圧混触は、柱上変圧器の高圧側と低圧側が触れる事故です——被害を受けるのは低圧側。
高圧連系の分散型電源は、変圧器より上流にいます——混触の影響を直接は受けないのです。
だから列挙から外れている——設問の「高低圧混触事故」はここを狙ったダミーです。
継電器の記号を整理する
| 記号 | 名称 | 検出するもの |
| ★OVR(59) | ★★過電圧継電器 | ★★電圧の上昇 |
| ★UVR(27) | ★★不足電圧継電器 | ★★電圧の低下 |
| ★OVGR(64) | ★★地絡過電圧継電器 | ★★零相電圧 |
| ★OCGR(51G) | ★★地絡過電流継電器 | ★★零相電流 |
| ★RPR(67P) | ★★逆電力継電器 | ★★逆潮流 |
記号と役割の対応は、電力科目でも問われます——まとめて覚えると効率的です。
OVGRとOCGRは名前が似ていますが、見るものが電圧か電流かで違います。
方向性地絡継電器(DGR)
OVGRとZCTを組み合わせ、地絡電流の向きも見る継電器です——DGR(方向性地絡継電器)。
自分の構内の地絡か、系統側の地絡かを区別できます——もらい事故で不要動作しないのです。
高圧受電設備の区分開閉器(PAS・UGS)に内蔵されています——波及事故を防ぐ要です。
転送遮断装置と単独運転検出装置
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 転送遮断装置 | ★★転送遮断装置 | ★単独運転検出装置 | ★★系統側の情報を受け取る/自分で検出する |
| 通信回線が必要 | ★★通信回線が必要 | ★装置内で完結 | ★★費用と確実性の兼ね合い |
条文は「転送遮断装置又は単独運転検出装置」と選択を認めています——どちらでもよいのです。
転送遮断のほうが確実ですが、通信設備が要ります——規模に応じて選ばれます。
229条・227条・228条の関係
| 条 | 内容 |
| ★第226条 | ★★低圧連系時の施設要件 |
| ★第227条 | ★★低圧連系時の系統連系用保護装置 |
| ★第228条 | ★★高圧連系時の施設要件 |
| ★第229条 | ★★高圧連系時の系統連系用保護装置 |
「施設要件」と「保護装置」が電圧階級ごとに対になっています——きれいな構成です。
どの条文の話かを見極めれば、覚えるべき内容が絞れます。
波及事故を防ぐ区分開閉器
| 機器 | 役割 |
| ★PAS(柱上気中負荷開閉器) | ★★架空引込みの区分点に設ける |
| ★UGS(地中線用地絡継電装置付開閉器) | ★★地中引込みの区分点に設ける |
| ★内蔵する継電器 | ★★DGR(方向性地絡継電器)+SOG制御装置 |
構内で地絡が起きたとき、自分で切り離すのが区分開閉器です——系統側の遮断器を落とさせないためです。
これが働かないと、地域一帯が停電します——波及事故と呼ばれ、責任を問われます。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は短絡事故又は地絡事故——高圧に「高低圧混触事故」は入らない。
② (イ)は一般送配電事業者——系統を運用し再閉路を行う者。
③ (ウ)は地絡過電圧リレー——零相電圧を検出する。
④ 単独運転は周波数リレー+転送遮断装置又は単独運転検出装置。
💡 覚え方
解釈229条=高圧連系では①分散型電源の異常又は故障 ②連系している電力系統の短絡事故又は地絡事故 ③単独運転——を検出して自動解列。一般送配電事業者が運用する系統で再閉路が行われる場合はその再閉路時に解列されていること。系統側地絡事故は地絡過電圧リレー(OVGR)で検出する。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「高低圧混触事故」ではなく短絡事故又は地絡事故——混触は低圧連系(227条)の列挙。(イ)は「発電事業者」ではなく一般送配電事業者。(ウ)は「欠相」ではなく地絡過電圧。
まとめ
| (ア)検出異常 | 系統の短絡事故又は地絡事故 |
| (イ)再閉路協調 | 一般送配電事業者の系統 |
| 発電電圧異常上昇/低下 | 過電圧/不足電圧リレー |
| 系統側短絡/地絡 | 不足電圧/(ウ)地絡過電圧リレー |
| 単独運転 | 周波数上昇・低下・転送遮断等 |
| 答え | (5) |
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