今回は平成29年度 法規科目 A問題9、低圧連系時の系統連系用保護装置(電気設備技術基準の解釈第227条)に関する空欄補充問題です。異常時に自動解列する装置と、検出する異常⇔保護リレーの対応が問われます。
押さえるのは「異常時は自動的に解列」「検出する異常⇔リレーの対応」。発電電圧異常低下・系統側短絡は不足電圧リレー、単独運転検出には周波数上昇/低下リレーを使います。
平成29年度 法規科目 A問題9:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題9
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成29年度 A問題9
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧連系時の系統連系用保護装置に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧連系時の系統連系用保護装置に関する記述である。低圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は、次により、異常時に分散型電源を自動的に(ア)するための装置を施設すること。
a 次に掲げる異常を保護リレー等により検出し、分散型電源を自動的に(ア)すること。①分散型電源の異常又は故障 ②連系している電力系統の短絡事故、地絡事故又は高低圧混触事故 ③分散型電源の(イ)又は逆充電
b 一般送配電事業者が運用する電力系統において再閉路が行われる場合は、当該再閉路時に、分散型電源が当該電力系統から(ア)されていること。
c 「逆潮流有りの場合」の保護リレー等:発電電圧異常上昇→過電圧リレー/発電電圧異常低下→(ウ)リレー/系統側短絡事故→(ウ)リレー/系統側地絡事故・高低圧混触事故(間接)及び(イ)又は逆充電→(イ)検出装置/(エ)上昇リレー・(エ)低下リレー。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 解列 単独運転 不足電力 周波数 (2) 遮断 自立運転 不足電圧 電力 (3) 解列 単独運転 不足電圧 周波数 (4) 遮断 単独運転 不足電圧 電力 (5) 解列 自立運転 不足電力 電力

答えは(3):解列・単独運転・不足電圧・周波数
平成30年度 A問題9が高圧連系(229条)、平成27年度 A問題9が用語の定義(220条)を扱っています。
★異常とリレーの対応表
| 検出する異常 | 保護リレー等 |
| ★発電電圧異常上昇 | ★★過電圧リレー(OVR) |
| ★発電電圧異常低下 | ★★不足電圧リレー(UVR) |
| ★系統側短絡事故 | ★★不足電圧リレー(UVR) |
| ★系統側地絡事故・高低圧混触事故(間接) | ★★単独運転検出装置 |
| ★単独運転又は逆充電 | ★★単独運転検出装置+周波数上昇・低下リレー |
この表を覚えれば、空欄補充にそのまま答えられます——試験に出るのはこの対応です。
1つの異常に複数のリレーが対応することもある——単独運転がその例です。
★なぜ系統側短絡が「不足電圧」なのか
短絡すると大電流Iが流れ、電圧降下が大きくなる
だから短絡事故は「電圧の低下」として現れる
短絡事故は、需要家から見れば「電圧が下がる」現象です——だから不足電圧リレーで検出できます。
低圧の分散型電源に、電流を測る大がかりな設備は不要——電圧を見るだけで足りるのです。
「不足電力リレー」というダミーは、この理屈を知っていれば切れます。
★なぜ単独運転に周波数リレーなのか
余った電力が回転体を加速させる(インバータでは制御が追従する)
どちらに転んでも周波数が動く
系統につながっているうちは、周波数は系統が決めます——1台の小さな電源では動かせません。
切り離されたとたん、自分の発電と負荷の差が周波数に現れます——だから周波数リレーで検出できるのです。
これが受動的方式の原理——能動的方式と組み合わせて使います。
★「解列」と「遮断」
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 解列 | ★★解列 | ★遮断 | ★★系統から切り離す/電流を切る |
| 分散型電源の用語(220条) | ★★分散型電源の用語(220条) | ★一般の保護装置の用語 | ★★この分野では解列が正式用語 |
解列は「列から解く」——系統という列から外れることです。
遮断器を使って解列することもありますが、条文の言葉は解列——選択肢の「遮断」は誤りです。
低圧連系と高圧連系の保護の違い
| 低圧連系(227条) | 高圧連系(229条) | |
| ★検出する異常 | ★★電源の異常/系統の短絡・地絡・高低圧混触/単独運転・逆充電 | ★★電源の異常/系統の短絡・地絡/単独運転 |
| ★高低圧混触 | ★★含む | ★★含まない |
| ★逆充電 | ★★含む | ★★条文上は単独運転 |
低圧連系だけ「高低圧混触事故」が入ります——低圧側にいるからこそ危険な事故だからです。
条文の列挙の違いは、置かれている位置の違いを反映しています。
逆潮流の有無で変わる保護
| 逆潮流あり | 逆潮流なし | |
| ★過電圧リレー | ★★必要 | ★★必要 |
| ★不足電圧リレー | ★★必要 | ★★必要 |
| ★周波数上昇リレー | ★★必要 | ★★不要な場合がある |
| ★逆電力リレー | ★★不要 | ★★必要 |
逆潮流なしなら、逆電力リレーで逆潮流そのものを止めます——解釈226条の要件です。
逆潮流ありなら、周波数上昇も監視対象になります——発電が余る状況がありうるからです。
逆充電とは
系統が停電しているのに、分散型電源が線路を充電する状態です——負荷がなくても電圧だけかかります。
単独運転は負荷に電力を供給している状態——逆充電は電圧をかけているだけという違いです。
どちらも作業者にとっては同じく危険——だから両方が検出対象です。
低圧連系の実際
住宅の太陽光発電は、ほぼすべてが低圧連系です——50kW未満だから。
保護機能はパワーコンディショナに内蔵されています——別に保護盤を設けないのが普通です。
だから機器認証で性能が担保される——227条の要件を製品が満たしています。
高低圧混触事故がなぜ低圧連系で問題になるのか
柱上変圧器の高圧巻線と低圧巻線が混触すると、低圧線に6 600Vが侵入します。
低圧連系の分散型電源は、まさにその低圧線につながっています——直撃を受ける位置です。
だから227条は「高低圧混触事故」を明示的に列挙します——高圧連系(229条)にはない項目です。
B種接地との関係
混触時に低圧側の電位上昇を抑えるのがB種接地です——解釈17条・24条。
それでも電位は上がるので、分散型電源側でも検出して解列します。
系統側の備えと需要家側の備えが二重にかかる——条文どうしのつながりが見える場面です。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は解列——「遮断」ではない。
② (イ)は単独運転——「自立運転」は認められる状態。
③ (ウ)は不足電圧リレー——短絡は電圧低下として現れる。
④ (エ)は周波数リレー——単独運転になると周波数が動く。
💡 覚え方
解釈227条=低圧連系では①分散型電源の異常又は故障 ②系統の短絡事故・地絡事故・高低圧混触事故 ③単独運転又は逆充電——を検出して自動的に解列する。発電電圧異常上昇=過電圧リレー、発電電圧異常低下と系統側短絡=不足電圧リレー、単独運転・逆充電=単独運転検出装置+周波数上昇・低下リレー。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「遮断」ではなく解列。(イ)は「自立運転」ではなく単独運転。(ウ)は「不足電力」ではなく不足電圧。(エ)は「電力」ではなく周波数。
まとめ
| (ア) | 異常時・再閉路時は解列 |
| 発電電圧異常上昇 | 過電圧リレー |
| 発電電圧異常低下・系統短絡 | (ウ)不足電圧リレー |
| (イ) | 単独運転又は逆充電を検出 |
| (エ)単独運転検出 | 周波数上昇・低下リレー |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・架空弱電流電線路への誘導障害の防止(電気設備技術基準の解釈55):【法規】平成29年度 A問題8
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