電気設備技術基準の解釈57【電験3種 法規】接地点は使用電圧・直流電路・D種・150V=(3) 平成28年度 A問題2 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 平成28年度 A問題2 接地してよい場所はどこ?300V以下の中性点

今回は平成28年度 法規科目 A問題2電路に係る部分に接地工事を施す場合の接地点(電気設備技術基準の解釈第19条)に関する空欄補充問題です。接地できる場所や、計器用変成器2次側の接地種別が問われます。

押さえるのは「中性点接地は使用電圧300V以下なら一端子で可」「特別高圧・燃料電池は直流電路」「高圧計器用変成器2次側はD種」「電子機器接続は使用電圧150V以下」という要点です。

目次

平成28年度 法規科目 A問題2:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成28年度 A問題2 問題文
平成28年度 法規科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題2

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成28年度 A問題2

 次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく電路に係る部分に接地工事を施す場合の、接地点に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

a 電路の保護装置の確実な動作の確保、異常電圧の抑制又は対地電圧の低下を図るために必要な場合は、次の各号に掲げる場所に接地を施すことができる。①電路の中性点((ア)電圧が300V以下の電路において中性点に接地を施し難いときは、電路の一端子)②特別高圧の(イ)電路 ③燃料電池の電路又はこれに接続する(イ)電路

b 高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器には、次の各号によりB種接地工事を施すこと。①低圧側の中性点 ②低圧電路の(ア)電圧が300V以下の場合において、接地工事を低圧側の中性点に施し難いときは、低圧側の1端子

c 高圧計器用変成器の2次側電路には、(ウ)接地工事を施すこと。

d 電子機器に接続する(ア)電圧が(エ)V以下の電路、その他機能上必要な場所において、電路に接地を施すことにより、感電、火災その他の危険を生じることのない場合には、電路に接地を施すことができる。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)使用直流A種300
(2)対地交流A種150
(3)使用直流D種150
(4)対地交流D種300
(5)使用交流A種150
答え(ア)使用・(イ)直流・(ウ)D種・(エ)150 = (3)

答えは(3):使用・直流・D種・150

電気設備技術基準の解釈 第19条(保安上又は機能上必要な場合における電路の接地)

a 電路の保護装置の確実な動作の確保、異常電圧の抑制又は対地電圧の低下を図るために必要な場合は、次の場所に接地を施すことができる。①電路の中性点(使用電圧が300V以下の電路において中性点に接地を施し難いときは、電路の一端子)②特別高圧の直流電路 ③燃料電池の電路又はこれに接続する直流電路/c 高圧計器用変成器の2次側電路には、D種接地工事を施すこと。/d 電子機器に接続する使用電圧が150V以下の電路その他機能上必要な場所において、電路に接地を施すことにより感電・火災その他の危険を生じることのない場合には、電路に接地を施すことができる。

「絶縁が原則、接地は例外」——19条はその例外を並べた条文です。

平成24年度 A問題5の解釈13条が「接地点は絶縁の例外」と定め、19条がその接地点の中身を定めています

★なぜ電路をあえて接地するのか

目的効果
★保護装置の確実な動作★★地絡電流の帰路をつくり、継電器を動かす
★異常電圧の抑制★★雷や開閉サージによる電位上昇を抑える
★対地電圧の低下★★線路の対地電位を下げ、絶縁の負担を軽くする

非接地なら地絡電流が流れず、継電器が動きません——事故を検出できないのです。

「絶縁するほうが安全」とは限らない——接地には接地の役割があるのです。

★「使用電圧」と「対地電圧」

条文の言葉ダミー語違い
使用電圧★★使用電圧★対地電圧★★電路の公称電圧/大地との間の電圧
中性点に接地し難いとき(300V以下)★★中性点に接地し難いとき(300V以下)★住宅の150V以下(143条)★★前者は使用電圧、後者は対地電圧

中性点がまだ接地されていない段階の話なので、対地電圧という概念が定まりません

だから使用電圧で書く——条文が語を選ぶ理由があります

水中照明(187条)でも「使用電圧」でした——非接地の話では使用電圧と覚えられます。

★なぜ「直流」電路なのか

特別高圧の直流送電(HVDC)は、北海道・本州間などで使われています

燃料電池も太陽電池も直流を出力します——直流電路が増えているのです。

直流は地絡の検出が難しいので、接地して電位を確定させる意味があります——「交流」ではありません

★高圧計器用変成器の2次側がD種である理由

電圧接地工事
★高圧計器用変成器の2次側★★110V・5A(低圧)★★D種
★特別高圧計器用変成器の2次側★★低圧★★A種

2次側は低圧なので、原則としてD種(100Ω以下)です——「A種」というダミーが置かれます

ただし特別高圧用ならA種——混触時に侵入する電圧が桁違いだからです。

1次側の電圧で接地の種別が変わる——この対応を押さえます

計器用変成器の役割

機器変換用途
★VT(計器用変圧器)★★6 600V → 110V★★電圧計・電力計・保護継電器
★CT(変流器)★★数百A → 5A★★電流計・過電流継電器
★ZCT(零相変流器)★★零相電流を取り出す★★地絡継電器

高圧をそのまま計器に入れることはできません——だから小さくして測るのです。

CTの2次側は絶対に開放してはいけません——高電圧が発生して危険だからです。

電子機器の接地——機能接地

条文の言葉ダミー語違い
保安接地★★保安接地★機能接地★★人と設備を守る/機器を正しく動かす
A/B/C/D種接地工事★★A/B/C/D種接地工事★電子機器の基準電位確保★★目的が違う

電子機器は、基準電位(0V)がないと正しく動きません——これが機能接地です。

150V以下という条件は、感電の危険を抑えるため——機能のために接地しても危険を招かない範囲です。

接地には「守る接地」と「働かせる接地」がある——19条は両方を扱っています

中性点接地方式の種類

方式特徴
★非接地★★地絡電流が小さい。日本の高圧配電
★直接接地★★地絡電流が大きいが、電位上昇が小さい。187kV以上
★抵抗接地★★中間的。66〜154kV
★消弧リアクトル接地★★地絡電流を打ち消す

電圧階級で接地方式が使い分けられています——電力科目の重要テーマです。

19条は、その中性点接地を認める根拠条文——法規と電力がつながる場所です。

300Vと150Vの2つの数値

条件電圧
★中性点に接地し難いとき、一端子で可★★使用電圧300V以下
★B種を低圧側1端子に施せる★★使用電圧300V以下
★電子機器に接続する電路の接地★★使用電圧150V以下

300Vは「一端子でよい」条件、150Vは「機能接地を認める」条件です。

2つの数値の役割が違う——ここを取り違えると選択肢を選べません

CTの2次側を開放してはいけない理由

変流器(CT)は、1次電流に比例した2次電流を流す機器です——2次側は常に短絡に近い状態で使います

2次側を開放すると、鉄心が磁気飽和し、2次巻線に高電圧が誘起されます——数千Vに達することもあります

だから点検時は必ず2次側を短絡してから外します——D種接地とあわせて、CTの安全の基本です。

接地の3つの目的をもう一度

種類目的
★保安接地(A・C・D種)★★機器の外箱に触れた人を守る
★系統接地(B種・中性点接地)★★系統の電位を確定し、保護装置を動かす
★機能接地★★電子機器の基準電位を確保する

解釈19条が扱うのは、系統接地と機能接地です——「電路そのものを接地する」話だからです。

機器の外箱を接地する話(29条)とは別——混同しないことです。

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は使用電圧——「対地電圧」ではない。
② (イ)は直流電路——「交流」ではない。燃料電池は直流。
③ (ウ)はD種——高圧用の2次側は低圧だからD種。
④ (エ)は150V——300Vは一端子接地の条件。

💡 覚え方
解釈19条=保安上・機能上必要な場合の電路の接地。①電路の中性点(使用電圧300V以下で施し難いときは一端子)②特別高圧の直流電路 ③燃料電池の電路又はこれに接続する直流電路。高圧計器用変成器の2次側電路にはD種接地工事。電子機器に接続する使用電圧150V以下の電路等は、危険がなければ接地できる。

⚠️ よくある間違い
(ア)は「対地電圧」ではなく使用電圧(イ)は「交流」ではなく直流(ウ)は「A種」ではなくD種(特別高圧計器用変成器ならA種)。(エ)は「300」ではなく150

まとめ

(ア)中性点接地使用電圧300V以下で一端子可
(イ)特別高圧・燃料電池直流電路に接地可
(ウ)高圧計器用変成器2次側D種接地工事
(エ)電子機器接続使用電圧150V以下
目的保護動作確保・異常電圧抑制・対地電圧低下
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・低圧連系時の系統連系用保護装置(電気設備技術基準の解釈56):【法規】平成29年度 A問題9
・蓄電池の保護装置(電気設備技術基準の解釈58):【法規】平成28年度 A問題5

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