今回は平成28年度 法規科目 A問題2、電路に係る部分に接地工事を施す場合の接地点(電気設備技術基準の解釈第19条)に関する空欄補充問題です。接地できる場所や、計器用変成器2次側の接地種別が問われます。
押さえるのは「中性点接地は使用電圧300V以下なら一端子で可」「特別高圧・燃料電池は直流電路」「高圧計器用変成器2次側はD種」「電子機器接続は使用電圧150V以下」という要点です。
平成28年度 法規科目 A問題2:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題2
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成28年度 A問題2
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく電路に係る部分に接地工事を施す場合の、接地点に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
a 電路の保護装置の確実な動作の確保、異常電圧の抑制又は対地電圧の低下を図るために必要な場合は、次の各号に掲げる場所に接地を施すことができる。①電路の中性点((ア)電圧が300V以下の電路において中性点に接地を施し難いときは、電路の一端子)②特別高圧の(イ)電路 ③燃料電池の電路又はこれに接続する(イ)電路
b 高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器には、次の各号によりB種接地工事を施すこと。①低圧側の中性点 ②低圧電路の(ア)電圧が300V以下の場合において、接地工事を低圧側の中性点に施し難いときは、低圧側の1端子
c 高圧計器用変成器の2次側電路には、(ウ)接地工事を施すこと。
d 電子機器に接続する(ア)電圧が(エ)V以下の電路、その他機能上必要な場所において、電路に接地を施すことにより、感電、火災その他の危険を生じることのない場合には、電路に接地を施すことができる。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 使用 直流 A種 300 (2) 対地 交流 A種 150 (3) 使用 直流 D種 150 (4) 対地 交流 D種 300 (5) 使用 交流 A種 150

答えは(3):使用・直流・D種・150
平成24年度 A問題5の解釈13条が「接地点は絶縁の例外」と定め、19条がその接地点の中身を定めています。
★なぜ電路をあえて接地するのか
| 目的 | 効果 |
| ★保護装置の確実な動作 | ★★地絡電流の帰路をつくり、継電器を動かす |
| ★異常電圧の抑制 | ★★雷や開閉サージによる電位上昇を抑える |
| ★対地電圧の低下 | ★★線路の対地電位を下げ、絶縁の負担を軽くする |
非接地なら地絡電流が流れず、継電器が動きません——事故を検出できないのです。
「絶縁するほうが安全」とは限らない——接地には接地の役割があるのです。
★「使用電圧」と「対地電圧」
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 使用電圧 | ★★使用電圧 | ★対地電圧 | ★★電路の公称電圧/大地との間の電圧 |
| 中性点に接地し難いとき(300V以下) | ★★中性点に接地し難いとき(300V以下) | ★住宅の150V以下(143条) | ★★前者は使用電圧、後者は対地電圧 |
中性点がまだ接地されていない段階の話なので、対地電圧という概念が定まりません。
だから使用電圧で書く——条文が語を選ぶ理由があります。
水中照明(187条)でも「使用電圧」でした——非接地の話では使用電圧と覚えられます。
★なぜ「直流」電路なのか
特別高圧の直流送電(HVDC)は、北海道・本州間などで使われています。
燃料電池も太陽電池も直流を出力します——直流電路が増えているのです。
直流は地絡の検出が難しいので、接地して電位を確定させる意味があります——「交流」ではありません。
★高圧計器用変成器の2次側がD種である理由
| 電圧 | 接地工事 | |
| ★高圧計器用変成器の2次側 | ★★110V・5A(低圧) | ★★D種 |
| ★特別高圧計器用変成器の2次側 | ★★低圧 | ★★A種 |
2次側は低圧なので、原則としてD種(100Ω以下)です——「A種」というダミーが置かれます。
ただし特別高圧用ならA種——混触時に侵入する電圧が桁違いだからです。
1次側の電圧で接地の種別が変わる——この対応を押さえます。
計器用変成器の役割
| 機器 | 変換 | 用途 |
| ★VT(計器用変圧器) | ★★6 600V → 110V | ★★電圧計・電力計・保護継電器 |
| ★CT(変流器) | ★★数百A → 5A | ★★電流計・過電流継電器 |
| ★ZCT(零相変流器) | ★★零相電流を取り出す | ★★地絡継電器 |
高圧をそのまま計器に入れることはできません——だから小さくして測るのです。
CTの2次側は絶対に開放してはいけません——高電圧が発生して危険だからです。
電子機器の接地——機能接地
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 保安接地 | ★★保安接地 | ★機能接地 | ★★人と設備を守る/機器を正しく動かす |
| A/B/C/D種接地工事 | ★★A/B/C/D種接地工事 | ★電子機器の基準電位確保 | ★★目的が違う |
電子機器は、基準電位(0V)がないと正しく動きません——これが機能接地です。
150V以下という条件は、感電の危険を抑えるため——機能のために接地しても危険を招かない範囲です。
接地には「守る接地」と「働かせる接地」がある——19条は両方を扱っています。
中性点接地方式の種類
| 方式 | 特徴 |
| ★非接地 | ★★地絡電流が小さい。日本の高圧配電 |
| ★直接接地 | ★★地絡電流が大きいが、電位上昇が小さい。187kV以上 |
| ★抵抗接地 | ★★中間的。66〜154kV |
| ★消弧リアクトル接地 | ★★地絡電流を打ち消す |
電圧階級で接地方式が使い分けられています——電力科目の重要テーマです。
19条は、その中性点接地を認める根拠条文——法規と電力がつながる場所です。
300Vと150Vの2つの数値
| 条件 | 電圧 |
| ★中性点に接地し難いとき、一端子で可 | ★★使用電圧300V以下 |
| ★B種を低圧側1端子に施せる | ★★使用電圧300V以下 |
| ★電子機器に接続する電路の接地 | ★★使用電圧150V以下 |
300Vは「一端子でよい」条件、150Vは「機能接地を認める」条件です。
2つの数値の役割が違う——ここを取り違えると選択肢を選べません。
CTの2次側を開放してはいけない理由
変流器(CT)は、1次電流に比例した2次電流を流す機器です——2次側は常に短絡に近い状態で使います。
2次側を開放すると、鉄心が磁気飽和し、2次巻線に高電圧が誘起されます——数千Vに達することもあります。
だから点検時は必ず2次側を短絡してから外します——D種接地とあわせて、CTの安全の基本です。
接地の3つの目的をもう一度
| 種類 | 目的 |
| ★保安接地(A・C・D種) | ★★機器の外箱に触れた人を守る |
| ★系統接地(B種・中性点接地) | ★★系統の電位を確定し、保護装置を動かす |
| ★機能接地 | ★★電子機器の基準電位を確保する |
解釈19条が扱うのは、系統接地と機能接地です——「電路そのものを接地する」話だからです。
機器の外箱を接地する話(29条)とは別——混同しないことです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は使用電圧——「対地電圧」ではない。
② (イ)は直流電路——「交流」ではない。燃料電池は直流。
③ (ウ)はD種——高圧用の2次側は低圧だからD種。
④ (エ)は150V——300Vは一端子接地の条件。
💡 覚え方
解釈19条=保安上・機能上必要な場合の電路の接地。①電路の中性点(使用電圧300V以下で施し難いときは一端子)②特別高圧の直流電路 ③燃料電池の電路又はこれに接続する直流電路。高圧計器用変成器の2次側電路にはD種接地工事。電子機器に接続する使用電圧150V以下の電路等は、危険がなければ接地できる。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「対地電圧」ではなく使用電圧。(イ)は「交流」ではなく直流。(ウ)は「A種」ではなくD種(特別高圧計器用変成器ならA種)。(エ)は「300」ではなく150。
まとめ
| (ア)中性点接地 | 使用電圧300V以下で一端子可 |
| (イ)特別高圧・燃料電池 | 直流電路に接地可 |
| (ウ)高圧計器用変成器2次側 | D種接地工事 |
| (エ)電子機器接続 | 使用電圧150V以下 |
| 目的 | 保護動作確保・異常電圧抑制・対地電圧低下 |
| 答え | (3) |
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