今回は平成28年度 法規科目 A問題3、高圧の機械器具の施設(電気設備技術基準の解釈第21条)に関する問題です。発電所等以外での高圧機械器具の施設方法から、不適切なものを選びます。
ポイントは「簡易接触防護措置を施すのは充電部分が露出しない機械器具に限る」こと。露出充電部がある場合は、屋内立入禁止・さくへい・地表上4.5m以上等の別の措置が必要です。
平成28年度 法規科目 A問題3:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成28年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題3
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成28年度 A問題3
次の文章は、高圧の機械器具の施設(発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所に施設する場合を除く。)の工事例である。その内容として、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、不適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、高圧の機械器具(これに附属する高圧電線であってケーブル以外のものを含む。)の施設(発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所に施設する場合を除く。)の工事例である。その内容として、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、不適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)機械器具を屋内であって、取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所に施設した。
(2)工場等の構内において、人が触れるおそれがないように、機械器具の周囲に適当なさく、へい等を設けた。
(3)工場等の構内以外の場所において、機械器具に充電部が露出している部分があるので、簡易接触防護措置を施して機械器具を施設した。
(4)機械器具に附属する高圧電線にケーブルを使用し、機械器具を人が触れるおそれがないように地表上5mの高さに施設した。
(5)充電部分が露出しない機械器具を温度上昇により、又は故障の際に、その近傍の大地との間に生じる電位差により、人若しくは家畜又は他の工作物に危険のおそれがないように施設した。

答えは(3):簡易接触防護措置は充電部が露出しないものに限る
5つの方法のうち、四号と五号だけ前提条件が付いています——設問(3)はその前提を外したのです。
★5つの方法を整理する
| 号 | 方法 | 充電部の露出 |
| ★一号 | ★★屋内で取扱者以外が出入りできない場所 | ★★問わない |
| ★二号 | ★★周囲にさく、へい等 | ★★問わない |
| ★三号 | ★★附属電線をケーブル等にし、触れないように施設 | ★★問わない |
| ★四号 | ★★簡易接触防護措置 | ★★露出しないものに限る |
| ★五号 | ★★電位差による危険がないように施設 | ★★露出しないものに限る |
一〜三号は物理的に近づけない方法——だから充電部が露出していてもよいのです。
四号・五号は機器そのものの構造に頼る方法——露出していたら成り立ちません。
★なぜ簡易接触防護措置だけでは足りないのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 接触防護措置 | ★★接触防護措置 | ★簡易接触防護措置 | ★★手を伸ばしても触れない/容易に触れない |
| 屋内2.3m・屋外2.5m | ★★屋内2.3m・屋外2.5m | ★屋内1.8m・屋外2m | ★★0.5mの差がある |
簡易接触防護措置は「容易には触れない」だけです——脚立を使えば届きます。
高圧の充電部が露出していれば、近づくだけで放電することもあります。
だから露出充電部があるなら、より強い措置が必要——一〜三号のいずれかです。
★さくを設ける場合の高さ
| 電圧 | さくの高さ+充電部までの距離の和 |
| ★高圧 | ★★5m以上 |
| ★特別高圧 35 000V以下 | ★★5m以上 |
| ★特別高圧 35 000V超 160 000V以下 | ★★6m以上 |
さくの高さだけでは決まりません——充電部までの距離との和で判定します。
塀が高ければ近くてよい、遠ければ低くてよい——互いに補い合う関係です。
平成30年度 A問題6の発電所等への立入防止(38条)と同じ考え方です。
★高さで防ぐ場合
| 場所 | 充電部の地表上の高さ |
| ★市街地 | ★★4.5m以上 |
| ★市街地外 | ★★4m以上 |
設問(4)は地表上5m——4.5m以上を満たすので適切です。
接触防護措置の2.5mよりはるかに高い——高圧の充電部だからです。
4.5m/4mという数値も問われます。
五号の「電位差」とは
機器の外箱が地絡すると、その周辺の大地に電位分布ができます——これが電位傾度です。
人や家畜が2本の足で立つと、足の間に電位差が生じます——これが歩幅電圧(ステップ電圧)です。
牛や馬は前足と後足の距離が大きいので、特に危険——条文が「家畜」を挙げる理由です。
接触電圧と歩幅電圧
| 接触電圧 | 歩幅電圧 | |
| ★どこの電位差か | ★★手と足の間 | ★★両足の間 |
| ★経路 | ★★手→胸→足(心臓を通る) | ★★足→足(心臓を通りにくい) |
| ★対策 | ★★接地抵抗を下げる・等電位化 | ★★メッシュ接地・砕石敷き |
接触電圧のほうが危険——電流が心臓を通るからです。
変電所の地面に砕石が敷かれているのは、歩幅電圧対策——足元の抵抗を上げるのです。
発電所等が除かれる理由
21条は「発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所を除く」——そちらは38条が担当します。
発電所等は構内全体を柵で囲うので、個々の機器を守る規定は要りません。
21条は、需要場所に置かれる高圧機器が対象——キュービクルや柱上変圧器です。
実物で考える
| 設備 | 該当する号 |
| ★キュービクル | ★★四号(充電部が露出せず、扉に施錠) |
| ★電気室内の開放形受電設備 | ★★一号(取扱者以外が出入りできない) |
| ★柱上変圧器 | ★★高さで防ぐ(4.5m以上) |
| ★屋外の開放形設備 | ★★二号(さく、へい等) |
身近な設備が、条文のどの号に当たるかを考えると理解が深まります。
いまはキュービクルが主流——充電部を露出させない設計だからです。
「不適切なものを選べ」型の急所
本問は、条文の前提条件を外すという作り方です——方法自体は条文にあるものでした。
「簡易接触防護措置」という語は正しい——しかし適用できる場面が違うのです。
語だけでなく、適用条件まで覚える——正誤判定型に強くなる方法です。
低圧の機械器具はどう扱われるか
| 電圧 | 主な規定 |
| ★低圧 | ★★機械器具の金属製外箱にD種(300V超はC種)接地工事(29条) |
| ★高圧 | ★★21条の5つの方法+外箱にA種接地工事 |
| ★特別高圧 | ★★22条(原則として発電所等以外には施設しない) |
低圧は「触れても危険が小さい」ので接地で守ります——高圧は近づけないことが第一です。
電圧が上がるほど、守り方の発想が変わります——接地から隔離へ。
⏱️ 本番での進め方
① 四号・五号は充電部分が露出しない機械器具が前提。
② さくの高さ+距離の和は高圧5m以上。
③ 高さで防ぐなら市街地4.5m以上・市街地外4m以上。
④ 発電所・変電所等は除く(38条が担当)。
💡 覚え方
解釈21条=高圧の機械器具は①屋内で取扱者以外が出入りできない場所 ②周囲にさく、へい等(高さと充電部までの距離の和が5m以上)③附属高圧電線にケーブル等を使用し触れないように施設(市街地4.5m以上・市街地外4m以上)④充電部分が露出しない機械器具に簡易接触防護措置 ⑤充電部分が露出しない機械器具を電位差による危険がないように施設——のいずれかによる。
⚠️ よくある間違い
充電部が露出しているのに簡易接触防護措置だけ、は誤り——四号・五号は「充電部分が露出しない機械器具」に限られる。
まとめ
| (1)屋内 | 取扱者以外立入禁止措置→適切 |
| (2)工場構内 | 周囲にさく・へい→適切 |
| (3)充電部露出 | 簡易接触防護のみ→不適切 |
| (4)附属電線ケーブル | 地表上5m(≧4.5m)→適切 |
| (5)充電部露出せず | 電位差で危険なし→適切/答え(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・接地工事を施す場合の接地点(電気設備技術基準の解釈57):【法規】平成28年度 A問題2
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