今回は令和7年度上期 法規科目 A問題8、低圧配線及び高圧配線の施設(電気設備技術基準の解釈第167・168条)に関する空欄補充問題です。配線が弱電流電線・水管等と接近する場合の措置と、高圧屋内配線の工事方法が問われます。
押さえる2点。①ケーブル工事の低圧配線は水管等と接触しないように施設、②高圧屋内配線はがいし引き工事(展開した乾燥した場所に限る)又はケーブル工事。高圧屋内配線の工事方法は限られています。
令和7年度上期 法規科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題8
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和7年度上期 A問題8
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧配線及び高圧配線の施設に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
a)ケーブル工事により施設する低圧配線が、弱電流電線又は水管、ガス管若しくはこれらに類するもの(水管等)と接近し又は交差する場合は、低圧配線が弱電流電線又は水管等と(ア)施設すること。
b)高圧屋内配線工事は、がいし引き工事(乾燥した場所であって(イ)した場所に限る。)又は(ウ)により施設すること。
(ア) (イ) (ウ) (1) 接触しないように 隠ぺい ケーブル工事 (2) の離隔距離を10cm以上となるように 展開 金属管工事 (3) の離隔距離を10cm以上となるように 隠ぺい ケーブル工事 (4) 接触しないように 展開 ケーブル工事 (5) 接触しないように 隠ぺい 金属管工事

答えは(4):接触しないように・展開・ケーブル工事
令和元年度 A問題5は同一問題で、高圧屋内配線の工事が2択である理由を扱っています。
この記事は、2条件の意味と相手ごとの危険を掘り下げます。
★「乾燥した場所」と「展開した場所」の2条件
| 条件 | なぜ必要か |
| ★乾燥した場所 | ★★湿気があるとがいしの表面を電流が這う(トラッキング) |
| ★展開した場所 | ★★充電部が露出しているので、常に見えている必要がある |
2つの条件が「であって」で結ばれています——両方を満たさなければなりません。
湿気があれば絶縁が保てず、隠れていれば異常に気づけない——どちらか一方では不十分なのです。
「点検できる隠蔽場所」も認められません——低圧のがいし引きとの違いです。
★相手ごとの危険を考える
| 相手 | 接触するとどうなるか |
| ★弱電流電線 | ★★通信設備に高い電圧が侵入し、機器と人が危険 |
| ★水管 | ★★金属で接地電位に近く、触れれば地絡する |
| ★ガス管 | ★★火花が出れば爆発の危険 |
3者それぞれに別の危険があります——だから条文が名指しで挙げているのです。
水管は結露して濡れていることも多い——絶縁が下がりやすい環境です。
★ケーブルなら「接触しなければよい」
| 低圧配線の工事 | 弱電流電線・水管等との関係 |
| ★ケーブル工事 | ★★接触しないように施設する |
| ★合成樹脂管・金属管工事 | ★★接触しないように施設する |
| ★がいし引き工事 | ★★0.1m以上(裸電線・300V超は0.3m以上)離す |
ケーブルは絶縁被覆とシースで守られています——触れなければ十分なのです。
がいし引きは充電部が露出しているので距離が要ります——選択肢の「10cm以上」はそちらの値です。
工事の種類で要求が変わる——問題文の「ケーブル工事により施設する」が手がかりです。
★高圧に金属管工事が使えない理由
金属管工事は、絶縁電線を管に通す工法です——高圧絶縁電線には遮へい層がありません。
管の中で電線どうしが近接し、管とも近接します——高圧では絶縁が保てません。
ケーブルなら遮へい層が接地されているので安全——だから高圧はがいし引きかケーブルの2択です。
低圧屋内配線の工事と場所
| 工事 | 施設できる場所 |
| ★ケーブル工事 | ★★すべての場所 |
| ★合成樹脂管工事 | ★★すべての場所 |
| ★金属管工事 | ★★すべての場所 |
| ★がいし引き工事 | ★★展開した場所・点検できる隠蔽場所 |
| ★ライティングダクト工事 | ★★乾燥した展開した場所・点検できる隠蔽場所 |
低圧では「万能3工事」が場所を選びません——ケーブル・合成樹脂管・金属管。
高圧ではそのうちケーブル工事だけ——電圧が上がるほど選択肢が狭まるのです。
高圧屋内配線と他の屋内電線等との離隔
| 相手 | 離隔距離 |
| ★低圧屋内電線・管灯回路の配線 | ★★0.15m以上 |
| ★弱電流電線等・水管・ガス管等 | ★★0.15m以上 |
| ★がいし引きの低圧屋内電線が裸電線 | ★★0.3m以上 |
| ★耐火性の隔壁を設ける場合 | ★★離隔不要 |
高圧側は0.15m(15cm)——低圧のがいし引きの0.1mとは別の値です。
0.1/0.15/0.3という3つの数値——どの条文の話かで使い分けます。
同じ問題が繰り返し出ている
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★令和元年度 問5 | ★★3空欄 | ★★(4) |
| ★令和7年度上期 問8 | ★★同一の3空欄 | ★★(4) |
6年で再出題、選択肢も正解番号も同じ——167条・168条は狙われやすいのです。
覚えるのは3語だけ——接触しないように・展開・ケーブル工事。
がいし引き工事はなぜ残っているのか
既設の設備が今も動いているからです——古い工場やビルには残っています。
新設ではほぼケーブル工事——施工が容易で、場所も選びません。
それでも条文は両方を認め続けています——だから試験でも問われるのです。
がいし引き工事の要件(低圧)
| 項目 | 基準(300V以下) |
| ★電線 | ★★絶縁電線(OW・DVを除く) |
| ★造営材との離隔 | ★★0.025m以上 |
| ★電線相互の間隔 | ★★0.06m以上 |
| ★支持点間(造営材の上面・側面に沿う) | ★★2m以下 |
低圧のがいし引きは0.025m・0.06m——高圧の0.05m・0.08mより小さい値です。
電圧が上がれば離隔も大きくなる——この対応で覚えられます。
高圧屋内配線のケーブル工事
| 項目 | 基準 |
| ★防護装置の金属製部分 | ★★A種接地工事(接触防護措置を施せばD種でも可) |
| ★他の屋内電線等との離隔 | ★★0.15m以上(裸電線は0.3m以上) |
| ★離隔の代替 | ★★耐火性のある堅ろうな隔壁又は管 |
高圧のケーブル工事には接地の規定が付きます——金属体が充電されるおそれがあるからです。
離隔がとれないときは、耐火性の隔壁で仕切ります——「距離か仕切りか」の選択です。
特別高圧屋内配線(169条)
| 項目 | 基準 |
| ★使用電圧 | ★★100 000V以下であること |
| ★工事 | ★★ケーブル工事によること |
| ★接地 | ★★管等の金属体にA種接地工事 |
| ★他の配線との離隔 | ★★0.6m以上又は耐火性の隔壁 |
特別高圧はケーブル工事だけ——がいし引きは認められません。
低圧=多数の工事/高圧=2択/特別高圧=1択——電圧が上がるほど狭まるという原則どおりです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は接触しないように——ケーブルなら距離は不要。
② (イ)は展開——「乾燥した場所であって展開した場所」の2条件。
③ (ウ)はケーブル工事——「金属管工事」は高圧では不可。
④ 「10cm以上」はがいし引きの値。
💡 覚え方
解釈167条=ケーブル工事による低圧配線が弱電流電線・水管・ガス管等と接近・交差する場合は、接触しないように施設する(がいし引きなら0.1m以上、裸電線・300V超は0.3m以上)。解釈168条=高圧屋内配線はがいし引き工事(乾燥した場所であって展開した場所に限る)又はケーブル工事による。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「10cm以上の離隔」ではなく接触しないように——それはがいし引きの値。(イ)は「隠ぺい」ではなく展開。(ウ)は「金属管工事」ではなくケーブル工事。
まとめ
| (ア) | 接触しないように(ケーブル工事) |
| 低圧の他方式 | 離隔距離が必要な場合あり |
| (イ) | 展開(した乾燥した場所) |
| (ウ) | ケーブル工事 |
| 高圧屋内配線 | がいし引き又はケーブルのみ |
| 答え | (4) |
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