今回は令和6年度上期 法規科目 A問題4、高圧の機械器具の施設(電気設備技術基準の解釈第21条)に関する問題です。発電所・変電所等以外の場所で高圧の機械器具を施設できる方法として、誤っているものを選びます。
高圧機械器具は感電の危険が大きいので、施設方法は物理的な防護(さく・へい・箱・接触防止)が基本です。「表示(掲示)だけ」で済ませる方法はなく、危険である旨の表示+さく・へい等のように必ず物理防護とセットになる点がカギです。
答えは(3):表示だけでは施設できない
平成28年度 A問題3と平成21年度 A問題6も21条を扱っています。
この記事は、条文の改正を主軸にします。
令和6年度上期 法規科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題4
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和6年度上期 A問題4
次の記述は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく高圧の機械器具の施設について、発電所・変電所等以外の場所で施設できる場合を述べたものである。上記の記述のうち、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の記述は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、高圧の機械器具(これに附属する高圧電線であってケーブル以外のものを含む。)の施設についてである。発電所、蓄電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所以外の場所において、高圧の機械器具を施設することができる場合として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)人が触れるおそれがないように、機械器具の周囲に適当なさく、へい等を設け、当該さく、へい等の高さと、当該さく、へい等から機械器具の充電部分までの距離との和を5m以上とし、かつ、危険である旨の表示をする場合
(2)屋内であって、取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所に施設する場合
(3)工場等の構内において、機械器具の周囲に高圧用機械器具である旨の表示をする場合
(4)機械器具をコンクリート製の箱又はD種接地工事を施した金属製の箱に収め、かつ、充電部分が露出しないように施設する場合
(5)充電部分が露出しない機械器具を人が接近又は接触しないよう、さく、へい等を設けて施設する場合

★★「蓄電所」が加わっている
| 年度 | 条文の書かれ方 |
| ★平成21年度 問6 | ★★発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所 |
| ★平成28年度 問3 | ★★同上 |
| ★令和6年度上期 問4(本問) | ★★発電所、蓄電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所 |
蓄電所は、令和4年4月の電気事業法改正で新設された事業場の類型です——系統用蓄電池を設置する事業場。
保安規程の記載事項にも「蓄電所」が追加されました——制度改正が条文の各所に波及しています。
229条に「配電事業者」が加わったのと同じ流れです。
★蓄電所とは
| 項目 | 内容 |
| ★定義 | ★★構外から電気を受電し、蓄電した電気を構外へ送電する事業場 |
| ★位置づけ | ★★発電事業に含まれる(令和4年改正) |
| ★背景 | ★★再生可能エネルギーの出力変動を吸収する需要が高まった |
太陽光・風力の増加で、系統用蓄電池が急速に増えています——その法的な位置づけを整理したのが改正です。
発電所・変電所と並ぶ事業場として扱われます——だから21条の除外にも加わったのです。
★なぜ発変電所等が除かれるのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 発電所・蓄電所・変電所・開閉所等 | ★★発電所・蓄電所・変電所・開閉所等 | ★それ以外の場所 | ★★構内全体を柵で囲うか、個々の機器を守るか |
| 解釈38条が適用される | ★★解釈38条が適用される | ★解釈21条が適用される | ★★適用条文が違う |
発変電所等は、構内全体をさく・へいで囲みます——個々の機器を守る規定は要りません。
その規定が解釈38条(立入の防止)です——21条とは適用場面が違います。
21条は需要場所に置かれる高圧機器が対象——キュービクルや柱上変圧器です。
★4つの方法はすべて物理防護
| 号 | 防護の型 |
| ★一号 | ★★場所で防ぐ(取扱者以外が出入りできない屋内) |
| ★二号 | ★★囲いで防ぐ(さく、へい等+距離) |
| ★三号 | ★★箱で防ぐ(コンクリート製・金属製の箱) |
| ★四号 | ★★構造で防ぐ(充電部分が露出しない機械器具) |
どれも「人が充電部に届かない」状態をつくります——表示だけの方法は存在しません。
設問(3)は表示だけ——だから誤りです。
表示の文言にも注意
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 危険である旨の表示 | ★★危険である旨の表示 | ★高圧用機械器具である旨の表示 | ★★条文は「危険である旨」 |
| 21条=危険である旨 | ★★21条=危険である旨 | ★38条=立入りを禁止する旨 | ★★条文ごとに文言が違う |
設問(3)は「高圧用機械器具である旨」——条文の文言と違います。
物理防護がない点と、文言が違う点の二重の誤り——選択肢の作り方として丁寧です。
高さで防ぐ場合
| 場所 | 充電部の地表上の高さ |
| ★市街地 | ★★4.5m以上 |
| ★市街地外 | ★★4m以上 |
柱上変圧器がこの方法です——電柱の上にあるので手が届きません。
接触防護措置の2.5mよりはるかに高い——高圧の充電部だからです。
附属する高圧電線も対象
括弧書きは「これに附属する高圧電線であってケーブル以外のものを含む」——機器本体だけでなく電線も同じ扱いです。
電線のほうが触れやすいこともあります——だから含めるのです。
ケーブルは除かれる——遮へい層が接地され、外は大地電位だからです。
制度改正が条文に波及する
| 改正 | 波及した条文 |
| ★配電事業者の新設(令和4年) | ★★解釈229条(高圧連系保護) |
| ★蓄電所の新設(令和4年) | ★★解釈21条・保安規程(施行規則50条) |
電気事業法の改正は、解釈にも波及します——新しい事業類型が条文に加わるのです。
古い過去問には出てこない語——改正情報に目を通す価値があります。
蓄電所が新設された背景
| 時期 | できごと |
| ★2012年〜 | ★★FIT制度で太陽光・風力が急増 |
| ★2020年代 | ★★出力変動の調整力として系統用蓄電池が注目される |
| ★令和4年4月 | ★★電気事業法改正で「蓄電所」が事業場として位置づけられる |
| ★その後 | ★★解釈21条・保安規程等の条文に反映 |
再生可能エネルギーの出力は天候で大きく変動します——それを吸収するのが系統用蓄電池です。
制度が技術に追いついた例——法規科目の出題にも直結します。
解釈38条(発電所等への立入の防止)
| 要件 | 内容 |
| ★さく、へい等 | ★★設けること |
| ★特別高圧の場合 | ★★さくの高さ+充電部までの距離の和が35kV以下5m・160kV以下6m以上 |
| ★出入口 | ★★立入りを禁止する旨を表示し、施錠装置を施設して施錠 |
21条が除外する場所には、この38条が適用されます——構内全体を囲む規定です。
ここでも「物理防護+表示」の二段構え——発想は21条と同じです。
⏱️ 本番での進め方
① 21条の4つの方法はすべて物理防護——表示だけは不可。
② 表示の文言は「危険である旨」。
③ ★現行条文は「発電所、蓄電所又は変電所…」。
④ 除外されるのは38条が適用される場所だから。
💡 覚え方
解釈21条=高圧の機械器具は、発電所・蓄電所・変電所・開閉所等以外の場所では①屋内で取扱者以外が出入りできない場所 ②さく、へい等(高さ+充電部までの距離の和5m以上)+危険である旨の表示 ③コンクリート製の箱又はD種接地工事を施した金属製の箱に収め充電部を露出させない ④充電部分が露出しない機械器具に簡易接触防護措置——のいずれかにより施設する。
⚠️ よくある間違い
「表示をするだけ」では施設できない——さく、へい等の物理防護が必要。表示の文言も「危険である旨」。★現行条文には「蓄電所」が加わっている。
まとめ
| (1) | さく・へい5m以上+危険表示 → 正しい |
| (2) | 屋内立入禁止措置 → 正しい |
| (3) | 工場構内で表示のみ → 誤り(さく・へい+危険表示が必要) |
| (4) | コンクリート/D種金属箱 → 正しい |
| (5) | 充電部露出なし+さく・へい → 正しい |
| 答え | (3) |
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