今回は平成21年度 法規科目 A問題6、高圧用の機械器具の施設(電気設備技術基準の解釈第21条)に関する問題です。発変電所等以外の場所で高圧用機械器具を施設できる場合のうち、誤っているものを選びます。
ポイントは「工場等の構内でも、人が触れるおそれがないように適当なさく・へい等を設けることが必要」。単に機械器具である旨の表示をするだけでは施設できません。屋内立入禁止・箱収納・充電部露出せず等が正しい方法です。
平成21年度 法規科目 A問題6:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題6
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成21年度 A問題6
次の記述は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、高圧用の機械器具の施設について、発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所以外の場所において、高圧用の機械器具を施設することができる場合に関するものである。誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の記述は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、高圧用の機械器具(これに附属する高圧の電気で充電する電線であってケーブル以外のものを含む。)の施設について、発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所以外の場所において、高圧用の機械器具を施設することができる場合として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)機械器具の周囲に人が触れるおそれがないように適当なさく、へい等を設け、さく、へい等との高さとさく、へい等から充電部分までの距離との和を5m以上とし、かつ、危険である旨の表示をする場合。
(2)工場等の構内において、機械器具の周囲に高圧用機械器具である旨の表示をする場合。
(3)機械器具を屋内の取扱者以外の者が出入りできないように設備した場所に施設する場合。
(4)機械器具をコンクリート製の箱又はD種接地工事を施した金属製の箱に収め、かつ、充電部分が露出しないように施設する場合。
(5)充電部分が露出しない機械器具を人が容易に触れるおそれがないように施設する場合。

答えは(2):表示だけでは施設できない
平成28年度 A問題3も同じ21条で、簡易接触防護措置の前提条件を扱っています。
この記事は、「表示だけでは足りない」という点を主軸にします。
★「防護」と「表示」は二段構え
| 役割 | 手段 | 効果 |
| ★物理的に防ぐ | ★★さく、へい等・箱に収める・高さ | ★★近づけない |
| ★知らせる | ★★危険である旨の表示 | ★★注意を促す |
条文は「さく、へい等を設け……かつ、危険である旨の表示をする」——両方を求めています。
表示だけでは、読まない人・読めない人を守れません——だから物理的防護が先なのです。
設問(2)は表示だけ、しかも「高圧用機械器具である旨」——条文は「危険である旨」です。
★同じ構造が他の条文にもある
| 条 | 物理的防護 | 表示 |
| ★第21条(高圧機械器具) | ★★さく、へい等(高さ+距離5m以上) | ★★危険である旨 |
| ★第38条(発電所等への立入防止) | ★★さく、へい等・施錠 | ★★立入りを禁止する旨 |
| ★第192条(電気さく) | ★★漏電遮断器・専用開閉器 | ★★危険である旨 |
「防護+表示」はセットで求められます——どの条文でも同じ発想です。
表示の文言が条文で違う——21条は「危険である旨」、38条は「立入りを禁止する旨」。
★コンクリート製の箱・D種接地した金属製の箱
| 箱 | 要件 |
| ★コンクリート製の箱 | ★★接地は不要(絶縁体だから) |
| ★金属製の箱 | ★★D種接地工事を施す |
| ★共通 | ★★充電部分が露出しないこと |
金属の箱は、漏電すれば箱自体が充電されます——だから接地が要るのです。
コンクリートは絶縁体なので接地は不要——材料の性質で要件が変わります。
地上用変圧器(パッドマウント)がこの形——身近な例です。
★さくの高さ+距離の和が5m以上
2つの和で判定する
充電部までさらに3m離す必要がある
塀が高ければ近くてよく、低ければ遠ざける——互いに補い合う関係です。
設計の自由度を残しつつ安全を担保する巧みな書き方——38条の特別高圧でも同じ形です。
高さで防ぐ場合
| 場所 | 充電部の地表上の高さ |
| ★市街地 | ★★4.5m以上 |
| ★市街地外 | ★★4m以上 |
柱上変圧器がこの方法です——電柱の上にあるので手が届きません。
接触防護措置の2.5mよりはるかに高い——高圧の充電部だからです。
「機械器具に附属する高圧電線」も対象
条文の括弧書きは「これに附属する高圧の電気で充電する電線であってケーブル以外のものを含む」としています。
機器本体だけでなく、つながる電線も同じ扱い——電線のほうが触れやすいこともあるからです。
ケーブルは除かれる——遮へい層が接地され、外は大地電位だからです。
実物で考える
| 設備 | 該当する号 |
| ★キュービクル | ★★三号(金属製の箱・充電部が露出しない) |
| ★電気室内の開放形受電設備 | ★★一号(取扱者以外が出入りできない) |
| ★柱上変圧器 | ★★高さで防ぐ(4.5m以上) |
| ★屋外の開放形設備 | ★★二号(さく、へい等+危険表示) |
身近な設備が、条文のどの号に当たるかを考えると理解が深まります。
いまはキュービクルが主流——充電部を露出させない設計だからです。
「誤っているものを選べ」の急所
本問は、条文にある要素を1つだけ抜いた選択肢です——「表示」はあるが「さく、へい等」がない。
条文が「かつ」で結んでいる要素は、全部そろわなければなりません——1つでも欠ければ誤りです。
接続詞に印をつけて読む習慣が効きます。
特別高圧の機械器具(22条)
| 項目 | 内容 |
| ★原則 | ★★発電所等以外の場所には施設しない |
| ★例外 | ★★需要場所で使用電圧が100 000V以下の場合等 |
| ★さくの高さ+距離の和 | ★★35 000V以下5m以上・160 000V以下6m以上 |
特別高圧は原則として需要場所に置きません——高圧より一段厳しいのです。
低圧=接地で守る/高圧=隔離する/特別高圧=原則置かない——電圧で発想が変わります。
機械器具の外箱の接地(29条)
| 使用電圧 | 接地工事 |
| ★300V以下の低圧用 | ★★D種接地工事 |
| ★300Vを超える低圧用 | ★★C種接地工事 |
| ★高圧用・特別高圧用 | ★★A種接地工事 |
21条は「近づけない」規定、29条は「触れたときに守る」規定です——両方がかかります。
三号の「D種接地工事を施した金属製の箱」は、この29条とは別の規定——箱そのものの接地です。
キュービクル式受電設備
| 項目 | 内容 |
| ★構造 | ★★金属製の箱に高圧機器を収める |
| ★充電部 | ★★露出しない |
| ★扉 | ★★施錠装置を設け、施錠する |
| ★表示 | ★★「高圧危険」「関係者以外立入禁止」等 |
21条三号をそのまま製品にした形です——箱に収め、充電部を露出させない。
身近な設備が条文を体現しています——実物を思い浮かべると忘れません。
⏱️ 本番での進め方
① 二号はさく、へい等+高さと距離の和5m以上+危険表示の3点セット。
② 表示だけでは施設できない——物理的防護が先。
③ 三号はコンクリート製の箱又はD種接地した金属製の箱。
④ 表示の文言は「危険である旨」——「高圧用機械器具である旨」ではない。
💡 覚え方
解釈21条=高圧の機械器具は①屋内で取扱者以外が出入りできない場所 ②周囲にさく、へい等を設け高さと充電部までの距離の和を5m以上とし危険である旨を表示 ③コンクリート製の箱又はD種接地工事を施した金属製の箱に収め充電部を露出させない ④充電部分が露出しない機械器具に簡易接触防護措置——のいずれか。
⚠️ よくある間違い
「表示をするだけ」では施設できない——さく、へい等の物理的防護が必要。表示の文言も「危険である旨」。
まとめ
| (1)さく・へい | 高さ+距離の和5m+危険表示→適切 |
| (2)工場構内 | 表示のみ→さく・へい必要で誤り |
| (3)屋内 | 取扱者以外立入禁止→適切 |
| (4)箱収納 | コンクリート/D種金属箱+充電部露出せず→適切 |
| (5)充電部露出せず | 容易に触れない→適切 |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
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