今回は平成21年度 法規科目 A問題5、低圧電路に使用する配線用遮断器の規格(電気設備技術基準の解釈第33条)に関する空欄補充問題です。定格電流30A以下の配線用遮断器の動作特性が問われます。
覚える数値は「定格電流の1倍で動作しない・1.25倍で60分以内・2倍で2分以内に動作(30A以下)」。ヒューズとは異なる遮断器の動作特性で、1倍不動作・1.25倍・2倍がキーです。
平成21年度 法規科目 A問題5:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題5
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成21年度 A問題5
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、低圧電路に使用する配線用遮断器の規格に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる数値として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、低圧電路に使用する配線用遮断器の規格に関する記述の一部である。過電流遮断器として低圧電路に使用する定格電流30A以下の配線用遮断器(電気用品安全法の適用を受けるもの及び電動機の過負荷保護装置と短絡保護専用遮断器又は短絡保護専用ヒューズを組み合わせた装置を除く。)は、次の各号に適合するものであること。
一 定格電流の(ア)倍の電流で自動的に動作しないこと。
二 定格電流の(イ)倍の電流を通じた場合において60分以内に、また2倍の電流を通じた場合に(ウ)分以内に自動的に動作すること。
(ア) (イ) (ウ) (1) 1 1.6 2 (2) 1.1 1.6 4 (3) 1 1.25 2 (4) 1.1 1.25 3 (5) 1 2 2

答えは(3):1倍・1.25倍・2分
この条文は「動くこと」と「動かないこと」の両方を求めています——そこが遮断器の規格らしいところです。
★なぜ「1倍で動作しないこと」が要るのか
定格電流とは、連続して流してよい電流のことです——そこで落ちてしまっては設備が使えません。
保護装置は、守るだけでなく「余計に動かない」ことも品質——不要動作は停電という別の被害を生みます。
だから条文の一号は、まず不動作を要求します——「1.1倍」というダミーが入る場所です。
★配線用遮断器の動作特性(定格電流別)
| 定格電流 | 1.25倍 | 2倍 |
| ★30A以下 | ★★60分以内 | ★★2分以内 |
| ★30A超 50A以下 | ★★60分以内 | ★★4分以内 |
| ★50A超 100A以下 | ★★120分以内 | ★★6分以内 |
| ★100A超 225A以下 | ★★120分以内 | ★★8分以内 |
定格が大きいほど、許される時間が長くなります——電線が太く、熱容量が大きいからです。
本問は30A以下なので2分——「30A超50A以下なら4分」が対になるダミーです。
★ヒューズとは数値が違う
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 配線用遮断器:1倍で動作しない | ★★配線用遮断器:1倍で動作しない | ★ヒューズ:1.1倍で溶断しない | ★★不動作の基準が違う |
| 配線用遮断器:1.25倍で60分 | ★★配線用遮断器:1.25倍で60分 | ★ヒューズ:1.6倍で60分 | ★★動作の基準も違う |
| 配線用遮断器:2倍で2分 | ★★配線用遮断器:2倍で2分 | ★ヒューズ:2倍で2分 | ★★2倍のところは同じ(30A以下) |
ヒューズは1.1倍で溶断せず、1.6倍で60分以内、2倍で2分以内(30A以下)です。
遮断器のほうが1.25倍と早めに動きます——電子的・機械的に検出できるぶん、精度が高いのです。
この2つの数値セットの取り違えが、最も多い失点です。
★大きな過電流ほど速く切る理由
電流の2乗に比例するので、2倍の電流なら発熱は4倍
同じ熱量に達するまでの時間は電流の2乗に反比例する
電流が2倍になると、発熱は4倍になります——同じ温度に達するまでの時間は4分の1です。
だから1.25倍は60分、2倍は2分と大きく差がつきます——この反比例の関係が動作特性曲線の正体です。
配線用遮断器の内部構造
| 要素 | 担当する保護 |
| ★バイメタル(熱動) | ★★過負荷——じわじわ増える電流を時間をかけて検出 |
| ★電磁石(電磁) | ★★短絡——瞬時に大電流を検出して即座に引き外す |
この2つを組み合わせたものが熱動電磁式——家庭のブレーカの標準的な方式です。
過負荷はゆっくり、短絡は瞬時に——異常の性質に合わせて切り方を変えています。
なぜ除外規定があるのか
条文の括弧書きは、電気用品安全法の適用を受けるものを除きます——そちらの規格で既に担保されているからです。
また電動機の過負荷保護装置と短絡保護専用遮断器を組み合わせた装置も除かれます——役割を分担しているので、単体の特性で測れないのです。
括弧書きは飛ばさず読む——「除く」を「含む」に変えた選択肢が作れる場所です。
保護協調——上位と下位の関係
分岐回路で事故が起きたとき、落ちるべきは分岐のブレーカです。
主幹が先に落ちると、家じゅうが停電します——これが保護協調の失敗です。
下位ほど速く、上位ほど遅く動作するように選定する——動作特性の数値はそのための共通の物差しです。
漏電遮断器との違い
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 配線用遮断器=過電流を切る | ★★配線用遮断器=過電流を切る | ★漏電遮断器=地絡を切る | ★★検出する量がまったく違う |
| 電流の大きさ | ★★電流の大きさ | ★行きと帰りの電流の差 | ★★検出原理が違う |
配線用遮断器は、電線が燃えることを防ぎます——漏電遮断器は、人が感電することを防ぎます。
両方そろって初めて安全——片方だけでは守れない事故があります。
動作特性曲線の読み方
横軸に電流、縦軸に動作時間をとった両対数グラフです——右下がりの曲線になります。
1.25倍・2倍という条文の値は、この曲線が通らなければならない点です。
規格は曲線そのものではなく、通過点を定める——メーカーに設計の自由を残すやり方です。
低圧ヒューズの規格(解釈第33条)
| 定格電流 | 不溶断 | 溶断 |
| ★30A以下 | ★★1.1倍で溶断しない | ★★1.6倍で60分以内・2倍で2分以内 |
| ★30A超 60A以下 | ★★1.1倍で溶断しない | ★★1.6倍で60分以内・2倍で4分以内 |
| ★60A超 100A以下 | ★★1.1倍で溶断しない | ★★1.6倍で120分以内・2倍で6分以内 |
ヒューズは1.1倍まで溶断しない、1.6倍で60分——遮断器の1倍・1.25倍と並べて覚えます。
2倍の欄だけは遮断器と同じ数値——ここで安心して他も同じと思い込むのが失点の元です。
高圧の過電流遮断器(解釈第34条)
| 種別 | 性能 |
| ★包装ヒューズ | ★★定格の1.3倍で溶断せず、2倍で120分以内に溶断 |
| ★非包装ヒューズ | ★★定格の1.25倍で溶断せず、2倍で2分以内に溶断 |
高圧になると数値がまた変わります——低圧遮断器・低圧ヒューズ・高圧ヒューズの3系統。
「1.3倍・2倍120分」と「1.25倍・2倍2分」の対——包装か非包装かで切り替わります。
⏱️ 本番での進め方
① 1倍では動作しない——「1.1倍」はヒューズの数値。
② 1.25倍で60分以内——「1.6倍」はヒューズの数値。
③ 2倍で2分以内(30A以下)——30A超50A以下なら4分。
④ 括弧書きの除外規定も読む。
💡 覚え方
解釈33条=定格電流30A以下の配線用遮断器は、①定格電流の1倍で自動的に動作しない ②1.25倍で60分以内に動作 ③2倍で2分以内に動作。30A超50A以下は2倍で4分以内。ヒューズは1.1倍不溶断・1.6倍で60分以内。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「1.1倍」ではなく1倍——1.1倍はヒューズの値。(イ)は「1.6倍」ではなく1.25倍。(ウ)は「4分」ではなく2分(30A以下だから)。
まとめ
| 対象 | 定格電流30A以下の配線用遮断器 |
| (ア)1倍 | 自動的に動作しない |
| (イ)1.25倍 | 60分以内に動作 |
| (ウ)2倍 | 2分以内に動作 |
| 30A超50A以下 | 2倍で4分以内 |
| 答え | (3) |
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