今回は平成22年度 法規科目 A問題9、金属管工事による低圧屋内配線(電気設備技術基準の解釈第159条)に関する問題です。電線の接続・接地工事の省略・管の厚さの工事例から、誤っているものを選びます。
ポイントは「金属管内では電線に接続点を設けてはならない(接続はボックス内で行う)」。D種接地の省略(300V以下・乾燥・4m以下)やコンクリート埋込管1.2mm以上の数値も押さえます。
答えは(1):金属管内に接続点を設けてはいけない
接続点は最も故障しやすい場所——管の中では点検も補修もできません。
平成22年度 法規科目 A問題9:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題9
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成22年度 A問題9
次の記述は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、金属管工事による低圧屋内配線に関するものである。誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)絶縁電線相互を接続し、接続部分をその電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のあるもので十分被覆した上で、接続部分を金属管内に収めた。
(2)使用電圧が200Vで、施設場所が乾燥しており金属管の長さが3mであったので、管に施すD種接地工事を省略した。
(3)コンクリートに埋め込む部分は、厚さ1.2mmの電線管を使用した。
(4)電線は、600Vビニル絶縁電線のより線を使用した。
(5)湿気の多い場所に施設したので、金属管及びボックスその他の附属品に防湿装置を施した。

★なぜ管内で接続してはいけないのか
| 理由 | 内容 |
| ★点検できない | ★★接続部の緩みや発熱を確認できない |
| ★補修できない | ★★異常があっても管を壊さないと直せない |
| ★電線を引き替えられない | ★★接続点が引っかかって抜けない |
| ★放熱が悪い | ★★接続部の発熱がこもる |
だから接続は必ずボックスの中で行います——ふたを開ければ点検できるからです。
「十分に被覆したから大丈夫」という理屈は通りません——設問(1)がそれです。
★管内接続の禁止は3工事に共通
| 工事 | 管内の電線接続 | 条 |
| ★金属管工事 | ★★禁止 | ★★第159条 |
| ★合成樹脂管工事 | ★★禁止 | ★★第158条 |
| ★金属可とう電線管工事 | ★★禁止 | ★★第160条 |
| ★金属ダクト工事 | ★★可(点検できるため) | ★★第162条 |
管は中が見えないので禁止、ダクトはふたを開けられるので可——構造の違いが規定の違いになるのです。
電技7条(電線の接続)の趣旨を、工事ごとに具体化しています。
★D種接地の省略条件
| 条件 | 省略の可否 |
| ★使用電圧300V以下+管の長さ4m以下+乾燥した場所 | ★★省略できる |
| ★対地電圧150V以下+管の長さ8m以下+乾燥した場所等 | ★★省略できる |
| ★上記以外 | ★★D種接地が必要 |
設問(2)は200V・乾燥・3m——4m以下なので省略可、正しいです。
短い管なら、漏電しても触れる範囲が限られます——だから省略を認めるのです。
4mと8mの2つの条件がある——対地電圧150V以下ならさらに緩いのです。
★管の厚さ1.2mmと1mm
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| コンクリートに埋め込む=1.2mm以上 | ★★コンクリートに埋め込む=1.2mm以上 | ★その他=1mm以上 | ★★埋め込むと圧力を受ける |
| 後から直せない | ★★後から直せない | ★露出なら交換できる | ★★施工後の補修性が違う |
コンクリートに埋めた管は、後から直せません——だから厚く丈夫なものを使うのです。
打設時のコンクリートの圧力にも耐える必要があります——1.2mmという値の根拠です。
設問(3)は1.2mmなので適合、正しいです。
電線は絶縁電線(OWを除く)
| 電線 | 屋内配線での使用 |
| ★IV(600Vビニル絶縁電線) | ★★可 |
| ★HIV(600V二種ビニル絶縁電線) | ★★可(耐熱性が高い) |
| ★OW(屋外用ビニル絶縁電線) | ★★不可 |
| ★DV(引込用ビニル絶縁電線) | ★★不可 |
OWは被覆が薄く、屋内配線には使えません——屋外の架空電線用です。
設問(4)は600Vビニル絶縁電線のより線——条文どおりで正しいです。
より線を使う理由
金属管の中を通すには、電線が曲がりやすいほうが有利です——より線は可とう性があります。
ただし断面積10mm²以下なら単線でもよい——細ければ単線でも曲がるからです。
アルミ線は16mm²以下——銅より柔らかいので基準が緩いのです。
金属管工事の付属品
| 部品 | 役割 |
| ★ボックス | ★★電線の接続・分岐を行う |
| ★ブッシング | ★★管端で電線の被覆を保護する |
| ★カップリング | ★★管どうしを接続する |
| ★ロックナット | ★★管をボックスに固定する |
ブッシングがないと、管の切り口で被覆が傷つきます——そこから地絡・短絡が起きます。
小さな部品にも、条文の趣旨が反映されています。
防湿装置とは
湿気の多い場所・水気のある場所では、管の中に水が入らないようにします。
防湿型のボックス・パッキン付きのカバー等を使います——設問(5)はこれで正しいです。
水が入れば絶縁が下がり、地絡します——金属管の中は乾いていることが前提です。
合成樹脂管工事(158条)との比較
| 項目 | 金属管工事 | 合成樹脂管工事 |
| ★管内接続 | ★★禁止 | ★★禁止 |
| ★支持点間 | ★★規定なし | ★★1.5m以下 |
| ★管相互の接続 | ★★ねじ接続・カップリング | ★★差込み深さは外径の1.2倍以上(接着剤使用0.8倍以上) |
| ★接地 | ★★管にD種(300V超はC種) | ★★金属製ボックス等にD種 |
合成樹脂管は熱で伸縮するので、支持点間が短いのです——1.5m以下。
樹脂そのものは絶縁体なので、管の接地は不要——金属製のボックス等だけが対象です。
金属可とう電線管工事(160条)
| 項目 | 基準 |
| ★管の種類 | ★★2種金属製可とう電線管(1種は条件付き) |
| ★管内接続 | ★★禁止 |
| ★接地 | ★★300V以下はD種、300V超はC種 |
| ★用途 | ★★振動する機器への接続・曲がりの多い部分 |
電動機など振動する機器へは、可とう管でつなぎます——固い管では振動で壊れるからです。
ここでも管内接続は禁止——管工事に共通する原則です。
金属管の太さと電線本数
管に収める電線が多いほど、太い管が必要です——内断面積の32%以下(同一太さの場合)が目安。
電線が密集すると放熱が悪くなり、許容電流も下がります——電流減少係数がかかります。
金属ダクトの20%と数字が違う——工事ごとに基準が違うので混同しないことです。
⏱️ 本番での進め方
① 金属管内で接続点を設けない——接続はボックス内。
② D種接地は300V以下・乾燥・4m以下で省略可。
③ 管の厚さはコンクリート埋込1.2mm以上・その他1mm以上。
④ 電線は絶縁電線(OWを除く)でより線が原則。
💡 覚え方
解釈159条 金属管工事=①電線は絶縁電線(OWを除く)②より線(断面積10mm²以下は単線可)③金属管内に接続点を設けない ④管の厚さはコンクリート埋込1.2mm以上・その他1mm以上 ⑤湿気・水気のある場所は防湿装置 ⑥300V以下はD種接地(乾燥した場所で管の長さ4m以下等は省略可)。
⚠️ よくある間違い
接続部分を金属管内に収めるのは誤り——十分に被覆しても不可。接続はボックス内で行う。合成樹脂管・金属可とう電線管でも同じく管内接続は禁止。
まとめ
| (1)電線接続 | 金属管内に収めた→誤り(ボックス内で接続) |
| (2)D種省略 | 200V乾燥3m→300V以下4m以下でOK→正しい |
| (3)埋込管 | 厚さ1.2mm→1.2mm以上でOK→正しい |
| (4)電線 | 600Vビニル絶縁電線より線→正しい |
| (5)湿気場所 | 防湿装置→正しい/答え(1) |
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