電気設備技術基準の解釈89【電験3種 法規】地中電線路は耐燃措置・自動消火設備・1.2m・60cm=(2) 平成22年度 A問題7 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 平成22年度 A問題7 直接埋設は1.2m・車両なしなら60cm!土冠の深さ

今回は平成22年度 法規科目 A問題7地中電線路の施設(電気設備技術基準の解釈第120条)に関する空欄補充問題です。暗きょ式の防火措置と、直接埋設式の土冠(埋設深さ)が問われます。

覚える骨格は「暗きょ式=地中電線に耐燃措置、又は暗きょ内に自動消火設備」「直接埋設式=車両等の圧力を受ける場所1.2m以上・その他0.6m(60cm)以上の土冠」。1.2mと0.6mの土冠が定番です。

目次

平成22年度 法規科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成22年度 A問題7 問題文
平成22年度 法規科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成22年度 A問題7

 次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、地中電線路の施設に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる語句又は数値として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

a.地中電線路を暗きょ式により施設する場合は、暗きょにはこれに加わる車両その他の重量物の圧力に耐えるものを使用し、かつ、地中電線に(ア)を施し、又は暗きょ内に(イ)を施設すること。

b.地中電線路を直接埋設式により施設する場合は、地中電線は車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがある場所においては(ウ)以上、その他の場所においては(エ)以上の土冠で施設すること。ただし、使用するケーブルの種類、施設条件等を考慮し、これに加わる圧力に耐えるように施設する場合はこの限りでない。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)堅ろうな覆い換気装置60cm30cm
(2)耐燃措置自動消火設備1.2m60cm
(3)耐熱措置換気装置1.2m30cm
(4)耐燃措置換気装置1.2m60cm
(5)堅ろうな覆い自動消火設備60cm30cm
答え(ア)耐燃措置・(イ)自動消火設備・(ウ)1.2m・(エ)60cm = (2)

答えは(2):耐燃措置・自動消火設備・1.2m・60cm

電気設備技術基準の解釈 第120条(地中電線路の施設)

a 地中電線路を暗きょ式により施設する場合は、暗きょにはこれに加わる車両その他の重量物の圧力に耐えるものを使用し、かつ、地中電線に耐燃措置を施し、又は暗きょ内に自動消火設備を施設すること。/b 地中電線路を直接埋設式により施設する場合は、地中電線は車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがある場所においては1.2m以上、その他の場所においては0.6m(60cm)以上の土冠で施設すること。

暗きょ式は「火」、直接埋設式は「圧力」への備えです。

平成25年度 A問題7は同じ120条で、埋設表示2m間隔を主軸にしています。

この記事は、暗きょの防火と土冠の実務に踏み込みます

★「耐燃」と「耐熱」は違う

条文の言葉ダミー語違い
耐燃措置★★耐燃措置★耐熱措置★★燃え広がらせない/高温に耐える
延焼防止が目的★★延焼防止が目的★機能維持が目的★★守ろうとするものが違う

耐燃は「燃え移らせない」——暗きょで求められるのはこちらです。

耐熱は「熱がかかっても動き続ける」——消防設備の配線などで使う言葉です。

選択肢の「耐熱措置」は、この違いを狙ったダミーです。

★耐燃措置の実物

方法内容
★難燃シースのケーブルを使う★★シース自体が燃え広がりにくい材料
★防火テープを巻く★★既設ケーブルに後から施工できる
★防火塗料を塗る★★加熱すると発泡して断熱層をつくる
★延焼防止壁を設ける★★区画して火の伝播を止める

ケーブルの被覆は可燃物です——束ねられていると、1本の火が次々に燃え移ります

だから燃えにくくするか、消せるようにするか——条文は「又は」で両方の道を示しています

★自動消火設備という選択肢

設備特徴
★水噴霧消火設備★★細かい水滴で冷却・窒息させる
★ガス消火設備★★酸素濃度を下げる。水損がない
★泡消火設備★★油火災に有効

暗きょは人が入れる密閉空間——ガス消火では中の人が危険になります。

だから起動前の警報と退避が前提——設備を入れれば済む話ではありません

★1984年 世田谷ケーブル火災

電話局の洞道内でケーブルが燃え、約9万回線が不通になりました

工事の火花が原因で、燃え広がったケーブルが大量の煙を出しました

この事故が、地中線の防火対策を大きく前進させました——条文の背景にある実際の出来事です。

★土冠(どかん)とは

場所土冠理由
★車両等の重量物の圧力を受けるおそれがある場所★★1.2m以上★★荷重が地中に伝わるのを土で分散させる
★その他の場所★★0.6m(60cm)以上★★掘削事故から守る最低限の深さ

土冠は、地表からケーブルの上端までの土の厚さです——「埋設深さ」とほぼ同義で使われます

1.2mと0.6mはちょうど2倍——覚えやすい組合せです。

ただし書きの意味

「使用するケーブルの種類、施設条件等を考慮し、これに加わる圧力に耐えるように施設する場合はこの限りでない」

トラフに収めたり、コンクリートで防護すれば、浅くてもよいということです。

深さで守るか、構造で守るか——技術基準は手段を1つに限りません

直接埋設式の防護

方法内容
★堅ろうなトラフ★★コンクリート製の樋にケーブルを収める
★防護板★★ケーブルの上にコンクリート板を敷く
★埋設表示シート★★掘削時に先に現れて注意を促す

直接埋設式の最大の敵は、他の工事の掘削です——バックホウの爪が当たれば一発

だから物理的な防護と、気づかせる仕掛けの両方を用意します

なぜ暗きょ式には土冠の規定がないのか

条文の言葉ダミー語違い
暗きょ式=構造物が荷重を受ける★★暗きょ式=構造物が荷重を受ける★直接埋設式=土が荷重を受ける★★だから暗きょには深さの規定がない
管路式=管が荷重を受ける★★管路式=管が荷重を受ける★同上★★同じ考え方

暗きょや管が「重量物の圧力に耐える」なら、深さは問われません

直接埋設式だけが、土そのものに頼っています——だから深さの規定が要るのです。

条文の構造を理解すると、どの方式にどの規定がかかるか整理できます

地中電線路が選ばれる場面

場面理由
★都市部の幹線★★景観・用地・信頼性
★空港・港湾の周辺★★高い構造物を建てられない
★観光地・重要施設★★景観と防災
★需要密度の高い地域★★多条数を1ルートで送れる

無電柱化の流れで、地中電線路は増えています——台風や地震にも強いからです。

そのぶん、施設基準の重要性も増しているのです。

暗きょ(洞道)と共同溝

洞道共同溝
★収めるもの★★電力ケーブルが中心★★電力・通信・ガス・水道
★管理者★★電力会社★★道路管理者と各事業者
★防火措置★★必要★★必要

どちらも人が入れる構造なので、解釈120条の暗きょ式に当たります

共同溝では複数の事業者が関わるので、協議が欠かせません——電技30条の「管理者の承諾」が生きる場面です。

暗きょに入るときの安全

危険対策
★酸素欠乏★★入る前に酸素濃度を測定し、換気する
★有毒ガス・可燃性ガス★★ガス検知器で確認する
★浸水★★排水設備の確認・降雨時の作業回避
★感電★★充電部の確認・保護具の着用

地下の密閉空間は、それ自体が危険な作業環境です——酸欠は毎年のように事故が起きています

自動消火設備を設ける場合は、起動前に人が退避できる仕組みも必要です。

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は耐燃措置——「耐熱措置」ではない。
② (イ)は自動消火設備——「換気装置」ではない。
③ (ウ)(エ)は1.2m・0.6m(60cm)——2倍の関係。
④ 暗きょ式は、直接埋設式は圧力への備え。

💡 覚え方
解釈120条=暗きょ式は重量物の圧力に耐える暗きょを使い、地中電線に耐燃措置を施すか暗きょ内に自動消火設備を施設。直接埋設式の土冠は車両等の圧力を受けるおそれがある場所1.2m以上・その他0.6m(60cm)以上(圧力に耐えるように施設する場合を除く)。

⚠️ よくある間違い
(ア)は「耐熱措置」ではなく耐燃措置(イ)は「換気装置」ではなく自動消火設備。土冠は1.2m/0.6m——「60cm/30cm」ではない。

まとめ

(ア)暗きょ式の電線耐燃措置
(イ)暗きょ内自動消火設備
(ウ)直接埋設 車両圧力土冠1.2m以上
(エ)直接埋設 その他土冠0.6m(60cm)以上
ただし書き圧力に耐える施設なら緩和
答え(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・地中電線路の施設(電気設備技術基準の解釈38):【法規】令和2年度 A問題5
・低圧屋内幹線の施設(電気設備技術基準の解釈88):【法規】平成22年度 A問題6

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