今回は令和2年度 法規科目 A問題5、地中電線路の施設(電気設備技術基準の解釈第120条)に関する問題です。管路式・暗きょ式・直接埋設式の施設方法から、誤っているものを選びます。
要点は表示項目「物件の名称・管理者名・電圧」。高圧地中電線路を公道の下に管路式で施設する際、おおむね2mの間隔で表示するのはこの3つ。「許容電流」は表示項目ではありません。
答えは(2):表示するのは電圧であって許容電流ではない
平成25年度 A問題7は表示の間隔(2m)、平成22年度 A問題7は暗きょの防火と土冠を扱っています。
この記事は、表示項目そのものを主軸にします。
令和2年度 法規科目 A問題5:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和2年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題5
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和2年度 A問題5
次の記述は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく地中電線路の施設に関するものである。誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)地中電線路を管路式により施設する際、電線を収める管は、これに加わる車両その他の重量物の圧力に耐えるものとした。
(2)高圧地中電線路を公道の下に管路式により施設する際、地中電線路の物件の名称、管理者名及び許容電流を2mの間隔で表示した。
(3)地中電線路を暗きょ式により施設する際、暗きょは、車両その他の重量物の圧力に耐えるものとした。
(4)地中電線路を暗きょ式により施設する際、地中電線に耐燃措置を施した。
(5)地中電線路を直接埋設式により施設する際、車両の圧力を受けるおそれがある場所であるため、地中電線の埋設深さを1.5mとし、堅ろうなトラフに収めた。

★なぜ電圧を表示するのか
| 表示項目 | 掘削者が知りたいこと |
| ★物件の名称 | ★★何が埋まっているか(電力ケーブルか通信線か) |
| ★管理者名 | ★★誰に連絡すればよいか |
| ★電圧 | ★★どれくらい危険か(低圧か高圧か特別高圧か) |
表示は、掘削する他の工事業者に向けたものです——知りたいのは「何が」「誰の」「どれだけ危険か」。
許容電流は設備の設計値であって、危険度を示しません——掘削者には意味のない情報です。
表示の目的から考えれば、答えが決まります。
★需要場所では電圧の表示が不要
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 公道等に施設するもの | ★★公道等に施設するもの | ★需要場所に施設するもの | ★★他人が掘る/自分の敷地内 |
| 名称・管理者名・電圧 | ★★名称・管理者名・電圧 | ★名称・管理者名 | ★★需要場所では電圧が省ける |
自分の敷地内なら、図面で電圧を管理できます——だから表示を省けるのです。
公道の下は、知らない業者が掘る可能性があります——だから電圧まで表示するのです。
設問(2)は「公道の下に」とあるので、電圧の表示が必要です。
★埋設深さ1.2mと0.6m
| 場所 | 土冠 |
| ★車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがある場所 | ★★1.2m以上 |
| ★その他の場所 | ★★0.6m以上 |
設問(5)は1.5m——1.2m以上を満たすので正しいです。
基準を上回っていれば適切——「ちょうど」である必要はありません。
堅ろうなトラフに収めている点も条文どおりです。
★3方式それぞれの「圧力に耐える」
| 方式 | 何が圧力を受け止めるか |
| ★管路式 | ★★管(車両等の重量物の圧力に耐えるもの) |
| ★暗きょ式 | ★★暗きょ(同上) |
| ★直接埋設式 | ★★土(土冠1.2m/0.6m)+トラフ等 |
設問(1)(3)はどちらも「圧力に耐えるもの」——条文どおりで正しいです。
直接埋設式だけが土そのものに頼っています——だから深さの規定が要るのです。
暗きょ式の耐燃措置
設問(4)は「地中電線に耐燃措置を施した」——条文どおりで正しいです。
条文は「耐燃措置を施し、又は暗きょ内に自動消火設備」——どちらか一方でよいのです。
暗きょは人が入れる密閉空間——火災になれば煙と熱が逃げません。
表示の実物
| 形式 | 内容 |
| ★埋設標識シート | ★★ケーブルの上に敷く。掘削時に先に現れる |
| ★埋設標 | ★★地上に立てる標識 |
| ★管への直接表示 | ★★管路の表面に印字する |
「おおむね2mの間隔」でこれらを設けます——どこを掘っても目に入る間隔です。
10m間隔では、掘る場所によっては見落とします——これが平成25年度で問われた論点です。
掘削事故の実際
地中ケーブルの損傷事故は、他工事の掘削によるものが大半です——バックホウの爪が当たれば一発。
作業者が感電し、周辺が停電します——被害は電気だけにとどまりません。
だから表示が細かく定められている——条文の背景には実際の事故があります。
120条の全体像
| 項目 | 内容 |
| ★電線 | ★★ケーブルを使用する |
| ★方式 | ★★管路式・暗きょ式・直接埋設式 |
| ★表示 | ★★管路式はおおむね2m間隔で名称・管理者名・電圧 |
| ★防火 | ★★暗きょ式は耐燃措置又は自動消火設備 |
| ★深さ | ★★直接埋設式は1.2m/0.6m以上 |
120条はこの5点で構成されています——4年度分の出題を通じて、ほぼ全部が問われました。
1条文を多角的に問う——だから条文全体を押さえる必要があります。
地中電線相互の離隔(125条)
| 組合せ | 離隔距離 |
| ★低圧地中電線と高圧地中電線 | ★★0.15m以上 |
| ★低圧又は高圧と特別高圧 | ★★0.3m以上 |
| ★地中弱電流電線等(低高圧) | ★★0.3m以上 |
| ★ガス管等 | ★★1m以上 |
120条は施設方式、125条は離隔——2つをセットで押さえます。
耐火性の隔壁を設ければ離隔は不要——「距離か仕切りか」の選択です。
地中箱(マンホール・ハンドホール)
| 要件 | 内容 |
| ★構造 | ★★車両その他の重量物の圧力に耐える構造 |
| ★排水 | ★★水が滞留しないよう排水設備を設ける |
| ★ふた | ★★取扱者以外の者が容易に開けられないこと |
| ★換気 | ★★爆発性ガスが滞留するおそれがある場所には換気装置 |
地中電線路で唯一、人が中を見られる場所です——だからこそ点検の要になります。
ふたを勝手に開けられない構造が求められます——第三者の転落や感電を防ぐためです。
地中化の利点と課題
| 内容 | |
| ★利点 | ★★景観・台風や雪に強い・道路の安全性 |
| ★欠点 | ★★建設費が高い・事故点を探しにくい・復旧に時間 |
無電柱化の流れで、地中電線路は増えています——災害に強いからです。
そのぶん、施設基準の重要性も増している——120条が4年度にわたって出題される理由です。
⏱️ 本番での進め方
① 表示項目は物件の名称・管理者名・電圧——「許容電流」ではない。
② 表示の間隔はおおむね2m。
③ 需要場所では電圧の表示を省ける。
④ 直接埋設式は1.2m/0.6m以上——1.5mは基準を満たす。
💡 覚え方
解釈120条=地中電線路はケーブルを使用し、管路式・暗きょ式・直接埋設式のいずれかで施設。管路式(需要場所を除く高圧・特別高圧)はおおむね2m間隔で物件の名称・管理者名・電圧を表示(需要場所では名称と管理者名のみ)。暗きょ式は耐燃措置又は自動消火設備。直接埋設式は重量物の圧力を受ける場所1.2m以上・その他0.6m以上。
⚠️ よくある間違い
表示項目は「許容電流」ではなく電圧——掘削者が知りたいのは危険度。需要場所では電圧の表示を省ける。
まとめ
| (1)管路式の管 | 重量物圧力に耐える → 正しい |
| (2)表示 | 許容電流は誤り(正は電圧) |
| (3)暗きょ | 重量物圧力に耐える → 正しい |
| (4)暗きょ式 | 耐燃措置 → 正しい |
| (5)直接埋設 | 1.5m(≧1.2m)+トラフ → 正しい/答え(2) |
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