今回は令和6年度上期 法規科目 A問題7、高圧連系時の系統連系用保護装置(電気設備技術基準の解釈第229条)に関する空欄補充問題です。逆変換装置を用いて逆潮流有りで連系する場合に必要な保護リレーの種類が、検出すべき異常ごとに問われます。
対応を整理して覚えます。発電電圧の異常=過電圧/不足電圧リレー、系統側の短絡=不足電圧リレー・系統側の地絡=地絡過電圧リレー、単独運転=周波数上昇/低下リレー+転送遮断装置又は単独運転検出装置。この対応表がそのまま答えになります。
令和6年度上期 法規科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和6年度上期 A問題7
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく高圧連系時の系統連系用保護装置(逆潮流有り)に関する記述である。表の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく高圧連系時の系統連系用保護装置に関する記述である。「逆変換装置を用いて連系する場合」において、「逆潮流有りの場合」の保護リレー等は、表に規定する保護リレー等を受電点その他異常の検出が可能な場所に設置すること。
【表 高圧連系時の保護リレー】〔検出する異常|種類|補足〕 (ア)異常上昇|過電圧リレー|※1 / (ア)異常低下|不足電圧リレー|※1 / (イ)短絡事故|不足電圧リレー|※2 / (イ)地絡事故|(ウ)リレー|※3 / (エ)|周波数上昇リレー|※4 / (エ)|周波数低下リレー| / (エ)|転送遮断装置又は(エ)検出装置|※5※6
※2:(ア)異常低下検出用の不足電圧リレーにより検出し保護できる場合は省略できる。※3:構内低圧線に連系する場合等で、(エ)検出装置等により高速に(エ)を検出し停止・解列する場合、又は地絡方向継電装置付き高圧交流負荷開閉器から零相電圧を(ウ)リレーに取り込む場合は省略できる。※6:(エ)検出装置は、能動的方式を1方式以上含むものであること。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 発電電圧 系統側 電流差動 単独運転 (2) 発電電圧 系統側 地絡過電圧 逆充電 (3) 系統電圧 発電側 電流差動 逆充電 (4) 系統電圧 発電側 地絡過電圧 単独運転 (5) 発電電圧 系統側 地絡過電圧 単独運転

答えは(5):発電電圧・系統側・地絡過電圧・単独運転
令和2年度 A問題10も同じ保護リレー表を扱っています。
この記事は、表の注釈=省略条件を主軸にします。
★保護リレーを省略できる場合
| リレー | 省略できる条件 |
| ★系統側短絡事故用の不足電圧リレー | ★★発電電圧異常低下検出用の不足電圧リレーで検出・保護できる場合 |
| ★系統側地絡事故用の地絡過電圧リレー | ★★単独運転検出装置等により高速に単独運転を検出し停止・解列する場合、又は地絡方向継電装置付き高圧交流負荷開閉器から零相電圧を取り込む場合 |
同じリレーで2つの異常を検出できるなら、1つで足ります——不足電圧リレーは発電電圧低下も系統側短絡も検出できるからです。
別の手段で同等の保護ができるなら、省略を認める——合理的な規定です。
★なぜ短絡事故を「不足電圧」で検出できるのか
短絡すると大電流Iが流れる
だから短絡事故は「電圧の低下」として現れる
短絡事故は、需要家から見れば「電圧が下がる」現象です——だから不足電圧リレーで検出できます。
発電電圧の異常低下も同じく電圧の低下——1つのリレーで両方見られるのです。
これが※2の省略条件の理屈です。
★地絡過電圧リレー(OVGR)が使われる理由
健全時は三相が平衡しているのでV₀=0
残り2相の対地電圧が上がり、零相電圧が現れる
非接地式の高圧配電線では、地絡しても電流はわずかです——だから電流では検出しにくいのです。
そのかわり中性点の電位が大きく動きます——この零相電圧を捉えるのがOVGRです。
「地絡なのに過電圧」という名前の理由です。
★「能動的方式を1方式以上含むこと」
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 能動的方式を1方式以上含む | ★★能動的方式を1方式以上含む | ★受動的方式だけでよい | ★★受動には不感帯がある |
| 平時から変動を与える | ★★平時から変動を与える | ★移行時の変化を待つ | ★★確実性が違う |
受動的方式は、発電と負荷が均衡すると検出できません——原理的な不感帯です。
だから能動的方式を必ず含めるよう求めます——※6の意味です。
実際の製品は、受動と能動を組み合わせています。
★「発電電圧」であって「系統電圧」ではない
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 発電電圧異常上昇・異常低下 | ★★発電電圧異常上昇・異常低下 | ★系統電圧異常上昇・異常低下 | ★★OVR・UVRが見るのは分散型電源側 |
| 分散型電源自身の異常 | ★★分散型電源自身の異常 | ★系統側の事故 | ★★aの①と②の区別 |
過電圧リレー・不足電圧リレーは、分散型電源自身の電圧異常を検出します。
系統側の事故は、別の項目として並んでいます——短絡事故・地絡事故。
条文の構造で(ア)と(イ)が決まります。
継電器の記号
| 記号 | 名称 | 検出するもの |
| ★OVR(59) | ★★過電圧継電器 | ★★発電電圧の異常上昇 |
| ★UVR(27) | ★★不足電圧継電器 | ★★発電電圧の異常低下・系統側短絡 |
| ★OVGR(64) | ★★地絡過電圧継電器 | ★★系統側地絡(零相電圧) |
| ★OFR・UFR | ★★過周波数・不足周波数継電器 | ★★単独運転 |
「電流差動」というダミーが選択肢に置かれます——それは発電機や変圧器の内部故障を検出するリレーです。
系統連系では使いません——用途で見分けられます。
地絡方向継電装置付き高圧交流負荷開閉器
DGR付きPAS・UGSのことです——構内の地絡を方向まで判別して切り離します。
これがあれば零相電圧を取り込めるので、OVGRを別に設けなくてよい——※3の条件です。
既にある設備を活用する——合理的な省略条件です。
229条は4年度で問われている
| 年度 | 問われた部分 |
| ★平成30年度 問9 | ★★単独運転・再閉路・連絡用遮断器 |
| ★令和2年度 問10 | ★★短絡地絡・事業者・地絡過電圧リレー |
| ★令和6年度上期 問7(本問) | ★★保護リレー表と注釈 |
| ★令和7年度上期 問7 | ★★単独運転・再閉路・連絡(配電事業者が追加) |
4年度で問われた超頻出条文です——分散型電源は毎年のように出ます。
保護リレーの対応表を覚えれば、確実に得点できます。
低圧連系(227条)の保護リレー
| 検出する異常 | 保護リレー等 |
| ★発電電圧異常上昇 | ★★過電圧リレー |
| ★発電電圧異常低下 | ★★不足電圧リレー |
| ★系統側短絡事故 | ★★不足電圧リレー |
| ★系統側地絡事故・高低圧混触事故 | ★★単独運転検出装置 |
| ★単独運転又は逆充電 | ★★単独運転検出装置+周波数上昇・低下リレー |
高圧との違いは地絡の検出方法です——高圧はOVGRで直接、低圧は単独運転検出装置で間接。
低圧には「高低圧混触事故」が加わります——低圧側にいるからこそ危険な事故だからです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は発電電圧——OVR・UVRは分散型電源自身を見る。
② (イ)は系統側——短絡事故・地絡事故。
③ (ウ)は地絡過電圧リレー——「電流差動」ではない。
④ (エ)は単独運転——検出装置は能動的方式を1方式以上含む。
💡 覚え方
解釈229条の保護リレー表(逆変換装置・逆潮流有り)=発電電圧異常上昇は過電圧リレー、発電電圧異常低下と系統側短絡事故は不足電圧リレー、系統側地絡事故は地絡過電圧リレー、単独運転は周波数上昇・低下リレー及び転送遮断装置又は単独運転検出装置(能動的方式を1方式以上含む)。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「系統電圧」ではなく発電電圧。(ウ)は「電流差動」ではなく地絡過電圧リレー。(エ)は「逆充電」ではなく単独運転。
まとめ
| (ア)発電電圧の異常 | 過電圧リレー/不足電圧リレー |
| (イ)系統側 短絡 | 不足電圧リレー |
| (イ)系統側 地絡 | (ウ)地絡過電圧リレー |
| (エ)単独運転 | 周波数上昇/低下リレー |
| (エ)単独運転 | 転送遮断装置又は単独運転検出装置 |
| 答え | (5) |
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