電気設備技術基準の解釈18【電験3種 法規】足場金具1.8m未満で不適切は監視装置=(1) 令和5年度下期 A問題6 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 令和5年度下期 A問題6 1.8m未満に付けられる例外は?監視装置は不可

今回は令和5年度下期 法規科目 A問題6架空電線路の支持物の昇塔防止(電気設備技術基準の解釈第53条)に関する問題です。取扱者が昇降に使う足場金具等を地表上1.8m未満に施設できる例外条件のうち、不適切なものを選びます。

原則は「足場金具等を地表上1.8m未満に施設しない」(第三者のよじ登り防止)。例外は①内部格納できる構造②昇塔防止装置③さく・へい等で立入制限④山地等で人が容易に立ち入らない場所の4つ。これ以外は不適切です。

目次

令和5年度下期 法規科目 A問題6:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和5年度下期 A問題6 問題文
令和5年度下期 法規科目 A問題6 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題6

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和5年度下期 A問題6

 架空電線路の支持物に、取扱者が昇降に使用する足場金具等を地表上1.8m未満に施設することができる場合として、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、不適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)監視装置を施設する場合
(2)足場金具等が内部に格納できる構造である場合
(3)支持物に昇塔防止のための装置を施設する場合
(4)支持物の周囲に取扱者以外の者が立ち入らないように、さく、へい等を施設する場合
(5)支持物を山地等であって人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設する場合

答え不適切なのは(1)——監視装置は条文の例外にない = (1)

答えは(1):監視装置は例外に含まれない

電気設備技術基準の解釈 第53条(架空電線路の支持物の昇塔防止)

架空電線路の支持物に取扱者が昇降に使用する足場金具等を施設する場合は、地表上1.8m以上に施設すること。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。/一 足場金具等が内部に格納できる構造である場合/二 支持物に昇塔防止のための装置を施設する場合/三 支持物の周囲に取扱者以外の者が立ち入らないように、さく、へい等を施設する場合/四 支持物を山地等であって人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設する場合

★例外は4つだけ。監視装置は入りません。

平成24年度 A問題7は同一問題で、例外4つを貫く「物理的に登れなくなるか」という物差しを扱っています。

この記事は、同じ型の引っかけが解釈のどこに現れるかを追います

★「監視装置」型の引っかけは3か所に出る

求められること監視で代替できるか
★第21条(高圧機械器具)★★屋内立入禁止・さく・高さ・簡易接触防護措置★★できない
★第38条(発電所等への立入防止)★★さく、へい等・立入禁止表示・施錠★★できない
★第53条(昇塔防止)★★内部格納・昇塔防止装置・さく・山地等★★できない

3条とも「物理的に近づけない・登れない」ことを求めます——監視は1つも認められていません

だから「監視装置を施設した」という選択肢は、どの条文でも誤り——解答の型として覚えられます

逆に監視装置が出てくるのは、常時監視をしない発電所(47条の2)——そちらは「異常を知る」ための規定です。

★なぜ監視では代替できないのか

$$t_{\text{登る}} \ll t_{\text{駆けつける}}$$
第三者が登り切るまでの時間と、通報を受けて到着するまでの時間
登るのは数十秒、到着には数分〜数十分かかる
$$\Rightarrow \text{事故が先に起きる}$$
監視で防げない理由
見ていても間に合わない

高圧・特別高圧では、触れなくても近づけば放電します——登り切る前に決着がついてしまうのです。

「駆けつける時間がある」という前提が成り立たない——これが監視を例外にできない理由です。

★昇柱作業の安全

対策内容
★安全帯(墜落制止用器具)★★柱に回して身体を保持する
★昇柱器(足場ボルト・柱上作業車)★★安全に上がる手段を確保する
★停電・検電・接地★★作業前に無電圧を確認し、短絡接地を施す
★防護具・絶縁用保護具★★活線近接作業では絶縁手袋等を着用する

足場金具は、こうした作業のために必要なものです——なくすわけにはいきません

だから「地表上1.8m以上」という高さで折り合いをつけます——取扱者ははしごを使えばよいのです。

★1.8mという高さの意味

数値使われる場面
★1.8m★★足場金具の下限(53条)/簡易接触防護措置(屋内)
★2.0m★★簡易接触防護措置(屋外)
★2.3m★★接触防護措置(屋内)
★2.5m★★接触防護措置(屋外)

1.8mは「背伸びしても手が届きにくい高さ」です——簡易接触防護措置(屋内)と同じ値

「2.0m」というダミーが定番——1.8mという半端な数字ごと覚えます

支持物によじ登る事故

鉄塔や電柱によじ登った第三者の感電事故は、実際に何件も起きています

多くは子どもや、酒に酔った人によるもの——「登ろうとする人はいない」という前提は成り立たないのです。

だから物理的に防ぐしかない——条文の厳しさには理由があります

昇塔防止装置の実物

装置
★忍び返し★★とげ状の金具を放射状に取り付ける
★ステップボルトのカバー★★足場金具を筒状の覆いで囲う
★可動式ステップ★★使うときだけ引き出す構造にする

鉄塔の下部に円錐状の金具が付いているのを見たことがある方も多いはずです。

あれが条文の「昇塔防止のための装置」——身近な景色と条文が結びつきます

「山地等」の読み方

条文の言葉ダミー語違い
容易に立ち入るおそれがない★★容易に立ち入るおそれがない★人が立ち入らない★★絶対に来ないことまでは求めない
山地等★★山地等★私有地★★地形として入りにくいこと

「容易に」という語が入っているのがポイントです——誰も来ないことまでは要求していません

柵で囲えない山中の鉄塔まで規制すると、実務が回りません——合理性を保つための例外です。

同じ問題が繰り返し出ている

年度問われ方正解番号
★平成24年度 問7★★例外に当たらないものを選ぶ★★(1)
★平成30年度 問7★★空欄補充(1.8m・内部に格納・容易に)★★(5)
★令和5年度下期 問6★★平成24年度と同一(本問)★★(1)

11年ぶりに、選択肢まで同じ形で再出題されました——正解番号も同じ(1)です。

解釈53条は確実に得点したい条文——覚えるのは例外4つだけです。

架空電線路の支持物の種類

支持物主な用途
★鉄塔★★送電線(特別高圧)
★鉄柱・鉄筋コンクリート柱★★配電線・小規模な送電線
★木柱★★現在はほとんど使われない

条文は「支持物」と包括的に書いています——種類を問わず昇塔防止が要るのです。

身近な電柱にも、地上付近には足場ボルトがありません——この条文が効いているのです。

支持物の強度に関する規定

項目基準
★木柱の安全率(高圧保安工事)★★2.0以上
★支線の安全率★★2.5以上
★支線の引張荷重★★10.7kN以上
★根入れ(全長15m以下の柱)★★全長の6分の1以上

昇塔防止は「登らせない」規定、これらは「倒れない」規定です。

支持物には両方がかかります——50条台をまとめて眺めると位置づけが見えます

⏱️ 本番での進め方
① 例外は4つ——格納・昇塔防止装置・さくへい・山地等。
監視装置は例外にない——登ることを物理的に防げないから。
③ 同じ型の引っかけが21条・38条にも出る。
④ 高さは1.8m——2.0mではない。

💡 覚え方
解釈53条=足場金具等は地表上1.8m以上。例外は①内部に格納できる構造 ②昇塔防止装置 ③周囲にさく・へい等 ④山地等で人が容易に立ち入るおそれがない場所——の4つ。監視装置は含まれない。同じ発想が21条(高圧機械器具)・38条(発電所等への立入防止)にもある。

⚠️ よくある間違い
監視装置は例外に含まれない——「見張れば安全」という発想は、物理的に防ぐ規定には通らない。例外は4つで固定——数ごと覚える。

まとめ

原則足場金具等は地表上1.8m未満に施設しない
(1)監視装置例外外 → 不適切
(2)内部格納構造例外 → 適切
(3)昇塔防止装置例外 → 適切
(4)さく・へい等例外 → 適切
(5)山地等例外 → 適切/答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・高圧の機械器具の施設(電気設備技術基準の解釈17):【法規】令和5年度下期 A問題4
・高圧架空引込線の施設(電気設備技術基準の解釈14):【法規】令和6年度上期 A問題6

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