電子回路38【電験3種 理論】アナログ変調・復調と振幅変調回路の変調度を攻略する!平成20年度 B問題18 完全解説

電験3種 理論科目 電子理論(電子回路) 平成20年度 B問題18 変調と復調のしくみ!AM回路の変調度は何%?

今回は平成20年度 理論科目 B問題18(選択問題)を解説します。無線通信で行われるアナログ変調・復調について、(a)変調の基本原理の空欄補充、(b)トランジスタによる振幅変調回路と変調度を求める問題です。

情報を送るには信号波より高い周波数の搬送波に信号波を乗せ(変調)、受信側で元の信号波を取り出します(復調=検波)。振幅変調はトランジスタのベースに信号波を加えて行い、変調度はm=(Vmax−Vmin)/(Vmax+Vmin)で求めます。

目次

平成20年度 理論科目 B問題18:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 電子回路 平成20年度 B問題18 問題文
平成20年度 理論科目 B問題18 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題18

電験3種 理論科目 【電子理論(電子回路)】 平成20年度 B問題18

 無線通信で行われるアナログ変調・復調について、次の(a)及び(b)に答えよ。図1はトランジスタを用いた振幅変調回路、図2は搬送波・信号波・変調波の波形(a)(b)(c)を示す。

(a) 無線通信で音声や画像などの情報を送る場合、信号波より(ア)周波数の搬送波に信号波を含ませて送信し、受信側では(イ)の成分だけを取り出す。(ウ)の搬送波を用いる基本的な変調方式にAM・FM・PMがあり、変調された波から元の信号波を取り出す操作を(エ)という。空欄(ア)〜(エ)の組合せとして正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)高い信号波のこぎり波検波
(2)低い搬送波正弦波検波
(3)高い搬送波のこぎり波増幅
(4)低い信号波のこぎり波増幅
(5)高い信号波正弦波検波

(b) 図1はトランジスタの(ア)に信号波の電圧を加えて振幅変調を行う回路で、v1は搬送波、v2は信号電圧、v3は出力である。図2の(a)(b)(c)は搬送波・信号波・変調波のいずれかの波形を示す。搬送波は(イ)、信号波は(ウ)、変調波は(エ)であり、変調波の包絡線から変調度は(オ)である。空欄(ア)〜(オ)の組合せとして正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)ベース図2(c)図2(a)図2(b)33%
(2)コレクタ図2(c)図2(b)図2(a)67%
(3)ベース図2(b)図2(a)図2(c)50%
(4)エミッタ図2(b)図2(c)図2(a)67%
(5)コレクタ図2(c)図2(a)図2(b)33%

解説①:(a) 変調と復調の基本を整理する

GPT Image 2で作成したアナログ変調と復調の流れ図
高周波の正弦波搬送波へ情報を載せ、受信側で信号波を検波します。

信号波より高い周波数の正弦波搬送波に情報を載せ、受信側で信号波を検波するため(a)は(5)です。(b)はベース変調で、図2(a)が信号波、(b)が変調波、(c)が搬送波。包絡線からm=(4−2)/(4+2)=1/3≈33%となり選択肢(1)です。

解説②:(b) 3つの波形を見分ける

GPT Image 2で作成した信号波・変調波・搬送波の比較図
低周波、振幅がうねる高周波、振幅一定の高周波を見分けます。

(ア) 信号波より【高い】周波数の搬送波

音声は数十Hz〜数kHzで、そのまま電波にすると波長が数百kmにもなり、実用的なアンテナで送れません数百kHz以上の高い周波数の波に載せて送ります

(イ) 受信側は【信号波】の成分だけを取り出す

搬送波は情報を運ぶ「乗り物」です。目的地に着いたら乗り物は不要——必要なのは中身の信号波だけです。

(ウ) 【正弦波】の搬送波を用いる基本的な変調方式

正弦波のパラメータは「振幅・周波数・位相」の3つそのどれを変えるかで AM・FM・PM の3方式——3つしかないのはパラメータが3つしかないからです。

変調方式何を変化させるか特徴用途
振幅変調(AM)搬送波の振幅回路が簡単・雑音に弱い中波ラジオ・航空無線
周波数変調(FM)搬送波の周波数雑音に強い・帯域が広いFMラジオ・音声通信
位相変調(PM)搬送波の位相FMと近い性質ディジタル通信

(エ) 復調の別名は【検波】

「増幅」ではありません増幅は信号を大きくする操作で、変調波から信号波を取り出す操作ではない——この違いを突いた選択肢が用意されています

答え(a) (ア)高い (イ)信号波 (ウ)正弦波 (エ)検波 → 選択肢(5)

解説③:包絡線から変調度と選択肢を求める

GPT Image 2で作成したAM波の包絡線と変調度導出図
Amax=4、Amin=2より変調度は約33%です。
図2の波形見た目正体対応する電圧
(a)低周波の正弦波信号波\(v_2\)
(b)高周波だが振幅がうねる変調波\(v_3\)
(c)高周波で振幅一定搬送波\(v_1\)

(ア)は【ベース】です。信号波をベースに加えると、ベース電流が信号波に応じて増減し、増幅された搬送波の振幅もそれに応じて変わります——これが振幅変調です。

$$A_{\max}=4\ \text{目盛},\quad A_{\min}=2\ \text{目盛}$$
❶ 包絡線を読む
太い所と細い所
$$m=\frac{A_{\max}-A_{\min}}{A_{\max}+A_{\min}}=\frac{2}{6}=\frac{1}{3}$$
❷ 変調度
$$m\fallingdotseq33\ \%$$
❸ 百分率に
答え(b) (ア)ベース (イ)図2(c) (ウ)図2(a) (エ)図2(b) (オ)33 % → 選択肢(1)

誤答の正体:どこに信号を加えるかと、変調度の定義

(ア)がベースかコレクタかエミッタか——本問の原理図はベース変調です。ここで(2)(4)(5)が消えます

残る(1)と(3)は波形の対応が違います搬送波は「振幅一定の高周波」=図2(c)——(3)は搬送波を(b)としており誤りです。

変調度の誤り方計算
\((A_{\max}-A_{\min})/A_{\max}\)\((4-2)/4\)50 %
\(A_{\min}/A_{\max}\)\(2/4\)50 %
\(A_{\min}/(A_{\max}-A_{\min})\)\(2/2\)100 %
◎ 正しい定義\((4-2)/(4+2)\)33 %

⚠️ よくある間違い
変調度の分母は「差」ではなく「和」です。\((A_{\max}+A_{\min})/2\) が搬送波の振幅、\((A_{\max}-A_{\min})/2\) が信号波の振幅——その比が変調度、と意味から思い出せば間違えません。

深掘り①:変調度が意味するもの

変調度100 %のとき、包絡線の細いところがちょうど振幅ゼロになります。これが「めいっぱい変調をかけた」状態です。

100 %を超えると包絡線が反転して食い込み、元の信号波の形が壊れます——過変調受信側で正しく復調できず、ひずんだ音になります

小さすぎると信号の割合が小さく、雑音に埋もれます実用上は80〜90 %程度——大きすぎず小さすぎずを狙います。

💡 覚え方
変調度=信号波の振幅 ÷ 搬送波の振幅包絡線の「太さの変化分」が信号、「平均の太さ」が搬送波——この対応が見えれば公式は思い出せます

深掘り②:AM波の周波数成分と占有帯域

$$v=A(1+m\cos\omega_st)\cos\omega_ct$$
❶ AM波の式
振幅が信号で揺れる
$$=A\cos\omega_ct+\frac{mA}{2}\cos(\omega_c+\omega_s)t+\frac{mA}{2}\cos(\omega_c-\omega_s)t$$
❷ 展開
3つの正弦波の和
$$\text{占有帯域}=2f_s$$
❸ 帯域幅
上下の側波の間隔

\(f_c\pm f_s\) を側波(サイドバンド)と呼びます。情報は側波にだけ入っていて、搬送波そのものには情報がありません

だから搬送波を送らず側波だけ送るSSB方式があります。電力も帯域も節約でき、短波通信やアマチュア無線で使われます

AMラジオの局間隔が9 kHzなのは、音声を4.5 kHzまで送ると帯域が9 kHzになるからです。数字にちゃんと理由があります

深掘り③:検波回路のしくみ

もっとも基本的なのがダイオード検波(包絡線検波)です。❶ダイオードで波の半分を切り落とし、❷コンデンサで高周波成分をならす——残るのが包絡線=信号波です。

コンデンサの時定数の選び方が肝心です。短すぎると高周波が残り、長すぎると信号波の変化に追従できません——搬送波の周期より長く、信号波の周期より短く

FMの復調はもっと複雑で、周波数の変化を電圧の変化に直す回路(周波数弁別器)が必要です。AMの回路が単純なのは、包絡線をなぞるだけで済むからです。

⏱️ 本番での進め方
❶ 波形は3種類だけ:低周波正弦波=信号波、高周波一定=搬送波、うねる=変調波。
❷ (ア)がベースかコレクタかで選択肢が大きく絞れる
❸ 変調度は \((A_{\max}-A_{\min})/(A_{\max}+A_{\min})\)——分母は「和」。
❹ 「復調=検波」「増幅ではない」——語句の言い換えを押さえる。

出題履歴:★令和6年度上期にほぼそのまま再出題された

本問は令和6年度上期B問題18として、文章も図もほぼそのまま再出題されています。ただし選択肢の並び順が変わっており、(a)は本問で(5)、令和6年度上期では(2)——番号ではなく中身で覚えてください

変調・復調は理論科目では珍しく計算がほとんど要らないテーマです。波形の見分けと変調度の式さえ押さえれば確実な得点源になります。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

★同型問題:【理論】令和6年度上期 B問題18とほぼ同じ

この問題は 【理論】令和6年度上期 B問題18 と選択肢の並び順だけ違うだけの、実質同じ問題です。解き方も答えの中身も変わりません

項目平成20年度 B問題18令和6年度上期 B問題18
(a)の中身高い・信号波・正弦波・検波同じ
(a)の選択肢番号(5)(2) ★ここが違う
(b)の中身ベース・(c)・(a)・(b)・33 %同じ
(b)の選択肢番号(1)(5) ★ここが違う

★注意すべきは「選択肢の番号が違う」ことです。過去問の答えを番号で暗記していると、そのまま外します——必ず本文の中身で判断してください

▼あわせて解きたい同型問題:【理論】令和6年度上期 B問題18

まとめ

(a)搬送波信号波より高周波(正弦波)
(a)復調検波→(ア)高い・(イ)信号波・(ウ)正弦波・(エ)検波→(5)
(b)変調端子ベース
(b)波形搬送波=図2(c)・信号波=図2(a)・変調波=図2(b)
(b)変調度(4−2)/(4+2)≒33%→(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・トランジスタの3つの接地方式(電子回路37):【理論】平成20年度 A問題13

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