電気及び電子計測42【電験3種 理論】電流力計形電力計の測定原理と端子接続方法を理解する!平成18年度 A問題14 完全解説

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成18年度 A問題14 電力計の正しいつなぎ方!電流力計形の原理とは?

今回は平成18年度 理論科目 A問題14を解説します。2個の固定コイル(A・C)と1個の可動コイル(B)からなる計器の測定原理(計器の種類・使用回路・端子接続)に関する空欄を埋める問題です。

固定コイルと可動コイルの2つのコイルに電流を流し、その積に比例するトルクで動く計器は電流力計形。電流の向きが両コイルで同時に反転するため、交流でも一定方向のトルクが得られ、交流・直流両用で電力測定に使われます。

目次

平成18年度 理論科目 A問題14:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成18年度 A問題14 問題文
平成18年度 理論科目 A問題14 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 A問題14

電験3種 理論科目 【電気及び電子計測】 平成18年度 A問題14

 2個の固定コイル(A・C)と1個の可動コイル(B)で構成される計器について、その測定原理、種類(ア)、使用回路(イ)、及び電流コイル・電圧コイルの端子接続方法(ウ)を答える。この計器を電力計として用いる。

計器の種類(ア)、使用回路(イ)、端子接続方法(ウ)の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)
(1)電流力計形交流及び直流固定=電流(直列)・可動=電圧(並列)
(2)誘導形交流専用固定=電圧(並列)・可動=電流(直列)
(3)可動鉄片形交流及び直流固定=電流(直列)・可動=電圧(並列)
(4)電流力計形交流専用固定=電圧(並列)・可動=電流(直列)
(5)誘導形交流及び直流固定=電圧(並列)・可動=電流(直列)

出題のポイント:コイルが3つあれば電流力計形

固定コイル2個+可動コイル1個という構成は、電流力計形の特徴です。2つの電流の【積】に比例した力で動く——だから電力(電圧×電流)が測れます

積に比例するので、交流で両方の電流が同時に反転しても力の向きは変わりませんだから交流でも直流でも使えます——(イ)は「交流及び直流」です。

電流力計形の動作原理
$$F\propto i_1i_2\ \Rightarrow\ \text{指示}\propto\overline{i_1i_2}=VI\cos\theta$$

2つの電流の積の平均が、そのまま有効電力 \(VI\cos\theta\) になります。力率が自動的に含まれるのが電力計の要点です。

解説:3つの空欄を順に埋める

(ア) 計器の種類 → 電流力計形

固定コイルが2個で可動コイルが1個——2つの磁界の相互作用で力が生じる構造です。永久磁石を使わないのが可動コイル形との決定的な違いです。

誘導形は円板と回転磁界を使う構造可動鉄片形はコイル1個と鉄片——どちらもコイルが3個という構成にはなりません

(イ) 使用回路 → 交流及び直流

力が2つの電流の【積】に比例します。交流では両方の電流が同時に反転するので、マイナス×マイナスでプラス——力の向きは変わりません

だから交流でも針は一定方向に振れます直流ならもちろんそのまま——交直両用です。

(ウ) 端子接続 → 固定コイル=電流(直列)、可動コイル=電圧(並列)

固定コイルは太い線を巻けるので、大きな負荷電流を流す電流コイルに向いています負荷と直列につなぎます。

可動コイルは細い線しか使えず、しかも動くので電流を大きくできませんだから直列抵抗をつけて電圧コイルとし、負荷と並列につなぎます。

答え(ア)電流力計形 (イ)交流及び直流 (ウ)固定=電流(直列)・可動=電圧(並列) → 選択肢(1)

誤答の正体:種類さえ決まれば一気に絞れる

選択肢(ア)(イ)(ウ)判定
(1)電流力計形交流及び直流固定=電流・可動=電圧◎ 正解
(2)誘導形交流専用固定=電圧・可動=電流(ア)が誤り
(3)可動鉄片形交流及び直流固定=電流・可動=電圧(ア)が誤り
(4)電流力計形交流専用固定=電圧・可動=電流(イ)(ウ)が誤り
(5)誘導形交流及び直流固定=電圧・可動=電流3つとも誤り

(ア)が「電流力計形」と決まれば、残るのは(1)と(4)だけです。あとは(イ)が交直両用か交流専用か——積に比例するから交直両用で(1)に決まります。

誘導形が交流専用なのは、回転磁界を作るのに交流が必要だからです。直流では磁界が変化せず、渦電流も生じません

⚠️ よくある間違い
固定コイルと可動コイルの役割を逆にするのが典型的な誤りです。「大きな電流は動かない側(固定)に流す」——可動部分に太い線をつなぐと、その線の張力で針の動きが妨げられます

深掘り①:なぜ電力が測れるのか

$$i_1=\sqrt2I\sin\omega t\quad(\text{電流コイル})$$
❶ 負荷電流
$$i_2\propto v=\sqrt2V\sin(\omega t+\theta)\quad(\text{電圧コイル})$$
❷ 負荷電圧に比例
直列抵抗で電流に変換
$$F\propto i_1i_2\propto2VI\sin\omega t\sin(\omega t+\theta)$$
❸ 力は積に比例
$$\overline{F}\propto VI\cos\theta$$
❹ 1周期の平均
そのまま有効電力

積和の公式を使うと、\(2\sin A\sin B=\cos(A-B)-\cos(A+B)\)第1項が定数 \(\cos\theta\)、第2項は1周期で平均するとゼロ——残るのが \(VI\cos\theta\) です。

力率が自動的に含まれるのがポイントです。電圧計と電流計の指示を掛けただけでは皮相電力 \(VI\)——有効電力を測るには電力計が要ります

深掘り②:計器の種類を一覧で

種類動作原理使える電源指示する値主な用途
可動コイル形永久磁石と電流の力直流のみ平均値直流電流計・電圧計
可動鉄片形磁界による鉄片の吸引交流・直流実効値交流電流計・電圧計
電流力計形2つのコイルの電流の積交流・直流実効値電力計
整流形整流して可動コイル形へ交流平均値×1.11安価な交流計
誘導形回転磁界による渦電流交流のみ実効値電力量計
静電形電極間の静電力交流・直流実効値高電圧計

「積に反応する」のは電流力計形だけです。だから電力計といえば電流力計形——他の計器は電流か電圧の一方しか測れません

電流力計形は電圧計・電流計としても使えます2つのコイルに同じ電流を流せば力は電流の二乗に比例——実効値を指示する交直両用計器になります。

深掘り③:電力計の正しいつなぎ方

電力計には4本の端子があります。電流コイルの2端子と電圧コイルの2端子——それぞれ直列・並列につなぎます

コイルつなぎ方求められる性質理由
電流コイル(固定)負荷と直列抵抗が小さい電圧降下を作らないため
電圧コイル(可動)負荷と並列抵抗が大きい電流を取らないため

「±」印のついた端子を電源側でそろえるのが接続の決まりです。逆にすると針が逆に振れます——二電力計法で「逆振れ」が起きるのはこの原理です。

電圧コイルを負荷側につなぐか電源側につなぐかで、電流コイルの損失を含むか、電圧コイルの損失を含むかが変わります負荷が大きいなら電圧コイルを負荷側に——電圧降下法と同じ考え方です。

深掘り④:電力計と電力量計の違い

電力計電力量計
測るもの電力 \([\mathrm{W}]\)(そのときの値)電力量 \([\mathrm{kW\cdot h}]\)(積算値)
方式電流力計形誘導形
表示指針の振れ円板の回転数を計数
使える電源交流・直流交流のみ
身近な例実験室の電力計家庭の電力メーター

電力量計は「電力×時間」を積算します。円板の回転速度が電力に比例し、回転数の合計が電力量——アナログの積分器です。

💡 覚え方
コイル3個(固定2+可動1)=電流力計形=電力計「積に比例するから交直両用」「太い線は固定側」——この3点で(ア)(イ)(ウ)がすべて決まります

⏱️ 本番での進め方
❶ コイルの構成で種類を決める:固定2+可動1なら電流力計形。
❷ 積に比例 → 交直両用
❸ 太い線を流す電流コイルは固定側、細い電圧コイルは可動側
❹ (ア)が決まれば選択肢は2つに減る——組合せ問題の定石。

出題履歴:電力計の原理は計測の中心テーマ

電流力計形の原理は、二電力計法や力率測定とセットで問われます令和5年度上期A問題14の二電力計法でも「逆振れ」の理解に必要——原理を押さえておくと応用が利きます

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

(ア)種類電流力計形(固定×可動の積)
(イ)使用回路交流及び直流
(ウ)接続固定=電流(直列)・可動=電圧(並列)
原理トルク∝電流×電圧∝電力
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・可動コイル形と多重範囲電流計(電気及び電子計測41):【理論】平成19年度 B問題16

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