電気及び電子計測37【電験3種 理論】偏位法・零位法とケルビンダブルブリッジ(低抵抗測定)を攻略する!平成21年度 B問題15 完全解説

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成21年度 B問題15 低抵抗はどう測る?ケルビンダブルブリッジを攻略!

今回は平成21年度 理論科目 B問題15を解説します。(a)測定法(偏位法・零位法)の空欄、(b)低い抵抗の測定に用いるケルビンダブルブリッジの平衡条件を導く問題です。

零位法は既知量を測定量に平衡させる精密測定で、代表例がブリッジや直流電位差計。ケルビンダブルブリッジは、低抵抗測定で問題になるリード線抵抗rの影響を、P/Q=p/qの平衡条件で消去できるのが特徴です。

目次

平成21年度 理論科目 B問題15:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 平成21年度 B問題15 問題文
平成21年度 理論科目 B問題15 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題15

電験3種 理論科目 【電気及び電子計測】 平成21年度 B問題15

 電気計測に関する記述について、次の(a)及び(b)に答えよ。

(a) 指示計器のように測定量を指針の振れの大きさに変えて指示から測定量を知る方法を(ア)法という。これに比較して精密な測定を行う場合に用いられる(イ)法は、測定量と同種類で大きさを調整できる既知量を別に用意し、既知量を測定量に平衡させて既知量の大きさから測定量を知る方法である。(イ)法を用いた測定器の例としては、ブリッジや(ウ)がある。

(b) 図はケルビンダブルブリッジの原理図。Rxは未知抵抗、Rsは可変抵抗、P・Q・p・qは固定抵抗。Rxのリード線抵抗が固定抵抗r及び電源側の接続線に含まれる構成で、低い抵抗の測定に適する。固定抵抗P・Q・p・qが(ア)=0の条件を満たし、Rs・rで平衡しているとき Rx=(イ)Rsが求まる。閉回路I・IIのキルヒホッフ第2法則 Pi1=RxI+pi2…①、Qi1=RsI+qi2…②、分流 (p+q)i2=r(I−i2) から i2/I=(ウ)を用いる。

(a) 測定法に関する空欄(ア)(イ)(ウ)の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)
(1)偏位零位直流電位差計
(2)偏位差動誘導形電力量計
(3)間接零位直流電位差計
(4)間接差動誘導形電力量計
(5)偏位零位誘導形電力量計

(b) ケルビンダブルブリッジの空欄(ア)(イ)(ウ)(式⑤ Rx=(イ)Rs+(ア)qK、式④ i2/I=(ウ))の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)
(1)P/Q−p/qP/Qr/(p+q+r)
(2)p/q−P/QP/qp/(p+r)
(3)p/q−P/QQ/pq/(q+r)
(4)Q/P−q/pQ/Pr/(p+q+r)
(5)P/Q−p/qP/Qp/(p+q+r)
図 ケルビンダブルブリッジの原理図(未知Rx・可変Rs・固定P/Q/p/q・リード抵抗r)(問題図)
図 ケルビンダブルブリッジの原理図(未知Rx・可変Rs・固定P/Q/p/q・リード抵抗r)(問題図)

出題のポイント:ダブルブリッジはリード線抵抗を打ち消す仕掛け

低い抵抗を測るとき、リード線や接触部の抵抗(数mΩ)が測定値に混ざってしまいます1 Ω を測るのに 0.01 Ω の誤差が入れば 1 %——無視できません

ケルビンダブルブリッジは、\(P/Q=p/q\) という条件を満たすことで、リード線抵抗 \(r\) の影響を式から消します——これが「ダブル(2組のブリッジ)」の意味です。

ケルビンダブルブリッジの平衡条件
$$R_x=\frac{P}{Q}R_s+\left(\frac{P}{Q}-\frac{p}{q}\right)qK,\qquad K=\frac{r}{p+q+r}$$$$\frac{P}{Q}=\frac{p}{q}\ \Rightarrow\ R_x=\frac{P}{Q}R_s$$

第2項の係数が \(P/Q-p/q\)——これをゼロにすれば \(r\) が完全に消えます

解説(a):偏位法・零位法とその例

空欄答え説明
(ア)偏位指針の振れの大きさから測定量を知る
(イ)零位既知量を平衡させ、既知量の大きさから知る
(ウ)直流電位差計ブリッジと並ぶ零位法の代表例

誘導形電力量計は偏位法の例です(円板の回転を計数する)。零位法の例には挙げられません——だから(2)(4)(5)は誤りです。

「間接」は別の分類軸です。直接測定/間接測定は「そのまま測るか計算で出すか」——偏位法/零位法とは切り口が違います

答え(a) 偏位・零位・直流電位差計 → 選択肢(1)

解説(b):3つの式から平衡条件を組み立てる

(ウ) 分流の式から \(i_2/I\)

$$(p+q)i_2=r(I-i_2)$$
❶ 与えられた分流の式
\(p+q\) と \(r\) が並列
$$(p+q+r)i_2=rI$$
❷ 整理
$$\frac{i_2}{I}=\frac{r}{p+q+r}=K$$
❸ (ウ)の答え

(ア)(イ) キルヒホッフの2式から \(R_x\)

$$Pi_1=R_xI+pi_2\quad\text{…①}$$
❹ 閉回路I
$$Qi_1=R_sI+qi_2\quad\text{…②}$$
❺ 閉回路II
$$\frac{P}{Q}=\frac{R_xI+pi_2}{R_sI+qi_2}$$
❻ ①÷②で \(i_1\) を消す
$$R_x=\frac{P}{Q}R_s+\left(\frac{P}{Q}q-p\right)\frac{i_2}{I}$$
❼ \(R_x\) について解く
$$=\frac{P}{Q}R_s+\left(\frac{P}{Q}-\frac{p}{q}\right)qK$$
❽ \(q\) でくくる
(ア)と(イ)が出る
答え(b) (ア)\(P/Q-p/q\) (イ)\(P/Q\) (ウ)\(r/(p+q+r)\) → 選択肢(1)

\(P/Q=p/q\) に調整すれば第2項がゼロになり、\(R_x=(P/Q)R_s\) という単純な形になります。リード線抵抗 \(r\) がまったく出てきません

誤答の正体:比の分母分子と、分流の式

選択肢(ア)(イ)(ウ)判定
(1)\(P/Q-p/q\)\(P/Q\)\(r/(p+q+r)\)◎ 正解
(2)\(p/q-P/Q\)\(P/q\)\(p/(p+r)\)3つとも誤り
(3)\(p/q-P/Q\)\(Q/p\)\(q/(q+r)\)3つとも誤り
(4)\(Q/P-q/p\)\(Q/P\)\(r/(p+q+r)\)(ア)(イ)が逆数
(5)\(P/Q-p/q\)\(P/Q\)\(p/(p+q+r)\)(ウ)の分子が誤り

(ウ)は与えられた式から機械的に出せます\((p+q)i_2=r(I-i_2)\) を解くだけ——分子は \(r\) です。これで(2)(3)(5)が消えます

残る(1)と(4)は \(P/Q\) か \(Q/P\) か①式が \(Pi_1=R_xI+\ldots\) なので、\(R_x\) は \(P\) 側——\(R_x=(P/Q)R_s\) です。

⚠️ よくある間違い
比の向きを取り違えるのがこの手の問題の最頻誤りです。①②の式で「どちらの辺に \(R_x\) がいるか」を見る——\(R_x\) と \(P\) が同じ式にいるなら \(R_x\propto P\)、と機械的に判断できます。

深掘り①:なぜ低抵抗の測定は難しいのか

ホイートストンブリッジでは、未知抵抗のリード線と接触抵抗が \(R_x\) に直列に入ってしまいますこれらは数mΩ〜数十mΩ——測る抵抗が \(1\ \Omega\) 以下だと無視できません

測る抵抗リード線抵抗の影響使う測定器
\(1\ \mathrm{m\Omega}\sim1\ \Omega\)非常に大きいケルビンダブルブリッジ
\(1\ \Omega\sim1\ \mathrm{M\Omega}\)無視できるホイートストンブリッジ
\(1\ \mathrm{M\Omega}\) 以上関係ない(絶縁抵抗)絶縁抵抗計

ダブルブリッジは「4端子測定」の考え方を使っています。電流を流す端子と電圧を測る端子を分けることで、電流経路の抵抗が電圧測定に入らないようにします。

ディジタルの低抵抗計(ミリオームメータ)も同じ4端子方式です。原理は古くても、考え方は現代の測定器に生きています

深掘り②:4端子測定という発想

$$\text{2端子}:\ V=I(R_x+2r_{\text{リード}})$$
❶ 普通のつなぎ方
リード線が混ざる
$$\text{4端子}:\ V=IR_x$$
❷ 電流端子と電圧端子を分ける
電圧計に電流が流れないから

電圧測定端子には電流がほとんど流れません(電圧計の内部抵抗が大きいから)。だから電圧測定側のリード線抵抗では電圧降下が起きません——\(R_x\) の両端の電圧だけが読めます

ケルビンダブルブリッジの \(p\)・\(q\) は、この「電圧測定側」に相当します。\(P/Q=p/q\) の条件は、2組のブリッジの比をそろえてリード線抵抗の影響を打ち消す条件です。

深掘り③:零位法の測定器を整理する

測定器測るもの平衡させるもの適用範囲
ホイートストンブリッジ中〜高抵抗可変抵抗で検流計を零に\(1\ \Omega\sim1\ \mathrm{M\Omega}\)
ケルビンダブルブリッジ低抵抗同上+比の条件\(1\ \mathrm{m\Omega}\sim1\ \Omega\)
直流電位差計電圧・起電力既知の電圧と釣り合わせる
交流ブリッジ\(L\)・\(C\)実部と虚部の両方を零に

どれも「検出器がゼロかどうかだけを見る」点が共通です。だから検出器の目盛りの精度が結果に影響しません——これが零位法が高精度な理由です。

読むのは「調整した既知量」なので、既知量の精度がそのまま測定精度になります。標準抵抗器の精度が 0.01 %なら、測定精度も 0.01 %です。

💡 覚え方
ダブルブリッジ=低抵抗用=リード線抵抗を打ち消す条件は \(P/Q=p/q\)——2組の比をそろえると \(r\) の項が消えます「なぜ2組あるのか」を説明できれば、この問題は解けます

深掘り④:与えられた式を使い切る

本問は①②③の3式が問題文に書いてあります解答者がやるのは「代入して整理する」だけ——自分で式を立てる必要はありません

与えられた式そこから得るもの
\((p+q)i_2=r(I-i_2)\)(ウ) \(i_2/I=r/(p+q+r)\)
① \(Pi_1=R_xI+pi_2\)①÷②で \(i_1\) を消す
② \(Qi_1=R_sI+qi_2\)同上

B問題で長い誘導が付いている問題は、実は易しいことが多いです。誘導に乗って手を動かせば答えにたどり着くように作られています。

⏱️ 本番での進め方
❶ (ウ)は与えられた分流の式を解くだけ——これで3つ消える。
❷ ①②を割って \(i_1\) を消す——連立の定石。
❸ \(R_x\) と \(P\) が同じ式にいる → \(R_x\propto P/Q\)
❹ 平衡条件 \(P/Q=p/q\) で第2項がゼロ——これが問題の主題。

出題履歴:ダブルブリッジは低抵抗測定の定番

ホイートストンブリッジは頻出ですが、ケルビンダブルブリッジは数年に一度の出題です。「低抵抗用」「リード線抵抗を打ち消す」「\(P/Q=p/q\)」の3点を押さえておけば、語句問題でも対応できます。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

まとめ

(a)偏位/零位/直流電位差計→(1)
(b)(ウ)i2/I=r/(p+q+r)
(b)(イ)Rx係数=P/Q
(b)(ア)誤差項=P/Q−p/q(平衡で0)
(b)P/Q=p/qでRx=(P/Q)Rs→(1)

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