電気及び電子計測9【電験3種 理論】振幅変調(AM)の変調度と直線検波回路を攻略する!令和5年度上期 B問題18 完全解説

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 令和5年度上期 B問題18 AM波の変調度は何%?直線検波回路も攻略!

今回は令和5年度上期 理論科目 B問題18(選択問題)を解説します。振幅変調(AM)の波形から(a)変調度を求め、(b)ダイオードとCR並列からなる直線検波(包絡線検波)回路の空欄を埋める問題です。

変調度は変調波の振幅の最大値と最小値から求められます。検波回路は、搬送波の高い周波数成分をコンデンサで逃がし、信号波(低い周波数)成分を取り出す仕組みです。

目次

令和5年度上期 理論科目 B問題18:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 電気及び電子計測 令和5年度上期 B問題18 問題文
令和5年度上期 理論科目 B問題18 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題18

電験3種 理論科目 【電気及び電子計測】 令和5年度上期 B問題18

 振幅変調について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 図1の波形は、正弦波である信号波によって搬送波の振幅を変化させて得られた変調波を表している。この変調波の変調度の値として、最も近いものを求める。

(b) 次の文章は、直線検波回路に関する記述である。振幅変調した変調波の電圧を、図2の復調回路に入力して復調したい。コンデンサC[F]と抵抗R[Ω]を並列接続した合成インピーダンスの両端電圧に求められることは、信号波の成分が(ア)ことと、搬送波の成分が(イ)ことである。そこで、合成インピーダンスの大きさは、信号波の周波数に対してほぼ抵抗R[Ω]となり、搬送波の周波数に対して十分に(ウ)なくてはならない。

(a) 図1の変調波の変調度の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.33 (2)0.5 (3)1.0 (4)2.0 (5)3.0

(b) 直線検波回路の記述で、信号波の成分が(ア)こと、搬送波の成分が(イ)こと、合成インピーダンスは搬送波の周波数に対して十分に(ウ)なくてはならない。空欄の組合せとして正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)
(1)あるなくなる大きく
(2)あるなくなる小さく
(3)なくなるある小さく
(4)なくなるなくなる小さく
(5)なくなるある大きく
図1 振幅変調された変調波の波形(最大3a/2、最小a/2)(問題図)
図1 振幅変調された変調波の波形(最大3a/2、最小a/2)(問題図)
図2 直線検波(復調)回路(ダイオードとCR並列)(問題図)
図2 直線検波(復調)回路(ダイオードとCR並列)(問題図)

出題のポイント:検波回路はローパスフィルタそのもの

(b)の3つの空欄は、すべて「CR 並列はローパスフィルタ」という一言で決まります低い周波数(信号波)は通し、高い周波数(搬送波)は接地へ逃がす——それだけです

(a)の変調度は \(m=\dfrac{A_{\max}-A_{\min}}{A_{\max}+A_{\min}}\)図1の \(3a/2\) と \(a/2\) を入れて \(0.5\) です。

CR 並列のインピーダンスと変調度
$$Z=\frac{R}{\sqrt{1+(\omega CR)^2}}\quad\Bigl(\omega\ \text{が大きいほど小さい}\Bigr)$$$$m=\frac{A_{\max}-A_{\min}}{A_{\max}+A_{\min}}$$

\(\omega CR\ll1\) なら \(Z\fallingdotseq R\)、\(\omega CR\gg1\) なら \(Z\fallingdotseq1/\omega C\)——周波数が高いほどインピーダンスが下がります

解説(a):変調度は図から2つ読むだけ

$$A_{\max}=\frac{3a}{2},\quad A_{\min}=\frac{a}{2}$$
❶ 包絡線の上下
$$m=\frac{\frac{3a}{2}-\frac{a}{2}}{\frac{3a}{2}+\frac{a}{2}}=\frac{a}{2a}=0.5$$
❷ 定義に代入
分母は「和」
答え(a) \(m=0.5\) → 選択肢(2)

別の見方搬送波の振幅は \((1.5a+0.5a)/2=a\)、信号波の振幅は \((1.5a-0.5a)/2=0.5a\)変調度はその比 \(0.5a/a=0.5\)——「信号波が搬送波の半分の深さで揺らしている」という意味です。

解説(b):3つの空欄をフィルタの動作で埋める

復調の目的は「変調波から信号波だけを取り出す」ことです。だから CR の両端には、信号波が【あり】、搬送波が【なくなって】いてほしい——(ア)(イ)はこれで決まります

(ウ)はインピーダンスの大小です。搬送波を落とすには、その周波数でインピーダンスを【小さく】して接地へ逃がします。

$$\omega_sCR\ll1\ \Rightarrow\ Z\fallingdotseq R\quad(\text{信号波:大きい})$$
❶ 低い周波数
信号波はそのまま残る
$$\omega_cCR\gg1\ \Rightarrow\ Z\fallingdotseq\frac{1}{\omega_cC}\ll R\quad(\text{搬送波:小さい})$$
❷ 高い周波数
搬送波は落ちる
答え(b) (ア)ある (イ)なくなる (ウ)小さく → 選択肢(2)

誤答の正体:(ア)(イ)の入れ替えと(ウ)の向き

選択肢(ア)信号波(イ)搬送波(ウ)インピーダンス判定
(1)あるなくなる大きく(ウ)が誤り
(2)あるなくなる小さく◎ 正解
(3)なくなるある小さく(ア)(イ)が逆
(4)なくなるなくなる小さく信号波まで捨てている
(5)なくなるある大きく3つとも誤り

(4)は「両方なくなる」——それでは何も残らず、復調になりません常識で消せる肢です。

(1)がいちばん惜しい——(ア)(イ)は正しいのに(ウ)だけが逆です。「落としたい成分にはインピーダンスを小さくする」と考えれば間違えません。

☝️ ひっかけの作り方:インピーダンスの大小は「何をしたいか」から決まります通したい成分には大きく(電圧が出る)、落としたい成分には小さく(接地へ逃げる)——並列素子だからこの向きです。直列素子なら逆になります。

深掘り①:包絡線検波の動作を追う

❶ ダイオードで負の半周期を切り落とす——これで波形は上半分だけになります

❷ コンデンサが正のピークで充電される——ダイオードが導通している間に一気に充電されます。

❸ ダイオードが切れている間、抵抗を通してゆっくり放電——次のピークが来るまでに少しだけ下がります

❹ 結果として、包絡線をなぞる波形が残る——これが信号波です。あとは結合コンデンサで直流分を除けば完成

部品役割
ダイオード半波整流(片側だけ取り出す)
コンデンサ \(C\)搬送波を平滑する(高周波を接地へ)
抵抗 \(R\)放電経路(信号波の変化に追従させる)

深掘り②:時定数が外れるとどうなるか

$$\frac{1}{f_c}\ll CR\ll\frac{1}{f_s}$$
❶ 適切な範囲
搬送波の周期と信号波の周期の間
時定数症状呼び名
短すぎる搬送波のリプルが残る平滑不足
長すぎる包絡線の下り坂に追いつけず直線的に落ちるダイアゴナルクリッピング

放電の速さが信号波の下降より遅いと、コンデンサの電圧が包絡線から離れてしまいます波形の谷が三角形に切り取られたようになる——これがダイアゴナルクリッピングです。

変調度が大きいほど包絡線の下降が急になるので、深い変調ほど時定数を短くする必要があります。設計にはトレードオフがあります

深掘り③:フィルタとしてのCR回路

回路出力を取る場所通す周波数呼び名
\(R\) 直列+\(C\) 並列\(C\) の両端低い周波数ローパスフィルタ
\(C\) 直列+\(R\) 並列\(R\) の両端高い周波数ハイパスフィルタ
$$f_c=\frac{1}{2\pi CR}$$
❶ 遮断周波数
どちらも同じ式

検波回路の CR 並列は、実質的にローパスフィルタです。遮断周波数を信号波と搬送波の間に置けば、狙いどおりに分離できます

「直列のコンデンサは低域を切る、並列のコンデンサは高域を切る」——平成23年度B問題18の増幅回路の周波数特性でも出てきた考え方です。

💡 覚え方
通したい成分にはインピーダンスを大きく、落としたい成分には小さく(並列素子の場合)。検波回路は「信号波は通す・搬送波は落とす」ローパスフィルタ——(ウ)が「小さく」になる理由はこれだけです。

深掘り④:復調の別名と他方式

変調方式復調の方法回路の複雑さ
AM包絡線検波(直線検波)ダイオード+CR で済む
FM周波数弁別器(ディスクリミネータ)複雑
PM位相検波(同期検波)複雑

AMの復調が「検波」と呼ばれるのは、ダイオードで検出(detect)するだけだからです。初期のラジオが鉱石検波器1つで動いたのもこの単純さのおかげです。

FMは周波数の変化を電圧の変化に直す必要があります。共振回路の傾斜を使う方式やPLLを使う方式——いずれもAMより複雑です。

⏱️ 本番での進め方
❶ 変調度は「差÷和」——図から2つ読むだけ。
❷ (ア)(イ)は「信号波は残す、搬送波は捨てる」——目的から決まる。
❸ (ウ)は「落としたい成分にはインピーダンスを小さく」
❹ (4)の「両方なくなる」は常識で消せる——何も残らない。

出題履歴:★平成28年度B問題18とまったく同じ問題

本問は平成28年度B問題18と、図・数値・選択肢まですべて同一です。答えも(a)(2)・(b)(2)で変わりません

計測分野の変調・復調は、この形式で繰り返し出題されています。「変調度の式」と「検波回路はローパスフィルタ」の2点を押さえておけば、どの年度でも確実に取れます。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

★同型問題:【理論】平成28年度 B問題18とまったく同じ問題

この問題は 【理論】平成28年度 B問題18 と、図・数値・選択肢まですべて同一です。答えも変わりません——片方を確実に解けるようにしておけば、そのまま得点になります

項目令和5年度上期 B問題18平成28年度 B問題18
テーマ同じ振幅変調と直線検波
図1の包絡線同じ最大 3a/2、最小 a/2
(a)の答え同じ(2) 変調度 0.5
(b)の答え同じ(2) ある・なくなる・小さく
選択肢の並び同じ(番号も変わらない)

計測分野は同じ題材の再出題が特に多い単元です。「電圧計の負荷効果」「変調度と検波回路」「電圧降下法の誤差」「整流形の指示値」などは、数年おきに数値まで同じまま出ています——過去問の価値がとりわけ高い分野です。

▼あわせて解きたい同型問題:【理論】平成28年度 B問題18

まとめ

(a)変調度(3a/2−a/2)/(3a/2+a/2)=0.5→(2)
(ア)信号波の成分がある
(イ)搬送波の成分がなくなる
(ウ)搬送波周波数に対しZは小さく
(b)答え(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・電圧計の異なる端子で抵抗値(電気及び電子計測8):【理論】令和5年度上期 B問題16

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