電子回路2【電験3種 理論】NAND ICのパルス回路(CMOSインバータ・マルチバイブレータ)を判別する!令和7年度下期 B問題18 完全解説

電験3種 理論科目 電子理論(電子回路) 令和7年度下期 B問題18 NANDでインバータを作る!パルスが生まれる仕組み

今回は令和7年度下期 理論科目 B問題18を解説します。NAND ICを用いたパルス回路について、(a)CMOS回路と同じ真理値表になるNAND接続を選び、(b)3つのマルチバイブレータと性質を対応づける問題です。高電位を「1」、低電位を「0」とします。

(a)図1のCMOS(p・nチャネルMOSFET)はNOT回路です。NANDの2入力を工夫するとNOTになる接続がどれかを見極めます。(b)マルチバイブレータは入力数で無安定(発振器)・単安定・双安定(フリップフロップ)に分かれます。

目次

令和7年度下期 理論科目 B問題18:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 電子回路 令和7年度下期 B問題18 問題文
令和7年度下期 理論科目 B問題18 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」理論科目 B問題18

電験3種 理論科目 【電子理論(電子回路)】 令和7年度下期 B問題18

 NAND ICを用いたパルス回路について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、高電位を「1」、低電位を「0」と表すことにする。

(a)pチャネル及びnチャネルMOSFETを用いて構成された図1の回路と真理値表が同一となるものを、図2のNAND回路の接続(イ)、(ロ)、(ハ)から選び、全て列挙したものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)(イ) (2)(ロ) (3)(ハ) (4)(イ),(ロ) (5)(イ),(ハ)

(b)図3の三つの回路はいずれもマルチバイブレータの一種であり、同図(ニ)、(ホ)、(ヘ)の入力の数がそれぞれ0、1、2であることに注意して、これら三つの回路と次の二つの性質を正しく対応づけたものの組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
性質Ⅰ:出力端子からパルスが連続的に発生し、ディジタル回路の中で発振器として用いることができる。
性質Ⅱ:「0」や「1」を記憶する機能をもち、フリップフロップの構成にも用いられる。

性質Ⅰ性質Ⅱ
(1)(ニ)(ホ)
(2)(ニ)(ヘ)
(3)(ホ)(ニ)
(4)(ホ)(ヘ)
(5)(ヘ)(ホ)
図1 CMOS(p・nチャネルMOSFET)回路/図2 NAND回路の接続(イ)(ロ)(ハ)(問題図)
図1 CMOS(p・nチャネルMOSFET)回路/図2 NAND回路の接続(イ)(ロ)(ハ)(問題図)
図3 NAND ICで構成した3つのマルチバイブレータ(ニ)(ホ)(ヘ)(問題図)
図3 NAND ICで構成した3つのマルチバイブレータ(ニ)(ホ)(ヘ)(問題図)

出題のポイント:NANDの固定入力と入力数から回路動作を判別する

GPT Image 2で作成したNANDのイ・ロ・ハ接続と真理値表の比較図
(イ)と(ハ)はNOT動作、(ロ)は常に1なので、(a)は選択肢(5)です。

NANDはY=NOT(A・B)です。2入力を束ねる(イ)と片方を1に固定する(ハ)はNOT動作、片方を0に固定する(ロ)は常に1なので、(a)は選択肢(5)です。マルチバイブレータは入力数で判別でき、入力0個の(ニ)は連続発振する非安定形で性質I、入力2個の(ヘ)は0と1を記憶する双安定形で性質IIです。よって(b)は選択肢(2)です。

解説(a):NANDの3接続を論理式と真理値表で比較する

GPT Image 2で作成した入力数による非安定・単安定・双安定マルチバイブレータの比較図
入力0個の(ニ)が発振、入力2個の(ヘ)が記憶なので、(b)は選択肢(2)です。
入力 \(A\)図1(CMOSインバータ)(イ) \(\overline{A\cdot A}\)(ロ) \(\overline{A\cdot0}\)(ハ) \(\overline{A\cdot1}\)
01111
10010
判定◎ 一致× 常に1◎ 一致

(ロ)は入力が0でも1でも出力が1のまま——入力が出力にまったく影響しない、意味のない回路になっています。

答え(a) 一致するのは(イ)と(ハ) → 選択肢(5)

CMOSインバータの動作入力が「1」ならnチャネル側が導通して出力は接地(0)、入力が「0」ならpチャネル側が導通して出力は電源(1)——必ずどちらか一方だけがオンになります。

解説(b):入力の数で3種類を見分ける

問題文が「入力の数がそれぞれ0、1、2であることに注意して」と親切に教えてくれています——ここがそのまま答えの鍵です。

回路外部入力種類動作対応する性質
(ニ)0個非安定(無安定)勝手に発振し続ける性質Ⅰ:発振器
(ホ)1個単安定トリガで一定時間だけ反転どちらでもない
(ヘ)2個双安定入力があるまで保持性質Ⅱ:フリップフロップ

外部入力が0個ということは、外から何もしないのに出力が変化するということです。それができるのは自分で発振する回路だけ——(ニ)=性質Ⅰが確定します。

記憶するには「入力で状態を設定し、次の入力まで保つ」必要がありますセットとリセットの2つの入力が要る——(ヘ)=性質Ⅱです。

答え(b) 性質Ⅰ=(ニ)、性質Ⅱ=(ヘ) → 選択肢(2)

解説(b):入力数で3種類のマルチバイブレータを見分ける

GPT Image 2で作成した令和7年度下期理論B問題18の最終回答まとめ
(a)は(5)、(b)は(2)。NANDの固定入力とマルチバイブレータの入力数が判別の要点です。

(ホ)は単安定マルチバイブレータで、性質ⅠにもⅡにも当てはまりません「入力が要る=発振器ではない」「時間が経つと戻る=記憶素子でもない」——どちらつかずの位置にあります。

選択肢性質Ⅰ性質Ⅱ判定
(1)(ニ)(ホ)(ホ)は記憶しない
(2)(ニ)(ヘ)◎ 正解
(3)(ホ)(ニ)両方とも誤り
(4)(ホ)(ヘ)性質Ⅰが誤り
(5)(ヘ)(ホ)両方とも誤り

☝️ ひっかけの作り方:「外部入力がゼロなら発振器」——入力がないのに出力が変化するには、自分で発振するしかないからです。この一言だけで(ニ)=性質Ⅰが確定し、(3)(4)(5)が消えます

⚠️ よくある間違い
(a)で「全て列挙する」を見落として1つだけ選ぶのがもっとも多い失点です。選択肢に(4)(イ)(ロ)と(5)(イ)(ハ)という「2つ組」があるのは、複数が正解であることの合図——問題文の指示を必ず確認してください。

深掘り①:NANDだけですべての論理が作れる

作りたいものNANDでの構成
NOT1個(両入力短絡 or 片方を1に固定)\(\overline{A\cdot A}=\overline{A}\)
AND2個(NANDの出力をNOT)\(\overline{\overline{A\cdot B}}=A\cdot B\)
OR3個(両入力をNOTしてNAND)\(\overline{\overline{A}\cdot\overline{B}}=A+B\)
NOR4個ORの出力をさらにNOT

ORがNANDで作れるのはド・モルガンの法則のおかげです。\(\overline{\overline{A}\cdot\overline{B}}=A+B\)——「両方のNOTのAND」のNOTが「OR」になります。

1種類のゲートだけで済むと、ICの製造が単純になります実際の論理ICにNANDやNORが多く用意されているのは、この万能性のためです。

深掘り②:CMOSの構造と長所

CMOS(相補型MOS)は、pチャネルとnチャネルのMOSFETを組にして使います入力が「0」でも「1」でも、どちらか一方だけが導通し、もう一方は必ずオフです。

電源から接地まで貫通する電流が流れない——だから静止時の消費電力がほぼゼロになります。これがCMOSが圧倒的に普及した最大の理由です。

電力を消費するのは、状態が切り替わる瞬間だけ——だから消費電力は動作周波数にほぼ比例します。高クロックのCPUが発熱する理屈もこれです。

💡 覚え方
CMOS=「必ずどちらか一方だけがオン」貫通電流が流れない → 静止電力ゼロ → 電池動作の機器に最適入力インピーダンスも極めて大きいのがMOSFETの特徴です。

深掘り③:フリップフロップが「記憶」になる仕組み

2つのNANDが互いの出力を相手の入力に戻しています片方の出力が「1」なら相手を「0」に固定し、その「0」がまた自分を「1」に保つ——互いに支え合って状態が固定されます。

この状態は電源が入っている限り続きます外から入力を与えて初めてひっくり返る——これが1ビットの記憶です。

フリップフロップを並べればレジスタ、順に並べてクロックを送ればカウンタやシフトレジスタになります。ディジタル回路の記憶素子はすべてここから始まります

⏱️ 本番での進め方
❶ 図1がCMOSインバータ=NOTだと見抜く(ゲート共通・上下が相補)。
❷ NANDでNOTを作る方法は2つ:両入力短絡、片方を1に固定。0に固定は不可。
❸ 「全て列挙」の指示を見落とさない
❹ (b)は入力の数で判別:0個→非安定、1個→単安定、2個→双安定。

出題履歴:★令和元年度B問題17と完全に同一の問題

本問は令和元年度B問題17と、図・文章・選択肢まですべて同一です。答えも(a)(5)・(b)(2)でまったく同じ——過去問をひととおり解いておく価値が、そのまま点数に直結した例です。

論理回路とパルス回路の複合問題は、理論科目のB問題で定期的に登場します。真理値表を自分で書けることと、3種のマルチバイブレータを区別できることの2点で対応できます。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

★同型問題:【理論】令和元年度 B問題17とまったく同じ

この問題は 【理論】令和元年度 B問題17 と、図・文章・選択肢まですべて同一です。答えも変わりません——片方を確実に解けるようにしておけば、そのまま得点になります

項目令和7年度下期 B問題18令和元年度 B問題17
(a)CMOSインバータと同じNAND接続を全て列挙同じ
(a)の答え(5) (イ)と(ハ)同じ
(b)入力0/1/2個のマルチバイブレータ同じ
(b)の答え(2) 性質Ⅰ=(ニ)、性質Ⅱ=(ヘ)同じ

▼あわせて解きたい同型問題:【理論】令和元年度 B問題17

まとめ

(a)図1CMOS=NOT回路
(a)NANDNOTは(イ)(ハ)→(5)
(b)無安定(ニ)=発振器(性質Ⅰ)
(b)双安定(ヘ)=FF(性質Ⅱ)→(2)
答え(a)(5)・(b)(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・理論科目の過去問一覧(ハブ):【理論】単元別・年度別まとめ

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