三相交流13【電験3種 理論】V結線電源と三相平衡負荷の電力とコンデンサ容量を求める!平成27年度 問17 完全解説

電験3種 理論科目 電気回路(三相交流) 平成27年度 問17(選択問題) V結線で三相を送る!電力とコンデンサ容量は?

今回は平成27年度 理論科目 問17(選択問題)を解説します。V結線電源と、R=5Ω・L=16mHのY接続平衡負荷、Δ接続コンデンサからなる平衡三相回路で、線間電圧ea=100√6sin(100πt)〔V〕・内部インピーダンス零のとき、(a)コンデンサを外したときの三相電力(b)電流iaがeaに30°遅れる条件でのコンデンサCを求める難問(★5)です。

(a)はY負荷のZ=R+jωLから相電流を出しP=3I²R。(b)は線間電圧eaが相電圧Vaより30°進むので、「iaがeaに30°遅れる」=「iaが相電圧Vaと同相(力率1)」=負荷アドミタンスの虚部が0、と読み替えるのがカギです。Δ接続コンデンサはY等価でサセプタンス3ωCになります。

目次

平成27年度 理論科目 問17(選択問題):問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 理論科目 三相交流 平成27年度 問17(選択問題) 問題文
平成27年度 理論科目 問17(選択問題) 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」理論科目 問17

電験3種 理論科目 【電気回路(三相交流)】 平成27年度 問17(選択問題)

 図のようなV結線電源と三相平衡負荷とからなる平衡三相回路において、R=5Ω、L=16mHである。また、電源の線間電圧ea〔V〕は、時刻t〔s〕においてea=100√6sin(100πt)〔V〕と表され、線間電圧eb〔V〕はea〔V〕に対して振幅が等しく、位相が120°遅れている。ただし、電源の内部インピーダンスは零である。このとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)図の点線で示された配線を切断し、3個のコンデンサを三相回路から切り離したとき、三相電力Pの値〔kW〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)1 (2)3 (3)6 (4)9 (5)18〔kW〕

(b)点線部を接続することによって同じ特性の3個のコンデンサを接続したところ、iaの波形はeaの波形に対して位相が30°遅れていた。このときのコンデンサCの静電容量の値〔F〕として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)3.6×10⁻⁵ (2)1.1×10⁻⁴ (3)3.2×10⁻⁴ (4)9.6×10⁻⁴ (5)2.3×10⁻³

図 V結線電源とY接続RL負荷・Δ接続コンデンサからなる平衡三相回路(問題図)
図 V結線電源とY接続RL負荷・Δ接続コンデンサからなる平衡三相回路(問題図)

出題のポイント:まず最大値を実効値に直す

電源が瞬時値の式で与えられています\(e_a=100\sqrt6\sin(100\pi t)\)——\(100\sqrt6\) は最大値なので、実効値に直すには \(\sqrt2\) で割ります

しかも \(e_a\) は線間電圧です。「電源の線間電圧 \(e_a\)」と問題文に明記されています。相電圧と取り違えると \(\sqrt3\) だけずれます

最大値・実効値・角周波数
$$V_l=\frac{100\sqrt6}{\sqrt2}=100\sqrt3\fallingdotseq173.2\ \mathrm{V},\qquad \omega=100\pi\ \Rightarrow\ f=50\ \mathrm{Hz}$$

\(\sqrt6/\sqrt2=\sqrt3\)——きれいな形になるよう仕組まれています

線間電圧が \(100\sqrt3\) なら、Y負荷の相電圧はちょうど100 Vです。\(\dfrac{100\sqrt3}{\sqrt3}=100\)——作問者が計算しやすいよう逆算した数値だと分かります。

V結線電源の2電圧の位相関係、三相平衡Y接続RL負荷、Δ接続コンデンサを分けて示し、実効値から電力と補償容量を求める解法順序を説明する図
V結線は電源側の構成、YとΔは負荷・コンデンサ側の接続です。各電圧を混同せず、1相計算と無効電力補償を順に進めます。

(a) の解説:コンデンサを外せば単純なRL負荷

$$V_l=\frac{100\sqrt6}{\sqrt2}=100\sqrt3\fallingdotseq173.2\ \mathrm{V}$$
❶ 実効値に直す
最大値÷\(\sqrt2\)
$$V_p=\frac{173.2}{\sqrt3}=100\ \mathrm{V}$$
❷ Y負荷の相電圧
ちょうど100 V
$$X_L=100\pi\times16\times10^{-3}\fallingdotseq5.03\ \Omega$$
❸ リアクタンス
ほぼ5 Ω
$$|\dot Z|=\sqrt{5^{2}+5.03^{2}}\fallingdotseq7.09\ \Omega$$
❹ インピーダンス
ほぼ \(5\sqrt2\)
$$I=\frac{100}{7.09}\fallingdotseq14.1\ \mathrm{A},\qquad P=3I^{2}R\fallingdotseq2.98\ \mathrm{kW}$$
❺ 電流と電力
約3 kW

\(R=5\ \Omega\)、\(X_L\fallingdotseq5\ \Omega\) とほぼ同じなので、力率は \(1/\sqrt2\fallingdotseq0.707\)、位相差は45°です。\(|\dot Z|=5\sqrt2\fallingdotseq7.07\) と暗算できます。

\(16\ \mathrm{mH}\) という値は、\(100\pi\) を掛けると約5 Ωになるよう選ばれたものです。\(\dfrac{5}{100\pi}=15.9\ \mathrm{mH}\)——ほぼ16 mHです。

最大値100ルート6ボルトを線間電圧実効値100ルート3ボルトへ直し、相電圧100ボルト、リアクタンス5.027オーム、電流14.10アンペアを導く解説図
Y負荷の1枝には100Vが加わります。R=5Ω、L=0.016Hから|Z|=7.090Ω、I=14.10Aを得ます。
答え(a) \(P\fallingdotseq3\ \mathrm{kW}\) → 選択肢(2)

(b) の解説:「30°遅れ」は力率1を意味する

\(i_a\) が \(e_a\)(線間電圧)より30°遅れている——これは何を意味するかを読み解くのが本問の核心です。

Y結線では、相電圧が線間電圧より30°遅れていますしたがって「線間電圧より30°遅れ」=「相電圧と同相」——電源から見た力率が1ということです。

$$\text{線間電圧}\ e_a\ \text{より}30^\circ\text{遅れ}=\text{相電圧と同相}$$
❶ 条件の読み替え
力率1
$$Q_L=3I^{2}X_L=3\times14.1^{2}\times5.03\fallingdotseq3000\ \mathrm{var}$$
❷ 負荷の遅れ無効電力
$$Q_C=3\omega CV_l^{2}=3\times314.2\times C\times(100\sqrt3)^{2}$$
❸ Δコンデンサ
線間電圧
$$C=\frac{3000}{3\times314.2\times30000}\fallingdotseq1.06\times10^{-4}\ \mathrm{F}$$
❹ 容量
約106 µF

❶の読み替えができるかどうかがすべてです。「30°」という数字を見て「Y結線の位相差だ」と気づけば、あとは力率1の定番計算になります。

\(V_l^{2}=(100\sqrt3)^{2}=30000\) と、平方して整数になるのも計算を楽にする工夫です。

平衡三相Y接続RL負荷の有効電力をPイコール3I二乗Rで求め、2.98キロワットから選択肢2の3キロワットを選ぶ解説図
理想コイルは平均有効電力を消費しないため、3相の抵抗損を合計するとP=3I²R≈2.98kWです。
線間電圧eaと相電圧と電流iaの30度位相関係を示し、Y負荷の遅れ無効電力とΔコンデンサ3枝の進み無効電力を等しくして容量1.1掛ける10のマイナス4乗ファラドを導く解説図
iaがeaより30°遅れる条件は電源側力率1を意味します。QL=QCから各Δコンデンサの容量を求めます。
実効値、相電圧、RLインピーダンス、三相電力、無効電力補償、Δコンデンサ容量と注意点を順番にまとめた総復習解説図
最大値と実効値、Y負荷とΔコンデンサの枝電圧、線電圧と相電圧の30°差を区別するのが要点です。
答え(b) \(C\fallingdotseq1.1\times10^{-4}\ \mathrm{F}\) → 選択肢(2)

誤答の正体:コンデンサをY結線と誤ると3倍

選択肢(3)の \(3.2\times10^{-4}\) は、コンデンサをY結線として計算した値です。ちょうど3倍——典型的な誤りの受け皿になっています。

考え方\(C\)〔F〕選択肢判定
Δ結線(正しい)\(1.06\times10^{-4}\)(2)
Y結線と誤る\(3.18\times10^{-4}\)(3)×(3倍)
\(\sqrt3\) を1回余分に\(3.6\times10^{-5}\) 前後(1)×

「3倍の関係にある選択肢が並んでいたら、Y/Δの取り違えを疑う」——これは三相問題の鉄則です。図でコンデンサがどう接続されているかを必ず確認してください。

⚠️ よくある間違い
\(100\sqrt6\) をそのまま実効値として使わないでください\(\sin\) の前の係数は最大値です。実効値に直すと \(100\sqrt3\)——\(\sqrt2\) で割るのを忘れると、電力が2倍になります

☝️ ひっかけの作り方:「V結線電源」という言葉に惑わされないでくださいV結線は変圧器2台で三相を作る方式ですが、出てくる線間電圧は通常の三相と同じです。負荷側の計算には影響しません

深掘り①:V結線とは何か

V結線は、Δ結線の変圧器3台のうち1台を取り除いた形です。2台でも三相の電力を供給できる——実務でよく使われる方式です。

Δ結線(3台)V結線(2台)
変圧器の台数3台2台
出力基準\(1/\sqrt3\fallingdotseq57.7\ \%\)
利用率100 %\(\sqrt3/2\fallingdotseq86.6\ \%\)
線間電圧対称三相対称三相(同じ)

V結線でも線間電圧は正常な対称三相になります。だから負荷側から見れば普通の三相電源——本問の計算に「V結線だから」という補正は要りません

V結線の出力がΔの \(57.7\ \%\) にとどまるのは、変圧器1台あたりの負担が増えるためです。台数は \(2/3\) なのに出力は \(1/\sqrt3\)——機械科目で問われる論点です。

深掘り②:位相の情報から条件を読み解く

「\(i_a\) が \(e_a\) より30°遅れ」という条件は、数値ではなく位相で与えられた条件です。これを回路の状態に翻訳するのが本問の妙味です。

\(i_a\) と \(e_a\)(線間)の位相差電源から見た力率状態
30°遅れ1.0本問(相電圧と同相)
75°遅れ\(\cos45^\circ=0.707\)コンデンサなし((a) の状態)
0°(同相)\(\cos30^\circ=0.866\)進み側に行き過ぎ

(a) の状態では \(i_a\) は \(e_a\) より75°遅れています(相電圧より30°+負荷で45°)。コンデンサを入れて45°分だけ進めた結果、30°遅れになった——これが力率1の状態です。

「線間電圧に対して30°遅れ」を「相電圧と同相」と読み替えられるか——ここが解けるか解けないかの分岐点です。ベクトル図を描けば一目瞭然になります。

深掘り③:無効電力を打ち消す量の求め方

力率1にするには、負荷の遅れ無効電力をちょうど打ち消せばよい——その量を求める方法は複数あります。

$$Q_L=3I^{2}X_L=3\times198.9\times5.03\fallingdotseq3000\ \mathrm{var}$$
❶ 電流とリアクタンスから
$$Q_L=P\tan45^\circ=2984\times1\fallingdotseq2984\ \mathrm{var}$$
❷ 有効電力と力率角から
\(R=X\) なので45°
$$Q_L=\sqrt3V_lI\sin\phi=\sqrt3\times173.2\times14.1\times0.707\fallingdotseq2990\ \mathrm{var}$$
❸ 線間の量から

3通りとも約3000 var——どの式でも同じです。\(R\fallingdotseq X\) なので \(P\fallingdotseq Q\) という覚えやすい状態になっています。

力率0.707=45°は、\(R\) と \(X\) が等しいときの特徴です。\(P\) と \(Q\) も等しくなるので、\(Q_L\) を求めるのに \(P\) をそのまま使えます

⏱️ 本番での進め方
❶ \(\sin\) の前の係数は最大値——\(\sqrt2\) で割って実効値に。
❷ 「線間電圧より30°遅れ」=「相電圧と同相」=力率1
❸ \(R=X\) なら力率 \(1/\sqrt2\)、\(|\dot Z|=R\sqrt2\)——45°の直角三角形。
❹ 3倍の関係の選択肢はY/Δの取り違えを狙った罠

💡 覚え方
「30°」を見たらY結線の位相差を疑う——三相で30°が出てくるのは、線間電圧と相電圧の関係だけです。この直感があれば、条件を素早く読み替えられます

出題履歴:選択問題でも本質は同じ

問17は選択問題ですが、問われている内容は通常のB問題と変わりません最大値と実効値、線間電圧と相電圧、Y結線とΔ結線——三相の基本がすべて詰まった良問です。

この分野はほぼ毎年どこかで出題されます。手を動かして解ける状態にしておけば、本番で確実に得点できます。

あわせて解いておきたい記事:【理論】平成29年度B問題16(Y負荷とΔコンデンサで力率1)

まとめ

|Z|√(5²+5.03²)≒7.09Ω
相電流I100/7.09≒14.1A
(a)P3×14.1²×5≒3.0kW …(2)
(b)C3ωC=0.1→C≒1.06×10⁻⁴F …(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・三相の力率とΔ-Y変換:【理論】平成29年度B問題16

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