今回は令和5年度下期 機械科目 A問題14を解説します。入力信号A,B及びC,出力信号Xの論理回路が与えられた真理値表を満たすとき、Xの論理式を選ぶ問題です。
出力X=1となる入力の組合せをすべて論理積の形で書き出し、それらを論理和で結んでから代数的に簡単化する、あるいは各選択肢に入力を代入して消去法で絞り込むという2通りの方針で解けます。
令和5年度下期 機械科目 A問題14:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題14
電験3種 機械科目 【情報】 令和5年度下期 A問題14
入力信号がA,B及びC,出力信号がXの論理回路が次の真理値表を満たしているとき,Xの論理式として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
入力信号A,B及びC,出力信号Xの論理回路が次の真理値表を満たしているとき,Xの論理式として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
A B C X 0 0 0 1 0 0 1 1 0 1 0 1 0 1 1 0 1 0 0 1 1 0 1 0 1 1 0 0 1 1 1 0 (1)X = Ā・B̄・C + A・B̄・C + Ā・B・C̄
(2)X = Ā・B・C̄ + A+B + B+C + C+A (各項全体否定の論理和)
(3)X = Ā・B + B̄・C + C̄・A
(4)X = Ā・B + B̄・C + C̄・A (各文字への上線の掛かり方が(3)と異なる特殊表記)
(5)X = Ā・B̄ + B̄・C̄ + C̄・A
出題のポイント:X=1 が4つ、X=0 が4つ
1 と0 が半分ずつ——どちらから攻めても手間は同じです。X=1 の行に注目してみましょう。
| A | B | C | X | 0 の個数 |
| 0 | 0 | 0 | 1 | 3個 |
| 0 | 0 | 1 | 1 | 2個 |
| 0 | 1 | 0 | 1 | 2個 |
| 1 | 0 | 0 | 1 | 2個 |
X=1 になるのは「0 が2個以上のとき」——言い換えれば「1 が1個以下のとき」です。多数決の逆のような働きをしています。
「0 が2個以上」を式にすると、2つずつの組合せの論理和——Ā·B̄、B̄·C̄、Ā·C̄ の3つになります。
★どの2つが0 でもよい


カルノー図で確かめる
| C\AB | 00 | 01 | 11 | 10 |
| 0 | ★1 | ★1 | 0 | ★1 |
| 1 | ★1 | 0 | 0 | 0 |
| グループ | 囲む場所 | 残る項 |
| ① | AB=00 の縦2マス | Ā·B̄ |
| ② | C=0 の AB=00と01 | Ā·C̄ |
| ③ | C=0 の AB=00と10 | B̄·C̄ |
3つのグループが AB=00、C=0 のマスで重なっています——重なってかまわないのがカルノー図の約束でした。
どのグループも2マス——だから変数が1つずつ消えて、2変数の項になるのです。3つとも必要で、どれか1つでも欠けると1 のマスを覆いきれません。
⚠️ よくある間違い
選択肢には、否定記号の位置だけが違う紛らわしい形が並んでいます。Ā·B と Ā·B̄ は別物——上線がどこまで掛かっているかを丁寧に読む必要があります。
確実なのは、X=0 の行を代入して落とす方法です。A=1、B=1、C=1 のときX=0——すべての変数が1 なので、否定を含む項はすべて0 になるはず。1 になる選択肢は落とせます。
次に A=0、B=1、C=1(X=0)で確かめると、さらに絞れます。
「多数決」の論理との対比
本問は「1 が1個以下ならX=1」でした。逆に「1 が2個以上なら1」という論理もよく使われます。
| 論理 | 式 | 用途 |
| 多数決(2/3) | A·B+B·C+C·A | ★3重系の判定 |
| 本問(0 が2個以上) | Ā·B̄+B̄·C̄+Ā·C̄ | 多数決の否定 |
2つの式は、変数をすべて否定した関係にあります。「1 が多数」と「0 が多数」は裏返し——3変数なら必ずどちらか一方が成り立ちます。
多数決回路は、信頼性を高める仕組みとして実際に使われています。同じ計算を3系統で行い、2つ以上が一致した結果を採用する——1系統が故障しても正しい結果が得られるのです。
原子力発電所の保護装置や、航空機の制御装置——絶対に誤ってはいけない用途で採用されている方式になります。単純な論理式が、信頼性設計の中核を担っているわけです。
⏱️ 本番での進め方
① X=1 の4行を見る。0 が2個以上ならX=1。
② 2変数の積を3組:Ā·B̄、B̄·C̄、Ā·C̄。
③ カルノー図では2マスのグループが3つ、重なってよい。
④ 迷ったらX=0 の行を代入して落とす。
💡 覚え方
「0 が2個以上なら1」=多数決の裏返し——2変数の積を3組そろえる。そして「上線がどこまで掛かるか」——選択肢を読むときの最大の注意点です。

否定記号の読み方に慣れる
本問の選択肢は、上線の掛かり方だけが違う——読み間違えると全滅します。記法を整理しておきましょう。
| 表記 | 意味 | いつ1 になるか |
| Ā·B̄ | A の否定と B の否定の積 | ★A=0 かつ B=0 |
| (A·B)‾ | A·B 全体の否定(NAND) | A·B=0、つまりどちらかが0 |
| Ā·B | A の否定と B の積 | A=0 かつ B=1 |
Ā·B̄ と (A·B)‾ はまったく別物です。前者は「両方0」、後者は「両方1 でない」——A=1、B=0 のとき前者は0、後者は1 になります。
ド・モルガンで書き換えれば (A·B)‾=Ā+B̄——積が和に変わることに気づけます。上線が長いか短いかで、積と和が入れ替わるのです。
確実に絞る手順
紛らわしい選択肢が並ぶときは、代入して落とす——これが最も確実です。
| 使う行 | 入力 | 正しいX | 落とせる肢 |
| ① | A=B=C=1 | 0 | 否定なしの項をもつ肢 |
| ② | A=0、B=1、C=1 | 0 | Ā を含む2変数項の肢 |
| ③ | A=B=C=0 | 1 | 1 にならない肢 |
すべて1 の行と、すべて0 の行——この2つは計算が楽なので、まず試す価値があります。
すべて1 なら、否定を含む項はすべて0——否定のない項があれば1 になってしまうので、そこで落とせます。
すべて0 なら、否定を含む項が1 になる——本問ではX=1 なので、少なくとも1つの項が1 にならなければおかしいのです。
3変数の論理式の型
3変数の問題では、いくつかの典型的な形が出てきます。型を知っておくと、答えの見当がつきます。
| 条件 | 論理式 | 項の数 |
| すべて1 | A·B·C | 1項 |
| どれか1つでも1 | A+B+C | — |
| 2つ以上が1(多数決) | A·B+B·C+C·A | ★3項 |
| 2つ以上が0(本問) | Ā·B̄+B̄·C̄+Ā·C̄ | ★3項 |
「2つ以上」を表すには、2変数の積を3組そろえる——3つから2つを選ぶ組合せが3通りだからです。
本問の選択肢が3項の形をしているのも、この型に沿っているから。型を知っていれば、答えの形が予想できるのです。
真理値表から論理式を組み立てる
出力が1 になる行を拾って、足し合わせる——これが加法標準形(主加法標準形)です。
| 手順 | やること | 例 |
| ① | 出力が1 の行を探す | A=1、B=0、C=1 の行など |
| ② | ★各行を積項にする | 1 はそのまま、0 は否定 |
| ③ | すべての積項をOR で結ぶ | A·B̄·C+… |
「1 の行だけを拾う」——0 の行は無視してよいのです。OR で結ぶので、どれか1つでも成立すれば出力が1 になります。
変数が0 の欄には否定を付ける——A=0 なら Ā。その行の条件を「すべて満たす」ことを積で表しているのです。
逆に、出力が0 の行から作れば和積標準形——1 の行が少ないなら加法標準形、0 の行が少ないなら和積標準形。短くなるほうを選ぶと、選択肢との照合が楽になります。
まとめ
| X=1の行 | 000,001,010,100 |
| 整理後の式 | Ā・B̄+B̄・C̄+C̄・A |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
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