今回は令和7年度上期 機械科目 A問題8を解説します。太陽光発電設備におけるパワーコンディショナの単独運転検出機能(配電線事故時の切り離しと、瞬時電圧低下時の誤検出防止)に関する空欄補充問題です。
パワーコンディショナは逆変換装置(インバータ)と系統連系用保護装置が一体になった装置です。単独運転検出のため電圧位相や周波数の急変を常時監視しますが、配電線側で発生する瞬時電圧低下に対しては不要な切り離しをしないよう対策がとられています。
ほぼ同じ問題が 【機械】平成24年度A問題9 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
令和7年度上期 機械科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題8
電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 令和7年度上期 A問題8
次の文章は,太陽光発電設備におけるパワーコンディショナに関する記述である。
近年,住宅に太陽光発電設備が設置され,低圧配電線に連系されることが増えてきた。連系のためには,太陽電池と配電線との間にパワーコンディショナが設置される。パワーコンディショナは(ア)と系統連系用保護装置とが一体になった装置である。パワーコンディショナは,連系中の配電線で事故が生じた場合に,太陽光発電設備が(イ)状態を継続しないように,これを検出して太陽光発電設備を系統から切り離す機能をもっている。パワーコンディショナには,(イ)の検出のために,電圧位相や(ウ)の急変などを常時監視する機能が組み込まれている。ただし,配電線側で発生する(エ)に対しては,系統からの不要な切り離しをしないよう対策がとられている。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 逆変換装置 自立運転 発電力 停電 (2) 逆変換装置 単独運転 発電力 瞬時電圧低下 (3) 逆変換装置 単独運転 周波数 瞬時電圧低下 (4) 整流装置 自立運転 発電力 停電 (5) 整流装置 単独運転 周波数 停電
出題のポイント:単独運転と自立運転を区別する
(イ)で問われている「単独運転」と、選択肢にある「自立運転」——1字違いですが正反対の状態を指します。ここが本問最大の分岐点です。
| 単独運転 | 自立運転 | |
| 系統との接続 | つながったまま(切り離せていない) | 意図的に切り離してある |
| 状態 | 系統が停電しているのに発電を続けている | 停電時に専用コンセントへ自前で給電 |
| 評価 | ★危険な異常状態 | 防災上ありがたい機能 |
| 対応 | 検出して直ちに停止させる | 意図的に備える |
問題文は「検出して太陽光発電設備を系統から切り離す」と述べています。切り離すべき状態なのですから、これは異常である単独運転——自立運転は切り離した後の話です。
単独運転が危険な理由は2つあります。停電したはずの線路に電圧が残って作業員が感電するおそれと、系統復旧時に位相がずれた状態で接続されて機器が破損するおそれです。

(ア)(ウ)(エ)を確定する
(ア)逆変換装置
太陽電池が出すのは直流——これを交流に変換するのが逆変換装置(インバータ)です。整流装置は交流→直流で逆方向ですから当てはまりません。
「順変換」が整流(交流→直流)、その逆だから「逆変換」——インバータの日本語名です。この1点で(4)(5)が落ちます。
(ウ)周波数の急変
系統から切り離されると、発電と負荷のバランスが崩れます。大きな系統が周波数を支えていたのに、それがなくなる——だから周波数が急に動きます。
| 検出方式 | 仕組み | 監視する量 |
| 受動的方式 | 系統が切れたときに生じる変化を検出する | 電圧位相の急変、周波数の急変、電圧の異常 |
| 能動的方式 | わざと微小な擾乱を与え、系統がなければ現れる反応を見る | 無効電力変動、周波数シフト、負荷変動 |
「電圧位相や周波数の急変」を監視するのが受動的方式です。選択肢の「発電力」では検出の指標になりません——発電量は太陽電池側の事情で決まり、系統の有無とは直接関係しないからです。
(エ)瞬時電圧低下
配電線では落雷などで一瞬だけ電圧が下がることがあります——瞬時電圧低下(瞬低)です。停電ではなく、すぐ回復します。
瞬低のたびに停止していたら発電が頻繁に止まるので、「不要な切り離しをしない」対策がとられます。選択肢の「停電」では話が合いません——停電なら切り離すのが正しい動作だからです。

止まるべきときと止まるべきでないとき
パワーコンディショナには、相反する2つの要求があります。「単独運転は確実に検出して止まる」と「瞬低程度では止まらない」——この両立が求められています。
| 状況 | 望ましい動作 | 理由 |
| 系統の停電(単独運転) | 直ちに停止・解列 | 感電・機器破損を防ぐ |
| 瞬時電圧低下(数十〜数百ms) | 運転を継続し、復帰後すみやかに出力を戻す | 一斉停止による需給バランスの崩れを防ぐ |
太陽光発電が大量に導入された現在、瞬低で全国の設備が一斉に止まれば需給が大きく崩れます——停電が拡大するおそれすらある。だから「多少の擾乱では止まらない」ことが求められるようになりました。
これをFRT(Fault Ride Through)機能と呼びます。「事故を乗り越えて運転を続ける」という意味——問題文の最後の一文には、この考え方が凝縮されています。
⏱️ 本番での進め方
①「単独運転」=異常、「自立運転」=意図的な機能。切り離す対象は前者。
② 直流を交流に変換するのは逆変換装置。ここで2肢が落ちる。
③ 検出に使うのは電圧位相と周波数の急変。発電力ではない。
④「不要な切り離しをしない」対象は瞬低。停電では切り離すのが正解。
💡 覚え方
「単独運転は止めるべき異常、自立運転は使える機能」——1字違いで正反対。そして「瞬低では止まらない、停電では止まる」——FRT機能の考え方です。
出題履歴:平成24年度と同一問題(答えの番号は違う)
本問は平成24年度 A問題9とまったく同じ問題です(パワエレ50:太陽光パワーコンディショナの単独運転検出機能)。問題文も空欄も同一で、選択肢の並び順だけが違います。
| 平成24年度 問9 | 令和7年度上期 問8(本問) | |
| 入る語 | 逆変換装置/単独運転/周波数/瞬時電圧低下 | 同じ |
| 正解の番号 | (1) | (3) |
13年ぶりの再出題で、正解の番号が (1) から (3) に変わりました——番号で覚えていたら失点します。覚えるべきは4つの語そのものです。

パワーコンディショナのもう一つの仕事:MPPT
パワーコンディショナは直流を交流に変えるだけの装置ではありません。太陽電池から最大の電力を引き出す制御——MPPT(最大電力点追従)も重要な役割です。
太陽電池の出力電圧と電流の関係は、日射と温度で刻々と変わります。電力=電圧×電流が最大になる動作点は一つだけ——そこを外すと発電量が落ちます。
| 条件 | 最大電力点の電圧 | 発電量 |
| 日射が強い | ほぼ一定 | 大きい(電流が増える) |
| 温度が高い | 下がる | 減る(電圧が下がる) |
| 一部が日陰 | 複数の山ができる | 大きく減る |
電圧を少し動かして電力が増えたら同じ方向へ、減ったら逆方向へ——山登り法と呼ばれるやり方で最大点を探し続けます。この動作は、単独運転検出の能動的方式と考え方が似ています——どちらも「動かしてみて反応を見る」のです。
ただし両者が干渉することもあります。MPPTの探索動作が単独運転検出の誤動作を招いたり、その逆が起きたり——だから両方の制御を切り分けて設計する必要があります。パワーコンディショナが単なる逆変換装置ではなく、高度な制御装置であるゆえんです。
まとめ
| (ア) | 逆変換装置 |
| (イ) | 単独運転 |
| (ウ) | 周波数 |
| (エ) | 瞬時電圧低下 |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・パワーコンディショナの単独運転検出機能(平成24年度):【機械】平成24年度A問題9
・太陽光発電用パワーコンディショナの構成:【機械】令和6年度下期A問題10

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