今回は平成27年度 機械科目 A問題10を解説します。★パワエレ14(令和7年度上期A問題10)と全く同じ数値設定の再出題で、選択肢の並び順だけが異なります。直流電源電圧E=400V、平滑リアクトルL=1mH、負荷抵抗R=10Ω、通流率d=0.6の降圧チョッパの負荷電流平均値を求めます。
降圧チョッパの負荷電圧平均値は VR=dE。電流はオームの法則で IR=VR/R と求まります。
ほぼ同じ問題が 【機械】令和7年度上期A問題10 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
平成27年度 機械科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題10
電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 平成27年度 A問題10
図のような直流チョッパがある。直流電源電圧 E=400〔V〕,平滑リアクトル L=1〔mH〕,負荷抵抗 R=10〔Ω〕,スイッチSの動作周波数 f=10〔kHz〕,通流率 d=0.6 で回路が定常状態になっている。Dはダイオードである。このとき負荷抵抗に流れる電流の平均値〔A〕として最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)2.5 (2)3.8 (3)16.0 (4)24.0 (5)40.0〔A〕

出題のポイント:使わない条件が3つも混ざっている
本問で必要なのは、電源電圧400 V、通流率0.6、負荷抵抗10 Ω の3つだけです。平滑リアクトル1 mH と動作周波数10 kHz は、平均値の計算には使いません。
| 与えられた条件 | 使うか | 理由 |
| E=400 V | 使う | 出力電圧の元 |
| d=0.6 | 使う | 出力電圧を決める |
| R=10 Ω | 使う | 電流を決める |
| L=1 mH | 使わない | 電流の脈動(リプル)の大きさを決めるだけ。平均値には無関係 |
| f=10 kHz | 使わない | 同上 |
リアクトルと周波数は「電流がどれだけ波打つか」を決めますが、平均値そのものは変えません——だから平均値を問う本問では出番がないのです。
もし「電流の脈動の大きさ(リプル)」を問われていれば、この2つが主役になります。与えられた条件をどう使うかは、何を聞かれているかで決まる——問題文の最後の一文をよく読むことが大切です。


計算する
通流率×電源電圧
オームの法則

選択肢の作られ方を読む
⚠️ よくある間違い
(3) 16.0 Aは通流率を1−d=0.4 として計算したときの値(400×0.4/10=16)です。降圧チョッパでは d をそのまま掛ける——1−d を使うのは昇圧チョッパの分母です。
(5) 40.0 Aはチョッパを通さずに直結した場合の電流(400/10)——通流率を掛け忘れたケースです。
正解24 A は、40 A(直結)より小さく、16 A(1−d)より大きい——「降圧なので直結より小さい」という向きの確認で、(5)は排除できます。
使わなかった L と f は何を決めているのか
せっかく与えられている L と f が何のためにあるのかも、確認しておく価値があります。これらは電流のリプル(脈動)の大きさを決めます。
f=10 kHz、L=1 mH
山と谷の差
平均24 A に対して、電流は19.2 A から28.8 A の間を行き来していることになります(24±4.8 A)。それでも平均値は24 A で変わりません——リプルは平均を動かさないのです。
リプルを小さくしたければ、周波数を上げるかリアクトルを大きくする——だから近年のスイッチング電源は高周波化が進んでいます。高周波にすればリアクトルもコンデンサも小さくできる——機器の小型化に直結するからです。
⏱️ 本番での進め方
① 平均値を問われたら L と f は使わない。
② Vd=0.6×400=240 V → I=240/10=24 A。
③ 直結なら40 A。降圧なのでそれより小さいはず。
④ 16 A は通流率を1−d とした値。d と1−d を取り違えない。
💡 覚え方
「降圧チョッパは d を掛けるだけ、L と f はリプル専用」——平均値の問題では L も f も出番がありません。与えられた条件を全部使おうとしない——これも解答力のうちです。

電流が連続か不連続かで式が変わる
本問では「時定数が動作周期に対して十分大きい」という条件により、リアクトルの電流が常に流れ続けています——これを電流連続モードと呼びます。
ところがリアクトルが小さかったり、負荷が軽かったりすると、スイッチがオフの間に電流が0まで落ちてしまうことがあります——電流不連続モードです。
| 電流連続モード | 電流不連続モード | |
| リアクトル電流 | 常に0より大きい | 途中で0になる期間がある |
| 出力電圧 | \( V_d=dE \)(負荷に無関係) | 負荷が軽いほど高くなる |
| 起きやすい条件 | L が大きい/負荷が重い/周波数が高い | L が小さい/負荷が軽い/周波数が低い |
| 制御 | しやすい | しにくい(出力が負荷に依存する) |
連続モードでは、出力電圧が通流率だけで決まります。負荷が変わっても出力電圧は変わらない——だから制御しやすいのです。
不連続モードでは、電流が0の期間に出力電圧が上がってしまうので、同じ通流率でも負荷によって出力が変わります——制御が難しくなるため、通常は連続モードで使われます。
連続と不連続の境目
リプルの半分が平均電流を超えると、電流の谷が0を下回ろうとして不連続になります。本問ならリプル9.6 A の半分は4.8 A——平均電流24 A に対して十分小さいので、余裕をもって連続モードです。
電流の山谷の振れ幅
0を下回らない=連続
もし負荷抵抗が非常に大きく、平均電流が4.8 A を下回れば不連続になります。本問の条件では、負荷抵抗が50 Ω を超えたあたりが境目——「時定数が十分大きい」という条件文が、連続モードを保証しているわけです。
まとめ
| VR=dE | 0.6×400=240V |
| IR=VR/R | 240/10=24.0A |
| 答え | (4) |
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