同期機41【電験3種 機械】同期電動機のV曲線と同期調相機!令和4年下期 A問題4 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 令和4年度下期 A問題4 界磁を変えると電流はV字を描く!同期調相機とは?

今回は令和4年度下期 機械科目 A問題4を解説します。同期電動機の位相特性曲線(V曲線)と同期調相機を問う穴埋め問題です。

V曲線の最低点が力率1。右側が進み力率、左側が遅れ力率。電圧調整に使う電動機が同期調相機です。

目次

令和4年度下期 機械科目 A問題4:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 同期機 令和4年度下期 A問題4 問題文
令和4年度下期 機械科目 A問題4 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題4

電験3種 機械科目 【同期機】 令和4年度下期 A問題4

 次の文章は、三相同期電動機の位相特性に関する記述である。下の図は三相同期電動機の位相特性曲線(V曲線)の一例である。同期電動機は、界磁電流を変えると、電機子電流の端子電圧に対する位相が変わり、さらに、電機子電流の大きさも変わる。図の曲線の最低点は力率が1となる点で、図の破線より右側は(ア)電流、左側は(イ)電流の範囲となる。また、電動機の出力を大きくするにつれて、曲線は(ウ)→B→(エ)の順に変化する。この位相特性を利用して、三相同期電動機を需要家機器と並列に接続して無負荷運転し、需要家機器の端子電圧を調整することができる。このような目的で用いる三相同期電動機を(オ)という。空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして正しいものを一つ選べ。

出題のポイント:V曲線は「横が力率、縦が電流、高さが出力」

位相特性曲線(V曲線)は、同期電動機の性格を1枚で表す図です。3つの軸で読むと、5つの空欄がすべて埋まります

読む方向何が分かるか本問での空欄
横(左右)力率の遅れ・進み(ア)(イ)
縦(谷の深さ)電機子電流の大きさ
曲線の高さ出力の大きさ(ウ)(エ)
V曲線の3つの位置

左=不足励磁(遅れ電流) 谷の底=力率1 右=過励磁(進み電流)

「不足はリアクトル(遅れ)、過剰はコンデンサ(進み)」と覚えると、左右を取り違えません。

同期電動機のV曲線で左側が遅れ電流、最小点が力率1、右側が進み電流となる図
V曲線は左が遅れ、中央が力率1、右が進みです。

空欄を確定する

(ア)(イ):右が進み、左が遅れ

界磁電流を増やしていくと、電機子電流はいったん減って最小になり、また増えていきます——これがV字の形です。最小点が力率1で、そこより右(界磁が多い=過励磁)が進み電流、左(界磁が少ない=不足励磁)が遅れ電流です。

(ア)=進み、(イ)=遅れ問題文が「破線より右側は(ア)電流、左側は(イ)電流」と書いているとおりの順番です。

(ウ)(エ):出力を上げると曲線は上へ

出力が大きいほど、必要な電機子電流も大きくなりますだから曲線全体が上へ移動します。いちばん下がC(無負荷に近い)、いちばん上がA(出力が最大)——(ウ)=C、(エ)=A です。

「出力を大きくするにつれて」という表現ですから、小さいほうから大きいほうへ並べることになります。C → B → A の順です。

(オ):無負荷で運転して電圧を調整する装置

同期電動機を無負荷で回し、界磁電流だけを調整して系統に無効電力を出し入れする——この用途の機械を同期調相機といいます。(オ)=同期調相機

答え(ア)進み/(イ)遅れ/(ウ)C/(エ)A/(オ)同期調相機 ⇒ (4)
同期電動機のV曲線A、B、Cの出力順と同期調相機による無効電力・電圧調整を示す図
出力増加はC→B→Aで、無負荷運転して電圧を調整する装置が同期調相機です。
令和4年下期機械A問題4の空欄を進み、遅れ、C、A、同期調相機と確定する表
5空欄の組合せから、正解は(4)です。

なぜV字の形になるのか

「界磁電流を変えると電機子電流がV字を描く」——この形になる理由を押さえておくと、暗記に頼らずに済みます。

電動機が同じ出力を出している限り、電機子電流の有効分(電圧と同相の成分)は変わりません。変わるのは無効分だけです。

界磁電流電機子電流の有効分電機子電流の無効分合計(大きさ)
少ない(不足励磁)一定遅れ側に大きい大きい
ちょうど一定ゼロ最小(=有効分だけ)
多い(過励磁)一定進み側に大きい大きい

有効分が固定されたまま、無効分だけが左右に振れる——合計の大きさは、無効分がゼロのときに最小になります。だからV字(正確には谷型)の曲線になるのです。

出力を上げると有効分が増えるので、谷の底そのものが持ち上がります——これが「曲線がC → B → Aと上がる」ことの中身です。同時に、力率1になる界磁電流も少し大きくなるので、谷の位置は右へずれていきます

同期調相機——回転するコンデンサ

(オ)の同期調相機は、同期電動機の「無効電力を自由に出し入れできる」性質だけを使った機器です。軸には何もつながず、ただ回しているだけです。

運転界磁電流系統から見ると系統電圧への影響
過励磁大きくするコンデンサ(進み無効電力を供給)電圧を上げる
不足励磁小さくするリアクトル(遅れ無効電力を供給)電圧を下げる

界磁電流という1つのつまみで、コンデンサにもリアクトルにもなれる——しかも連続的に調整できるのが同期調相機の値打ちです。電力用コンデンサは「入れるか切るか」の段階的な調整しかできません

弱点は、回転機なので損失と保守が要ることです。いまは静止形無効電力補償装置(SVC)やパワエレを使った機器に置き換わりつつあります——それでも「界磁で無効電力を制御する」という原理は、同期機を理解するうえで欠かせません

同期発電機でも同じことができます。発電所で界磁電流を調整して系統電圧を支える——これは日常的に行われている運用です。「同期機は有効電力と無効電力を独立に制御できる」という点が、誘導機との決定的な違いになります。

⏱️ 本番での進め方
V曲線は「最低点=力率1、右=進み、左=遅れ」
出力が増えると曲線は上へ——C → B → A の順。
「不足はリアクトル、過剰はコンデンサ」で左右を覚える。
無負荷で電圧調整に使うのが同期調相機

💡 覚え方
「V曲線の最低点=力率1。右=進み(過励磁)、左=遅れ(不足励磁)。出力↑でC→B→A」V字になるのは有効分が一定で無効分だけが左右に振れるから無負荷で回して電圧を調整する用途が同期調相機——界磁1つでコンデンサにもリアクトルにもなれる

⚠️ よくある間違い
進みと遅れの左右を逆にするのが最も多い誤りです。右(界磁を増やす=過励磁)が進み——「過剰はコンデンサ」と結びつけてください。もう一つは出力の順序をA → B → Cと逆に読むこと。いちばん下の曲線が最小出力(C)です。

V曲線は無効電力の話、負荷角は有効電力の話

同期機には「V曲線」と「負荷角」という2つの重要な概念があります。混同されやすいのですが、扱っている量がまったく違います

V曲線(位相特性)負荷角(δ)
扱う量無効電力有効電力
調整するもの界磁電流軸のトルク(負荷)
変わるもの電機子電流の位相と大きさ回転子と回転磁界のずれ角
限界不足励磁が過ぎると脱調δ=90°で脱調

同期機の最大の特徴は、この2つを独立に制御できることです。界磁で無効電力を、軸のトルクで有効電力を——それぞれ別々に決められます

誘導機にはこれができません。誘導機の力率は負荷しだいで決まってしまい、常に遅れ——「力率を選べる」というのは同期機だけの特権です。(オ)の同期調相機は、その特権だけを使った機器だと言えます。

不足励磁を進めすぎると脱調する

V曲線の左端には限界があります。界磁電流を減らしすぎると、同期を保てなくなるのです。

同期電動機の最大トルクは、起電力 E に比例します。界磁を弱めれば E が小さくなり、出せる最大トルクも減る——負荷トルクを支えきれなくなった瞬間に脱調します

同期電動機の出力と負荷角

\( P=\dfrac{VE}{x_s}\sin\delta \)(最大は δ=90°)

E が小さいほど、同じ出力を出すのに大きな δ が必要——余裕がなくなります

界磁電流起電力 E同じ出力での負荷角安定度
過励磁大きい小さい余裕がある
力率1ほどほど中くらい標準
不足励磁小さい大きい余裕が少ない
極端な不足励磁非常に小さい90°を超える脱調

V曲線の左端が途切れている図を見たことがあるかもしれません。それは「これ以上界磁を減らすと脱調する」という限界を示しています——右端(過励磁側)には、そういう限界はありません

つまり同期電動機は、過励磁側で運転するほうが安全だということです。しかも過励磁なら進み力率で系統の力率改善にも貢献できる——実務でも過励磁運転が選ばれることが多いのは、この2つの理由によります。

まとめ

(ア)進み
(イ)遅れ
(ウ)C
(エ)A
(オ)同期調相機
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・同期電動機のベクトル図:【機械】令和5年度下期A問題5
・同期電動機の構造:【機械】令和3年度A問題5

📚 次に解くべき関連問題
【機械】平成28年度A問題5(同期機42)
【機械】平成23年度A問題5(同期機43)
【機械】令和3年度A問題7(同期機45)
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