今回は令和7年度上期 機械科目 A問題5を解説します。2台の同期発電機の並列運転の条件を問う穴埋め問題です。
電圧の大きさ・周波数・位相・相回転を一致させ、同期検定器で確認するのが並列(同期化)の手順です。
問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題5
2台の同期発電機を並列運転するためには,両発電機の(ア)に加えて,電圧の大きさ及び(イ)が一致していなければならない。発電機の並列に際し,これらの条件が一つでも満足されていなければ,並列と同時にじょう乱が発生するので,(ウ)を用いてこれらの3条件が一致した同期状態にあることを確認したうえで並列する必要がある。空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして正しいものを一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 回転速度 位相 電流計 (2) 力率 方向 同期検定器 (3) 周波数 位相 同期検定器 (4) 回転速度 方向 電圧計 (5) 周波数 位相 周波数計
出題のポイント:並行運転の条件は4つ
同期発電機を2台つないで運転する——そのためには、つなぐ前に4つの条件をそろえておかなければなりません。1つでも狂っていると、投入した瞬間に大きな乱れが生じます。
| 条件 | 合わせるもの | 合っていないと何が起きるか |
| ① 起電力の大きさ | 電圧の大きさ | 無効横流が流れる(電圧の高い側から低い側へ) |
| ② 周波数 | 回転速度(=周波数) | 位相差が周期的に変化し、乱調・脱調 |
| ③ 位相 | 起電力の位相 | 有効横流(同期化電流)が流れ、衝撃トルクが生じる |
| ④ 相回転 | 三相の順序 | ほぼ短絡状態——最も危険 |
問題文は「両発電機の(ア)に加えて、電圧の大きさ及び(イ)が一致していなければならない」と書いています。「電圧の大きさ」は明示されているので、残る2つが(ア)と(イ)——周波数と位相です。

空欄を確定する
(ア):合わせるのは周波数
「回転速度」と迷うところですが、正しくは周波数です。極数が違う発電機どうしなら、回転速度が違っても周波数は一致し得ます——f=pN/120 ですから、極数の異なる機械では回転速度と周波数は別物です。
系統につなぐうえで意味を持つのは周波数のほうです。(ア)=周波数。
(イ):位相
大きさと周波数が合っていても、位相がずれていれば投入できません。2台の起電力の差が電圧として現れ、そこに大きな電流が流れてしまうからです。(イ)=位相。
(ウ):同期検定器
これら3条件が一致した状態(同期状態)を確認する計器が同期検定器です。(ウ)=同期検定器。電流計や電圧計では位相のずれが分かりません。


同期検定器は何を見ているのか
同期検定器は、2つの電源の電圧のベクトル差を見ています。差がゼロになった瞬間が、投入してよいタイミングです。
| 同期検定器の様子 | 意味していること | 投入してよいか |
| 針がゆっくり回る | 周波数がわずかにずれている | 針が一致位置に来た瞬間に投入 |
| 針が速く回る | 周波数のずれが大きい | だめ。回転速度を調整してから |
| 針が止まっている(一致位置) | 周波数も位相も一致 | 投入できる |
| 針が止まっている(一致位置以外) | 周波数は同じだが位相がずれている | だめ。位相を合わせる必要がある |
針の回る速さが周波数差、針の位置が位相差——1つの計器で2つの条件を同時に見られるのが同期検定器の便利なところです。
実務では、針がゆっくり回っている状態にしてから、一致位置に来る少し手前で投入します。遮断器が閉じるまでに時間がかかるので、その分を見越して早めに操作するのです。
ランプを使う方式もあります。3つのランプの明滅で同期状態を判断する「明滅法」「明暗法」——電圧差がゼロならランプが消えるので、消えた瞬間に投入すればよいという原理です。
条件が合っていないと、どんな電流が流れるか
「じょう乱が発生する」と問題文は書いていますが、具体的にどんな電流が流れるのか——条件ごとに性質が違います。
| ずれているもの | 流れる電流 | 電流の性質 | 結果 |
| 電圧の大きさ | 無効横流 | ほぼ90°ずれた無効電流 | 巻線が余分に発熱。電圧の高い側が遅れ電流を負担 |
| 位相 | 有効横流(同期化電流) | 電圧とほぼ同相の有効電流 | 進んでいる側が減速、遅れている側が加速して同期する |
位相のずれで流れる電流は「同期化電流」と呼ばれ、じつは2台を同期させる働きをします。進んでいる機械にはブレーキ、遅れている機械にはアクセルが掛かる——自然に位相が揃う方向へ力が働くのです。
ただし、ずれが大きいと衝撃が大きすぎます。軸にねじりの衝撃が加わり、機械的な損傷につながる——だから「小さなずれなら自然に揃うが、大きなずれは危険」ということになります。
相回転が違う場合は論外です。三相の順序が逆なら、2台の電圧が常に大きく食い違う——ほぼ短絡に近い状態になり、重大な事故につながります。だから相回転は設置時に確認し、運転のたびに確かめるものではありません。
⏱️ 本番での進め方
① 並行運転の条件は「大きさ・周波数・位相(+相回転)」。
② (ア)は「回転速度」ではなく「周波数」——極数が違えば回転速度は別物。
③ 位相の確認は同期検定器。電流計・電圧計・周波数計では分からない。
④ 針の回る速さ=周波数差、針の位置=位相差。
💡 覚え方
並行運転の一致条件は「電圧の大きさ・周波数・位相(+相回転)」。確認は同期検定器で、針の回転速度が周波数差、針の位置が位相差を表す。大きさのずれ=無効横流、位相のずれ=有効横流(同期化電流)——同期化電流は自然に位相を揃える方向に働く。
⚠️ よくある間違い
(ア)に「回転速度」を選ぶのが典型です。極数の違う発電機どうしなら、回転速度が違っても周波数は一致します——系統でそろえるべきは周波数です。もう一つは(ウ)に電圧計や周波数計——位相のずれを見られるのは同期検定器だけです。
並列にしたあと——負荷はどう分担されるのか
無事に並列運転に入ったあと、2台はどうやって負荷を分け合うのでしょうか。じつは、有効電力と無効電力で調整するつまみが違います。
| 分担するもの | 調整するもの | 操作 | 理由 |
| 有効電力(kW) | 原動機の出力(調速機) | 蒸気や水量を増やす | 軸に入れる機械的な力を増やす |
| 無効電力(kvar) | 界磁電流 | 励磁を強める/弱める | 起電力の大きさを変える |
「有効は原動機、無効は界磁」——この分離が同期発電機の運用の基本です。界磁をいくら強めても有効電力は増えませんし、蒸気を増やしても無効電力は変わりません。
なぜそうなるのか——有効電力は負荷角で決まり、無効電力は起電力の大きさで決まるからです。原動機の出力を増やせば回転子が少し進んで負荷角が開き、有効電力が増える。界磁を強めれば起電力が大きくなり、進み無効電力が出る——2つの操作が別々の量に効きます。
系統に並列された1台の発電機は、勝手に速度を変えられません。周波数は系統全体で決まっているからです——だから原動機の出力を増やしても速度は上がらず、負荷角が開いて有効電力が増えるだけになります。
「単独運転なら速度が上がるが、並列運転なら出力が増える」——同じ操作でも、つながっているかどうかで結果がまったく違うのが、同期機の面白いところです。
まとめ
| (ア) | 周波数 |
| (イ) | 位相 |
| (ウ) | 同期検定器 |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・並行運転と無効横流:【機械】令和4年度上期A問題4
・並行運転の力率:【機械】令和元年度B問題15

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