同期機36【電験3種 機械】並行運転の条件・操作で誤りは?平成29年 A問題4 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 平成29年度 A問題4 並行運転の手順で誤りは?条件を総点検する

今回は平成29年度 機械科目 A問題4を解説します。同期発電機を並列接続するための条件・操作について、誤りを1つ選ぶ論説問題です。

端子電圧の波形(大きさ)は励磁電流で決まります。励磁電流を変えずに励磁電圧だけ調整しても波形は一致しません。

目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題4

既に同期発電機Aが母線に接続されて運転しているとき,同じ母線に同期発電機Bを並列に接続するために必要な条件又は操作として,誤っているものを一つ選べ。

(1) 母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の相回転方向が一致していること。同期発電機Bの設置後又は改修後の最初の運転時に相回転方向の一致を確認すれば、その後は母線への並列のたびに相回転方向を確認する必要はない。

(2) 母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の位相を合わせるために、同期発電機Bの駆動機の回転速度を調整する。

(3) 母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の大きさを等しくするために、同期発電機Bの励磁電流の大きさを調整する。

(4) 母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の波形をほぼ等しくするために、同期発電機Bの励磁電流の大きさを変えずに励磁電圧の大きさを調整する。

(5) 母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の位相の一致を検出するために、同期検定器を使用するのが一般的であり、位相が一致したところで母線に並列する遮断器を閉路する。

出題のポイント:調整する量と操作する対象を対応させる

並列投入の問題では「何を合わせるために、何を操作するか」が繰り返し問われます。この対応が頭に入っていれば、記述の正誤はすぐ判定できます

合わせるもの操作する対象理由
端子電圧の大きさ励磁電流(界磁電流)E=4.44fNφ で、磁束は界磁電流が作る
位相・周波数原動機の回転速度f=pN/120
相回転配線(設置時に確認)配線を変えない限り変わらない
位相の一致確認同期検定器電圧計・電流計では分からない
同期発電機の並列投入条件と回転速度、励磁電流、同期検定器の対応図
周波数・位相は回転速度、電圧の大きさは励磁電流で合わせます。

5つの記述を判定する

記述内容判定根拠
(1)相回転の確認は最初の運転時だけでよい正しい配線で決まるので、変えない限り変わらない
(2)位相は原動機の回転速度で調整正しい回転子の位置を進める/遅らせる
(3)電圧の大きさは励磁電流で調整正しい磁束を変えれば起電力が変わる
(4)励磁電流を変えずに励磁電圧で波形を調整誤り ✗励磁電流が変わらなければ磁束も起電力も変わらない
(5)位相の一致は同期検定器で確認正しい位相差を見られる唯一の計器
答え誤っているものは (4)
励磁電流から磁束、誘導起電力、端子電圧が変化する関係図
磁気飽和を無視すればEはIfに概ね比例し、端子電圧の大きさを励磁電流で調整します。
平成29年機械A問題4の各選択肢の正誤と正解4を示す図
励磁電流を変えず励磁電圧だけで波形を調整する(4)が誤りです。

(4)のどこが誤りなのか

「励磁電圧」と「励磁電流」は別のものです。この2語の区別が、本問の唯一にして最大の分かれ目になります。

励磁電圧励磁電流
何か界磁巻線に加える電圧界磁巻線に流れる電流
関係If=Vf/Rf
磁束を決めるのは間接的直接(φ∝If

実際には、励磁電圧を変えれば励磁電流も変わります(オームの法則)。ところが(4)は「励磁電流の大きさを変えずに励磁電圧の大きさを調整する」と書いています——これは物理的に成立しない操作です。

仮に成立したとしても、励磁電流が変わらないなら磁束も変わらず、起電力も変わりません。端子電圧を合わせるという目的が達成できない——どちらの意味でも誤りです。

さらに細かく言えば、「波形」という言葉も少し引っかかります。並列条件で合わせるのは電圧の「大きさ」であって、厳密な意味での波形(高調波の含み方)は機械の作りで決まってしまうものです。ここでは「大きさ」の意味で読むのが自然でしょう。

(1)はなぜ正しいのか——相回転だけが特別

「相回転は最初の運転時に確認すれば、その後は毎回確認しなくてよい」——一見すると手抜きに見えますが、これは正しい記述です。

条件何で決まるか運転のたびに変わるか毎回確認が必要か
電圧の大きさ励磁電流変わる必要
周波数回転速度変わる必要
位相回転子の位置刻々変わる必要
相回転配線の接続順変わらない不要(初回と改修後のみ)

相回転は「三相の線をどの順につないだか」で決まります。配線を変えない限り、運転のたびに変わることはありません——だから初回に一度確認すれば十分です。

逆に、改修や配線工事のあとは必ず確認しなければなりません。問題文が「設置後又は改修後の最初の運転時に」と書いているのは、この点を正確に押さえた表現です。

相回転が違ったまま投入すると、2台の電圧が常に大きく食い違い、ほぼ短絡に近い状態になります——他の3条件のような「自然に揃う」働きはまったくありません確認の頻度は少なくてよいが、間違えたときの被害は最大という条件です。

⏱️ 本番での進め方
「大きさは励磁電流、位相は回転速度」の対応を固める。
励磁電圧と励磁電流を混同しない——磁束を決めるのは電流。
相回転だけは毎回確認しなくてよい(配線で決まるから)。
位相の確認は同期検定器。他の計器では分からない。

💡 覚え方
「端子電圧の大きさは励磁電流で決まる」——励磁電圧だけ調整しても意味がない位相・周波数は回転速度、大きさは励磁電流、確認は同期検定器相回転は配線で決まるので初回と改修後だけ確認すればよいが、間違えたときの被害は最大

⚠️ よくある間違い
「励磁電圧」と「励磁電流」を混同するのが本問の狙いです。電圧を合わせる操作は励磁電流の調整——2語が並んでいたら、必ずどちらか確認してください。もう一つは(1)を「毎回確認すべきだ」と考えて誤りと判定すること——相回転は配線で決まるので変わりません

条件を満たさずに投入すると、実際に何が起きるか

「並列と同時にじょう乱が発生する」と言われても、具体的な姿が見えにくいかもしれません。条件ごとに、どれくらい危険かを整理しておきましょう。

ずれているもの流れる電流の目安被害危険度
電圧が数 % 違う小さな無効横流巻線がやや加熱低い
位相が数十度ずれている大きな有効横流軸に衝撃トルク・機械的損傷中〜高
位相が180°ずれている起電力の差が2倍になり、ほぼ短絡と同じ巻線焼損・軸の破損極めて高い
相回転が逆常に大きな差が生じ続ける重大事故最悪

位相が180°ずれた状態は「起電力が真逆を向いている」ということです。2台の起電力が足し合わさって回路に加わる——短絡よりも厳しい条件になり得ます。

だから同期検定器で位相を確認するのです。電圧計では大きさしか分からず、位相が真逆でも「両方200 V」としか読めません——位相を見られる計器でなければ意味がないという(5)の記述は、この事情を述べています。

相回転の確認は「一度だけ、しかし必ず」

(1)は「初回だけ確認すればよい」と述べており、これは正しい記述です。ただし「確認しなくてよい」という意味ではありません

場面相回転の確認理由
設置後の初回運転必須配線が正しいか未確認
改修・配線工事の後必須接続が変わった可能性がある
通常の並列投入不要配線は変わっていない

相回転は配線の接続順で決まる「静的な」条件です。電圧・周波数・位相のように運転のたびに変わるものではありません——だから確認の頻度が違うのです。

逆に言えば、配線に手を入れたら必ず確認しなければなりません。三相のうち2本を入れ替えただけで相回転は逆になる——点検や更新工事のあとが、いちばん危ない場面です。

「頻度は少ないが、間違えたときの被害は最大」——相回転はそういう条件だと理解しておいてください。問題文が「設置後又は改修後の最初の運転時に」と、確認すべき場面を正確に限定しているのも、この性質を反映した表現です。

まとめ

誤り選択肢(4)
理由波形(大きさ)は励磁電流で決まるため
正しい確認同期検定器で位相一致
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・並行運転と無効横流:【機械】令和4年度上期A問題4
・商用電源への並列:【機械】平成21年度A問題4

📚 次に解くべき関連問題
【機械】令和4年度上期A問題4(同期機35)
【機械】平成21年度A問題4(同期機37)
【機械】令和5年度上期A問題5(同期機38)
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