同期機37【電験3種 機械】商用電源への並列と突入電流!平成21年 A問題4 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 平成21年度 A問題4 商用電源につなぐ瞬間!突入電流を防ぐには?

今回は平成21年度 機械科目 A問題4を解説します。同期発電機を商用電源に並列する条件と、位相差による突入電流を問う穴埋め問題です。

電圧の大きさ・周波数・位相を一致させます。位相差180°のとき突入電流が最大になります。

目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題4

 同期発電機を商用電源(電力系統)に遮断器を介して接続するためには,同期発電機の(ア)の大きさ,(イ)及び位相が商用電源のそれらと一致していなければならない。これらの条件が一つでも満足されていなければ,遮断器を投入したときに過大な電流が流れることがあり,同期発電機が損傷する。

 仮に,(ア)の大きさ,(イ)が一致したとしても,位相が異なる場合には位相差による電流が生じる。同期発電機が無負荷のとき,この電流が最大となるのは位相差が(ウ)〔°〕のときである。

 同期発電機の(ア)の大きさ,(イ)及び位相を商用電源のそれらと一致させるには,(エ)及び調速装置を用いて調整する。空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる語句又は数値の組合せとして正しいものを一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)インピーダンス周波数60誘導電圧調整器
(2)電圧回転速度60電圧調整装置
(3)電圧周波数60誘導電圧調整器
(4)インピーダンス回転速度180電圧調整装置
(5)電圧周波数180電圧調整装置

出題のポイント:一致させる量と、合わせる装置

並列投入の問題は「何を一致させるか」と「何で合わせるか」の2つを聞いてきます本問は最後に(エ)で装置の名前まで問うているのが特徴です。

一致させるもの合わせる装置操作の対象
電圧の大きさ電圧調整装置(励磁を調整)界磁電流
周波数・位相調速装置(ガバナ)原動機の回転速度
相回転—(配線で決まる)設置時に確認

問題文の「(エ)及び調速装置を用いて調整する」——調速装置が並んでいるのですから、(エ)は電圧側の装置です。「誘導電圧調整器」は配電線の電圧を調整する別の機器で、発電機の励磁を調整するものではありません

同期発電機を商用電力系統へ並列する前に確認する電圧周波数位相の条件
電圧の大きさ、周波数、位相を一致させ、実務では相順も確認してから遮断器を投入します。

空欄を確定する

(ア)=電圧一致させるのは電圧の大きさです。「インピーダンス」を一致させるという操作はありません——機械の設計で決まってしまう量です。

(イ)=周波数「回転速度」ではありません——極数が違う発電機どうしなら、回転速度が違っても周波数は一致し得ます系統でそろえるべきは周波数のほうです。

(ウ)=180位相差が180°のとき、2つの電圧が真逆を向いて差が最大になります。

(エ)=電圧調整装置調速装置と対になる、電圧側の調整装置です。

答え(ア)電圧/(イ)周波数/(ウ)180/(エ)電圧調整装置 ⇒ (5)
同期発電機と系統の位相差が0度と180度の場合の電圧ベクトル差を比較する図
位相差0°では電圧差0、180°では電圧差2Eとなり突入電流が最大です。
平成21年機械A問題4の並列条件に関する4空欄と正解5を示す図
電圧、周波数、180°、電圧調整装置の組合せとなるため、正解は(5)です。

位相差と電圧差の関係を式で見る

(ウ)が180°である理由を、式で確かめておきましょう。大きさの等しい2つの電圧に位相差 θ があるとき、その差の大きさは次のようになります。

2つの電圧の差

\( |\dot{E_1}-\dot{E_2}|=2E\sin\dfrac{\theta}{2} \)

θ=180° で 2E(最大)——2つの電圧が真逆を向き、足し合わさった形になります。

位相差 θsin(θ/2)電圧差突入電流の目安
000(理想的な投入)
60°0.5E短絡電流の半分程度
90°0.7071.41Eかなり大きい
180°1.02E最大——短絡より厳しい

180°のときは、2つの起電力が足し合わさって回路に加わります。片方を短絡したときの電圧が E であることを思えば、2E は短絡よりも厳しい条件だということになります。

「60°」を選んでしまう誤答が用意されているのは、60°という数字が三相回路でよく出てくるからでしょう。しかしこの式に当てはめれば、60°では電圧差が E にしかなりません——最大は明らかに180°です。

「電圧調整装置」と「調速装置」の役割分担

(エ)で問われている電圧調整装置は、発電機の励磁を制御して端子電圧を保つ装置です。自動電圧調整器(AVR)と呼ばれることもあります

装置制御するもの並列前並列後
電圧調整装置(AVR)界磁電流 → 端子電圧系統電圧に合わせる無効電力の分担を決める
調速装置(ガバナ)原動機の出力 → 回転速度周波数と位相を合わせる有効電力の分担を決める

並列前と並列後で、同じ装置の役割が変わるのが興味深いところです。並列前は「合わせる」ため、並列後は「分担を決める」ため——系統につながると速度も電圧も系統に固定されるので、操作の結果が電力の分担として現れるのです。

「有効は調速装置、無効は電圧調整装置」——この分離が同期発電機の運用の基本になります。ガバナをいくら開いても無効電力は増えませんし、励磁を強めても有効電力は増えません

⏱️ 本番での進め方
一致させるのは「電圧の大きさ・周波数・位相」。インピーダンスではない。
(イ)は「回転速度」ではなく「周波数」——極数が違えば速度は別物。
電圧差は 2E sin(θ/2)——180°で最大。
電圧は電圧調整装置、周波数・位相は調速装置

💡 覚え方
「並列条件=電圧・周波数・位相。位相差180°で突入電流最大。電圧は電圧調整装置、周波数・位相は調速装置」電圧差は 2E sin(θ/2)180°なら2E=短絡より厳しい並列後は同じ装置が「分担を決める」役に変わる(有効は調速、無効は励磁)。

⚠️ よくある間違い
突入電流が最大になる位相差を60°とするのが用意された誤答です。2E sin(θ/2) が最大になるのは θ=180°——60°では E にしかなりません。もう一つは(ア)に「インピーダンス」——一致させるのは電圧です。

並列後の分担を決める「垂下特性」

並列投入が終わったあと、複数の発電機は負荷をどう分け合うのでしょうか。その仕組みを作っているのが、調速装置に持たせた垂下特性(ドループ)です。

調速装置は「回転速度が下がったら出力を増やす」という制御をします。ただし完全に一定の速度を保とうとすると、複数の機械で不都合が起きます——どの機械も自分だけで速度を決めようとして、負荷の取り合いになるからです。

特性速度と出力の関係複数台で並列すると
定速度特性(垂下なし)速度を完全に一定に保とうとする分担が定まらず、取り合い(ハンチング)が起きる
垂下特性(ドループあり)出力が増えると設定速度がわずかに下がる各機の分担が一意に決まる

垂下特性を持たせると、系統周波数に対して各機の出力が一意に決まります。周波数が少し下がれば、すべての機械が特性に沿って自動的に出力を増やす——誰も指示しなくても負荷が分担されるのです。

速度垂下率(ドループ)

\( \delta=\dfrac{N_0-N_n}{N_n}\times100\ [\%] \)

無負荷時と全負荷時の速度差の割合——実機では3〜5 % 程度に設定されます。

ドループが小さい機械ほど、周波数のわずかな変化に対して大きく出力を変えます。逆にドループが大きければ、周波数が変わってもあまり出力を変えません——この設定で「どの発電機がどれだけ周波数調整を担うか」が決まります

系統の周波数が保たれているのは、この仕組みが全国の発電機で同時に働いているからです。需要が増えて周波数が下がりかけると、すべての発電機が一斉に出力を上げて押し戻す——「調速装置で位相を合わせる」という本問の記述の先には、こうした系統全体の話が広がっています

まとめ

(ア)電圧
(イ)周波数
(ウ)180
(エ)電圧調整装置
答え(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・並行運転の条件・操作:【機械】平成29年度A問題4
・並列運転の3条件:【機械】令和7年度上期A問題5

📚 次に解くべき関連問題
【機械】平成29年度A問題4(同期機36)
【機械】令和4年度上期A問題4(同期機35)
【機械】令和5年度上期A問題5(同期機38)
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