変圧器33【電験3種 機械】一次→二次換算の換算係数とは?令和5年度下期 A問題8 完全解説

電験3種 機械科目 令和5年度下期 A問題8 一次→二次換算の換算係数

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目において、「変圧器」は頻出かつ重要なテーマの一つです。本記事では、令和5年度下期 A問題8で出題された「一次→二次換算の換算係数」について、はじめての方でも確実に判断できるように、等価回路の換算の考え方を丁寧に解説します。

この問題は計算ではなく、変圧器の簡易等価回路で一次側の量を二次側に換算するときの係数に関する論説問題です。ポイントは、電圧・電流は a の1乗、インピーダンス・アドミタンスは a の2乗で換算する(しかも Z と Y は逆数の関係)こと。これさえ押さえれば、誤りの選択肢を確実に見抜けます。

出題のポイント:Z と Y は逆数なので係数も逆数になる

一次側の量を二次側へ換算するとき、巻数比 \( a = N_1/N_2 \) を用いて「電圧は小さく( \( \times 1/a \) )、電流は大きく( \( \times a \) )」します。インピーダンスは電圧÷電流なので \( \times 1/a^2 \)。そしてアドミタンスはインピーダンスの逆数なので、その換算係数も逆数の \( \times a^2 \) になります。この「Z と Y で係数が逆数」という関係が、本問の引っかけポイントです。

目次

令和5年度下期 機械科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 令和5年度下期 A問題8 問題文(一次→二次換算の換算係数)
令和5年度下期 機械科目 A問題8 問題文

電験3種 機械科目 【変圧器】 令和5年度下期 A問題8

変圧器の一次側(巻数 \( N_1 \))の諸量を二次側(巻数 \( N_2 \))に換算した場合の簡易等価回路の換算係数に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、この変圧器の巻数比 \( \left(N_1/N_2\right) \) を \( a \) とする。

(1) 一次側の電圧は \( 1/a \) 倍
(2) 一次側の電流は \( a \) 倍
(3) 励磁電流は \( a \) 倍
(4) 一次側のインピーダンスは \( 1/a^2 \) 倍
(5) 励磁アドミタンスは \( 1/a^2 \) 倍

問題の解説:換算係数を一つずつ確認する

一次側の量を二次側に換算する係数を、電圧・電流・インピーダンス・アドミタンスの順に確認します。

令和5年度下期 A問題8 解説1/2 一次→二次換算の等価回路と換算係数
解説(1/2):一次→二次換算の等価回路と換算係数
令和5年度下期 A問題8 解説2/2 各記述の正誤と(5)が誤りの理由
解説(2/2):各記述の正誤と(5)が誤りの理由

ステップ1:電圧・電流の換算係数

巻数比 \( a = N_1/N_2 \) より、一次側の電圧を二次側へ換算すると \( 1/a \) 倍、電流は \( a \) 倍になります。励磁電流も電流の一種なので \( a \) 倍です。したがって (1)(2)(3) はいずれも正しい記述です。

ステップ2:インピーダンスとアドミタンスの換算係数

インピーダンスは「電圧÷電流」なので、換算係数は \( \dfrac{1/a}{a} = \dfrac{1}{a^2} \) 倍。よって (4) は正しい。一方、アドミタンスはインピーダンスの逆数なので、

$$Y’ = \frac{1}{Z’} = \frac{1}{Z \times (1/a^2)} = a^2 \times \frac{1}{Z} = a^2 Y$$

すなわち励磁アドミタンスは \( a^2 \) 倍であり、(5) の「 \( 1/a^2 \) 倍」は誤りです。

ステップ3:正誤の整理と答え

記述内容正誤
(1)電圧は \( 1/a \) 倍
(2)電流は \( a \) 倍
(3)励磁電流は \( a \) 倍
(4)インピーダンスは \( 1/a^2 \) 倍
(5)励磁アドミタンスは \( 1/a^2 \) 倍誤(正しくは \( a^2 \) 倍)

誤っているものを選ぶ問題なので、正解は (5) です。

ポイント解説:換算係数を覚えるコツ

換算係数は丸暗記しがちですが、関係を理解すれば迷いません。

1. 「1乗の量」と「2乗の量」を分ける

電圧・電流は \( a \) の1乗( \( 1/a \) または \( a \) )、インピーダンス・アドミタンスは \( a \) の2乗( \( 1/a^2 \) または \( a^2 \) )で換算します。「電力(VA)は換算しても不変」という性質( \( V \times I \) が \( (1/a)\times a = 1 \) で一定)とあわせて覚えると整理できます。

2. Z と Y は必ず逆数の係数になる

アドミタンス \( Y = 1/Z \) なので、Z の換算係数が \( 1/a^2 \) なら Y は必ずその逆数 \( a^2 \) です。本問の(5)は、この「逆数の関係」を見落とすと正しく見えてしまう、よくできた引っかけになっています。

3. どちら側に換算しているかを意識する

本問は「一次側の量を二次側へ」換算するケースです。逆に「二次側を一次側へ」換算する場合は係数がすべて逆になります(電圧は \( a \) 倍、インピーダンスは \( a^2 \) 倍 など)。問題文の「どちらからどちらへ換算するか」を必ず確認しましょう。

まとめ:一次→二次換算の換算係数

一次側の量を二次側へ換算する係数をまとめます(巻数比 \( a = N_1/N_2 \) )。

換算係数
電圧\( \times 1/a \)
電流(励磁電流も)\( \times a \)
インピーダンス\( \times 1/a^2 \)
アドミタンス\( \times a^2 \)

換算係数の論説は、「電圧・電流は1乗、Z・Yは2乗、しかも Z と Y は逆数」という関係を押さえれば確実に得点できます。等価回路まわりの理解を深めて、変圧器を得点源にしましょう。

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