誘導機43【電験3種 機械】三相かご形誘導機の特徴とは?令和7年上期 A問題3 完全解説

電験3種 機械科目 誘導機 令和7年度上期 A問題3 かご形が広く使われる理由!その特徴とは?

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目において、「かご形誘導機の特徴」は構造・用途・発電運転を横断する定番の正誤問題です。本記事では、令和7年度上期 A問題3を、はじめての方でも確実に解けるように丁寧に解説します。

4つの記述は教科書どおり。唯一の誤りは「大容量にアルミダイカスト回転子」——ダイカスト一体成型は小・中容量向けの製法で、大容量機は銅棒+端絡環のろう付け構造が主流です。

目次

令和7年度上期 機械科目 A問題3:問題文と選択肢

製法と容量帯の対応が入れ替えられている一点を見抜きます。

電験3種 機械科目 令和7年度上期 A問題3 問題文(三相かご形誘導機の特徴とは)
令和7年度上期 機械科目 A問題3 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題3

電験3種 機械科目 【誘導機】 令和7年度上期 A問題3

三相かご形誘導機に関する記述として、誤っているものを選ぶ。(1) 同容量の巻線形より構造が簡単で安価。(2) 発電機として一部の水力発電や風力発電に採用。(3) 発電運転中の滑りは負となる。(4) 大容量の電動機にはアルミダイカスト回転子が広く用いられている。(5) 棒状導体のかご形は同容量の巻線形より機械的に過酷な使用に耐えられる。

出題のポイント:製法と容量帯の対応

正誤問題は「どこか1か所だけを事実と入れ替える」という作り方をします。本問で入れ替えられているのは、製法と容量帯の対応です。

かご形回転子の作り方どうやって作るか適する容量帯理由
アルミダイカスト溶かしたアルミを鋳込み、導体棒と端絡環を一体成型小・中容量型さえあれば一気に作れる=量産向き
銅棒+ろう付け銅棒を溝に挿入し、端絡環にろう付け大容量導電率が高く、大形でも欠陥が出にくい

大形をダイカストで作らないのは、大きな鋳物ほど鋳巣(内部の空洞)や偏りが出やすいからです。回転子導体に空洞があれば、そこで抵抗が上がって局所発熱します——回転する部品なので点検も修理もできず、致命的です。

加えて銅はアルミより導電率が高いので、大容量機では二次銅損を減らすために銅を使いたいという事情もあります。アルミが選ばれるのは安くて軽く、鋳込みやすいから——性能ではなく製造の都合です。

かご形誘導電動機のダイカスト回転子が小中容量機に多いことを示す図
ダイカスト製かご形回転子は小・中容量機に多い方式です。

5つの記述を1つずつ判定する

記述内容判定根拠
(1)巻線形より構造が簡単で安価正しい巻線もスリップリングもブラシも不要
(2)一部の水力・風力発電に採用正しい誘導発電機。同期を取らずに並列できる
(3)発電運転中の滑りは負正しいN>Ns ⇒ s=(Ns−N)/Ns<0
(4)大容量にアルミダイカスト回転子誤り ✗ダイカストは小・中容量向け
(5)棒状導体のかご形は機械的に過酷な使用に耐える正しい可動接点がなく遠心力・振動に強い
答え誤っているものは (4)
かご形と巻線形回転子の構造および誘導機の電動機運転と発電機運転の比較
構造と運転領域を対比して各選択肢を判定します。
かご形回転子と巻線形回転子の比較(端絡環とスリップリング)
回転子の2タイプ:かご形と巻線形
誘導機に関する五つの選択肢を検証して誤りの選択肢4を示す図
大容量機の回転子導体をダイカスト製とする選択肢4が誤りです。

(1)と(5)は同じ事実の裏表

(1)「簡単で安価」と(5)「機械的に過酷な使用に耐える」は、どちらも「かご形には可動接点がない」という一つの事実から出ています。

かご形巻線形
回転子にあるもの導体棒と端絡環だけ三相巻線+スリップリング+ブラシ
摩耗する部品軸受だけブラシとスリップリングが摩耗
保守ほぼ不要ブラシの点検・交換が要る
粉じん・湿気のある場所使えるブラシの火花と汚損が問題
高速回転強い(遠心力に耐える)巻線の飛び出しに注意が要る

「可動接点がない」ことが、安さ・頑丈さ・無保守のすべてを生んでいるのです。だから工場のポンプや送風機はほぼ全部がかご形で、巻線形は「どうしても二次抵抗を変えたい」用途に限られます

(2)(3):誘導発電機はなぜ風力に選ばれるのか

誘導機を同期速度より速く回すと、滑りが負になって発電機になります。同期発電機との違いを並べると、風力・小水力で選ばれる理由が見えます。

誘導発電機同期発電機
系統への並列同期を取る必要がない(速く回すだけ)電圧・周波数・位相を合わせる必要がある
回転速度の変動滑りで吸収できる許されない(脱調する)
界磁装置不要必要
無効電力系統から受け取る(自分では作れない)自分で作れる・系統へ供給できる
単独運転できないできる

風は強くなったり弱くなったりします。同期発電機なら回転速度が系統周波数に固定されるので、風の変動が全部トルクの変動として軸にかかります誘導発電機は滑りが数 % 動くことで変動を吸収できる——これが小規模な風力・小水力で選ばれてきた最大の理由です。

弱点は無効電力を自分で作れないことです。回転磁界を作るための励磁電流を系統から受け取っているので、系統が停電すれば発電も止まります力率改善用のコンデンサを併設するのが普通で、系統から切り離して使うにはコンデンサで自励させる必要があります。

⏱️ 本番での進め方
ダイカスト=小・中容量(量産)/銅棒ろう付け=大容量。理由(鋳巣・導電率)ごと覚える。
(3)の「発電運転で滑りが負」は正しい——ここを誤りと判定する人が多い。
(1)と(5)は同じ事実の裏表。両方正しいか両方誤りかしかあり得ない。
「大容量に広く用いられている」など容量帯を言う記述は要注意。入れ替えの定番。

誘導発電機の滑りはどれくらいか

(3)の「発電運転中の滑りは負」を、数字で実感しておきましょう。4極・50 Hz の機械で考えます。

\( N_s=\dfrac{120\times50}{4}=1500\ \mathrm{min^{-1}} \)
❶ 同期速度
\( N=1470 \;\Rightarrow\; s=\dfrac{1500-1470}{1500}=+0.02 \)
❷ 電動機運転
同期速度より遅い ⇒ 滑りは正
\( N=1530 \;\Rightarrow\; s=\dfrac{1500-1530}{1500}=-0.02 \)
❸ 発電機運転
同期速度より速い ⇒ 滑りは負

1 470 と 1 530——たった60 min−1 の違いで、電動機と発電機が入れ替わります。同期速度がちょうど境目で、そこを跨いだ瞬間にトルクの向きが反転するのです。

風力発電では、風が強まって回転子を同期速度より速く押し回すと、自動的に発電が始まります。切り替えのための操作は要りません——誘導発電機が「同期を取らなくてよい」と言われるのは、この自動性のことです。風が弱まって同期速度を下回れば、今度は系統から電力を受け取る電動機に戻ります

正誤問題は「どこを入れ替えたか」を探す

正誤問題の作り方には型があります。本問の(4)は「対応関係の入れ替え」型——正しい事実の一方だけをずらして誤りにするやり方です。

入れ替えの型見分け方
対応関係の入れ替え本問(4):ダイカスト⇔容量帯「大容量」「小容量」など、範囲を限定する語に注目
因果の逆転「効率が良いので構造が簡単」「〜なので」の前後を入れ替えて読んでみる
符号・向きの反転「発電運転の滑りは正」定義に戻って計算する
言い切りの追加「必ず」「〜に関係なく」電気機器の性質には必ず条件が付く

本問で(3)を誤りと疑ってしまう人が多いのは、「滑りが負」という表現が直感に反するからです。しかし定義 s=(Ns−N)/Ns に N>Ns を入れれば、負になるほかありません——迷ったら定義式に数字を入れるのが最短の解決です。

逆に(4)は「容量帯」という限定語が付いている点で、最初から怪しむべき記述です。「大容量の電動機には〜が広く用いられている」という形の記述は、入れ替えの標的になりやすい——読んだ瞬間に「本当に大容量か?」と確かめる癖をつけてください。

💡 覚え方
アルミダイカストは小・中容量、大容量は銅棒+端絡環のろう付けかご形の長所(安い・頑丈・無保守)はすべて「可動接点がない」ことから来る同期速度より速く回せば誘導発電機(s<0)で、同期を取らずに並列できるので風力・小水力に向くが、無効電力は系統から取るしかない

⚠️ よくある間違い
(3)を誤りと判定するのが典型です。発電運転の滑りは確かに負で、これは正しい記述です。もう一つは「かご形は丈夫だから大容量もダイカストだろう」と推測して(4)を正しいとすること——丈夫さと製法の話は別です。

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