変圧器39【電験3種 機械】いろいろな変圧器(単巻・V結線・スコット結線・計器用変成器)とは?令和4年度上期 A問題9 完全解説

電験3種 機械科目 変圧器 令和4年度上期 A問題9 単巻・V結線・スコット結線!用途で選ぶ変圧器

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目では、変圧器の用途や種類に関する論説問題もよく出題されます。本記事では、令和4年度上期 A問題9で問われた「いろいろな変圧器」——単巻変圧器・V結線・スコット結線・計器用変成器・変流器——の特徴から誤っているものを選ぶ問題を解説します。

カギはスコット結線。スコット結線は三相を二相に変換する結線で、二次側に得られる二つの単相電源の位相差は90°です。問題文ではこれを「180°」としており、ここが誤りになります。

目次

令和4年度上期 機械科目 A問題9:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 令和4年度上期 A問題9 問題文(いろいろな変圧器の論説)
令和4年度上期 機械科目 A問題9 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題9

電験3種 機械科目 【変圧器】 令和4年度上期 A問題9

いろいろな変圧器に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 単巻変圧器は、一つの巻線の一部から端子が出ており、巻線の共通部分を分路巻線、共通でない部分を直列巻線という。三相結線にして電力系統の電圧変成などに用いられる。

(2) 単相変圧器3台をΔ-Δ結線として三相給電しているとき、故障等により1台を取り除いて残りの2台で同じ電圧のまま給電する方式をV結線方式という。V結線にすると変圧器の利用率はおよそ0.866倍に減少する。

(3) スコット結線変圧器は、M変圧器、T変圧器と呼ばれる単相変圧器2台を用いる。M変圧器の中央タップに片端子を接続したT変圧器の他端子とM変圧器の両端子を三相電源の一次側入力端子とすると、二次側端子からは位相差180度の二つの単相電源が得られる。この変圧器は、電気鉄道の給電などに用いられる。

(4) 計器用変成器は、送配電系統等の高電圧・大電流を低電圧・小電流に変成して指示計器にて計測するためなどに用いられる。このうち、計器用変圧器は、変圧比が1より大きく、定格二次電圧は一般に、110Vは110/√3 Vに統一されている。

(5) 計器用変成器のうち、変流器は、一次巻線の巻数が少なく、1本の導体を鉄心に貫通させた貫通形と呼ばれるものがある。二次側を開放したまま一次電流を流すと一次電流が全て励磁電流となり、二次端子には高電圧が発生するので、電流計を接続させると短絡状態で使用する必要がある。

出題のポイント:スコット結線は90°、180°ではない

スコット結線は三相を二相に変換する結線です。「二相」とは、位相が90°ずれた2つの単相のこと——180°では単に逆向きなだけで、二相にはなりません

180°ずれた2つの電圧は、実質的に1つの単相と同じです。正負が入れ替わるだけで、独立した2つの電源にはならない——だから「二相」と呼ぶには90°でなければなりません

M変圧器(主座)T変圧器(T座)
一次側の接続三相電源の2端子に接続M変圧器の中央タップと、残る1端子に接続
一次巻線の巻数比1(基準)√3/2(M変圧器の86.6 %)
二次電圧の位相基準90°ずれる

T変圧器の一次巻数を √3/2 にするのが要点です。三相の線間電圧に対して、中央タップから見た電圧は √3/2 倍——その分だけ巻数を減らすことで、二次側の2つの電圧の大きさがそろいますそして向きは互いに直角になります。

単巻変圧器とV結線とスコット結線とVTとCTの特徴をまとめた図
V結線は変圧器2台の開放Δで利用率0.866、スコット結線は三相から90°差の二相、CTは二次開放厳禁です。

正しい4つの記述を確認する

(1) 単巻変圧器:分路巻線と直列巻線

共通部分が分路巻線、共通でない部分が直列巻線——これは定義そのものです。三相結線にして系統の電圧変成に使われるのも事実で、275 kV と500 kV を結ぶような、電圧比が1に近い用途で威力を発揮します。

(2) V結線:利用率は0.866

Δ-Δ結線から1台を取り除いた形がV結線です。2台で三相を送れるのですが、2台の容量をフルには使えません

V結線の利用率と出力比

利用率 \( =\dfrac{\sqrt{3}P}{2P}=\dfrac{\sqrt{3}}{2}\fallingdotseq 0.866 \) / 出力比 \( =\dfrac{\sqrt{3}P}{3P}=\dfrac{1}{\sqrt{3}}\fallingdotseq 0.577 \)

利用率は「2台の容量に対する割合」、出力比は「Δ-Δ3台に対する割合」——分母が違うので値も違います

0.866 と0.577 のどちらを聞かれているかを取り違えないことが重要です。「利用率」なら残った2台に対する割合で0.866「出力比」なら元の3台に対する割合で0.577——2つの値をセットで覚えておきましょう

(4) 計器用変圧器(VT)の二次定格

VT の二次定格電圧は110 V が標準で、三相回路で相電圧を扱う場合は 110/√3 Vとされます。変圧比が1より大きい(降圧)のも、高電圧を測るための当然の性質です。

(5) 変流器(CT)の貫通形と二次開放の危険

一次巻線が1回(導体を鉄心に通すだけ)の貫通形は、大電流回路でよく使われる形式です。二次側を開放すると一次電流のすべてが励磁電流となり、高電圧が発生して危険——だから電流計を外すときは二次側を短絡してから、が鉄則です。

単巻変圧器やV結線やスコット結線など五つの選択肢の正誤判定
スコット結線の二相出力を180°差とした(3)が誤りです。正しくは90°差です。
答え誤っているのは (3)です。スコット結線の二次側に得られる2つの単相電源の位相差は90°——180°ではありません

V結線の0.866 と0.577 を自分で導く

V結線の利用率0.866 と出力比0.577 は、丸暗記しなくても導けます変圧器1台の容量を P とおいて、順に計算するだけです。

Δ-Δ結線では変圧器3台を使い、合計容量は 3Pこれが三相出力としてそのまま使えますではV結線で2台にしたとき、三相出力はいくらになるでしょうか

\( V\text{結線の三相出力}=\sqrt{3}\,V_{\ell}I_{\ell} \)
三相出力
線間電圧と線電流から
\( V\text{結線では} I_{\ell}=I_p\ \text{(変圧器の電流がそのまま線電流)}\)
電流
Δと違って √3 倍にならない
\( \text{よって}\ \text{三相出力}=\sqrt{3}\,V_p I_p=\sqrt{3}\,P \)
整理
変圧器1台の容量 P=VpIp

ここが要点ですΔ結線なら線電流は相電流の √3 倍になりますが、V結線では1相分が欠けているので、線電流と変圧器の電流が一致します。その結果、三相出力は √3 P にとどまります

使う台数設備容量三相出力
Δ-Δ結線3台3P3P
V結線2台2P√3 P≒1.732P
利用率√3 P ÷ 2P0.866
出力比√3 P ÷ 3P0.577

利用率は「置いてある2台をどれだけ使い切れているか」——2台分の容量2P のうち √3 P しか出せないので86.6 %13.4 %は遊んでいることになります

出力比は「元の3台構成に比べてどれだけ送れるか」——3P に対して √3 P なので57.7 %1台が故障して取り除かれると、送れる電力はおよそ6割に落ちるという意味です。

2つの値は分母が違うだけで、どちらも分子は √3 P「2台で割れば利用率、3台で割れば出力比」と覚えておけば、取り違えません。問題文が「利用率」と書いているか「出力」と書いているかを、必ず確認してください。

⏱️ 本番での進め方
①「二相」=90°ずれた2つの単相。180°は二相ではない。
② V結線は利用率0.866、出力比0.577。2つの値を区別する。
③ CT二次開放の危険、VT二次定格110 V は毎年のように問われる。
④ 論説の誤り探しは数値の書き換えが定番。角度・比率に線を引いて読む。

💡 覚え方
「スコットは三相を90°ずれた二相に、T座の巻数は √3/2」——90°と √3/2 の2つの数字が要点です。電気鉄道の給電で、2つの単相負荷を均等にすれば三相側が平衡する——用途とセットで覚えると忘れません

関連問題:同じテーマが繰り返し出ている

単巻変圧器・スコット結線・計器用変成器は、組合せを変えて何度も出題されています変圧器40:各種変圧器と磁気漏れ変圧器(定電流変圧器)変圧器45:三相電源に接続する変圧器(第3調波・角変位・スコット結線))。

本問はスコット結線の位相差、H28は磁気漏れ変圧器の特性、H27は角変位の数値——誤りにされる箇所は毎回違いますだからこそ、どの記述も正しく言えるようにしておくのが結局は近道です。

M変圧器とT変圧器を用いるスコット結線の一次接続と90度差の二相出力
M変圧器はR-T間で中央タップを持ち、T変圧器はSと中央タップ間に接続します。二次出力EMとETの位相差は90°です。
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