変圧器21【電験3種 機械】変圧器の損失と効率(鉄損∝V²・銅損∝I²)とは?平成23年 A問題7 完全解説

電験3種 機械科目 変圧器 平成23年度 A問題7 鉄損は電圧の2乗・銅損は電流の2乗!効率は?

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目において、「変圧器の損失と効率」は鉄損・銅損の性質を総合的に問う重要テーマです。本記事では、平成23年度 A問題7の穴埋め問題を、はじめての方でも確実に解けるように丁寧に解説します。

a・b・c の3つの運転条件を、「鉄損は電圧の2乗、銅損は電流の2乗」という2つの比例関係だけで追いかけます。この1問で損失の性質が総まとめできる良問です。

目次

平成23年度 機械科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 平成23年度 A問題7 問題文(変圧器の損失と効率の穴埋め)
平成23年度 機械科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題7

電験3種 機械科目 【変圧器】 平成23年度 A問題7

次の文章は、変圧器の損失と効率に関する記述である。電圧一定で出力を変化させても、出力一定で電圧を変化させても、変圧器の効率の最大は鉄損と銅損とが等しいときに生じる。ただし、変圧器の損失は鉄損と銅損だけとし、負荷の力率は一定とする。

a.出力 1 000 W で運転している単相変圧器において鉄損が 40.0 W、銅損が 40.0 W 発生している場合、変圧器の効率は (ア) [%] である。

b.出力電圧一定で出力を 500 W に下げた場合の鉄損は 40.0 W、銅損は (イ) [W]、効率は (ウ) [%] となる。

c.出力電圧が 20 % 低下した状態で、出力 1 000 W の運転をしたとすると鉄損は 25.6 W、銅損は (エ) [W]、効率は (オ) [%] となる。ただし、鉄損は電圧の 2 乗に比例するものとする。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)9420.08961.591
(2)9310.09162.592
(3)9420.08963.591
(4)9310.09150.093
(5)9220.08961.591

出題のポイント:鉄損は電圧の2乗、銅損は電流の2乗

本問は「出力を変える場合」と「電圧を変える場合」の2通りを扱いますどちらの場合も、鉄損と銅損が何に比例するかを押さえていれば追えます

損失比例するもの電圧一定で出力を変えると出力一定で電圧を変えると
鉄損電圧の2乗変わらない電圧の2乗で変わる
銅損電流の2乗出力の2乗で変わる電圧の2乗に反比例して変わる

電圧一定なら電流は出力に比例しますから、銅損は出力の2乗に比例します。逆に出力一定で電圧を下げれば、同じ電力を送るために電流が増える——だから銅損は増えます

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)9420.08961.591
(2)9310.09162.592
(3)9420.08963.591
(4)9310.09150.093
(5)9220.08961.591
鉄損が電圧の二乗に比例して電圧0.8倍で25.6ワットとなり、銅損が電流の二乗に比例して電流0.5倍で10ワット、1.25倍で62.5ワットとなる比較
鉄損はV²、銅損はI²で変化します。出力一定なら電圧低下に伴って電流が増えます。

(ア)まずは素直に効率を計算する

\( \eta=\dfrac{1\,000}{1\,000+40+40}\times100 \)
効率
出力÷(出力+全損失)
\( \phantom{\eta}=\dfrac{1\,000}{1\,080}\times100\fallingdotseq 92.6\ [\%] \)
計算
四捨五入して93 %

鉄損と銅損が等しい状態ですから、この運転点がまさに最大効率です。問題文の冒頭が「効率の最大は鉄損と銅損とが等しいときに生じる」と述べているのは、この a が最大効率点であることを示すためでもあります。

(イ)(ウ)電圧一定で出力を半分にする

電圧が一定なら、出力が半分になれば電流も半分です。銅損は電流の2乗に比例しますから、1/4 になります

\( P_c’=40.0\times\left(\dfrac{500}{1\,000}\right)^{2}=40.0\times0.25 \)
銅損
出力比の2乗
\( \phantom{P_c’}=10.0\ [\mathrm{W}] \)
(イ)
鉄損40 W は変わらない
\( \eta=\dfrac{500}{500+40+10}\times100=\dfrac{500}{550}\times100 \)
効率
全損失は50 W
\( \phantom{\eta}\fallingdotseq 90.9\ [\%] \)
(ウ)
四捨五入して91 %

効率が93 %から91 %へ下がりました最大効率点から離れたからです——鉄損40 W は変わらないのに出力が半分になったので、鉄損の割合が倍に効いてきます

(エ)(オ)出力一定で電圧を20 %下げる

ここが本問の山場です。電圧が0.8倍になっても出力1 000 W を維持するのですから、電流は 1/0.8=1.25倍にならなければなりません。

\( \text{鉄損}=40.0\times0.8^{2}=40.0\times0.64=25.6\ [\mathrm{W}] \)
鉄損
電圧の2乗に比例(問題文の値と一致)
\( \text{電流比}=\dfrac{1}{0.8}=1.25 \)
電流
出力一定・電圧0.8倍
\( \text{銅損}=40.0\times1.25^{2}=40.0\times1.5625 \)
銅損
電流の2乗に比例
\( \phantom{\text{銅損}}=62.5\ [\mathrm{W}] \)
(エ)
鉄損とは逆に増える
\( \eta=\dfrac{1\,000}{1\,000+25.6+62.5}\times100 \)
効率
全損失は88.1 W
\( \phantom{\eta}=\dfrac{1\,000}{1\,088.1}\times100\fallingdotseq 91.9\ [\%] \)
(オ)
四捨五入して92 %

問題文が鉄損25.6 W を先に示しているのは、「電圧の2乗に比例」の計算例を見せて、同じ考え方を銅損にも適用させるためです。鉄損は0.64倍に減り、銅損は1.5625倍に増える——逆向きに動くのが要点になります。

平成23年度機械A問題7の空欄アからオへ93パーセント、10.0ワット、91パーセント、62.5ワット、92パーセントを当てはめて正解2とする計算
空欄は93・10.0・91・62.5・92の順となり、正解は(2)です。
答え(ア)93 (イ)10.0 (ウ)91 (エ)62.5 (オ)92——正解は (2)です。

3つの運転点を並べて比べる

a(基準)b(出力半分)c(電圧20 %低下)
出力1 000 W500 W1 000 W
鉄損40.0 W40.0 W25.6 W
銅損40.0 W10.0 W62.5 W
全損失80.0 W50.0 W88.1 W
効率93 %(最大)91 %92 %

a が最大効率、b も c もそこから下がっている——問題文の冒頭「電圧一定で出力を変化させても、出力一定で電圧を変化させても、効率の最大は鉄損と銅損が等しいとき」が、数値で確かめられました

c では鉄損が減ったのに効率は下がっています銅損の増加分(22.5 W)が鉄損の減少分(14.4 W)を上回ったからです——損失の合計で見なければ、効率の増減は判断できません

⚠️ よくある間違い
「電圧が下がれば鉄損が減るから効率は上がる」と早合点すると、(4)のような「93 %」という肢を選んでしまいます出力を維持するために電流が増える——その分の銅損増を必ず勘定に入れてください

逆に電圧が上がったらどうなるか

本問の c では電圧が20 %下がりましたでは逆に20 %上がったら、効率はどう変わるでしょうか

\( \text{鉄損}=40.0\times1.2^{2}=57.6\ [\mathrm{W}] \)
鉄損
電圧の2乗に比例して増える
\( \text{電流比}=\dfrac{1}{1.2}=0.833 \)
電流
出力一定なら電圧に反比例
\( \text{銅損}=40.0\times0.833^{2}\fallingdotseq 27.8\ [\mathrm{W}] \)
銅損
減る
\( \eta=\dfrac{1\,000}{1\,000+57.6+27.8}\times100\fallingdotseq 92.1\ [\%] \)
効率
やはり93 %より下がる

電圧を上げても下げても、効率は基準の93 %より下がりましたc の場合(電圧20 %低下)が91.9 %、こちら(20 %上昇)が92.1 %——どちらも最大効率点から離れたからです

基準の a では鉄損40 W=銅損40 W でちょうど釣り合っていました電圧を動かすと、鉄損と銅損が逆向きに動いて釣り合いが崩れる——崩れれば必ず効率は下がります

問題文の冒頭が「電圧一定で出力を変化させても、出力一定で電圧を変化させても、効率の最大は鉄損と銅損とが等しいときに生じる」と述べているのは、この普遍性を示すためです。何を動かしても、最大効率の条件は同じ——覚えるべき関係が1本で済む、ありがたい性質だと言えます。

⏱️ 本番での進め方
① 鉄損は電圧の2乗、銅損は電流の2乗。この2本で全部追える。
② 電圧一定なら電流∝出力。銅損は出力の2乗に比例。
③ 出力一定で電圧0.8倍なら電流1.25倍、銅損は1.5625倍。
④(ア)が93 と決まれば選択肢は2つに絞れる。全部計算しなくてよい。

💡 覚え方
「鉄損は電圧しだい、銅損は電流しだい」——電圧を下げれば鉄損は減るが、出力を保つなら電流が増えて銅損が増える2つが逆向きに動くので、合計で判断するのがこの種の問題の鉄則です。

基準a、電圧一定で出力500ワットのb、電圧0.8倍で出力1000ワットのcについて、鉄損と銅損の比例した棒グラフおよび効率93、91、92パーセントを比較する図
aは鉄損=銅損=40 W、bは40 Wと10 W、cは25.6 Wと62.5 Wです。棒の高さも損失値に比例しています。
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