今回は平成19年度 機械科目 A問題11を解説します。円形テーブル中心の直上に全光束3600lmの均等放射白熱電球を取り付けたときの、円形テーブル面の平均照度を立体角を用いて求める計算問題です。
均等放射光源の光度I=F/4πを求め、電球から円形テーブルを見込む立体角ω(2.36sr)を掛けてテーブルに入射する光束FT=ωIを求めます。平均照度はFTをテーブルの面積で割って求めます。
平成19年度 機械科目 A問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題11
電験3種 機械科目 【照明】 平成19年度 A問題11
円形テーブルの中心点の直上に全光束3600〔lm〕で均等放射する白熱電球を取り付けた.この円形テーブル面の平均照度〔lx〕の値として,最も近いのは次のうちどれか.
ただし,電球から円形テーブル面までの距離に比べ電球の大きさは無視できるものとし,電球から円形テーブル面を見た立体角は2.36〔sr〕,円形テーブルの面積は20〔m2〕とする.
(1)14 (2)34 (3)68 (4)76 (5)135〔lx〕
出題のポイント:逆二乗則が使えない場面
照度といえば逆二乗則——ところが本問では使えません。その理由から考えてみましょう。
逆二乗則 E=I/r2 は「1点の照度」を求める式です。ところがテーブルは広がりを持っている——中心と縁とでは距離も入射角も違います。
本問が問うているのは「平均照度」——テーブル全体が受けた光束を、面積で割った値です。だから「テーブルに入る光束の総量」を先に求める必要があります。
| 求めたいもの | 使う式 | 必要な情報 |
| ある1点の照度 | E=I cosθ/r2 | その点までの距離と角度 |
| ★面の平均照度 | E=FT/S | ★入射光束と面積 |
そこで立体角の出番——光源から面を見込む立体角が分かれば、そこへ向かう光束が計算できます。


立体角とは何か
平面の角度が「弧の長さ÷半径」なら、立体角は「面積÷半径の2乗」です。
球の表面積は 4πr2——だから全方向の立体角は 4π=12.57 sr になります。これが「全立体角」です。
本問の2.36 sr は、その約19%——電球が出す光の2割弱がテーブルに向かうという意味になります。
| 立体角 | 値[sr] | 全体に対する割合 |
| 全方向 | 4π=12.57 | 100 % |
| 半球(下向き全部) | 2π=6.28 | 50 % |
| ★本問のテーブル | 2.36 | ★約19 % |
計算する
★均等放射なので全方向で同じ
立体角×光度
★答え
3段階とも割り算と掛け算だけ——難しい計算はありません。どの段階で何を求めているかを見失わないことが大切です。
もっと短く計算する
3つの式をまとめると、光度を経由せずに済みます。
★「光束の何割か」×「面積あたり」
「全光束のうち18.8%がテーブルに入り、それを20 m2 で割る」——この見方なら意味がつかみやすいでしょう。

⚠️ よくある間違い
立体角を逆二乗則に混ぜてしまうのが典型的な誤り——ω は「入射する光束」を求めるためだけに使います。
本問には距離が与えられていません——それ自体が「逆二乗則は使わない」という合図です。与えられた数値だけで解ける道筋を探しましょう。
もう1つ、4π で割り忘れると3600×2.36÷20=425 lx——桁が違う値になります。光束から光度を出すときは必ず4π です。
⏱️ 本番での進め方
①距離が与えられていない=逆二乗則は使わない。
②I=F/4π で平均光度。全立体角は4π=12.57 sr。
③FT=ωI で面に入る光束。
④E=FT/S で平均照度。★3段階を順に。
💡 覚え方
「立体角は光束を切り出すための道具」——ω/4π が「全光束のうち何割か」を表します。平均照度は「入った光束÷面積」——照度の定義そのものです。
点照度を逆二乗則で求める問題は令和6年度下期 B問題17にあります(照明:均等放射点光源の平均光度と水平面照度)。解き方の違いを比べておくとよいでしょう。

円錐の立体角を計算してみる
本問では立体角2.36 sr が与えられています——これがどこから来た値なのかを確かめておきましょう。
かなり広い
電球から見て、テーブルの縁が51.4°の方向にある——それだけ広く見込んでいるということです。
テーブルの面積20 m2 なら半径は約2.52 m——tan51.4°=1.25 なので、電球の高さは約2.0 m と逆算できます。問題文に高さが書かれていなくても、立体角がすべてを含んでいるのです。
立体角の便利な性質
| 条件 | 立体角 | 覚え方 |
| 全方向 | 4π=12.57 sr | 球の表面積4πr2÷r2 |
| 半球 | 2π=6.28 sr | ★θ=90°を代入 |
| θ=60°の円錐 | π=3.14 sr | cos60°=0.5 |
半球が2π になるのは、公式にθ=90°(cos=0)を入れれば確かめられます——下向き全体に光が出る場合がこれです。
器具に反射板を付けて下向きだけにすれば、同じランプでも床の照度は2倍——立体角を半分に絞ったぶん、密度が上がるからです。照明率U が器具の形で変わる理由も、ここにあります。
平均照度と点照度は別のもの
本問が求めたのは「平均」照度——テーブルのどの点も33.8 lx というわけではありません。
| 位置 | 実際の照度 | 理由 |
| 中心(真下) | ★最も明るい | 距離が最短、cosθ=1 |
| 縁 | ★最も暗い | 距離が長く、斜めから当たる |
| 全体の平均 | 33.8 lx | 入射光束÷面積 |
照明設計で使うのは、たいてい平均照度——「作業面の平均が500 lx」といった基準の立て方です。
ただし均一さも重要——明るいところと暗いところの差が大きいと、目が疲れます。だから実際には複数の灯具を分散配置するのです。
まとめ
| I=F/4π | ≒286.48cd |
| F_T=ωI | ≒676.09lm |
| E=F_T/S | ≒33.8lx |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
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