パワエレ39【電験3種 機械】出力電圧波形から電力変換回路を選ぶ(双方向スイッチ)!平成18年 A問題9 完全解説

電験3種 機械科目 パワーエレクトロニクス 平成18年度 A問題9 波形から回路を逆引き!双方向スイッチの働き

今回は平成18年度 機械科目 A問題9を解説します。与えられた出力電圧波形vR(半波の正負が入れ替わる波形)を得ることができる電力変換回路を、5つの回路図から選ぶ問題です。

波形は制御遅れ角で制御されている(ダイオードのみの回路ではない)ことと、正負両方に現れる(全波整流や半波整流ではない)ことの2点から、逆並列接続された2個のサイリスタ(双方向スイッチ)による回路を選びます。

🔁 この問題は繰り返し出題されています
ほぼ同じ問題が 【機械】令和4年度下期A問題10 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
目次

平成18年度 機械科目 A問題9:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 パワーエレクトロニクス 平成18年度 A問題9 問題文
平成18年度 機械科目 A問題9 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題9

電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 平成18年度 A問題9

 図に示す出力電圧波形vRを得ることができる電力変換回路として,正しいのは次のうちどれか。ただし,回路中の交流電源は正弦波交流電圧源とする。

回路候補(1)〜(5)は、下の問題図を参照してください。

出力電圧波形vRと回路候補(1)〜(5)(自作図)
出力電圧波形vRと回路候補(1)〜(5)(自作図)

出題のポイント:極性と立ち上がりの2点を見る

出力波形から回路を選ぶ問題は、2つの特徴だけで決着します「正負どちらに現れるか」と「いつ立ち上がるか」——この2点で4通りに分類できます

波形の特徴そこから分かること該当する回路
片側の極性だけ整流している整流回路(半波・全波)
正負の両方に現れる整流していない交流電力調整装置
電源電圧と同時に立ち上がる制御していないダイオード
途中から立ち上がる(頭が欠ける)位相制御しているサイリスタ

本問の波形は正負の両方に現れています——整流していないということ。整流回路の出力は必ず片側の極性だけですから、この一点で整流回路の候補がすべて落ちます

さらに各半サイクルの途中から立ち上がっている——位相制御されているということです。ダイオードなら電源電圧が0を横切った瞬間から導通するので、頭が欠けることはありません

出力電圧波形vRと回路候補(1)〜(5)(自作図)
出力電圧波形vRと回路候補(1)〜(5)(自作図)
正負両極性で制御遅れ角をもつ出力電圧波形から逆並列サイリスタ回路を選ぶ要点
極性と導通開始時点を別々に確認します。

2つの特徴を組み合わせる

候補正負に現れるか位相制御できるか判定
ダイオード半波整流片側のみできない×
ダイオード全波整流片側のみできない×
サイリスタ整流片側のみできる×(極性で不一致)
逆並列サイリスタ両方できる

サイリスタは一方向にしか流せないので、交流の両方の半サイクルを制御するには2個を逆向きに並べる必要があります。正の半サイクルは一方が、負の半サイクルはもう一方が担当する——それぞれに制御角αを与えれば、対称な波形が得られます

平成18年度機械A問題9、出力電圧波形に合う逆並列サイリスタ双方向スイッチは選択肢3
答えは逆並列サイリスタ回路の(3)です。
平成18年度機械A問題9、出力電圧波形に合う逆並列サイリスタ双方向スイッチは選択肢3
答えは逆並列サイリスタ回路の(3)です。
答え正解は (3) 逆並列サイリスタによる双方向スイッチ回路です。「正負両方に現れる」だけで整流回路が全部落ちる——1つの観点で大半が決着します

抵抗負荷だから自然に消弧する

抵抗負荷では、電圧が0になれば電流も同時に0になります。だからサイリスタは半サイクルごとに確実にオフする——これを自然消弧(自然転流)と呼びます。

オフのタイミングを制御する必要がないので、オフできないサイリスタでも問題なく使えます——交流回路がサイリスタの得意な舞台である理由がここにあります。

もし負荷が誘導性なら話が変わります電圧が0になっても電流はまだ流れ続けるので、導通期間が半サイクルを超えて延びます——波形も本問のような単純な形にはなりません

問題文が抵抗負荷を前提にしているのは、波形が素直な形になるようにするため——負荷の種類が波形を決めるという関係を押さえておきましょう。

⏱️ 本番での進め方
①「正負両方に現れるか」を最初に見る。片側なら整流回路。
②「途中から立ち上がるか」を次に見る。頭が欠けていればサイリスタ。
③ 両方を満たすのは逆並列サイリスタ(トライアック相当)だけ。
④ 回路図を細かく読まなくても、この2点で判定できる。

💡 覚え方
「正負に現れたら交流出力、頭が欠けたら位相制御」——まず極性、次に立ち上がりこの順序を固定しておけば迷いません

出題履歴:令和4年度下期にも同じ型が出ている

まったく同じ考え方で解ける問題が、令和4年度下期 A問題10でも出題されていますパワエレ37:出力電圧波形から電力変換回路を選ぶ)。そちらも正解は (3)——16年隔てて、同じ判定手順が問われていることになります。

出力電圧の正負両極性と半周期途中からの導通で双方向サイリスタスイッチを判定
整流回路とダイオード回路を順に除外します。
出力電圧の正負両極性と半周期途中からの導通で双方向サイリスタスイッチを判定
整流回路とダイオード回路を順に除外します。

交流電力調整装置の出力はどれだけ下がるか

本問では波形を読むだけでしたが、制御角αと出力の関係も押さえておきましょう抵抗負荷を双方向に位相制御した場合の実効値です。

抵抗負荷・双方向位相制御の出力電圧(実効値)

\( V=E\sqrt{\dfrac{1}{\pi}\left(\pi-\alpha+\dfrac{\sin 2\alpha}{2}\right)} \)

α=0 なら V=E(電源電圧そのまま)、α=π なら V=0 になります。

制御角 α出力電圧(電源電圧に対する比)出力電力(最大に対する比)
1.000100 %
60°0.89780 %
90°0.70750 %
120°0.44620 %
180°00 %

α=90°でちょうど電力が半分になります。電圧は0.707倍(1/√2)——電力は電圧の2乗に比例するので0.5という関係です。

制御角と出力は直線関係ではありません0°から60°まではあまり下がらず、90°付近で急に変化する——調光器のつまみが「最初は効きが鈍く、途中から急に暗くなる」のは、この特性のせいです。

実用の調光器では、この非直線性を電子回路で補正して、つまみの回転角と明るさが比例するように工夫されています——波形の理屈が、使い勝手の設計にまでつながっているのです。

波形問題で見るべき順序を決めておく

パワエレの波形問題は毎年のように出題されますそのたびにゼロから考えるのではなく、見る順序を決めておく——それだけで解答時間が大きく変わります

見るところ分かること
出力は正負どちらに現れるか片側=整流/両方=交流出力
いつ立ち上がるか0を横切った瞬間=ダイオード/途中=サイリスタ
1周期に山がいくつあるか1つ=半波/2つ=全波(三相なら3つ・6つ)
0になる期間があるかある=断続/ない=連続(リアクトル平滑)

①と②で回路の種類がほぼ決まります③は整流回路のなかでの区別、④は平滑方式の区別——必要になったところまで進めばよく、全部見る必要はありません

本問なら①だけで整流回路が全部落ち、②で答えが決まりました2つ見ただけで終わり——回路図を1つずつ丁寧に読む必要はないのです。

逆に、回路図から波形を描かせる問題もありますその場合は同じ観点を逆向きに使う——「サイリスタがあるから頭が欠ける」「逆並列だから正負に出る」という具合です。

どちら向きに問われても、着目点は同じ——この4つの観点を持っておけば、パワエレの波形問題は怖くありません

まとめ

波形の特徴位相制御され、正負に反転
該当回路逆並列サイリスタ(双方向スイッチ)
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・単相双方向サイリスタスイッチの運転判定:【機械】平成23年度A問題9
・出力電圧波形から電力変換回路を選ぶ(令和4年下期):【機械】令和4年度下期A問題10

📚 次に解くべき関連問題
【機械】平成23年度A問題9(パワエレ38)
【機械】平成27年度A問題9(パワエレ40)
【機械】平成30年度A問題11(パワエレ41)
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