今回は令和6年度上期 法規科目 A問題1、事業用電気工作物の技術基準への適合の空欄補充問題です。法第39条(維持)と法第40条(技術基準適合命令)という法規の超頻出セットが1問にまとめられています。
覚える形は3つ。設置する者は技術基準に適合するように維持(設置ではない)。技術基準の中身は電気的又は磁気的な障害を与えないこと。そして大臣は修理・改造・移転・使用の一時停止を命じられる(禁止ではない)。
令和6年度上期 法規科目 A問題1:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題1
電験3種 法規科目 【電気事業法】 令和6年度上期 A問題1
次の文章は、「電気事業法」における事業用電気工作物の技術基準への適合に関する記述の一部である。
a) 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように(ア)しなければならない。
b) 上記a)の主務省令で定める技術基準では、次に掲げるところによらなければならない。
① 事業用電気工作物は、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること。
② 事業用電気工作物は、他の電気的設備その他の物件の機能に電気的又は(イ)的な障害を与えないようにすること。
③ 事業用電気工作物の損壊により一般送配電事業者又は配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること。
④ 事業用電気工作物が一般送配電事業又は配電事業の用に供される場合にあつては、その事業用電気工作物の損壊によりその一般送配電事業又は配電事業に係る電気の供給に著しい支障を生じないようにすること。
c) 主務大臣は、事業用電気工作物が上記a)の主務省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、その技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を(ウ)すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 設置 磁気 一時停止 (2) 維持 磁気 一時停止 (3) 設置 熱 禁止 (4) 維持 熱 禁止 (5) 設置 熱 一時停止

答えは(2):維持・磁気・一時停止
(ア)は「維持」——据え付けた瞬間だけでなく、使い続ける間ずっとの義務です。
(イ)は「磁気」——電気的又は磁気的な障害でひとかたまりの言葉です。
(ウ)は「一時停止」——条文に「禁止」という語はありません。
★平成29年度と同一問題だが条文が違う
| 平成29年度 問1 | 令和6年度上期 問1(本問) | |
| ★③④の主体 | ★★一般送配電事業者 | ★★一般送配電事業者又は配電事業者 |
| ★正解番号 | ★★(4) | ★★(2) |
| ★空欄の答え | ★★維持・磁気・一時停止 | ★★維持・磁気・一時停止(同じ) |
問題文はほぼ同じですが、条文が改正されています——③④に「配電事業者」「配電事業」が加わりました。
そして正解番号だけが違います——番号で覚えると事故になる典型例です。
語で覚えていれば、どちらの年度でも同じように解けます。
★配電事業とは何か
| 一般送配電事業 | 配電事業 | |
| ★範囲 | ★★供給区域全体 | ★★区域の一部の配電網 |
| ★参入 | ★★許可 | ★★許可 |
| ★開始 | ★★従来から | ★★令和4年4月から |
地域の配電網を切り出して、別の事業者が運営できるようにした制度です——令和4年4月に始まりました。
災害で系統から切り離されても、地域内で電気を回せるようにする狙いがあります——マイクログリッドの考え方です。
新しい制度なので、条文のあちこちに追記されています——近年の問題では見かける機会がふえます。
技術基準の4本柱
| 号 | 内容 | 守るもの |
| ★① | ★★人体に危害・物件に損傷を与えない | ★★人と物 |
| ★② | ★★電気的又は磁気的な障害を与えない | ★★他の設備 |
| ★③ | ★★損壊で一般送配電事業者・配電事業者の供給に支障を及ぼさない | ★★系統(自分は需要家側) |
| ★④ | ★★自らが送配電・配電事業用の場合の供給支障を生じない | ★★系統(自分は事業者側) |
①②③④の順に、守る対象が外へ広がっていきます——この並びで覚えると抜けません。
③と④は立場が逆になっている点が要注意です。
「維持」が継続的義務であること
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 維持 | ★★維持 | ★設置 | ★★使い続ける間ずっと適合させ続ける |
| 磁気 | ★★磁気 | ★熱 | ★★誘導障害を想定した規定 |
| 一時停止 | ★★一時停止 | ★禁止 | ★★条文に禁止という語はない |
「設置」だと、据え付けた瞬間だけの話になってしまいます——それでは劣化した設備を放置できてしまうのです。
年次点検も主任技術者も保安規程も、この「維持」から出てきます——39条が保安規制の出発点です。
「主務省令」「主務大臣」という書き方
現行の条文は「主務省令」「主務大臣」と書かれています——原子力を含めた整理の結果です。
電気工作物一般については、主務大臣=経済産業大臣と読んで差し支えありません。
古い年度では「経済産業大臣」と書かれています——どちらで出ても同じことを指しています。
40条で命じられる5つの手
| 手段 | 語尾 |
| ★修理 | ★★命じることができる |
| ★改造 | ★★命じることができる |
| ★移転 | ★★命じることができる |
| ★使用の一時停止 | ★★命じることができる |
| ★使用の制限 | ★★することができる |
前の4つは「命じ」、最後だけ「することができる」です——命令ではなく大臣自身の処分だからです。
この書き分けも、空欄になることがあります——条文を丸ごと読んでおく価値があるところです。
法改正の追い方
法規は毎年のように改正されます——試験は当年4月時点の法令にもとづいて出題されます。
古い過去問を解くときは、条文が変わっていないか確かめましょう——本問の「配電事業者」がまさにその例です。
改正されたところは、数年以内に出題される傾向があります——新しい語を見つけたら印をつけておくとよいでしょう。
39条と40条は必ずセットで出る
| 条文 | 役割 | 主語 |
| ★法39条 | ★★維持する義務を課す | ★★設置する者 |
| ★法40条 | ★★適合させるよう命じる | ★★主務大臣 |
義務を課す条文と、破られたときに動く条文の対です——片方だけでは制度になりません。
本問のように、1問の中で両方が問われることがよくあります——続けて暗唱できるようにしておきましょう。
間に技術基準の中身(4本柱)が挟まる形が、この型の定番です。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「維持」で即決——設置では継続的義務にならない。
② (イ)は「磁気」。熱は①の「物件に損傷」でカバーされる。
③ (ウ)は「一時停止」——禁止を含む肢はすべて落とす。
④ 正解番号は年度で変わる——番号ではなく語で覚える。
同一問題の見分け方
問題文が同じでも、条文の改正が反映されていることがあります——本問の「配電事業者」がその例です。
だから古い過去問の解説をそのまま覚えると、危険な場合があります——数字や事業者名は特に変わりやすいところです。
空欄の答えそのものは変わっていません——語で覚えていれば、改正があっても揺らぎません。
出題履歴——平成29年度と同一問題
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★平成20年度 問5 | ★★4本柱の語 | ★★(4) |
| ★平成29年度 問1 | ★★本問とほぼ同一 | ★★(4) |
| ★令和6年度上期 問1 | ★★本問(③④に配電事業者が追加) | ★★(2) |
平成29年度 A問題1が本問の元になった問題です。7年の間に配電事業が新設され、条文に加わりました。
平成20年度 A問題5は技術基準の中身そのものに寄った出題です。3本を読み比べると、39条まわりが立体的に見えてきます。
💡 覚え方
法39条=設置者は技術基準に適合するように維持。技術基準4本柱=人体危害・物件損傷/電気的・磁気的障害/損壊による供給支障/自ら送配電・配電事業用の場合の供給支障。法40条=修理・改造・移転・使用の一時停止を命じ、又は使用を制限。★③④の主体に配電事業者が加わったのが令和4年以降の条文。
⚠️ よくある間違い
(ア)を「設置」としない——義務は維持(継続的義務)。(イ)は「熱」でなく磁気。(ウ)は「禁止」でなく一時停止。平成29年度と正解番号が違うので番号で覚えないこと。
まとめ
| (ア) | 維持(法39条) |
| (イ) | 磁気(電気的又は磁気的な障害) |
| (ウ) | 一時停止(法40条) |
| 命令の内容 | 修理・改造・移転・一時停止/使用の制限 |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・技術基準適合命令(電気事業法30):【法規】平成23年度 A問題2
・事業用電気工作物の維持(電気事業法37):【法規】平成20年度 A問題5

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