今回は令和5年度下期 法規科目 A問題1、保安規程に定めるべき事項の空欄補充問題です。電気事業法施行規則第50条の7項目は、法規で最も繰り返し出題される暗記事項です。
7項目の並びは①職務及び組織 ②保安教育 ③巡視・点検・検査 ④運転又は操作 ⑤長期停止時の保全 ⑥非常時に採るべき措置 ⑦保安についての記録。この順番ごと覚えてしまえば、どの空欄が抜かれても即答できます。
答えは(4):職務及び組織・保安教育・巡視,点検・措置・記録
答えの5語は平成28年度とまったく同じです——7項目を順番で覚えていれば即答できます。
ただし条文そのものは改正されています——e)が「発電所又は蓄電所」に変わったのです。
令和5年度下期 法規科目 A問題1:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題1
電験3種 法規科目 【電気事業法】 令和5年度下期 A問題1
次の文章は、「電気事業法施行規則」に基づく自家用電気工作物を設置する者が保安規程に定めるべき事項の一部に関しての記述である。
a) 自家用電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の(ア)に関すること。
b) 自家用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する(イ)に関すること。
c) 自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための(ウ)及び検査に関すること。
d) 自家用電気工作物の運転又は操作に関すること。
e) 発電所又は蓄電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。
f) 災害その他非常の場合に採るべき(エ)に関すること。
g) 自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての(オ)に関すること。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 権限及び義務 勤務体制 巡視,点検 指揮命令 記録 (2) 職務及び組織 勤務体制 整備,補修 措置 届出 (3) 権限及び義務 保安教育 整備,補修 指揮命令 届出 (4) 職務及び組織 保安教育 巡視,点検 措置 記録 (5) 権限及び義務 勤務体制 整備,補修 指揮命令 記録

★「蓄電所」が条文に加わった
| 改正前 | 改正後(令和5年〜) | |
| ★第5号 | ★★発電所の運転を相当期間停止する場合 | ★★発電所又は蓄電所の運転を相当期間停止する場合 |
蓄電所とは、系統に直接つながる大型蓄電池の設備です——発電も消費もしないのに系統につながる、新しい種類の設備です。
太陽光や風力が増えて、電気を貯める必要が高まったために制度が整えられました——令和4年の法改正で電気事業法に位置づけられたのです。
平成28年度の同じ問題には「蓄電所」がありません——この一語が、新旧を見分ける目印になります。
蓄電所とは何をする設備か
| 役割 | 中身 |
| ★余ったとき | ★★昼の太陽光の余剰を充電して受け止める |
| ★足りないとき | ★★夕方のピークに放電して補う |
| ★系統の安定 | ★★周波数の変動を素早く吸収する |
発電所でも需要設備でもない、第三の設備です——だから条文にも新しく書き足す必要があったのです。
揚水発電と役割は似ていますが、蓄電池なので応答が速い——周波数の調整に向いています。
法改正はこう出題される
法規では、改正された部分が数年以内に出題される傾向があります——新しい語が条文に入ったら要注意です。
ただし本問では、蓄電所は空欄になっていません——問題文にそのまま書かれているだけです。
今後は蓄電所そのものが空欄になる可能性があります——読み飛ばさずに覚えておきましょう。
d)からg)までを声に出して読む
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 職務及び組織 | ★★職務及び組織 | ★権限及び義務 | ★★組織図を書かせる規定 |
| 保安教育 | ★★保安教育 | ★勤務体制 | ★★人を育てる規定 |
| 巡視,点検 | ★★巡視,点検 | ★整備,補修 | ★★見る行為であって直す行為ではない |
| 措置 | ★★措置 | ★指揮命令 | ★★非常時は広く措置と書く |
| 記録 | ★★記録 | ★届出 | ★★届出は規程を出す手続で、記載事項ではない |
5つのダミーはすべて「意味は近いが条文にない語」です——対で覚えておけば、見た瞬間に弾けます。
ダミーを1つ見つければ、その肢は全部落とせます——組合せ問題の最大の利点です。
自家用電気工作物でも項目は変わらない
問題文は「自家用電気工作物を設置する者が」と限定していますが、定めるべき事項は同じ7項目です。
施行規則第50条は事業用電気工作物全体を対象にしています——自家用だから項目が減ることはありません。
主語が変わっても中身は変わらない——ここで揺さぶられないことも実力のうちです。
保安規程は誰にいつ出すのか
| 内容 | 根拠 | |
| ★定める | ★★設置者が自分で作る | ★★法42条1項 |
| ★届け出る | ★★使用の開始前に経済産業大臣へ | ★★法42条1項 |
| ★変更する | ★★遅滞なく届け出る | ★★法42条2項 |
| ★守る | ★★設置者と従業者が守る | ★★法42条4項 |
記載事項は施行規則第50条、手続は法第42条です——問題文の冒頭でどちらを聞かれているか見分けましょう。
本問は「定めるべき事項」なので記載事項のほうです——だから(オ)に「届出」を入れてはいけません。
令和5年前後の改正で変わったこと
| 改正点 | 内容 |
| ★蓄電所の追加 | ★★第5号が「発電所又は蓄電所」になった |
| ★小規模事業用の新設 | ★★太陽光10kW以上50kW未満・風力20kW未満は保安規程も主任技術者も不要 |
再生可能エネルギーの拡大に合わせて、制度が組み替えられました——新しい設備の種類が増え、小さい設備は手続を軽くしたのです。
改正されたところは、数年以内に出題される傾向があります——新しい語を見つけたら印を付けておきましょう。
d)とe)は空欄になりにくいが読んでおく
本問ではd)の「運転又は操作」とe)の「保全の方法」がそのまま書かれています。
しかし年度によっては、ここが空欄になることもあります——よく出る5つだけ覚えるのでは足りないのです。
7項目は全部書けるようにしておく——そうすれば、どの形で出ても崩れません。
⏱️ 本番での進め方
① 冒頭が「保安規程に定めるべき事項」なら7項目を唱える。
② (イ)=保安教育だけで肢が2つに減る——そこから(ア)で決着。
③ 「権限及び義務」「勤務体制」「整備,補修」「指揮命令」「届出」は全部ダミー。
④ e)の「蓄電所」は新しい語——今後空欄になり得るので覚えておく。
7項目を覚える価値
7項目は、法規で最も出題頻度の高い暗記事項です——数年に一度は必ず出ます。
しかも覚える量はわずか7つ——これほど費用対効果の高い暗記は、法規に他にありません。
合格後は、この7項目に沿って規程を作り、守る側に回ります——試験のためだけの暗記ではないのです。
7項目のうち、⑤だけが「発電所又は蓄電所」と施設を名指ししています——他の6つは設備の種類を問わないのと対照的です。
この非対称も、覚える手がかりになります。
出題履歴——平成28年度と同一問題
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成21年度 問3 | ★★3空欄の軽い版 |
| ★平成28年度 問10 | ★★本問と同一(蓄電所なし) |
| ★令和4年度下期 問1 | ★★同じ7項目を別の形で |
| ★令和5年度下期 問1 | ★★本問(蓄電所あり) |
平成28年度 A問題10が本問の元になった問題です。7年の間に条文が改正され、e)に蓄電所が加わりました。
平成21年度 A問題3は3空欄版です。同じ暗記で3つとも解けるので、7項目の暗記は法規で最も費用対効果が高い投資になります。
💡 覚え方
保安規程7項目=①職務及び組織 ②保安教育 ③巡視・点検・検査 ④運転又は操作 ⑤発電所又は蓄電所の長期停止時の保全 ⑥非常時の措置 ⑦保安についての記録。★⑤に蓄電所が入ったのが令和5年以降の条文。
⚠️ よくある間違い
5つのダミーは対で覚える——職務及び組織↔権限及び義務/保安教育↔勤務体制/巡視,点検↔整備,補修/措置↔指揮命令/記録↔届出。
まとめ
| (ア) | 職務及び組織 |
| (イ) | 保安教育 |
| (ウ) | 巡視,点検(及び検査) |
| (エ) | 措置(災害その他非常の場合) |
| (オ) | 記録(保安についての) |
| 答え | (4) |
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