今回は令和4年度下期 法規科目 A問題1、保安規程の問題です。保安規程は設備規模で記載内容が変わり、大規模な事業者には追加の記載事項が課されます。
押さえるのは2点。大規模事業者の線引きは200万kW(沖縄電力の供給区域内は10万kW)。追加される事項は保安規程の定期的な点検及びその必要な改善——PDCAを回せという内部統制型の規定です。
令和4年度下期 法規科目 A問題1:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題1
電験3種 法規科目 【電気事業法】 令和4年度下期 A問題1
次の文章は、電気事業法に基づく保安規程に関する記述である。
保安規程は、電気設備規模等によって記載内容が異なり、特定発電用電気工作物の小売電気事業等用接続最大電力の合計が(ア)万kW(沖縄電力株式会社の供給区域内にあっては10万kW)を超える大規模な事業者の場合には保安規程に記載すべき事項が多くなっている。
空欄(ア)と上記の大規模な事業者のみが保安規程に記載すべき事項の組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) 大規模な事業者のみが保安規程に記載すべき事項 (1) 100 発電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。 (2) 200 保安規程の定期的な点検及びその必要な改善に関すること。 (3) 100 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の職務及び組織に関すること。 (4) 60 発電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。 (5) 200 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の職務及び組織に関すること。

答えは(2):200万kW・保安規程の定期的な点検及び改善
この問題は、選択肢の「追加事項」のほうから攻めると一瞬で解けます——共通事項が書かれた肢を消せばよいのです。
| 肢の追加事項 | 共通か大規模のみか | 判定 |
| ★発電所の運転を相当期間停止する場合の保全の方法 | ★★全事業者に共通(7項目の⑤) | ★落ちる |
| ★業務を管理する者の職務及び組織 | ★★全事業者に共通(7項目の①) | ★落ちる |
| ★保安規程の定期的な点検及びその必要な改善 | ★★大規模事業者のみ | ★★残る=答え |
7項目を覚えていれば、共通事項はすぐ見分けられます——ここでも7項目の暗記が効いてきます。
★大規模事業者の線引き
| 区域 | 閾値 |
| ★一般の供給区域 | ★★200万kW超 |
| ★沖縄電力の供給区域内 | ★★10万kW超 |
沖縄だけが桁違いに小さいのは、系統の規模がそもそも小さいからです——本土とつながっていない独立系統だからです。
同じ200万kWを当てはめると、沖縄では誰も該当しなくなります——だから区域に応じて基準を変えているのです。
「100万kW」「60万kW」はどちらもダミーです——200と10、この2つの数字で覚えましょう。
追加されるのはマネジメント系の事項
大規模事業者に上乗せされるのは、保安規程そのものを見直す規定です——PDCAを回せ、という内部統制型の要求です。
規模が大きくなるほど、個人の目では保安を保てません——組織として仕組みを回す必要が出てくるのです。
だから「点検して改善する」という手続そのものが規程に書かれます——ルールを見直すルールだと考えると分かりやすくなります。
7項目(共通)と追加事項の関係
| 区分 | 中身 | 誰に |
| ★共通7項目 | ★★職務及び組織・保安教育・巡視点検検査・運転操作・長期停止時の保全・非常時の措置・記録 | ★★すべての事業者 |
| ★追加事項 | ★★保安規程の定期的な点検及び必要な改善など | ★★大規模事業者のみ |
追加であって置き換えではありません——大規模事業者は7項目+αを書きます。
だから「職務及び組織」が大規模のみ、という肢は誤りになります——共通事項を追加事項と取り違えさせるのが本問の罠です。
「特定発電用電気工作物の小売電気事業等用接続最大電力」
長い用語ですが、要するに「小売のために系統につないでいる発電設備の合計」です。
その合計が200万kWを超えるかどうかで線を引きます——大手電力会社が該当する規模です。
用語が長いときは、途中を飛ばして最後の名詞を見ると意味がつかめます——ここでは「接続最大電力」です。
規模で義務が変わる例はほかにもある
| 制度 | 線引き |
| ★保安規程の追加事項 | ★★200万kW超(沖縄10万kW超) |
| ★工事計画の届出 | ★★受電電圧1万V以上 |
| ★主任技術者の外部委託 | ★★原則7000V以下 |
| ★小規模事業用 | ★★太陽光10kW以上50kW未満・風力20kW未満 |
電気事業法は、規模に応じて義務の重さを変える法律です——一律にすると、小さい事業者が潰れてしまうからです。
数字を覚えるときは、何の線引きかをセットにしましょう——数字だけでは使えません。
大規模事業者に求められるもの
| 小さい事業者 | 大規模事業者 | |
| ★保安の担い手 | ★★主任技術者個人の力量 | ★★組織としての仕組み |
| ★規程の位置づけ | ★★守るべき手順書 | ★★見直し続ける管理文書 |
人が変われば保安の質が変わる、では大規模な設備は守れません——だから仕組みで回すことが求められるのです。
点検して改善するという手続そのものを規程に書かせるのは、そのためです。
沖縄が特別扱いされる理由
沖縄の電力系統は、本土とつながっていません——足りなくなっても、よそから融通してもらえないのです。
系統の規模も、本土の電力会社より格段に小さくなっています——だから同じ200万kWでは基準として働きません。
法令には、こうした地域事情による例外がときどき出てきます——理由を知っていれば、数字も覚えやすくなります。
⏱️ 本番での進め方
① まず選択肢の「追加事項」だけを見る——共通7項目が書かれた肢を消す。
② それだけで2択どころか1つに絞れることが多い。
③ 数字は200万kW/沖縄10万kW。100や60はダミー。
④ 7項目の暗記がここでも効く——共通事項を即座に見分けられる。
選択肢の作り方を読む
| 肢 | 数字 | 追加事項 |
| ★(1) | ★100 | ★共通事項 |
| ★(2) | ★★200 | ★★大規模のみ=答え |
| ★(3) | ★100 | ★共通事項 |
| ★(4) | ★60 | ★共通事項 |
| ★(5) | ★★200 | ★共通事項 |
数字が正しい肢は(2)と(5)の2つあります——数字だけでは決まらない作りです。
逆に、追加事項が正しい肢は(2)だけです——だから追加事項から攻めるほうが速いのです。
どちらから攻めるかで、かかる時間が変わります——選択肢の並びを一瞥して決めるのがコツです。
保安規程の3つの出題角度
| 角度 | 問われること | 根拠 |
| ★記載事項 | ★★7項目は何か | ★★施行規則50条 |
| ★手続 | ★★いつ誰に届け出るか | ★★法42条 |
| ★規模別 | ★★大規模事業者の追加事項 | ★★施行規則50条 |
3つとも土台は同じ7項目です——7項目さえ固めれば、どの角度から来ても対応できます。
本問は3つ目の角度からの出題でした——比較的新しい切り口です。
数字と追加事項の両方を確かめる——片方だけでは肢が絞りきれないのがこの問題の作りです。
出題履歴——保安規程は角度を変えて出る
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成21年度 問3 | ★★記載事項(3空欄) |
| ★平成28年度 問10 | ★★記載事項(5空欄) |
| ★令和4年度下期 問1 | ★★規模による追加事項(本問) |
| ★令和5年度下期 問1 | ★★記載事項(蓄電所版) |
令和5年度下期 A問題1や平成21年度 A問題3で共通7項目を固めておけば、本問は自動的に解けます。
保安規程は、記載事項・手続・規模別の3方向から出題されます——どれも土台は同じ7項目です。
💡 覚え方
保安規程は規模で記載事項が増える。大規模=200万kW超(沖縄電力の供給区域は10万kW超)。追加事項は「保安規程の定期的な点検及びその必要な改善」などマネジメント系。共通7項目と区別すること。
⚠️ よくある間違い
「保全の方法」「職務及び組織」は全事業者共通——大規模のみの事項ではない。閾値を100万kWや60万kWと覚えない、200万kW。沖縄だけ10万kW。
まとめ
| (ア) | 200(万kW超) |
| 沖縄電力の供給区域 | 10万kW超 |
| 大規模のみの事項 | 保安規程の定期的な点検及び必要な改善 |
| 共通事項 | 職務及び組織/保全の方法 など50条1項の7項目 |
| 答え | (2) |
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