今回は令和4年度下期 法規科目 A問題10、広域的運営の空欄補充問題です。毎年度の供給計画と、事業者が相互に協調すべき理由が問われます。
骨格はシンプル。電気事業者は毎年度供給計画を作り、OCCTO経由で経済産業大臣に届出(法第29条)。そして電源開発や供給に当たっては、広域的運営による電気の安定供給のために相互に協調する(法第28条)。再エネ大量導入時の地方間融通は一般送配電事業者間の協調の例です。
令和4年度下期 法規科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題10
電験3種 法規科目 【電気事業法】 令和4年度下期 A問題10
次の文章は、電気事業法及び電気事業法施行規則に基づく広域的運営に関する記述である。
電気事業者は、毎年度、電気の供給並びに電気工作物の設置及び運用についての(ア)を作成し、電力広域的運営推進機関(OCCTO)を経由して経済産業大臣に届け出なければならない。
具体的には、直近年における(イ)見通し、発電、受電(融通を含む。)等の短期的な内容に関するものと、長期(イ)見通し、電気工作物の(ウ)及びその概要、あるいは他者の電源からの長期安定的な調達等長期的な内容に関するものとがある。
また、電気事業者は、電源開発の実施、電気の供給等その事業の遂行に当たり、広域的運営による電気の(エ)のために、相互に協調しなければならないことが定められている。
広域的運営による相互協調の具体的な例として、A地方に太陽電池発電や風力発電などの発電量を調整できない再生可能エネルギーが大量に導入された場合において、A地方における電圧、周波数を維持する観点から、A地方で消費しきれない電気を隣接するB地方に融通するといった(オ)事業者間の広域運営による相互協調がある。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 供給計画 経営 新増設 コスト低減 一般送配電 (2) 需要計画 需要 新増設 コスト低減 発電 (3) 供給計画 需要 新増設 安定供給 一般送配電 (4) 需要計画 経営 補修計画 コスト低減 発電 (5) 供給計画 需要 補修計画 安定供給 発電

答えは(3):供給計画・需要・新増設・安定供給・一般送配電
(ア)は「供給計画」——「需要計画」という制度名はありません。
(イ)(ウ)は「需要」「新増設」——どれだけ要るかと、どれだけ作るかを突き合わせる計画です。
(エ)(オ)は「安定供給」「一般送配電」——目的はコスト低減ではありません。
★供給計画はOCCTOを「経由して」大臣へ
| 誰が | 何をする | |
| ★① | ★★電気事業者 | ★★毎年度、供給計画を作成する |
| ★② | ★★OCCTO | ★★全国分を取りまとめ、整合を見る |
| ★③ | ★★経済産業大臣 | ★★届出を受ける |
届出先は大臣ですが、直接ではありません——いったんOCCTOを通します。
会社ごとの計画がバラバラでは、全国の需給が合いません——取りまとめる主体が必要だからこの形になっています。
「経由して」の3文字が、この制度の要です。
供給計画の中身
| 期間 | 内容 |
| ★短期(直近年) | ★★需要見通し、発電・受電(融通を含む) |
| ★長期 | ★★長期需要見通し、電気工作物の新増設及びその概要、他者の電源からの長期安定的な調達 |
短期は「来年どうするか」、長期は「10年先を見据えてどう備えるか」です。
発電所や送電線は、作るのに何年もかかります——だから長期の計画が要るのです。
★目的は「安定供給」であってコスト低減ではない
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 安定供給 | ★★安定供給 | ★コスト低減 | ★★法28条の目的は安定供給の確保 |
| 供給計画 | ★★供給計画 | ★需要計画 | ★★そういう制度名はない |
| 新増設 | ★★新増設 | ★補修計画 | ★★計画するのは新しく作る設備 |
コストを下げること自体は、法の目的に書かれていません——もっともらしいだけに引っかかります。
法28条は「安定供給の確保その他の電気事業の総合的かつ合理的な発達」——合理的な発達という言葉に効率の意味は含まれますが、空欄に入るのは安定供給です。
なぜ一般送配電事業者どうしなのか
A地方の余剰をB地方へ送るのは、送配電網を通る話です——網を持っているのは一般送配電事業者です。
発電事業者は電気を作りますが、運ぶ手段は持っていません——だから(オ)は「発電」ではありません。
誰が何を持っているかで考えれば、迷わず選べます。
再エネが増えると何が起きるか
| 現象 | 結果 |
| ★晴れた休日の昼 | ★★太陽光が需要を上回りかねない |
| ★そのまま放置すると | ★★周波数と電圧が上がって系統が乱れる |
| ★対策 | ★★他地方へ融通する・出力制御をかける |
発電量を調整できないのが、太陽光と風力の難しさです——需要に合わせて絞ることが簡単にはできません。
だから余った電気を他の地方へ送る仕組みが重要になります——本問の(オ)がまさにその場面です。
平時と非常時で条文が違う
| 場面 | 条文 | 内容 |
| ★平時 | ★★法28条・29条 | ★★相互協調と供給計画 |
| ★需給悪化時 | ★★法28条の44 | ★★OCCTOが会員に指示 |
| ★災害時 | ★★法31条 | ★★大臣が電気事業者に命令 |
本問は平時の仕組みを扱っています——いちばん基本にある部分です。
平時の計画がしっかりしていれば、非常時の手を使わずに済みます——だから毎年度の供給計画が義務づけられているのです。
「相互に協調しなければならない」の重み
事業者は本来、互いに競争する関係です——それでも協調せよ、と法律が求めています。
電気は社会の基盤なので、競争より安定が優先される場面がある——それを法律で明示しているのです。
自由化しても、この条文は残っています——むしろ重要性が増しています。
空欄の絞り込み方
| 使う空欄 | 落ちる肢 |
| ★(ア)=供給計画 | ★★(2)(4)が落ちる |
| ★(エ)=安定供給 | ★★(1)が落ちる |
| ★(オ)=一般送配電 | ★★(5)が落ちる |
3か所で決着します——5空欄すべてを判断する必要はありません。
自信のある空欄から使うのが、組合せ問題の鉄則です。
供給計画は10年先まで見る
長期の供給計画は、おおむね10年先までを対象にします——発電所も送電線も、作るのに何年もかかるからです。
需要が伸びるなら設備を増やし、減るなら控える——その判断のために需要見通しが要ります。
OCCTOはこれを全国分まとめ、系統の増強計画につなげます——1社では決められないことを、全体で決めるのです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「供給計画」——需要計画という制度名はない。
② 届出はOCCTO経由で大臣。直接ではない点が問われることもある。
③ (エ)は「安定供給」。コスト低減はもっともらしいダミー。
④ (オ)は網を持つ一般送配電事業者。発電事業者は運べない。
「経由して」が問われることもある
供給計画の届出先は経済産業大臣ですが、OCCTOを経由します——この一語だけを空欄にする出題もありえます。
「直接大臣に届け出る」と書いてあったら誤りです——取りまとめる主体を飛ばしてしまうからです。
出題履歴——広域的運営はふえている論点
| 年度 | 問われ方 |
| ★令和4年度上期 問9 | ★★需給悪化時の対応 |
| ★令和4年度下期 問10 | ★★平時の広域的運営(本問) |
| ★令和7年度上期 問1 | ★★需給悪化時の対応(再出題) |
令和7年度上期 A問題1は非常時のOCCTOの役割を扱っています。本問の平時とあわせて読むと、制度が立体的に見えます。
再エネの拡大で、広域運用の重要性は年々増しています——今後も出題が続く分野でしょう。
💡 覚え方
法28条=電気事業者は広域的運営による電気の安定供給のため相互に協調。法29条=毎年度供給計画を作成し推進機関(OCCTO)を経由して経済産業大臣に届出。計画の中身は需要見通し+発電・受電(融通)+電気工作物の新増設。
⚠️ よくある間違い
供給計画を「需要計画」と読み替えない。届出は大臣だがOCCTO経由——直接ではない。広域的運営の目的は安定供給であってコスト低減ではない。地方間融通の主役は一般送配電事業者。
まとめ
| (ア) | 供給計画(法29条) |
| (イ) | 需要(見通し) |
| (ウ) | 新増設 |
| (エ) | 安定供給(法28条) |
| (オ) | 一般送配電(事業者間) |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
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