今回は令和4年度上期 法規科目 A問題9、電気の需給状況が悪化した場合の対応の空欄補充問題です。実はこの問題、令和7年度上期 A問題1でそっくりそのまま再出題されました。それだけ重要ということです。
押さえるのは主語と根拠条文の対応。OCCTOは業務規程で定めるところにより会員に指示(法第28条の44)、経済産業大臣は電気事業者に命令(法第31条)。この2段構えを頭に入れておけば一瞬で解けます。
令和4年度上期 法規科目 A問題9:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題9
電験3種 法規科目 【電気事業法】 令和4年度上期 A問題9
次の文章は、電気の需給状況が悪化した場合における電気事業法に基づく対応に関する記述である。
電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、会員である小売電気事業者、一般送配電事業者、配電事業者又は特定送配電事業者の電気の需給の状況が悪化し、又は悪化するおそれがある場合において、必要と認めるときは、当該電気の需給の状況を改善するために、電力広域的運営推進機関の(ア)で定めるところにより、(イ)に対し、相互に電気の供給をすることや電気工作物を共有することなどの措置を取るように指示することができる。
また、経済産業大臣は、災害等により電気の安定供給の確保に支障が生じたり、生じるおそれがある場合において、公共の利益を確保するために特に必要があり、かつ適切であると認めるときは(ウ)に対し、電気の供給を他のエリアに行うことなど電気の安定供給の確保を図るために必要な措置をとることを命ずることができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 保安規程 会員 電気事業者 (2) 保安規程 事業者 一般送配電事業者 (3) 送配電等業務指針 特定事業者 特定自家用電気工作物設置者 (4) 業務規程 事業者 特定自家用電気工作物設置者 (5) 業務規程 会員 電気事業者

答えは(5):業務規程・会員・電気事業者
(ア)は「業務規程」——保安規程は設置者が保安のために定めるもので、推進機関とは無関係です。
(イ)は「会員」——問題文の冒頭で定義されている語をそのまま使います。
(ウ)は「電気事業者」——一般送配電事業者に限定されません。
需給悪化時の2段構え
| 段 | 誰が | 誰に | 根拠 |
| ★①指示 | ★★OCCTO(民間機関) | ★★会員 | ★★法28条の44 |
| ★②命令 | ★★経済産業大臣 | ★★電気事業者 | ★★法31条 |
まず業界の中で融通し合い、それでも足りなければ国が命じる——民から官への順番になっています。
この「まず自主的に、次に行政」という形は、電気事業法のあちこちに出てきます。
OCCTOとは何をする組織か
電力広域的運営推進機関は、2015年に設立された認可法人です——電気事業者は加入が義務づけられています。
地域をまたいだ電気の融通を調整するのが、いちばんの仕事です——震災のときに地域間で融通できなかった反省から生まれました。
だから需給が悪化したときに、真っ先に動く組織になっています。
★OCCTOの3大文書
| 文書 | 決めていること |
| ★定款 | ★★組織の基本ルール |
| ★業務規程 | ★★業務の実施方法。需給改善の指示もここ |
| ★送配電等業務指針 | ★★送配電等業務の具体的な実施基準 |
3つとも推進機関が作る重要文書です——だから選択肢に並べられると迷います。
本条が挙げているのは業務規程です——送配電等業務指針は、託送の技術的なルールのほうです。
「保安規程」がダミーである理由
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 業務規程 | ★★業務規程 | ★保安規程 | ★★保安規程は設置者が保安のために定めるもの |
| 会員 | ★★会員 | ★事業者 | ★★問題文が「会員である〜」と定義している |
| 電気事業者 | ★★電気事業者 | ★一般送配電事業者 | ★★命令の相手を狭めない |
保安規程は、設備の保安のために設置者が作る社内ルールです——需給の調整とはまったく別の話です。
似た名前でも、誰が作るどんな文書かを押さえておけば区別できます——「規程」という語だけで飛びつかないことです。
問題文の中に答えが書いてある
(イ)は、問題文の冒頭に「会員である小売電気事業者、一般送配電事業者……」と書かれています。
つまり本文をていねいに読めば、知識がなくても埋まります——定義された語をそのまま使うのが法令文の作法だからです。
空欄補充では、まず問題文の中に手がかりがないか探しましょう——それだけで1つ2つは埋まります。
なぜ命令の相手を広く取るのか
災害時に何が起きるかは、あらかじめ決められません——発電も小売も送配電も、動かす必要が出てきます。
だから相手を「電気事業者」と広く書いてあります——一般送配電事業者に限ると、手が足りなくなるのです。
非常時の規定ほど、対象を広く取るのが法律の作り方です。
なぜOCCTOが作られたのか
2011年の震災では、東と西で周波数が違い、十分な融通ができませんでした。
会社ごとに需給を管理していたことも、融通を難しくしました——広域で調整する主体がいなかったのです。
その反省から2015年に設立されたのがOCCTOです——全国大での需給調整と設備形成を担います。
平時にもOCCTOは働いている
| 場面 | OCCTOの仕事 |
| ★平時 | ★★供給計画の取りまとめ・系統の増強計画 |
| ★需給ひっ迫時 | ★★会員への融通指示 |
| ★系統接続 | ★★接続の申込みの受付・調整 |
需給ひっ迫時の指示は、仕事のひとつにすぎません——ふだんは計画づくりが中心です。
供給計画は、電気事業者がOCCTOを経由して大臣へ届け出ます——令和4年度下期の問10で問われた論点です。
⏱️ 本番での進め方
① (イ)は問題文の冒頭を見る——「会員である〜」と定義されている。
② (ア)は「保安規程」を落とすところから始める。推進機関の文書ではない。
③ (ウ)は広いほうの語(電気事業者)を選ぶ。非常時は対象を狭めない。
④ OCCTOは指示、大臣は命令——主語と動詞をセットで覚える。
指示と命令の違い
| OCCTOの指示 | 大臣の命令 | |
| ★主体 | ★★民間の認可法人 | ★★行政 |
| ★根拠 | ★★業務規程(会員との約束) | ★★法律 |
| ★及ぶ範囲 | ★★会員だけ | ★★電気事業者一般 |
OCCTOの指示は、会員であることを前提にした約束にもとづきます——だから相手は「会員」に限られるのです。
大臣の命令は法律にもとづくので、会員かどうかを問いません——根拠が違えば、及ぶ範囲も違うという話です。
「公共の利益」という要件
大臣が命令を出すには「公共の利益を確保するために特に必要があり、かつ適切」であることが要ります。
事業者の経営に踏み込む強い措置だからです——だから発動の条件が厳しく書かれているのです。
権限が強いほど要件も厳しくなる——法律の一貫した作り方です。
この2段構えは、需給の問題が出たら必ず思い出す形です——まず業界内で融通、次に国が命じる。
出題履歴——令和7年度上期に同一問題
| 年度 | 問われ方 |
| ★令和4年度上期 問9 | ★★本問 |
| ★令和7年度上期 問1 | ★★本問とそのまま同一 |
| ★令和4年度下期 問10 | ★★広域的運営・供給計画 |
3年後にそのまま再出題されました——それだけ重要と見なされているテーマだということです。
令和7年度下期 A問題1(電気の使用制限)と合わせて読むと、需給がひっ迫したときに国が使える手が一通りそろいます。
💡 覚え方
需給悪化時の2段構え=①OCCTOが業務規程により会員へ指示(法28条の44)②経済産業大臣が電気事業者へ供給命令(法31条)。OCCTOの3大文書=定款・業務規程・送配電等業務指針。
⚠️ よくある間違い
「保安規程」は設置者が保安のために定めるもの——推進機関とは無関係。命令の相手を「一般送配電事業者」に狭めない——電気事業者。
まとめ
| (ア) | 業務規程(OCCTO) |
| (イ) | 会員 |
| (ウ) | 電気事業者 |
| 根拠 | 法28条の44/法31条 |
| 再出題 | 令和7年度上期 A問題1と同一 |
| 答え | (5) |
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・同一問題(電気事業法2):【法規】令和7年度上期 A問題1
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