電気事業法1【電験3種 法規】電気の使用制限は経済産業大臣!使用電力量・使用最大電力・日時・受電 令和7年度下期 A問題1 完全解説

電験3種 法規科目 電気事業法 令和7年度下期 A問題1 電気の使用を制限できるのは誰?大臣の権限

今回は令和7年度下期 法規科目 A問題1電気事業法における電気の使用制限等の空欄補充問題です。電力需給がひっ迫したときに国が行う使用制限の条文(法第34条の2)が問われます。

5つの空欄:命令・勧告を行うのは経済産業大臣。制限の内容は使用電力量の限度・使用最大電力の限度・用途若しくは使用を停止すべき日時、そして受電電力の容量の限度——「使用」する側を制限する条文だと押さえれば選べます。

目次

令和7年度下期 法規科目 A問題1:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和7年度下期 A問題1 問題文
令和7年度下期 法規科目 A問題1 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題1

電験3種 法規科目 【電気事業法】 令和7年度下期 A問題1

 次の文章は、「電気事業法」における、電気の使用制限等に関する記述である。

 (ア)は、電気の需給の調整を行わなければ電気の供給の不足が国民経済及び国民生活に悪影響を及ぼし、公共の利益を阻害するおそれがあると認められるときは、その事態を克服するため必要な限度において、政令で定めるところにより、(イ)の限度、(ウ)の限度、用途若しくは使用を停止すべき(エ)を定めて、小売電気事業者、一般送配電事業者若しくは登録特定送配電事業者(以下「小売電気事業者等」という。)から電気の供給を受ける者に対し、小売電気事業者等の供給する電気の使用を制限すべきこと、又は(オ)電力の容量の限度を定めて、小売電気事業者等から電気の供給を受ける者に対し、小売電気事業者等からの(オ)を制限すべきことを命じ、又は勧告することができる。

 上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)経済産業大臣使用電力量使用最大電力区域受電
(2)内閣総理大臣供給電力量供給最大電力区域送電
(3)経済産業大臣供給電力量供給最大電力区域送電
(4)内閣総理大臣使用電力量使用最大電力日時受電
(5)経済産業大臣使用電力量使用最大電力日時受電
答え(ア)経済産業大臣・(イ)使用電力量・(ウ)使用最大電力・(エ)日時・(オ)受電 = (5)

答えは(5):経済産業大臣・使用電力量・使用最大電力・日時・受電

電気事業法 第34条の2(電気の使用制限等)

経済産業大臣は、電気の需給の調整を行わなければ電気の供給の不足が国民経済及び国民生活に悪影響を及ぼし、公共の利益を阻害するおそれがあると認められるときは、その事態を克服するため必要な限度において、政令で定めるところにより、使用電力量の限度、使用最大電力の限度、用途若しくは使用を停止すべき日時を定めて……電気の使用を制限すべきこと、又は受電電力の容量の限度を定めて……受電を制限すべきことを命じ、又は勧告することができる。

この条文は、はじめから終わりまで「使う側」を向いています。

(ア)は「経済産業大臣」——電気事業法の行政庁は原則としてすべて経済産業大臣です。

(イ)(ウ)は「使用電力量」「使用最大電力」——総量とピークの両方を絞れるという構成です。

(エ)は「日時」・(オ)は「受電」——地域ではなく時間で切り、送る側ではなく受ける側を制限します。

この条文は全部「使う側」を向いている

空欄正しい語ダミー向き
★(イ)★★使用電力量★供給電力量★★使う側
★(ウ)★★使用最大電力★供給最大電力★★使う側
★(オ)★★受電★送電★★受ける側

3か所とも、正解は「使う側・受ける側」の語です——1つ判断できれば、残りも同じ向きで決まるのです。

電気が足りないときに絞るのは需要のほうです——供給を絞ったら、事態はさらに悪くなります

総量とピークはどちらも絞る必要がある

限度単位効き方
★使用電力量★★kW・h★★燃料の消費そのものを減らす
★使用最大電力★★kW★★ピーク時の発電余力を確保する

燃料が足りないときは総量を、発電設備が足りないときはピークを絞ります——足りない理由によって、効く手が違うのです。

だから条文は両方を用意しています——どちらか一方では、事態に応じた対応ができません

「命じ」と「勧告」の二段構え

本条は「命じ、又は勧告することができる」と書かれています——強い手と弱い手が並べてあるのです。

勧告は従わなくても罰則がありません——まず呼びかけ、それでも足りなければ命令という順番です。

実際にも、いきなり命令が出ることはまずありません——節電の呼びかけが先に来るのは、この条文の構造どおりです。

実際に発動された例

この条文にもとづく使用制限は、2011年の東日本大震災の後に発動されました——大口需要家に対する電力使用制限令です。

近年では、需給ひっ迫警報・注意報という形で節電の呼びかけが行われています——こちらは勧告よりさらに手前の段階です。

条文が現実に使われる場面を知っておくと、語の向きで迷わなくなります

事業者の呼び名が現行法に更新されている

旧(自由化前)現行
★売る事業者★★一般電気事業者ほか★★小売電気事業者
★網を持つ事業者★★—★★一般送配電事業者
★特定の区域★★特定電気事業者★★登録特定送配電事業者

古い過去問には「一般電気事業者」「特定規模電気事業者」が出てきます——今は使われていない呼び名です。

ただし空欄になるのは事業者名ではなく、制限の中身のほうです——呼び名が変わっても、解き方は変わりません

「必要な限度において」という歯止め

条文には「その事態を克服するため必要な限度において」と書かれています——やりすぎてはいけない、という制約です。

電気を使う自由を制限するのですから、必要な範囲を超えることは許されません

法規では、この「必要な限度」という言い回しが繰り返し出てきます——立入検査(法107条)にも同じ歯止めがあります

電気は貯めにくいから需要側を動かす

電気は、作った瞬間に使われる商品です——大量に貯めておくことができません

だから供給が足りないときは、需要を減らすしか手がありません——倉庫から出してしのぐ、ということができないのです。

この性質が、電気事業法にわざわざ使用制限の条文を置かせています——他の商品なら、こんな規定は要りません

いまはデマンドレスポンスという手もある

手法中身強さ
★節電要請★★呼びかけるだけ★★最も弱い
★デマンドレスポンス★★対価を払って減らしてもらう★★契約にもとづく
★使用制限(法34条の2)★★勧告・命令で減らさせる★★最も強い

減らしてもらった分を電気として扱うのがネガワット取引です——市場の仕組みで需要を動かすという考え方です。

市場で足りるうちは、法律の出番はありません——使用制限は最後の手段だと位置づけられています。

「政令で定めるところにより」の意味

条文には「政令で定めるところにより」と書かれています——具体的なやり方は、法律ではなく政令に委ねるという意味です。

どの規模の需要家に、何%の削減を求めるか——そうした細かい設計は、そのときの事態に応じて決めます

法律で枠を決め、政令や省令で中身を埋める——この形は法規のあちこちに出てきます

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は反射で「経済産業大臣」——内閣総理大臣を含む肢は即落とす。
② (イ)(ウ)(オ)はすべて「使う側」の語。1つ決まれば残りも決まる。
③ (エ)は「区域」ではなく「日時」——時間帯で切るのが制限の実務。
④ 5空欄でも実質2つの判断で終わる。時間をかけない。

出題履歴——13年ぶりの再出題

年度問われ方
★平成24年度 問1★★震災の翌年に出題
★令和2年度 問1★★同じ条文を別の形で
★令和7年度下期 問1★★平成24年度と同一問題(本問・呼称のみ更新)

平成24年度 A問題1が本問とまったく同じ問題です。13年の間をおいて、事業者の呼び名だけ現行法に直して再出題されました。

法規では、こうした長い間隔の再出題がよくあります——古い年度も切り捨てずに解いておく価値があるのです。

💡 覚え方
使用制限(法34条の2)=経済産業大臣が、使用電力量の限度・使用最大電力の限度・使用を停止すべき日時を定めて使用を制限、又は受電電力の容量の限度を定めて受電を制限。命じ、又は勧告することができる。制限されるのは一貫して「使用」する側

⚠️ よくある間違い
行政庁を「内閣総理大臣」としない——電気事業法は経済産業大臣。制限対象を供給側(供給電力量・送電)に取り違えない。(エ)は「区域」ではなく日時

まとめ

(ア)経済産業大臣
(イ)使用電力量(の限度)
(ウ)使用最大電力(の限度)
(エ)日時(使用を停止すべき)
(オ)受電(電力の容量の限度)
答え(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・電気の需給状況の悪化時の対応(電気事業法2):【法規】令和7年度上期 A問題1
・電気の使用制限等(電気事業法12):【法規】令和2年度 A問題1

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