今回は令和4年度上期 法規科目 A問題1、一般用電気工作物と自家用電気工作物の保安体系を1枚の図にまとめた空欄補充問題です。条番号つきの図なので、電気事業法の全体像を整理する絶好の教材になります。
覚え方は「一般用は他人(電線路維持運用者)が見る/自家用は自分で守る」。一般用は電線路維持運用者が調査義務を負い、登録調査機関に委託できる。自家用は設置者が保安規程を届け出て、大臣は報告又は資料の提出を求められます。
令和4年度上期 法規科目 A問題1:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題1
電験3種 法規科目 【電気事業法】 令和4年度上期 A問題1
次の図は、「電気事業法」に基づく一般用電気工作物及び自家用電気工作物のうち受電電圧7000V以下の需要設備の保安体系に関する記述を表したものである。ただし、除外事項、限度事項等の記述は省略している。
なお、この問において、技術基準とは電気設備技術基準のことをいう。
図中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 所有者又は占有者 登録調査機関 検査要領書 提出 (2) 電線路維持運用者 電気主任技術者 検査要領書 作成 (3) 所有者又は占有者 電気主任技術者 保安規程 作成 (4) 電線路維持運用者 登録調査機関 保安規程 提出 (5) 電線路維持運用者 登録調査機関 検査要領書 作成



答えは(4):電線路維持運用者・登録調査機関・保安規程・提出
覚え方は「一般用は他人が見る/自家用は自分で守る」——この一行で(ア)〜(エ)がすべて説明できます。
一般用には主任技術者がいないので、電線路維持運用者が調査します。
自家用は設置者が保安規程を作り、大臣は報告を求めます。
★一般用と自家用の対比表
| 一般用電気工作物 | 自家用電気工作物 | |
| ★保安の担い手 | ★★電線路維持運用者(他人) | ★★設置者と主任技術者(自分) |
| ★ルール | ★★なし | ★★保安規程 |
| ★確かめ方 | ★★調査(法57条) | ★★報告徴収・立入検査(法106・107条) |
| ★是正 | ★★法56条の命令 | ★★法40条の適合命令 |
4つの行が、そのまま条文の並びに対応しています——この表を覚えれば、図の問題は全部解けます。
是正の条文が一般用と自家用で違う点も要チェックです——法56条と法40条です。
★なぜ一般用は「他人」が見るのか
一般家庭に主任技術者を置くことはできません——数が多すぎるし、専門知識も求められません。
そこで電気を送っている側が、代わりに見に行く仕組みにしました——送り込んでいる以上、その先の安全に責任があるという考え方です。
実際に担うのは一般送配電事業者ですが、条文の用語は「電線路維持運用者」です——ここが空欄になります。
登録調査機関に委託できる
| 内容 | |
| ★根拠 | ★★法57条の2 |
| ★委託先 | ★★経済産業大臣の登録を受けた法人 |
| ★実態 | ★★ほとんどの調査が委託で行われている |
電力会社が自前で全戸を回るのは現実的ではありません——だから委託の道が用意されています。
「電気主任技術者」は自家用側の制度なので、この欄には入りません——図のどちら側の話かを見極めることが大切です。
★(エ)は「作成」ではなく「提出」
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 提出 | ★★提出 | ★作成 | ★★法106条は報告又は資料の提出をさせる規定 |
| 保安規程 | ★★保安規程 | ★検査要領書 | ★★検査要領書は法定用語ではない |
| 電線路維持運用者 | ★★電線路維持運用者 | ★所有者又は占有者 | ★★調査するのは需要家自身ではない |
法106条の報告徴収は、大臣が「出させる」規定です——事業者が自発的に作る話ではありません。
「検査要領書」という語は法令に存在しません——それらしい言葉を作るのも、ダミーの手口です。
知らない語が出てきたら、まず疑ってよいのです。
自家用側の条文をひととおり
| 条文 | 内容 |
| ★法39条 | ★★技術基準に適合するよう維持 |
| ★法40条 | ★★技術基準適合命令 |
| ★法42条 | ★★保安規程の届出 |
| ★法43条 | ★★主任技術者の選任 |
| ★法53条 | ★★使用開始の届出 |
| ★法106条 | ★★報告・資料の提出 |
| ★法107条 | ★★立入検査 |
この7本が、自家用の保安を支える柱です——条番号ごと覚えておくと、図の問題で強いです。
法規の出題は、この7本のどれかに集中しています。
報告徴収と立入検査の関係
| 報告徴収(106条) | 立入検査(107条) | |
| ★方法 | ★★書類で確かめる | ★★現場に行く |
| ★負担 | ★★軽い | ★★重い |
| ★順番 | ★★まずこちら | ★★必要なら |
軽いほうから使うのが原則です——いきなり立入検査には来ません。
2つの条文は並んで置かれており、セットで出題されます。
図の問題は全体像を問うている
個別の条文を覚えていても、位置づけが分かっていないと解けません——それが図の問題の狙いです。
逆に言えば、全体像さえ描ければ、細かい暗記は要りません——一般用と自家用の2列に分けて整理しておきましょう。
この問題自体が、法規の見取り図として使えます。
受電電圧7000V以下という限定
問題文は「自家用電気工作物のうち受電電圧7000V以下の需要設備」と限定しています。
外部委託承認が使える範囲に合わせているためです——いちばん数の多い、身近な区分です。
限定の条件も、問題を解くヒントになります——読み飛ばさないようにしましょう。
図で覚えると忘れにくい
条文を1本ずつ覚えると、どうしてもバラバラになります——図にすると位置関係ごと記憶に残ります。
本問の図は、そのまま法規のまとめノートとして使えます——過去問がそのまま教材になる珍しい例です。
⏱️ 本番での進め方
① 図の左右で一般用か自家用かを見分ける。制度が混ざらない。
② 一般用の欄に「電気主任技術者」は入らない——自家用の制度。
③ (エ)は「提出」——法106条は「させることができる」規定。
④ 「検査要領書」のような聞き慣れない語は疑う——法令用語ではない。
一般用にも命令の条文がある
法56条は、一般用電気工作物に対する大臣の命令です——相手は所有者又は占有者になります。
自家用の法40条と対になる規定です——設備の区分で条文が分かれているのです。
出題履歴——体系図はまとめに最適
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成19年度 問1 | ★★調査の義務(法57条) |
| ★令和3年度 問1 | ★★調査+解釈14条の1mA |
| ★令和4年度上期 問1 | ★★保安体系の図(本問) |
令和3年度 A問題1は調査義務を条文で問うています。本問はそれを図の中に位置づけた形です。
条文で覚えたことを、図で確かめる——この行き来が理解を定着させます。
💡 覚え方
一般用:法57条=電線路維持運用者が調査/法57条の2=登録調査機関に委託可/法56条=大臣の命令。自家用:法39条維持/法42条保安規程/法43条主任技術者/法53条使用開始の届出/法40条適合命令/法106条報告・資料の提出/法107条立入検査。覚え方は「一般用は他人が見る/自家用は自分で守る」。
⚠️ よくある間違い
(ア)を「所有者又は占有者」としない——調査するのは電線路維持運用者。(イ)に「電気主任技術者」を入れない(自家用の制度)。(エ)は「作成」でなく提出させる(報告徴収)。
まとめ
| (ア) | 電線路維持運用者(法57条) |
| (イ) | 登録調査機関(法57条の2) |
| (ウ) | 保安規程(法42条) |
| (エ) | 提出(法106条・報告徴収) |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・調査の義務(電気事業法11):【法規】令和3年度 A問題1
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