今回は平成21年度 法規科目 A問題3、保安規程に定めるべき事項の空欄補充問題です。平成28年度・令和5年度にも同じ7項目が問われており、法規で最も出題頻度の高い暗記事項です。
7項目は①職務及び組織 ②保安教育 ③巡視・点検・検査 ④運転又は操作 ⑤長期停止時の保全 ⑥非常時に採るべき措置 ⑦保安についての記録。本問はこのうち職務・保安教育・記録の3つが抜かれています。
平成21年度 法規科目 A問題3:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題3
電験3種 法規科目 【電気事業法】 平成21年度 A問題3
次の文章は、「電気事業法施行規則」における、保安規程において定めるべき事項の記述の一部である。
a. 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の(ア)及び組織に関すること。
b. 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する(イ)に関すること。
c. 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための巡視、点検及び検査に関すること。
d. 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての(ウ)に関すること。
e. 災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) (イ) (ウ) (1) 職務 保安教育 記録 (2) 職務 指導 監視 (3) 資格 訓練 記録 (4) 資格 保安教育 監視 (5) 職務 訓練 記録

答えは(1):職務・保安教育・記録
(ア)は「職務」——職務及び組織でひとかたまりの言葉です。
(イ)は「保安教育」——「訓練」でも「指導」でもなく、保安教育という条文用語を選びます。
(ウ)は「記録」——「監視」は行為の名前であって、定めるべき事項の名前ではありません。
7項目は「人・行為・記録」の順に並んでいる
| 号 | 項目 | 何の話か |
| ★① | ★★職務及び組織 | ★★誰がやるか |
| ★② | ★★保安教育 | ★★その人を育てる |
| ★③ | ★★巡視・点検及び検査 | ★★ふだんの行為 |
| ★④ | ★★運転又は操作 | ★★動かすときの行為 |
| ★⑤ | ★★長期停止時の保全 | ★★止めるときの行為 |
| ★⑥ | ★★非常の場合に採るべき措置 | ★★事故のときの行為 |
| ★⑦ | ★★保安についての記録 | ★★やったことを残す |
①②が人の話、③〜⑥が行為の話、⑦が記録の話です——この3ブロックで覚えると順番ごと再現できます。
行為の4つは「ふだん・動かす・止める・事故」という時間軸で並んでいます——設備の一生をなぞった順番なのです。
ダミー語はいつも同じところに置かれる
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 職務及び組織 | ★★職務及び組織 | ★資格 | ★★資格要件は主任技術者免状の制度で別に定める |
| 保安教育 | ★★保安教育 | ★訓練・指導 | ★★人を育てる規定なので条文語は保安教育 |
| 記録 | ★★記録 | ★監視 | ★★監視は行為。記載事項の名前ではない |
「資格」が入りそうに見えるのは、保安規程が人の話から始まるからです——しかし資格は法第44条の免状制度の話で、規程には書きません。
作問者は、意味が近くて条文にない語を選んで置きます——意味で選ばず、条文の語そのものを選ぶのが法規の鉄則です。
保安規程は「自分で決めて自分で守る」ルール
保安規程は、設置者が自ら作って大臣に届け出る社内ルールです——大臣が中身を認可するわけではありません。
だから施行規則は「何を書くか」だけを決めています——どう書くかは、設備の規模や種類に応じて事業者が決めるのです。
この「枠だけ法律が決め、中身は事業者が埋める」という形が、電気事業法の保安規制の基本設計です。
⏱️ 本番での進め方
① 保安規程の問題を見たら、まず7項目を頭の中で唱える。
② 空欄の位置が①②⑦なら本問の型。職務・保安教育・記録で即決。
③ 迷ったら「資格」「訓練」「監視」「届出」が入った肢を捨てる——全部ダミー。
④ 記載事項の問題か、手続(届出)の問題かを最初に見分ける。
出題履歴——法規で最も繰り返される暗記事項
| 年度 | 抜かれた場所 |
| ★平成21年度 問3 | ★★①②⑦(本問) |
| ★平成28年度 問10 | ★★①②③⑥⑦の5か所 |
| ★令和5年度下期 問1 | ★★平成28年度と同一問題 |
7項目を順番ごと覚えていれば、どこが抜かれても対応できます——部分暗記では歯が立たないのがこのテーマです。
手続のほうは平成20年度 A問題4で問われています。記載事項と手続はセットで押さえましょう。
誰が保安規程を作るのか
| 設備 | 保安規程 | 主任技術者 |
| ★電気事業用 | ★★必要 | ★★必要 |
| ★自家用 | ★★必要 | ★★必要 |
| ★小規模事業用 | ★★不要 | ★★不要 |
| ★一般用 | ★★不要 | ★★不要 |
保安規程が要るのは事業用電気工作物です——電気事業用と自家用の両方が含まれます。
令和5年3月からは、小規模事業用電気工作物が外れました——太陽光10kW以上50kW未満・風力20kW未満がこれに当たります。
保安規程と主任技術者は、必要になる範囲がぴったり同じです——片方を覚えれば、もう片方も分かるのです。
7項目が「関すること」で終わる理由
条文はどの号も「〜に関すること」で終わっています——中身までは法律が決めていないという意味です。
火力発電所と町工場では、必要な巡視の頻度も体制もまるで違います——だから枠だけ示して、中身は事業者に委ねているのです。
この書き方を知っていると、選択肢の見分けが速くなります——具体的すぎる語が入っている肢は、たいていダミーです。
保安規程を守る義務は従業者にもある
法第42条第4項は、設置する者だけでなく「その従業者」も保安規程を守らなければならない、と定めています。
会社が作ったルールを、現場の一人ひとりが守る——そこまで法律が念を押しているのです。
主任技術者の指示に従う義務(法43条5項)と同じ発想です——保安は組織全員で担うもの、という考え方が貫かれています。
巡視・点検・検査はどう違うのか
| 行為 | 中身 | イメージ |
| ★巡視 | ★★見回って異常がないか見る | ★★歩きながら全体を見る |
| ★点検 | ★★機器ごとに状態を確かめる | ★★立ち止まって1台ずつ見る |
| ★検査 | ★★測定して基準に合うか判定する | ★★計器を当てて数値で判断する |
3つとも「設備を見る行為」ですが、深さが違います——巡視→点検→検査の順に細かくなると覚えましょう。
だからこの3語は必ずこの順で並びます——順番が入れ替わっている肢は疑ってよいのです。
保安規程は事故が起きたときに読まれる
電気事故が起きると、まず保安規程どおりに動いていたかが検証されます——巡視の頻度は守られていたか、記録は残っているかです。
だから⑦の記録が7項目に入っています——やったことを残していなければ、やっていないのと同じ扱いになるからです。
7項目は、事故を防ぐためだけでなく、事故のあとに検証できるようにするための構成でもあります——そう考えると、記録が最後に置かれている意味が見えてきます。
記録の保存期間は、規程のなかで事業者自身が決めます——法律が年数を指定しているわけではありません。
ここでも「枠は法律、中身は事業者」という形が守られています。
💡 覚え方
保安規程7項目=①職務及び組織 ②保安教育 ③巡視・点検・検査 ④運転又は操作 ⑤長期停止時の保全 ⑥非常時の措置 ⑦保安についての記録。使用開始前に経済産業大臣へ届出、変更したときは遅滞なく届出。
⚠️ よくある間違い
「職務」を「資格」、「保安教育」を「訓練」「指導」、「記録」を「監視」としないこと——いずれも意味は近いが条文にない語。条文の言葉そのままを選ぶのが鉄則。
まとめ
| (ア) | 職務(及び組織) |
| (イ) | 保安教育 |
| (ウ) | 記録 |
| 他の項目 | 巡視点検検査・運転操作・長期停止時の保全・非常時の措置 |
| 答え | (1) |
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